代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。朝夏まなとさんご卒業によるロス真っ只中。しばらくはtwitterにて(@miyakogu5)

東宝版「エリザベート」を観て感じた、宝塚歌劇団の特異な魅力

昨日、東宝版「エリザベート」を観劇し、その見事なミュージカル、中でも全員が歌が抜群に上手い舞台を拝見して、感じたことがあります。

美しくどこか不気味な帝国崩壊の物語。崩れ行く帝国に登場した美しい皇妃シシィ。彼女が魂の自由を求め、その戦いに敗れ、最後には死こそが安寧の場なのだと悟りに至る。憧れた詩人・ハイネのように旅先で客死することを願ったという一人の女性の物語です。

素晴らしい舞台でした。装置も斬新であり、歌唱も素晴らしく、何よりも噂に聞いていたお花様の透明な美しさ。彼女の全身からあふれ出るかのような生命の躍動と自由への希求が、死を求めていくかのような諦念に変わっていく様。観劇していると、同じ女性である身として、この時代に日本で生きていてよかったと思う、そういう物語でした。

宝塚大劇場でほぼ毎回、泣いている涙もろい私。しかし、今作品は一度も泣きませんでした。私の場合、泣く=感情移入だとご理解ください。もちろん、泣くことを目的に観劇しているわけではありません。

ぐっときた場面はあります。感想に書いたとおり、「パパみたいになれなかった」とシシィが歌う場面。とても切ない諦念がそこにはありました。

 

観劇後に宝塚仲間と、そして帰宅後に娘と語り合ったのですが、あまりに皆さんが歌がお上手で、完璧にプロフェッショナルな舞台を外側から”鑑賞”している感覚が、決定的に宝塚歌劇団とは違うのだと思います。

以下、歌劇団には失礼な言い方になる面もあると思います。新米ファンが言うことだと、どうぞご容赦ください。

 

宝塚歌劇団がただ今、東京宝塚劇場で上演されている宙組「エリザベート」。私は現在、フランツを演じておられる真風涼帆さんが「ロミオとジュリエット」で「死」を演じられたのを観て雷に打たれ、歌劇団のファンになりました。彼女の出ておられるDVDをさかのぼって購入し、スカイステージに加入し、出演されていた過去作品をざざっと拝見して、彼女の確実な成長の軌跡を短期間で確認し、舞台で拝見してきました

その結果を踏まえて観劇した「エリザベート」のフランツ。マイ初日ははらはら、どきどき。手に汗です。しかし、真風さんは長身の見事なスタイルで数々の軍服を着こなし、難しい歌を歌いこなし、観劇のたびに自信に満ち、最終答弁ではトート閣下と真っ向から勝負!

宝塚歌劇を観る喜びとしてよく言われることですが、その成長の軌跡を見る喜びが確かにありました。熊本から宝塚音楽学校に合格され、スターの道を自分と戦いながら歩んでおられる彼女の物語を見届けたいという不思議な思い。

月組・新トップスターの珠城りょうさんの記事でも書きましたが、誠に勝手ながら「この人を私が見守らずして、誰が守るのか?」という不思議な心の動きがジェンヌさんに対してはあるのです。

※ただ、東宝版「エリザベート」でルドルフを演じておられる古川雄大さんには、不思議と「宝塚臭」とでも言うべき雰囲気がありました。歌はもちろんお上手なのですが、おそらくやや華奢そうな美しい外見と雰囲気からきているのだろうと思います。

 

娘と語り合ったのですが、観客も確実に参加しているのですね、宝塚歌劇団の舞台には。ファンの観客席からの祈り、思い、手に握る汗。目の前で若く美しい女性たちが、必死に汗を飛ばしながら演じているこの作品を、最後に完成させるものが、この観客席からの祈りにも似た思いなのではないかと、私は思います。うっとり拝見しているのも事実なのですが、大変失礼ながら、観客席も力を合わせないと作品がより良いものにならないような気がする、この奇妙な当事者意識

好きなジェンヌさんが急にお痩せになると、ちゃんと食べておられるのだろうか?と心配し、全国ツアーの公演先で雪が降れば風邪をひかないかと心配し、少しでも興味を示す人がいればチケットを用意して劇場に嬉々として案内してしまう。

そういった訳のわからない行動をもたらしているのは、ジェンヌさん達が舞台で見せておられる一生懸命さに他ならないと私は思います。あたかも甲子園の高校野球のような。これほど、隅から隅まで一生懸命な集団は、そうそうないと思うのです。

 

というわけで、とても満足した、歌唱もダンスもレベルの高い演劇性に非常に優れた東宝「エリザベート」でした。これからも時にこういった作品を観てみたいと存じます。そして、宝塚歌劇団に帰って固唾を呑んで、手に汗を握ると。両方にそれぞれの魅力があると実感いたしました。

もともとは、「日本人キャストが演じる海外ミュージカルなんて、はぁん?」とイキがってた当時30歳前後のmiyakogu。ごくごく短い期間の勤務だったくせに海外からの帰国直後の自分はばかだったんだなぁと、若い頃の自分を今では微笑ましく思います。

もっと早くから宝塚を観とけば良かったわ! おばちゃん、後悔するわ! けどな、老後の趣味ができてよかったわ!(^^)