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代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。

雪組バウ・「銀二貫」観劇感想2 大阪商人と職人の心意気・人情が交錯する舞台の粋

宝塚雪組

雪組・バウ公演「銀二貫」観劇感想 その2です。

 その1はこちらです。その1、その2ともかなりネタバレありですので、観劇前にお知りになりたくない方はお読みにならないで下さいね(^-^)。

mothercoenote.hatenablog.com

1.大火で火傷を負った真帆→おてつへ

大火で真帆家は消失、嘉平も亡くなってしまっていました。火事から逃げ惑う中、子どもを失ったお広は同じ現場で生き残った真帆を自分の娘と信じるかのように生きており、「おてつ」と呼んで一緒に暮らしているのです。

切ないお広の心情、おてつにすがりつき「おてつやろ?」と確認する様を観て、こちらも涙、涙。桃花ひなさんの熱演です。彼女はセリフの声が少し震えるかのようで、その震えが観客席の心に何かを訴えかけてくる素晴らしい演技でした。それほど出番は多くない中、強い印象を残す方でした。

一方、おてつはこれからは真帆を捨てて生きるのだと、もし見かけても真帆といわないでくれと頼みに井川屋を訪れます。そして和助の粋な計らいで真帆を送っていく松吉。二人とも言いたいことがあるはずなのに、口に出すことはないのです・・。

 

2.今度は寒天職人・半兵衛に差し出される銀二貫

そして・・。今度は京都であった火事のせいで井川屋さんは仕入れストップの危機に陥ります。しかし、寒天場(製造現場ですね)で知り合った職人・半兵衛のもとを松吉が訪ね、寒天をつくってもらい、井川屋さんは再び繁盛を迎えます(かなりはしょってます)。

この時、寒天場を訪ねた松吉を暖かく迎えてくれる半兵衛と寒天職人達。天涯孤独の松吉が井川屋さんと同じく、彼の「居場所」を見つけたかのように感じる暖かな場面です。杏野このみさん演じるおたきさんが、「男前になって!、うちがもう2歳若かったら押しかけ女房になってあげるのに!」と観客に代わって騒いでくれます。

ありがとうな!それ、みんなの言いたいことやで。「2歳」というところには、それぞれの年齢を入れるわ。あんたもほんまは10歳くらいやろ?という観客席の突っ込みは置いておきますね・・(^-^)。

松吉はおてつさんと交わした約束、これは嘉平のためでもあるのですが、腰の強い寒天をつくるという約束を果たそうとするのです。

しかし・・。ある横槍が入り原料であるテングサを止められ、新たな原料仕入れ先を探す必要がでてきてしまい、これがないと半兵衛も井川屋もおしまいなのです。

その時に半兵衛に仕入れのお金として差し出される銀二貫。ようやく貯めた大阪天満宮への寄進のお金をピンチを打開するために差し出す。まさに「生き金」です。務めていた店の嬢はんを火事で亡くしていた善次郎にとって、寄進はとても大切なこと。

しかし、彼は和助と一緒にすぱっと銀二貫を差し出します。ここの男達の人情と粋。専科さんと上級生さんの演技がきらりと光る場面です。

 

3.おてつへの「もうええよ」

病気で亡くなるおてつの養母・お広。亡くなる寸前に「もうええよ」という言葉をおてつに残します。

彼女はおそらく実の子ではないと理解していたのですね、でも、自分の子だと信じたかった、その切なさ。桃花ひなさんの演技からは刺すような鋭い切なさと、共に生きてくれたおてつへの慈愛が伝わります。

そして店を去り、自分を可愛がってくれていた店の婿養子になる梅吉。彼の優しさは舞台を通して感じられます。久城あすさんと愛すみれさんは舞台を通して出ておられる確率がとても高いお二人なのですが、このお二人が専科さん、奏乃はるとさん、香綾しずるさんとともに、かなり舞台を締めています

そして、時々、火事を知らせに来る喜六役の煌羽レオさん。火消しでなく、船頭さんでしたね、いなせすぎて、くらくら来ます。

 

4.愛しさがこみ上げるハッピーエンドに

梅吉に「誰の目にも明らか」という指摘を受け、またおてつさんが縁談を断ったということも教えられ(原作は他の人から)、松吉はおてつのもとに走り、「一緒に生きてほしい」と叫ぶのです。き・た・わーーー!!待ってた場面。

