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代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。

月組・グランドホテル 役替わりCパターン感想 たまちゃぴと月組さんの圧倒的なミュージカル 奔流する感情!

宝塚月組 珠城りょうさん

皆さま、こんばんは。お元気ですか?

さて、昨日は11時公演にて、Cパターンを観劇してきました。その感想をお届けします。

いやはや・・。トップになる人というのは、やはり違いますね。中盤から終盤へと向かいつつあるこの時期、仕上げてくるというか、そのように自分を持っていく力がおありになるのだろうと思います。素晴らしかった、たまちゃぴを筆頭に月組の皆さんが。

実は宝塚仲間さんに取っていただいたチケットは、大劇場のB席最後列センター付近。天井桟敷ってこんな感じかしら?と拝見しました。

時々、良席で観劇すると「席が良いから、感想も良くなるのかなぁ」という自分自身への懸念も若干持っていましたが、昨日は正真正銘。一番後ろの席にまで届いた珠城りょうさんの演技の表情、愛希れいかさんの迫力の歌、月組さんの見事な舞台でした。

 

1.珠城りょうさんの細かな演技の表情に注目

初日は男爵である自分を試すかのようだった演技だったと私は思います。昨日は男爵としての矜持、快楽とスリルをゲームのように楽しむ不遜さ、美しい女性にすぐ声をかける自信、恋をしたきらめきと浮つきと切なさ、お金がないみじめさ。すべての感情が目線の動き・表情・佇まいから奔流のように流れ、時ににじみ出るかのようでした。

珠ちゃんはねぇ。セリフの声がいいわ!

自然な感じで発声される理知的で明晰な男役さんとしてのセリフ。本日夜はお茶会ですが、素はほわっととした、少しいたずらっ子ぽい可愛らしい声になるのに、舞台の上ではお見事。

この人は役者さんだ!と昨日、改めて思いました。「激情」でおばちゃん、まんまとはまったのもしょうがないですわ。おばちゃんやってな、背中だけ観てるんとちゃうで!(^^)

 

昨日は、お財布をオットーに返す場面の表情の変化に注目いたしました。

・財布を拾ってオットーに渡そうとするが、これがあればと懐にしまう

・オットーが財布がないことに気づいて、取り繕うとする

・いや、やっぱりいけないことだと、口実を無理やりつけて、オットーに白々しく返す

・オットーも気づいている気まずい空気の中で、取り乱すようにシガレットケースを取り出す

・分け前をどうぞと言われ、いやそんなことと言いつつ、振り返ると意外な大金で息を呑む

・これで、ウィーンに行けるという全身から発せられる喜び

・運転手に取り上げられてしまう絶望

・運転手が向き直り、「チップを差し上げましょう」と言われた瞬間のぬか喜び

・ピストルを渡され、これしかないんだという覚悟が出たかのように走り去っていく姿

男爵は、プライジングともみあって撃たれる、運命の1点に追い込まれていくのです。冒頭での「時間がもうない」というセリフは、その運命を示唆しているかのよう。

様々な感情が奔流する時間の流れの中で、男爵がその1点にどんどん近づいていっているという切迫感を感じました。

そして、珠城りょうさんから流れ出る感情の奔流は、大劇場の最後列にまで流れ込み、確かに届きました。見事だったと思います。

 

2.愛希れいかさんの年齢を経た女性が歌う”女の子”

上手いなぁーー。グルーシンスカヤが歌う「ボンジュール アムール」は、中年に差しかかった女性でありながら、少女のような恋のときめきを弾けるように歌われます。

「ウキウキ 女の子に戻り
 Bonjour!
 クルクル 風に乗って踊り
 Bonjour! 」

出典:「Bonjour, Amour」訳詞:生田大和氏 

 

「女の子」なのです。心は。しかし、声は違うのです。やはりある程度以上の年齢の厚みを感じさせる声。「Puck」の時の少女の声ではないのですね。ぶりっ子ではなく、中年に差しかかった女性が少女の心を歌う、そういう歌唱なのです。素晴らしい!

ちゃぴちゃんは、なんで、おばちゃんのこと、わかるん?!

加えて、にこりともせず「死」のダンサーの役割に徹するかのような最後の「死のボレロ」。彼女が珠城りょうさんが横たわる長いすの向こうから身を起こすとき、最初に見えるのは黒のレースで覆われた背中です。

その背中から漂う「死」のダンサーの威厳。姿形はグルーシンスカヤですが、男爵に「生」の残り火を一瞬灯し、その火をきっぱりと消す「死」。表情を全く変えずに、運命を男爵に伝えにきた厳粛さをまとった「死」。

初日は、ダイナミックなリフトに気をとられていましたが、素晴らしいダンスでした。いや、リフトはほんとすごいんだけどね!

