代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

星組・ガイズ&ドールズ まじめに感想3 動き始めた星組さん 紅さん・七海さんのコミカルな愛らしさ、スカイの純情

皆様、おはようございます。昨日、星組さんの午後公演「ガイズ&ドールズ」を宝塚大劇場で観た感想を、忘れないうちに書いてみたいと思います。自由に、生き生きと動き始めた星組さんを感じました。

 

1.自由に生き生きと動き始めた星組さん

私が最初に観劇したのは初日開けてすぐの先週土曜日。まだ十分に暖まっていない感じの舞台でした。といいますか、柚希さんとはまた異なる北翔さんの圧倒的な力量の前に、星組の皆さんが遠慮がちに何かを試しておられるような、探っておられるような印象を持ちました。

ただ、お相手役の妃海風さんは、持ち前の明るさやおそらく北翔さんのお気遣いの中で、既に伸び伸びとされているような感じはありました。礼真琴さんはミュージカル・スターとしての実力で、また、礼さんもそうですが「大海賊」で既にご一緒されていた壱城あずささんは、自分の個性を出しながら星組をうまくつないでおられるように思いました。

そういった状況のもとで、いつもと変わらない落ち着いた演技を見せてくださったのが天寿光希さんで、それ故、初見時に非常に印象に残り「まじめに感想2」で書いたのです。

それが、1週間たって、星組の皆さんが自由に伸び伸びと、生き生きと動き始めたような感じを受けました。

新米ファンのmiyakogu。初めてみた雪組さんの端整な美しさ、次にみた星組さんの舞台から発せられる熱量にうたれて宝塚ファンになったのです。私にとって星組さんは圧倒的なトップスターのもと、生徒さんが伸び伸びと自由に、自分自身の工夫をこらしながら演じておられるイメージが強い組です。

少し失礼な言い方かもしれないのでお許しいただきたいのですが、1週間前は北翔さん・礼真琴さんのミュージカルに星組さんがご一緒されている感が強かったのです。しかし、昨日はお一人ずつの個性がよりはっきりと、くっきりと出た非常に立体的な舞台として見えてきました。端っこにいたるまで、です。演じておられる皆さんの楽しさが、伝わってくるようです。初見時にも場面場面ではありましたが、昨日は作品全体を通じて楽しんでおられることが伝わってきました。

 

2.紅さん・七海さんのコミカルな愛らしさ

その中心となっておられるのが紅さん。やっぱり二番手ってとても大事なんですねぇショーでより実力を発揮される星組さんにおいて、お芝居を支えてこられた重要なお一人が紅さんだと思います。

1週間前に観たとき、もちろんそつなく演じておられたのです。が、「うーん、紅さんってこんなもんじゃないでしょう?」というのが率直な感想。

しかし、昨日はまちの顔役、女よりもギャンブルに熱中してしまう男っぽさ、なかなか結婚には踏み切れないもののアデレイドを大事に思っているかわいさ、ギャンブルの場を探しているときの人にすがったり驚いたりするおもしろさ。いろいろなものが一杯詰まった、「いるいる、こういう男って!」という納得感を見せてくださいました。

電話ボックスでの場面や、教団支部の集会場面での妙な動きのおかしさといったら!紅さんの本領発揮という感じです。また、最後にウェディング姿で北翔さんと並んで歌う場面では並び立つ2番手としての迫力が増しておられました。

そして、特筆すべきは七海さんの動き。パンフレットでご自身も、あまり台詞がない分、動きや反応で自分らしさを出したい旨を語っておられます。(台詞も歌も結構ありましたが、七海さんのこれまでのお役からすると、というところでしょう)

舞台で何かくねくねした人がいるなぁと思って注目してみると、これが七海さん演じるベニー。美形スターさんなのに、ずっと膝を曲げながら歩いて、いちいち手や動きや顔でびっくりしたり、びびったり、とにかく可愛らしくておかしいのです!ずっと観ていても飽きないパントマイムのようです。ぜひご注目を。

フィナーレでは当然、膝を曲げた妙な動きはされませんから、まぁ、これが同じ人とは思えないようなすっとした美形ぶり。おっもしろい方ですねぇ。さすが七海監督として、宝塚スカイステージのブリドリで宝塚ファンを絶叫させただけのことはあります。

壱城あずささんも、ビッグ・ジュールが話している時、ジュールの熊のぬいぐるみをずっとあやし、「いい子にしてたよ」と返す自由さ。楽しかったです。

また、誰?この美形??とみると、キューバの場面でも下水道でのクラップ・ゲームの場面でも、十碧 れいやさん。キューバのダンサーの色気、ゲームの場面ではおひげを少し生やしたダンディぶりです。下水道のクラップ・ゲームではさらに、「なんか美形がいる?!」と思ってみると瀬央ゆりあさんでした。新人公演の主演が楽しみですね。

 

3.北翔さん演じるスカイの純情と誠実さ

というわけで初見で感じた違和感は緩和され、根はいい奴の愛すべきギャンブラー達と布教に一生懸命な人たち、そしてクラブで踊るキュートな女の子達のお話だとすっと理解が進みました。

スカイもネイサンも男気があって、根は誠実なんですね。ギャンブラー達も賭けで書いた借用書は必ず守り、いやいやでも教団にやってくる。スカイは借用書もあるけれど、サラを助けるために約束を守ります。

一方、サラをはじめとする救世軍のメンバーはキリスト教の教えを広めることに一生懸命。天寿さん演じるアーヴァイドはその中で悲壮感は感じさせず、楽天的でもあり爽やかです。

そして、アデレイドはクラブのスターで実力がある女の子でもっと傲慢でもいいくらいなのに、キュートで一途で純情。礼真琴さんは、ほんとにうまい!

なるほど。題名どおりガイズとドールズの物語です。それぞれに一生懸命で、案外誠実なガイズと女性達です。

スカイとサラ。住む世界が全く異なるのに、結果的に惹かれ合う二人。1幕ラストでの銀橋での歌「はじめての恋」では北翔さんの甘い声に、そして、誤解もあってサラが怒って行ってしまった後、一人で歌う同じメロディーの切なさ。こんなに楽しいミュージカルなのに、少しほろっと涙が出て、慌てて気づかれないように涙を拭きました・・。誰も泣いてないよーー、恥ずかしい!!慌てるmiyakoguですが、しかし、それくらいスカイの純情が伝わってきたということです。北翔さんの演技もさらに先に行っておられます。

ブロードウェイやロンドン・ウエストエンドのこういう楽しいハッピー・ミュージカル。miyakoguも大好きです。楽しいハッピーエンターティンメント、ぜひご観劇ください。星組さん、勢いが増してますよ!

 

しかし、やはり思ったのは「王家に捧ぐ歌」、よくぞ創られたなということ。海外ものミュージカルに宝塚発ミュージカルが追いつき、時に追い越してきたのではないでしょうか?世界に発信すべき作品と思います。音楽が非常に素晴らしく、オペラで印象的な場面で使われる三重唱も取り入れられ、コーラスの厚みもすごい。「スゴツヨ」なんて想像を超えていますもん。誰もあんなこと、思いつかないです。(本日が千秋楽ですね。千秋楽、おめでとうございます。お疲れ様でした)

どうぞ、ぜひ世界へ!その先へ!