代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

NHK「経世済民の男 小林一三」 まじめに感想 おぼっちゃん銀行員が事業家になった100年前の大阪

皆様、大阪は雨の日曜日、お元気ですか?本日は終日、自宅で仕事予定ですが、その前に昨晩の小林一三先生のNHKドラマについて、少し書いてみたいと思います。皆様はご覧になりましたでしょうか?我が家は家族全員でテレビの前で視聴しました。

予告編では、一三先生に対して持っているイメージと、少し違うかなぁと違和感があったのですが、とてもおもしろかったです。おそらく、実際の人物像とは少し違うでしょうね。NHKの朝ドラ「マッサン」でも「鴨居の大将」のモデルになったサントリーの鳥井様は豪傑に描かれていましたが、実際には豪腕はその通りながら、もっと上品な方だったと聞いています。ドラマですからデフォルメもあるでしょう。

※後編の感想記事もアップしました。よろしければこちらもご覧下さい。

NHKドラマ「経世済民の男 小林一三」後編 まじめに感想 小さな希望の灯火の意味 - 代取マザー、時々おとめ

 

1.背景となる100年前の大阪のまち

小林一三先生は裕福なおうちのお生まれ、残念ながらご両親の他界によりおじ夫婦の養子となられます。山梨県のお生まれであるとは存じ上げませんでした。てっきり阪神間の方だと思っていたので、改めて調べてみて意外でした。

妻となるコウさんと出会うまちは、ドラマをご覧になった方はおわかりのとおり、川沿いのまちです。これは現在の新地、堂島界隈だと思われます。あの川はおそらく、当時、北新地に流れていた蜆川ではないかと。川沿いにお茶屋、飲食店が並ぶ紳士の社交場であったようです北新地社交料飲協会「50周年記念誌」によると、大正7年(1918年)当時、北新地には825人の芸妓さんがおられたとのことです。

実は、数日前に大阪のまちの歴史の権威である先生に、100年前の大阪における川遊びの絵を見せていただき、わずか100年前の大阪ってこんなんやったんか!と驚いたところだったので、想像していた大阪の川沿いのまちが、再現されていてとても楽しく拝見しました。船に料理人が乗り食器などを入れる船箪笥を乗せ、お客さんが芸妓さんと一緒に乗り込み、さらに大川へ出てひと時をすごすというのが舟遊びだったそうです。庶民は漁師さんと一緒に屋根のない簡素な船に乗り、釣った魚を焼いてもらって食べた様子を描いた絵が残っています。

船遊びのシーンは出てきませんでしたが、「水の都」大阪を彷彿とさせるシーンが出てきて楽しく拝見しました。

 

2.銀行員としての小林一三先生

一三先生の出発点は銀行員。最初は大学時代から志していた小説家を諦めきれず、就業後(もしかして時間中?)に小説を書いたりしておられます。

ただ、新しく東京から赴任してきた超やり手の岩下支配人のもと、支店が勢いを持って発展していく中で、一三先生も銀行の仕事のおもしろさに目覚められます。当時の「我が国を世界の一等国にするのだ!」という気概が伝わってきます。そういった中での銀行というのはとてもおもしろかったと思うのです。

しかし、岩下氏が銀行を去り、調査部(おそらく監査部門)で勤務することになった一三先生は、じみーーーな銀行員生活を東京で送られます

miyakoguが注目したのは、ここで6年間、地道に耐えておられること。おそらく、一三先生が生来持っておられた想像豊かな感性に、この大変地道な銀行員時代が重なることによって、後に事業家へと変化されていくのではないかと思います。

感性・想像力と緻密な計算。両方を兼ね備えるのはとても難しいことです。番組で出てきたとおり、想像力が豊かでなければ事業の着想はないでしょう。しかし、同時にお金の計算なくして事業はできません。番組の副題も「夢とそろばん」とあります。

実はmiyakoguも社会人の出発点は銀行員。しかも融資を担当していたため、我が事のように拝見しました。私にも、いろいろな企業様の決算書を多数拝見し、先輩諸氏に貸借対照表の見方を教えていただき、資金繰りを考えという地道な時代があります。決算書のどこを金融機関が注目して見るのか、これを分かっているというのは結構な強みではないかと思います。当時の上司の皆様、先輩方、ありがとうございました。お礼申し上げます。

 

3.郊外田園に鉄道を敷く

一三先生は紆余曲折を経て、「こういう空気の綺麗なところに住みたい」という妻の言葉、そして買うなら家賃程度の月賦で買いたいという自身のニーズから、郊外住宅の月賦販売のアイディアを得て実現されます。当時、東洋一の工業都市と言われた大阪のまち、空気は相当悪かったようです。

番組での会話から、当時、庶民の多くが借家を当然と考え、一部の富裕層のみがキャッシュで家を買う時代であったことがわかります。

先日のLCCのピーチ様と同じく、これはイノベーションですね。新しい手法を提案し新しい価値として実現してみせる。イノベーションとは技術の話だけではないことが良くわかります。

そして、箕面有馬電気軌道の社長となるとき(実際には実質社長の専務さんだったようですが)、夢見がちだったおぼっちゃん銀行員が事業家へと変わります。銀行というのは自ら事業を行うわけではなく、銀行としてのリスクはもちろんありますが、事業家自身が取るリスクとはその厳しさでは大きな差があると思います。

おぼっちゃん銀行員だった一三先生が、節約を第一に経費を削減して鉄道を敷こうとする姿勢には打たれました。やはりラスト1ミニッツでコスト削減に取り組まねばなりませんね。

 

4.いちいち宝塚っぽい音楽

視聴された皆様は、バックに流れる音楽が、どうもいちいち宝塚っぽいことに気づかれたのではないでしょうか?恋愛場面の演出もどうも、それっぽい。

後編の宝塚歌劇創設を相当意識されているというか、おそらく、宝塚ファンが大挙して視聴することを見込んでか、あるいは「NHKスペシャル 宝塚トップ伝説 ~熱狂の100年~」を制作しただけあってか、またはものすごいファンが制作側におられるのではないかと思われます。

宝塚っぽいんですよ、なんとなくね。娘も「いちいち宝塚っぽいなぁ」と一緒に観ておりました。

 

阿部サダヲさんの世間知らずで当初、小説家志望だったいい加減な銀行員奥田瑛二さんの豪腕銀行家、なかなか見ごたえがありました。

後編はいよいよ宝塚歌劇団の皆様がご登場。雪組の星南のぞみさんはドラマの中でのお役があり、星組さん、宙組さんから下級生さん(101期生さんですかね?)がご登場。楽しみです。宙組さんに配属された鷹翔千空さんを見てみたいので、注目しています。

ではでは、後編が楽しみですね!