 

3.役替わりの方々の熱演

暁千星さんのラファエラは、エリザベッタを人生の荒波から守ってきたのは私だという矜持を感じさせました。もっと強く賢くなりたいのだろうな、という切なさがAパターンの時よりも、出ておられたと思います。彼女の背の高さが、ラファエラにマッチしていて、本当はもっと男性のように強くエリザベッタを守りたい、けれど届かない。その切なさを感じました。

朝美絢さんのエリックは、暁千星さんと比べると、初々しいパパの”柔らかさ”が出ていたと思います。優しいパパになるんだろうなという柔らかな表情。うっとりとヤング・ジュニアの輝く未来を夢見るかのような歌唱でした。

ただ、私は喜びを爆発させ、劇場一杯を「生」の喜びで塗り替えるような暁さんのエリックが好きで、丘の上のヴィラでいつかエリザベッタと二人で住むのだと憧れを持って夢見るかのように歌う朝美さんのラファエラが好きです。Dパターンに期待!

海乃美月さんのフラムシェンは、新人公演を経て、考えが浅いけれど強いという可愛いらしさがより前面に出てきていました。ただ、可愛いだけではなく、登場人物の中で、翌年に起こる大恐慌を一番強く生き抜くのは、おそらくフラムシェンではないか?と思わせる”生きる強さ”がありました。よく通る声とセリフもお強みです。

フラムシェンは”可愛い”だけではなく、ある意味力強さを感じさせる”可愛い炎”。

炎のような強さがより出ているのが海乃さん、キュートさがより出ているのが早乙女さんかな?と受け止めています。こちらもDパターンに期待!来週、観ます。

 

4.熱演の月組さんの掛け算の力

月組さん、素晴らしいわ! ショウはね、宙組さん。これは譲らん!

月組さんには何というかなぁ、組全体でお芝居を仕上げてくる、レベルを上げてくる強さを感じます。

いい意味で個々の方の主張はそれほど強くなくトップスターが際立ちつつ、 2番手の美弥るりかさんが絶妙な演技をされている上に、皆さまがそれぞれの役割に徹して全体を支え、主役との掛け算で一層盛り上げていくような力を感じました。

 

光月るうさん、綾月せりさんの掛け合い。マネージャーと興行主のお二人、いかにもありそう、いるわぁ、こういう人!と思わせます。

マダム・ピーピーの夏月都さん。モップ拭きながら舞台を横切ってエリックに肩ぽんするだけで、ほろっとさせるのですね。存在感があります。

運転手の宇月颯さん。登場シーンからして、グランド・ホテルに異質な存在なんだと思わせる歩き方。ついでに言うと、男爵の部屋でくつろぐ宇月さん、無駄にお色気満載。ファンサービスかしら?(^^)

 電話交換手のお姉さまたち。組んだ脚が美脚!横に縦に正確に歩きながら、舞台を進めていく方々です。最後に、男爵が亡くなった現場で駆けつけて泣いてくれて、ありがとうな!!おばちゃんも混ざりたかったわ。男爵、全員に声かけてた疑惑も濃厚です(^^)。

ベルボーイの皆さま。ハンスの貴千碧さんにエリザベッタが言う「ありがとうね、ハンス」が退団される方に光があたっていて良かった。貴千さんは、いつも珠ちゃんのことを可愛がってくださっているそうで、本当に、ずずず、ありがとうございます・・(涙)。

粋な身振りの綺麗な人がいる!と思うと蓮つかささん。にこにこと可愛い子がいる!と思うと佳城葵さん。ショウも含めて濃い人がいる!と思うと輝生かなでさんでした。

 

仕上がっています、月組ミュージカル。

ぜひご観劇ください。ただ、初見ではお話がわかりにくい方が多いご様子なのも事実です。昨日も、娘さんがお母さんに「なぜ誰が男爵を撃ったのか」「なぜフラムシェンはオットーとパリに行くことになったのか」と尋ねておられた場面に遭遇しました。

そりゃそうだ・・。おばちゃんになるとなぁ、わかるんだけどなぁ。特に後者・・。

 

本日は珠城りょうさんのお茶会です。舞台で見せてくださっている姿とはまた違う珠ちゃんの可愛らしい面をまた見られるかな?。ふふふ。