皆さま、こんにちは。
さて、昨日の月組さんの全国ツアー「激情」名古屋公演の余韻を残しつつ、本日は娘のお友達ご家族と一緒に宝塚大劇場にて星組さんの「こうもり/The ENTERTAINER!」を観劇してまいりました。東京では宙組さんが千秋楽ですね。
宝塚大劇場の初舞台生さんの本日の口上は、ラッキーなことに首席の舞空美瞳さん、一禾あおさん、潤花さんの3名さんでした。舞空さんは可愛い方で華があり、ロケットでもきらきらとされています。ショウがとても素晴らしかったのです!新しい優れたショウ作家の登場に拍手です。
1.「こうもり」感想
春の舞台にふさわしい色彩のとても華やかな、コミカルな、楽しく明るく観劇できる舞台です。
一番驚かされたのは、色!ここまでのピンク、ピンク、ピンク、薄いブルー、白、金、銀で彩られた夢夢しい舞台を衣装、美術ともに作り込んでくる舞台は、他になかなかないと思われます。
前半、徹底して歌でつないでくるなかなかチャレンジングな姿勢にまず感心いたしました。ただ、聴いていて、うーん、宝塚の小規模なオーケストラでマイクを通した声でオペレッタをする必然があっただろうか?と最初、少し(というか、かなり)疑問に思ったのも事実です。どうせなら、マイクを通さない声で観たい演目です。
しかし、その一方で、この華やかさ、スタイル、ビジュアルを含めてとびっきり華やかなものを観たいという気持ちを徹底的に満足させてくれるのも事実です。オペラの舞台では、「はあん?これが絶世の美女って、あなた・・」と夢を見られないことがありますから・・。
そのように考えているところを、見事に打ち破ってくれるのが北翔海莉さんのまろやかに伸びる歌声。どうかな?と思っていると、みっちゃんの朗々とした歌声が劇場に響き、美しいビジュアルの紅さんが笑わせてくれ、これってやっぱり宝塚歌劇団でしかできない舞台だなと、納得させられる。そういう舞台でした。
北翔さんの歌声は、なんと表現したらしっくりくるのか、オペラの歌声とも違う、宝塚の上手い人という範疇ももはや越えている、J-POPの上手い人というのも異なる、独自のスタイルを築かれているように思えました。低音から高音まで伸びやかに朗々と響く歌声で、ちょっと格が違う感じです。
オペラファンの旦那はんを連れていけると良かったのですが、残念ながら本日は不在。また観劇に連れていって感想を聞いてみたいと思います。
みっちゃんだけがスコーンと格の違う中で、歌声ではロザリンデを演じておられた夢妃杏瑠さんが素晴らしかったと私は思いました。また、汝鳥伶さんの堂々たる歌声も。礼真琴さんの歌声ももっと聴きたかったですね!風ちゃんは大健闘、ただ、ちょっと頑張りすぎの感じもあったかなぁ。風ちゃんはショウの歌声の方が、私は好きです。
紅ゆずるさんは本当にコメディがお上手。慌てる演技の間の良さは他の追随を許しません。お歌もお上手で美しいビジュアルを合わせて、観客席を楽しませてくれます。
同じく北翔さん主演の「THE MERRY WIDOW」と比べると、やや物足りなかったな・・。でも、圧倒的な華やかさはこちらの方が上かもしれません。春らしい北翔さんの朗々と自在に響く歌声をハッピーに楽しめる舞台、どうぞご観劇ください。
弁護士の七海さん、博士の4人の助手の十碧れいやさん、麻央侑希さん、瀬央ゆりあさん、紫藤りゅうさん。皆さま、とても素敵でかわいくって、舞台を彩る素晴らしいアクセントになっておられました。
2.「THE ENTERTAINER!」感想
今作品が大劇場デビューの野口幸作先生。バウ公演「パルムの僧院」はええとね、ちょっとね、もごもご・・・、原作のせいかな・・?(以下、自粛)
しかし!!!私は観劇しておりませんが、「A-EN(エイエン)」はポスターの時点で「おおぅ!」と宝塚歌劇ファンを小躍りさせておられましたよね。
プログラムの気合の入ったご挨拶文とお写真から、今回のショウに賭ける並々ならぬ気合を感じました。そして、その気合は見事に舞台で結実していると思います。素晴らしい大劇場でのショウ作家デビューでした。
