皆さま、こんにちは。ようやく観劇できました月組「アーサー王物語」、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ開幕2回目、10月29日12時公演の感想をお届けします。
1.良きお芝居でした
総論から申し上げると、外箱としてとてもいいお芝居だったと思います。見所が一杯あり、ケルト風の音楽が素晴らしく、あっと言う間に終わりました。月組さんの皆様が、それぞれにキャラクターを追求しようとされているお芝居とパントマイムに感動いたしました。
・アーサー王を演じる珠城りょうさんのど真ん中ストレート感
・モーガンを演じた美弥るりかさんの妖艶な魔女
・水色と金色の妖精?と思わせるグィネヴィアを演じた愛希れいかさんのビジュアル
・魔法使いマーリンを演じた千海華蘭さんの重厚さに少し軽みを加えた演技
・魔女の手下を演じた早乙女わかばさんと海乃美月さんの、のりのりのダンス
・ランスロットを演じた朝美絢さんの超絶美形ビジュアル
・アーサー王の兄・ケイを演じた佳城葵さんのものすごいパントマイムと見事な道化の演技
・メリアグランスを演じた輝月ゆうまさんの歌のすごさと舞台化粧の迫力
・並み居る騎士のイケメンに次ぐイケメン
見所が次から次へと押し寄せてきて、とても楽しめます。そして、最後に珠城りょうさんの抱擁に涙、涙、涙・・。
ところどころ、「うーーん、石田先生か・・」という場面、人物造型がありました。
が、フィナーレで珠城りょうさんが黒いハットで踊られる場面、ハットの縁を指でなぞられるたびに、ぎゅぅいーーーん!と何かに心臓をつかまれるようで、少々の不満点はすべてふっとびました。満足です。はい。
佳城葵さんのパントマイムは、本当にすごい!!これは必見です。見る価値が絶対にあります。もしも、何らかの手段でまだチケットが確保できそうな日があれば、ぜひご観劇ください。すごいから。
2.珠城りょうさんの若く孤独なアーサー王の成長
珠城りょうさんのアーサー王がエクスカリバーを捧げてせり上がり、アーサー王賛歌を周囲で歌う冒頭の場面。真ん中に立つ珠城りょうさんを拝見して、既に涙のmiyakoguです。
若き王の清らかな光。まだ彼にはこの後の裏切りを知る運命は訪れていず、純粋な光を放つ若き王。若くしてトップスターになられた珠城りょうさんの運命と重なるようで思わず涙です。真ん中で甲冑着て、剣を捧げ持って立っているだけで、あんなに様になる女性って。ジェンヌさんって本当にすごいですね。
1幕、アーサー王は疑うことも知らず、苦悩もなく、エクスカリバーの重みをわずらわしくさえ思い、そして孤独。
彼は王になりたくてなった訳ではありません。「選ばれてしまった」ことの重みと運命を受入れつつ、決して幸せではなく、孤独を抱えています。
アーサー王はぎらぎらとした欲望と計略によってなった王ではないのです。その点はこの物語における受身がちなアーサー王を考える時、とても重要ではないかと思います。彼自らが運命を動かしているのではなく、彼は運命を受入れ、許すことで物語に存在しているのです。
運命を受け入れるがままに生きてきた孤独なアーサー王にとって、グネヴィアとの出会いは清らかにさしこんだ美しく暖かな光、自らの意思で選び取れる唯一の宝物だったのではないかと思うのですね。
珠城りょうさんが歌う「私は誰?」の歌詞には次の一節があります。
雨に濡れ、震えている仔犬のように
心が 「凍てついている」
(出典:宝塚歌劇団「アーサー王伝説」公演パンフレット 著者名の表記がなかったため著作者名は未掲載です)
きゅぅーーん・・・。観客席のおばちゃんな、慌てふためいたで。この時、私が真面目に思ったこと、何だと思います? おばちゃんな、
「珠ちゃん、だ、大丈夫?たこ焼きパーティでも、しよか?」
「みんなで、あんた、守るから大丈夫やで!」
なぜ、たこ焼きパーティと思ったのか?それは私にもさっぱりわかりません・・。
多分、雨に濡れた仔犬(注 大型犬)を何とかせな、あかん!と、心が慌てふためいた挙句、珠城アーサー王を励ますべく出た一つの解決策だったんだと思います。
賑やかそうやん? ←ばか。
話を戻しまして・・。
もうね、かわいそうやねん!珠ちゃんは!!(注 だんだん白熱するmiyakogu)
せっかく見つけた心の安らぎ、もう孤独だと思わなくていいんだと恋に浮かれる珠ちゃんアーサー。
寝顔にキスされて、なーーにーーがーー「許しましょう」なんですか?!ばんばんばん!(キーボードを叩きまくるmiyakogu) もうねぇ、浮かれちゃって、珠ちゃんったら!です。かわいいわねぇ。
ただ、それは試練も何も知らない若きひととき、のどかな無邪気さです。異父姉であるモーガンの計略により、じりじりと崩れていくキャメロットの宮廷。グィネヴィアの心はランスロットに奪われてしまいます。
しかし、それは、モーガンの正体を知った上で彼女を「姉上」として、キャメロットにとどめおいた彼の寛容な心が招いた宿命であり、ランスロットをグィネヴィアを、信じ疑いたくなかった彼の心が招いたものです。(最初はマーリンがモーガンにはキャメロットに住む権利があると言ったからなんですが)
もしも、アーサー王が百戦錬磨の冷酷な策略家であれば、隣国カリメルドに攻め込んだメリアグランスの一味(輝月ゆうまさんはそのリーダー)を根絶やしにし、疑いが生じた時点でランスロットを遠方に出し、グィネヴィビアを幽閉するでしょう。お付の侍女も疑うでしょう。後ね、情報は裏を取ってね、みんな! ←ごめん、おばちゃんな、心が薄汚れた社会人やねん。
しかし、彼は清らかな心故に王になったのです。そういう王であるが故に遭遇し、乗り越えなければならない試練。
その試練を、傷つきながら、悲しみにさいなまれながらも、珠城アーサー王は越えていきます。寛容を貫くことによって。アーサー王が出した結論は、モーガン、ランスロット、騎士団の想像を超えた寛容さだったと思います。
最後、不義密通の罪に問われたランスロットとグィネヴィアを許し、珠城アーサー王は、おそらく罪の意識ゆえに狂ったグィネヴィアを抱き締めます。
その場面の、珠城りょうさんの温かな抱擁の持つ癒しの力。私は心底、心を打たれました。珠ちゃんはさぁ、仏様が地上に遣わされた 菩薩なの?!
↑ わかったから、落ち着いて、miyakoguさん。
グィネヴィアだけでなく、キャメロットの国を、劇場中をも抱きしめるかのような、珠城りょうさんの大きな胸の暖かな包容力。
ああ、新しい月組の若きトップスターなんだという説得力がありました。素晴らしかったです。
時々、珠城りょうさんは歌唱において声が割れるかのような時がありますが、今日の公演では、すっと良く通る安定した歌声でした。
(その2に続きます。アーサー王だけでやたらと長いやん?どうすんの、これ?)
(感想はその2、3、4までございます)
また、2回目観劇後の、「心の声」だだ漏れ感想はこちらをどうぞ!「心の声」シリーズ化をもくろんでおります。←ばか