読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。

星組・桜華に舞え/ロマンス!! 感想1 交錯する切なさ 北翔海莉さんのまっすぐな桐野、見事だった美城さん・紅さん

皆さま、こんにちは。さて、本日宝塚大劇場11時公演を観劇して戻って参りました。初日開けて3日目、まだ4回目の公演ですが完成度の高いお芝居でした。

正直、鹿児島の言葉のためか、セリフがよくわからないところが一杯あるのです。にもかかわらず、号泣維新という題材や時代が共通している「るろ剣」「仁」と幼馴染の友情が切ない「星逢」が少しずつ混じったかのようでした。

ただ、これは決して悪く言っているのではなく、普段、お芝居ではあまり泣かない娘も泣き、周りも泣き、幕間に会った年下の友人も泣きでしたので、世代を問わず、日本人の情にびしばしと訴える、泣けるお芝居だと思います。そして、岡田先生のクラシカルな品のあるショウでした。

以下、どうしても一部ネタバレいたしますが、お芝居の感想をお届けします。ネタバレがお嫌な方はお読みにならないでくださいね。

 f:id:miyakogu:20160828180251j:plain

 レビュー「ロマンス」の感想、二度目の観劇感想、男性目線のお芝居感想はこちらです。よろしければ、どうぞ!

mothercoenote.hatenablog.com

 

1.明るく凛々しい北翔さん演じる桐野を巡り、交錯する切なさ

様々な登場人物にそれぞれの切なさがありそれぞれの物語が見事に伝わってきて泣かせる。そういうお芝居ではなかったかと思います。

貧しいけれど明るい薩摩藩士であり、刀の抜群の使い手として明治政府の中で活躍しやがて薩摩に戻る、まっすぐな心を持った義に篤い桐野利秋=中村半次郎は、北翔海莉さんの退団公演にぴったりのお役ではなかったかと思います。

まっすぐな心を持ち、優しく強く、殺陣は見事にかっこよく、歌えば朗々。西郷隆盛に心酔し、日本を守るために最後は薩摩の人々を守るために、戦い散る最後の武士素晴らしかったと思います。

みっちゃんの魅力はぱぁっーんと爽快に明るい中にある、このしぃんとした切なさではないかと感じました。明るさの中に潜む切なさ。彼女の声がそう感じさせる何かを持っているように思います。

そして、今作品においては鹿児島の人々が持つ明るさと義への礼節が、明るく同時に切なく、みっちゃんの魅力とリンクしているかのようでした。

みっちゃん演じる桐野を取り巻く様々な人物達の人生もまた、それぞれに切ないのです。薩摩藩の貧しい藩士から明治政府の中で活躍していく紅さん演じる隼太郎、戦いの中で出会った会津藩の武家の娘である風ちゃん演じる大谷吹優美城れんさんが見事に演じておられた西郷隆盛

ずっと会津藩の姫を守ってきた役割が、明治政府と会津藩の戦いの中で終わってしまう浪人の八木永輝を演じる礼真琴さん。彼に守られていたが歴史の中で堕ちていく姫の真彩希帆さん。八木は、姫をそのような境遇に貶めた明治政府(かなりが薩摩藩出身者)を決して許せず、会津を滅ぼした桐野を討つためだけに明治政府に参加し、薩摩までやってきます。八木の姫への慕情が切なく、礼さんからはその切なさが伝わってきました。

桐野と同郷の冷静な川路利良を演じる七海ひろきさん。若き頃も、出世してからもめちゃくちゃかっこよく美しく、怜悧でした。しかし彼も彼なりの故郷への切ない思いがあり、それを断ち切ろうとします。

桐野が意識するしないに関わらず、桐野を巡る人々の思いと切なさが交錯し、絡まり、最後は西郷隆盛と桐野の死によって、維新後の日本国内の戦争が終結する形で終わります。

それぞれの出会いが切なく、触れ合いが暖かく、近づいたと思えば歴史に翻弄されるかのように離れていく心、そうするしかなかった運命が切ないのです。薩摩の言葉によるセリフは正直、わからない箇所が多々ありました。でも、どういうわけか、不思議とストーリーはわかり、泣けるのです。ストーリーを助けてくれるナレーションも効果的でした。美しい声、夢妃杏瑠さんだったかと思います(間違っていたら教えてくださいね)。

