珠ちゃんの背中、美弥るりかさんのオットーに続き、愛希れいかさんのグルーシンスカヤについて書かないと終われません。
4.見事な迫力、愛希れいかさんのグルーシンスカヤ
宝石を盗みに部屋に侵入していた男爵が自分の年齢を「29歳と29ヶ月」と答えたのに対して、グルーシンスカヤは「39歳と39ヶ月」と答えます。
ほぉ・・。
まだお若いですわ、エリザヴェッタ!あかんで、そんなこと気にしたら?!おばちゃんらな、もっといってるで(おなかをぽーんと叩きながら) ←あ、違いましたね。すいません。
グルーシンスカヤは生きる喜び、愛の喜びがないと踊れないのです。生きる喜びを見失っていたグルーシンスカヤは踊れなくなっています。
しかし、突然の「Love Can’t Happen」です。ありえない速さで恋が生まれた男爵とグルーシンスカヤ・・。ご本人達も戸惑っています。
男爵が部屋を去った後、グルーシンスカヤが一人で歌う「ボンジュール、アムール」の場面の愛希れいかさんの演技、ダンス、歌が本当に素敵でした。素晴らしいミュージカル女優です。踊れる、歌もスムーズ、そして美しいプロポーション。
宝塚歌劇団の娘役さんとしては貫禄があり、新鮮味が薄れているというご意見があるのも、いろいろ見聞きします。でも、私は珠城りょうさんのようなお若い男役さんがトップになられた組だからこそ、こういう娘役トップさんがおられるのは素敵なことだと思います。
過去にも例があるようですが、女性がこれだけ活躍している社会において、1組くらいどんどん前に出るトップ娘役さんがおられる組があっていいのではないかしら?と私は思うのですね。もちろん、異なるご意見の方も当然多いだろうと思いますが。
何と言っても、ちゃぴちゃん、かっこいいやん!!男前やで。
ショウ「カルーセル輪舞曲」のNYの場面なんて、娘役さん達引き連れて、かっこよかったわぁ。
お芝居の中では、世間知らずの純粋なバレリーナです。今でこそ、残念なことに落ちぶれていますが、彼女は才能ゆえにこれまで守られてきた。スポンサーもあり、宝石も贈られて。
でも人生の喜びを失った彼女は、踊れない。そのグルーシンスカヤを支えているのが付き人のラファエラです。
暁千星さんがぐんぐん伸びておられる歌唱で聴かせてくれます。驚きました。彼女は歌とともに、かつぜつも改善され、今、伸び盛りの自信をお持ちになっているのではないかと思います。遠慮がないのですね、歌に。
ラファエラは切ない愛をグルーシンスカヤに捧げている。いつか誰も彼女を支える人がいなくなったら、自分と丘の上で住むのだと歌うラファエラ。その夢は実現が難しそうです・・。
今も目の前で、男爵とグルーシンスカヤが恋に落ち、その喜びによって再び踊ると言っているのを受け止めなくてはならないのですから。少女のような恋の喜びを表現するちゃぴさんの愛らしさ。「誰か強くて賢い人が彼女には必要」と歌うラファエラの同性への恋はこれも切ないものでした。私はこの楽曲「What She Needs」がとても好きで、つい口ずさんでしまいます。
ちゃぴさんの圧巻の場面は、最後に黒の衣装で男爵と踊るグルーシンスカヤでした。
男爵は撃たれて亡くなっていますので、回想というか、空想のシーンです。すごかったわ!!
ちゃぴさんは胸をはったまま、あれ、どうやって回っておられるのかな。一度見ただけでは構造がわかりませんでした。ただ、圧倒されました。迫力のリフトです。
珠城りょうさんが素晴らしい体格をお持ちな上に、ちゃぴさんのダンスのお力が加わって、なんという美しいリフトでしょうか。
二人の愛と切なさと追憶が、ダンスのみからでも、力を持って伝わってくる。不思議な美しさに満ちたシーンでした。
ひとまず、今日はここまで!ブロードウェイ版はCDのみ、宝塚版も初演を拝見していないため、いろいろ見当違いのこともあるかと思います。新米ファンのことと、どうぞご容赦くださいませ。また教えてやってくださいね。
いや~、お正月からいいもん、見ましたわ!
最新感想はこちらをどうぞ(1/21観劇)。どんどん仕上がっていく月組さん、素晴らしかったです。