自分一人が幸せになっていいのかと逡巡するおてつ。火傷の痕を気にしているんやね、でもな月城さんが言いに来てくれたんやで。「そこ、ちゃっちゃといかんかーーい!」もどかしさにいらだつ観客。ごめんやで、関西やねん、ここ。「あー、もう、何二人でごちゃごちゃ言うてるねん、相手は月城かなとさんやで!!!」の場面です。

あ、失礼しました。思わず、我を失いました。それだけお芝居に集中させられたということですね(^-^)。

谷先生が原作から読み取り、かつ今作品を通じてお伝えになりたかった一番のメッセージと思われる「生き続ける」ということを月城かなとさんが真帆→おてつさんに伝え、ようやくハッピーエンドです。いやぁ、良かった、良かった。

 

5.月城かなとさんの紋付はかま姿

ええか、あんたら二人とも、当時としてはかなりの晩婚やで。月城かなとさんみたいなイケメンがそんなに都合よく残っているはずは断じてない!!そう指摘したいmiyakoguです。あ、ごめんなさい、作品の趣旨とは関係ないですね。落ち着きます。

そしてようやく銀二貫を寄進でき、結婚式を迎えます。ここの紋付はかまの月城かなと様・・・(-_-;。

ここに来て、劇団の魂胆を悟るmiyakogu。わかったで、おばちゃんは!!この場面のためにこの作品を続けてきたんでしょうが!知ってるで!! ←落ち着いてください、miyakoguさん・・?

そう言いたくなるほどの美形です。ごめん、やっぱり武士です、似合いすぎます。藩主とかそういう役の方がどうも似合います・・。

 

6.2つめの若干のお願い

私は「ルパン3世」でセラフィーナ役を演じておられた有沙瞳さんが好きで、とても注目しています。「前田慶次」新人公演のまつ役も素晴らしかったと聞いております。

歌えてお芝居も上手い。ですので、ひょっとすると観客側の期待値がとても高くなっていたかもしれないと申し訳なく思うのですが、今回の「銀二貫」、少なくとも私が観劇した11月21日 14:30公演からは若干のお願いがございます。

有沙瞳さんが子役で出てこられたときに声が高く早口でいらっしゃったので、「これは子役の時と演じ分けるためにわざとだろう」と思って拝見しておりました。

しかし、成人後、様々な苦難を乗り越えたはずのおてつ、その口調や声にあまり変化が感じられなかったのです。部分的に観れば、演技はとてもお上手なのです。ただ、舞台上で「役を生きた」という演技であったかどうかは、少し疑問が残りました。真帆=おてつの生きることへの必死さ、これはよく伝わります。しかし、彼女は大きな悲劇を乗り越え、日々を必死で生き続けてきた娘さんのはず。その中で得た人生へのある種の諦念とだからこそのささやかな幸せへの希求。そこが彼女の人生の根底にあるはずではないかと私は思うのです。そして、幸せを手に取ることをためらうような複雑な思い。

うーーん。私達がいけないのかなぁ。雪組はトップ娘役の咲妃みゆさんがあまりに天才的な演技、そして自在に操る声を繰り出すため、そのレベルに慣れている観客が観劇したとき、相当お上手な方でも無意識の内に比較してしまっているのかもしれません。

私はこれは演者よりも、演出の問題ではないかと思います。専科さんお二人の素晴らしすぎる演技、雪組上級生さんの確かな演技、中堅から下級生さんの活き活きとしたご活躍、そこを中心に動く物語。もしかすると有沙瞳さんへの信頼が厚いため(私もそうです)、通しで舞台をお稽古した時に、そこまでのチェックがあまり働かなかったのかもしれないと、勝手ながら推察いたしました。

いや、全体のレベルはとても高く、有沙瞳さんも場面場面は十分に情感深く演じておられるのです。役を通しての人生、これはなかなか難しいものだと改めて思いました。

 

というmiyakoguの勝手な若干のささやかなお願いは置いておきまして、とにかく美しくかわいい月城かなとさんと専科さんが圧倒的な旨さでリードする宝塚版「銀二貫」、観劇をお楽しみください。うーーん、チケットがもう取れないか・・・。

少し書き加えたその3はこちらです。

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