代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。朝夏まなとさんご卒業によるロス真っ只中。しばらくはtwitterにて(@miyakogu5)

月組・全国ツアー「激情/Apasionado!!Ⅲ」初日感想2 恋に落ちる震えと青年の傷ついたまなざし、カルメンの魅力と貫禄

昨日初日を迎えた月組・全国ツアー「激情/Apasionado!!Ⅲ」。今朝起きた時に、珠城りょうさんの魅力について、「あ、そうか!」と気づいたことがあるので書きます。 ←こういうのは良い舞台だった印。

 (その1はこちらです。よろしければどうぞ)

mothercoenote.hatenablog.com

 

1.ホセの純情と恋の震え

「激情」のホセはカルメンに最初利用されるように(カルメンもホセに惚れるのですが)、でもホセ自身は純情にまっすぐに雨の日に拾ってもらった子犬のように、カルメンに惹かれていきます。その時のホセを演じる珠城りょうさんの表情。

惹かれていることを隠そうともせず、というか隠せないのです。純朴な青年が圧倒的な魅力を持つ、会った事がないような女性に出会ってしまったのですから。

そして、恋の喜びに震え、まっすぐに情熱に身を投じる青年らしさ。彼はカルメンと生きるために兵隊としての仕事を捨て、ジプシーの仲間になってしまうのです。

私はローマでジプシーの少年少女達の一群に囲まれたことがあります。背が低く、黒い肌で敏捷な身の動きであっという間に取り囲まれ、同行の友人と一緒にカバンに手をかけられました。必死で抜け出しましたが、見知らぬ人たちへの言い知れぬ恐怖感が残りました。

ですので、白人の青年がジプシーの一群の仲間になるというのは、小説とはいえ、当時、社会的にみて驚くべきことだろうというのは想像ができます。

しかし、そういった壁を乗り越えてしまうほどの恋。ホセの喜びと、同時にある進んでいいのかというためらいが伝わってくるかのような珠城りょうさんの演技でした。

 

2.愛希れいかさんのカルメン

私は愛希れいかさんの一番の魅力は、本来、彼女自身の芯にあるように感じる清らかな少女性ではないかと思っています。今作品では激しい火のような情熱、自分を「あたい」という蓮っ葉な面、犯罪に加わることを躊躇しないような生まれ、漂流の民。しかし、そのことへの誇りを感じさせる火花がきらめくような美しさ、土の香りがするかのような強さ、男達を翻弄する色気を出されていて、驚きます。

「激情」は、カルメンを演じられる娘役さんがおられる時しか上演できない作品なのだろうと思いました。その意味で、今の宝塚歌劇団ではおそらく、ちゃぴさん以外には演じられそうな方はおられないと思います。ショウも含めて、今回、ちゃぴさんの貫禄を感じました。

ただ、後、本当にもう少しだけ。本来お持ちの清らかな少女性が少しでもカルメンの中にきらめくように見えたら、さらに素晴らしいカルメンになるように思います。これからに期待していますね。

私は時々、宝塚歌劇団の男性演出家は「女性の強さ」への理解が足りないように思うことがあります。もちろん、時代性もあるため、難しいところなのですが。

どんなおばちゃんでもね、強くみえる女性でもね、心の奥底にかわいらしい清らかな少女が住んでいるのです。小池先生はさすが、「Puck」で書かれていたように、そこが良くお分かりのように思います。

大阪のアラフィフおばちゃんが言うんやから、間違いないで! あ、おばちゃんの場合な、だいぶカーテンかきわけ、かきわけせんと見えへんけどな!しかもその少女もな、子どもの頃からちょっとひねくれてはいるけどな!(^^)

 

3.恋に傷ついた青年の切ないまなざしと哀切

運命のうねりのように始まった恋が、どうしようもなく終わっていくことを必死で止めようとする珠城さんのホセは、とても不安定に見え、その繊細さと漂う哀切が今作品の大きな魅力になっています。

冷静に考えると、セビリヤで発生した男女の愛憎のもつれによる連続殺人事件。ホセはその犯人です。しかし、あくまで舞台。私達はホセの心にいつしか添うように、物語の世界に引き込まれます。これは珠城りょうさんのお芝居の力だと思います。

珠城りょうさんは、皇子であれ一介の青年であれ、「傷ついた時」にその真価を一番発揮されるように思うのです。心が離れていくカルメンにすがるホセの切なさ。

女にすがるのがかっこ悪いとか、みっともないとか、そんなことは彼にはどうだっていいのです。かっこ悪くてもいい、カルメンが他で恋をする自由を許してもいい、でも自分のものだけにしたい。そのみっともなさを隠そうともせず、出し切るかのようなホセ。そして自分の感情としてそれを出し切る珠城りょうさん。(このあたりは逆に男性の演出家ならではかもしれません)

珠城りょうさんは、将来、他組ファンがこの方のお芝居を楽しみに観劇に行くような演者になられるのではないでしょうか。感情の振り幅を思い切り出してこられる方というのは、大きな劇場の隅々までその感情を届けることができるように思います。

 

4.各組を見渡した「傷ついた時の青年の切なさ」

考えてみれば、各組を見渡して傷ついた側の青年の切なさを、これほど哀切に出し切ることができる方というのは、あまりおられないのではないかと思うのです。珠城さんは「真面目」と言われて悩んで、「真面目で何が悪い」と開き直られたと読んだことがあります。

とんでもないですよ、あなた!!真面目だからこそ出てくる、純情で哀切で繊細なそこはことない色気、秘めた情熱の発露。ご自分が漂わせている哀切な魅力に気づいた方がいいです。

 

はい。では、次の記事で現在のトップスターの皆さんが「傷ついた時」にどうなりそうか、ちょっと考えてみますね(^^)。各組トップスターさんへのmiyakogu妄想です。←ばか・・。

その後、まずい状況になり、連日、うなされるように書き続けた激情の感想はこちらにまとめております。よろしければどうぞ。

月組・全ツ「激情」感想まとめ 「月雲の皇子」感想を交えて振り返る珠城りょうさんと私(^^) - 代取マザー、時々おとめ