皆様、こんばんは。日曜午後の宝塚大劇場にて、花組さんの「新源氏物語」/Melodiaを観劇してきましたmiyakoguです。
いやぁ、美しかったです。そして、ショウでの若き花男達の軽妙な色気たるや・・。素敵でした。本日はまず、「新源氏物語」について感想を書きたいと思います。
観客席にはお着物姿の方が多数。何かグループでお越しなのか、男性も含めて素敵なお着物姿の方が固まってご観劇になっていました。源氏物語ならではの華やかさです。
(ショウの感想はこちらです)
1.絢爛たる3D王朝絵巻
もともと高校時代に古典に熱中していたmiyakogu。源氏物語は複数の方の現代語訳で読み、かつ田辺聖子先生の「新源氏物語」もかなり昔に読み、最近は漫画「あさきゆめみし」も再度読了。予習はばっちりです。(宝塚の今作品の原作はあくまで田辺聖子先生の「新源氏物語」ですが、源氏物語の登場人物や源氏との関係性を把握していた方がすっと入れるかとは存じます)
従いまして、源氏物語といえば活字か、絵か、漫画でしか見たことがありません。映画は見逃しており、平面のみの体験の中、今回が初めての「立体で観る源氏物語」です。
幕開けでぱっと舞台が明るくなるとお雛様のようにひな壇に並ぶ姫、公達、そして真ん中に立つ美しい源氏の君のみりお様。その姿に観客席からは「わぁっ」という感嘆の声があがります。
想像していた衣装の形、色あわせ、烏帽子、束帯、直衣それが現実の形となり、かつ想像していた源氏の君、藤壷の宮、紫の上をはじめ物語上の人物が生きた形として動いている。それだけで、既に感動するmiyakoguです。そして先日学んだところの、青海波の踊り。藤の花が垂れ下がり、秋には紅葉の美しい舞台装置。
とどめをさすのが、もちろんこれらの世界が異常に似合う明日海りおさんです。
みりおさんは「春の雪」もそうでしたが、少し傲慢な若き美貌の青年を演じられると非常にしっくりきますよね。美しくやや傲慢であってほしいのです。
そして、その世界の中で、美しい公達が御簾の中に踏み込み、姫と契る! 明日海さんが花乃まりあちゃんを押し倒した体勢でせり下がる!!
ぬぉーーーーーーーーっ!! と立ち上がって叫びそうになりましたよ、miyakoguは。危ない、危ない。なんちゅうことしてくれるねん、宝塚。頼むわ。
そうなんです。絢爛たる王朝絵巻が3Dとなって出てきたかのような感じでした。
それと、「誰?! この美形の公達顔!!」とオペラがロックオンになったのが水美舞斗さん。あの方、これほど公達っぷりが似合うとは思いませんでしたが、面長のとても綺麗な若き貴公子でした。美しかったです。幕開けからがん見しました。ショウでも素敵なロケットボーイ。洒脱な身のこなし、明るい色気を放っておられました。(ショウについてはまた今度)
2.豪華な絵巻ものを見るだけでも価値
もともと、源氏物語は絵巻で楽しまれてきたものですよね。宝塚のこの作品も確かに「3D絵巻物」でした。
あれだけ長い作品をわずか1時間半ちょいの中に押し込めるのですから、どうしても源氏物語ダイジェスト版になるでしょう。もちろん、原作では和歌等で表現されることが多い源氏の君の心理描写はより深まり、より人間ドラマとしての側面は増しているとはいえ、どうしても絵巻のように場面場面を演じ、その間はコーラスでつなぐ。こういう形にならざるを得ませんね。
そのような大変な側面がある中で、これだけ美しい世界を見事に作り上げておられて、感服いたしました。
ただ、私がいけないのかなぁ。娘のお隣の方は泣いておられたそうなのですが、たとえどのような作品でも泣く私が泣かなかったとは・・。過去に実はもう1作品、泣けなかった作品があるのですが、不思議です。
しかし、この作品はやはり絵巻のように、美しさを愛で、ほぅっとしている間に終わっていてほしい気もいたします。ということは、やはり源氏物語として正しい舞台化のあり方であり、宝塚にしかできない源氏物語なのだと納得いたしました。
とにかく、あの舞台美、衣装、舞台美術、公達、姫君たちを見るだけでも価値はあります。ぜひご観劇ください。
3.六条御息所の柚香光さん
その中で最も迫力のあったドラマ性の高い場面が第11場車争いの場面でした。
柚香さんは「少年」のイメージがとても強く、ちょっと怖いもの見たさだったのですが・・(ごめんなさい)。やっぱり、本来はとてもお綺麗な若い女性なのだなぁと感心いたしました。その上で、生霊としての迫力。詳細はうろ覚えですが、柚香さんの他にも女性陣がかく乱するような動きを見せる演出もすばらしく、迫力ある場面だったという印象が強く残った場面です。
4.桐壷帝の汝鳥さん、弘徽殿女御の京三紗さん、右大臣の天真みちるさん
このお三方の演技がとても印象に残りました。汝鳥さんはさすがの貫禄。最後に、光源氏が、父は全てを知っていて胸に秘めていたのかと悟るような場面があります。だから光源氏は柏木と女三の宮との間の不義の子を受け入れざるを得ない運命を悟るのです。この場面の汝鳥さんは、ドラマを感じさせました。
そして、出てくるたびに楽しかったのが弘徽殿女御と右大臣一派。天真みちるさんは、ぜひとも長くご活躍いただきたい方のお一人です。後半からは出て来られるだけでくすくすとした笑いが客席から。舞台にとても素敵なアクセントを添えておられます。
さてさて、始まったばかりの宝塚ならではの絢爛豪華な王朝3D絵巻。ぜひともご観劇ください。
場面場面をつないでいくところは源氏物語のダイジェスト版として、いたしかたないというより「美しい必然」として、あの「ほぅっ」となるような舞台美、ぜひともご覧下さい。「ぬぉーーーーー!!」となるようなラブシーンもきっちりございます!ぜひオペラでがん見してくださいませ。
(11月1日に観劇した感想はこちらです)