 

2.見事だった美城れんさんの西郷隆盛

維新をめぐる物語を書物やドラマで見る限りにおいて、西郷隆盛という人はおおらかで会う人を自ずと魅了した人物という印象があります。

美城れんさんが演じる西郷先生が、「人を愛し、天を敬い」と桐野に諭す場面、観ている私まで感動です。美城さんはこの西郷先生を演じるために少し前からわざとふくよかに準備をされていたのではないかと勝手ながら推察いたしました。それくらいの気迫をもって演じておられると思います。

穏やかな口調、負け戦で逃げているにも関わらず何だかピクニックのように楽しそうなおおらかな明るさが漂う蜂起した反乱軍の集団は、西郷先生の人柄が反映しているかのように見えました。不思議と楽しそうなのです。

この場面ではお芝居の中の客席降りがありますので、どうぞお楽しみに。

歴史が流れ行く中で、人の気持ちを重んじ、自分の役割をよく見ていた魅力的人物を美城さんが見事に演じられています。フィナーレの拍手も一際大きかったと思います。

 

3.切なかった風ちゃんの大谷吹優

大谷吹優は会津藩と明治政府の戦いの中で、父を桐野によって失い、記憶を失っています。彼女は戦いの中で、実は桐野に助けられたのですが、そのことを覚えていません。

桐野は吹優が預けられている政府高官宅を定期的に訪問し、医学を学んでいる吹優に学問を教えてもらっています。公演パンフレットでも風ちゃんが語っておられますように、吹優は敬愛以上の何か、初めて感じる感情を抱いているのですが・・。

ああ~、もう、何とかして!と思う場面。近づいた心は、離れてしまうのです。ううう。泣く観客席です。

ただ、桐野さんはねぇ、実はねぇ、既に親兄弟が決めた相手と結婚しており、妻である綺咲愛里さん演じるヒサを鹿児島に置いています。これはちょっとねぇ、なんですが、しかし、刀と戦いの中にずっと身を置いてきた桐野の憧れの、癒しの存在である吹優。淡い恋のような、尊敬のような、憧れのような・・。静かな魂の交流、別れ、そして再会がありました。

 

4.号泣の友情 紅ゆずるさん演じる衣波隼太郎

隼太郎は貧しい薩摩藩の郷です。ただ、若き日の桐野の友人として登場する総髪姿(っていうんでしたっけ、ポニーテール)の紅さん。めちゃくちゃかっこいい。とても美しく気のいい武士です。

その彼が外国で学び、帰国して出世する中で、維新の不平分子からの人望を集めていく西郷隆盛の率いる反乱軍に反していかざるを得なくなります。

彼の故郷であるのに、彼の友人が家族が大勢、そこにいるのに。

明治政府で出世を果たした彼が久しぶりに帰郷したとき、故郷の人々はそれぞれに切ない思いを抱え、冷たくしか対応することはできないのです。ここ、隼太郎の切ない心情、姉である音波みのりさんが演じるタカの切なさがぶつかりあう場面、泣けました。うちの中学生娘も泣き始めた場面でした。

そして、最後。西郷先生が亡くなり、桐野は倒れ、戦いは終結します。倒れた桐野をさらに囲む政府軍を押しとどめ、隼太郎は桐野を抱きかかえて叫ぶのです。

 

彼が封じ込めていた故郷と友情への切ない思いが一気にあふれ出るかのような、紅さんによる隼太郎の渾身の演技。号泣する観客席です。次期トップさんとして素晴らしい渾身の演技でした。どうぞ劇場でご覧ください。

今、書いていても泣ける素晴らしい場面であり、ぜひご覧いただきたいと思います。物語を通じて鍵を握るキーアイテムもあります。どうぞ見つけてくださいね。

期待以上の切ないお芝居。齋藤先生は維新や侍魂に相当の思い入れをお持ちなのでしょうか。

 

ひとまずはお芝居の感想として、本日はいったんここまでお届けしますね。

ショウはクラシカルで端整な美しい作品であり、第二の「明日へのエナジー」と呼びたくなるような素晴らしい場面がありました。1階への客席降りも。ただ、中学生娘にはゆったりとしたクラシカルさが少し退屈だった様子・・。世代によって受け取り方は違う可能性があるようです。