代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

雪組・星逢一夜/ラ・エスメラルダ 結局、再度観劇のMyラスト感想

先日、見納め感想を書いたはずのmiyakogu。帰省から戻り、結局、再度観劇してしまいました…(-.-)。ちなみに娘は本日、最後の観劇中。当日券が取れたようで、先ほど興奮気味のメールが来ていました。本当にラストです。

※お越しいただき、ありがとうございます。勢いのあまり、「星逢一夜」について、結局16個もの記事を書いていました。そのまとめがこちらです。よろしければご覧下さい(^-^)。

mothercoenote.hatenablog.com

 

1.星逢一夜における寂しさの共有

終盤のちぎみゆによる星観の櫓での場面。miyakogu、ここでのちぎみゆの演技のために通っていると言っても過言ではございません!!

みゆちゃん演じる泉は、一揆の前、晴興に言います。
子どもたちは寂しくて、いつも一緒にいた。(中略)。あなたは私の知らん人です。」

そして終盤、泉は晴興に言います。
あなたは苦しそうで…、寂しそうで…」(以下は重要なセリフですのでこれから観劇の方のために略します)

お芝居が始まる中、泉には両親がなく、弟と二人で暮らしていること、源太は泉の兄のようでもあり、源太の母も何くれとなく面倒をみている様子が伺えます。

晴興、泉、源太。この3人の中で、「寂しさ」故に寄り添うような心が近づいていったのは晴興と泉だったのかと、これらのセリフから思いました。

貧しく苦しい境遇のはずの泉こそが、藩主の子どもであり、その後、江戸で大出世を果たしたはずの晴興の寂しさを最も敏感にキャッチする・・。逆説的な関係性です。

「寂しい子どもたち」が身を寄せ合い、3年の間、ずっと来る夜も来る夜も星を一緒に見上げたのだとすると、いつしか星を観るのではなく、星を観る隣の人の横顔をそっと見ていたのだろうということが、わずかなセリフから彷彿とさせられます。まぁ、ちぎちゃんのあの美しい横顔でしたら、がん見ですね・・。

二人が異なる境遇ゆえに、それぞれにとっての稀人(まれびと)であったというのもあるでしょう。慣れ親しんだ者より、異国といってもいいような境遇から来た人。しかも夜に星の元で逢える人。その人に新鮮なときめきを持って向かってしまう、これは恋愛の始まりの常だと思います。多くの物語、少女漫画の設定でもよくありますね。

 

2.泉が晴興にみせた大胆な夢

物語において、実は一番大胆な発想を持ったのは、泉ではないかと思います。

彼女は将軍吉宗公の命により、陸奥に永蟄居となる晴興に、一瞬とは言え、逃げてほしいと願うのです。吉宗公の命に従う必要などないのだと。あなたは別の場所で生きるのだと。

その時代、おそらく将軍というのは絶対的な権力者であったでしょう。源太は三日月藩、ひいてはその藩主である晴興に対して一揆を起こしますが、泉は恋ゆえにその上を軽くいく大胆な発想を持つのです。

もちろん、晴興が一瞬夢見たように、たとえ二人が何もかも捨てて逃げたとしても、罪に問われ、連れ戻される可能性は大でしょう。しかし、儚いとはいえそのような大胆な夢、晴興自身では決して思いつくこともないよう大胆な夢を、一瞬でも晴興にみさせてあげることができた。これは恋ゆえの、泉から晴興への貴重な最後の餞別のようにも思えました。

実行に移すことはできない夢。しかし、それを共有できること、そのような夢を星空のもと、存在しない星を観るように一緒に観られたこと、それは平坦な道が続いていくであろうこれからの毎日の中にあって、思い出すたびに心が暖かくなるような甘美な思い出となったのではないかと思います。

一緒に寂しさを分かちあい、儚い夢を一緒に見た人がこの世界にいること、いたこと。このことは、たとえその後、離れ離れになったとしても、お互いの心の中の何か暖かで柔らかいものとしてずっと存在し続け、その後の人生を支えるものとなったと思います。

皆様の心の中にも、そういう追憶があるのではないでしょうか?

 

3.ラ・エスメラルダの旅

最後の観劇で、ようやくショウの全体像を把握しました。大劇場で上演される中でできあがっていったのか、こちらの感覚なのか、たまたま全体を見渡しやすい席にいたからか、全体像をみると、実は色彩が非常に鮮やかに、場面によって緑、あるいは赤を基調にした美しい舞台であることが見てとれました。

特に赤の場面。背景も赤、娘役さんの衣装がエキサイターで使われたと思われる赤と黒の衣装で、齋藤先生がモチーフとされた、スペインの小さな町の岸壁からご覧になったという太陽、夕焼けの空が伝わってくるようだったのです。(パンフレットで齋藤先生がお書きになっておられますが、スペインのカダケスという小さな町の岸壁からの風景だそうです)

星逢一夜でぼーとした頭のまま、何も考えずに、齋藤先生の南欧の旅に一緒に出る。そしてそこで、様々な人の営みや風景を眺める。そういうショウなのかもしれません。

深く考えずに、旅の途中で車窓からまちの風景を眺めるように、あるいは岸壁に座って夕焼けを眺めるように、舞台を背景と衣装を含めてご覧いただくのがいいかもしれません。観客を旅に連れていく、そういうショウではないか理解いたしました。

では、重い腰を上げてジムに行ってまいります!それから、娘の夏休み宿題チェックもそろそろしなくては。本当に大丈夫なのかしら??かなり疑っている両親です。