主題歌である「THE ENTERTAINER!」の歌詞、「天翔ける翼」の歌詞。これは宝塚の舞台が観客に与える感動と夢をストレートに、美しく表現したものだったと思います。野口先生はものすごく舞台を愛していて、宝塚の舞台がもたらす夢や希望や勇気を本気で信じておられる方なのではないかと私は直感的に思いました。
そういう方が相当な気合を入れて、北翔さんというまたとない相手とがっぷり組んだショウ、おもしろくないはずがないです。そして、コミカルな部分も、どこかで観たような場面もあるのですが、品良くまとめ、分断されない流れをつくっておられるように思いました。品を感じさせるショウだったと私は思います。
オープニングのしかけ、100人体制と聞く白黒の燕尾姿のロケット、後ろの鏡を効果的に使った視覚の広がり、円形に回るロケットは美しい驚くべきものでした。
何よりも楽しかったのが、北翔さんがレッスンを受けてエンターティナーを目指す場面。マギーとイリスの超ゴージャス美女二人が北翔さんをレッスンに連れ出します。
礼真琴さんからはダンス、風ちゃんからは歌、スタイリストなのかな?紅さんからは男の美学。最後にはかっこよく仕上がるのです。途中、オーシャンズ11のジョンソン先生、106歳が出てこられて大笑いです。ここの風ちゃんの歌のレッスン場面、粋でかっこよくて素敵でした。私はオペレッタでの風ちゃんよりもこちらがお気に入りです。
それにしてもマギーとイリス・・。必見です。恐ろしいのですが、とんでもなく美脚でいらっしゃるゴージャス美女のお二人です(^^)。
3.「天翔ける翼」
第17場でピアノの弾き語りでみっちゃんが「天翔ける翼」を歌われるのですが、この歌詞がみっちゃんの宝塚人生のことなのかな?という歌詞でして、本当に素晴らしい歌声だったのです。ピアノもせり下がりができる舞台機構なのですね。
プログラムには掲載されていないパートの歌詞に、私の記憶違いもあるかもしれませんが、次のような歌詞があります。
「いとしいあなたへ、舞台の花束を」
ここでほろほろと来るmiyakogu。周りはどなたも泣いておられません。オペラを上げるのに、皆さん、お忙しそうです。
そして、こう続きます。
「ときは過ぎゆく、いまは永遠じゃない
声の限り歌い続け、生命の限り光り輝こう」
(以上、作詞:野口幸作氏)
これ、号泣するやろ!!タカラジェンヌさんの歌以外の何者でもないやろ!!
私は時々、宝塚歌劇団の舞台というのはとても贅沢で、美しいが故に残酷なものだと思うことがあるのです。
美しく才能のある若い女性の「旬」。その旬にしかみられないきらめきを贅沢に観劇し、多くの方々が去り、また多くの新しい方々が入団される。一人の若く美しい女性の人生のある時間を共有させてもらい、応援し、成長を一緒に見守る。でもごく一部の方をのぞき、彼女達は去っていきます、いつか。
若く才能のある美しい女性の人生。キャリア・パスとして考えたとき、人生を下手に分断しかねないシステムなのです。プロフェショナルなキャリア形成を考えると、その道はどうなのか、と思うことがあります。
でも、タカラジェンヌさんは、その「旬」のきらめきを、「今の一生懸命」を必死で見せてくださる。それは本当に「舞台からの花束」なのではないかと思います。
野口先生、とても素晴らしい大劇場デビュー作品でした。おめでとうございます。
これからのご活躍におおいに期待できる、新たな才能のきらめきでした。この才能のきらめきをどうぞ劇場でご確認ください。皆さまにも強くお薦めさせていただきます。マギーとイリス、ジョンソン先生で十分、元は取れますね!(^^)
(4/26 本当言うと、上記の歌詞はサヨナラショウのためのようだ・・と観劇時に思いましたが、もちろん書きませんでした。涙が出るようなとても素敵な歌詞です。劇場にてどうぞお聞きください。)
また、退団記者会見については、以下の記事をよろしければご覧下さい。「天翔ける翼」についての続編のような感じになっています。