代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

月組・グランドホテル 役替わり4パターンの比較感想 毎回注目すべき人が異なる充実の月組さん

皆さま、こんにちは。若干、風邪気味のmiyakoguです。悪化させないように最大限の用心中!だって、来週末は宙組さんですから。

さて、昨日が月組「グランド・ホテル」my楽でした。AからDのパターンを全て観たので、比較検討の感想をお届けしたいと思います!既に書いている内容もあるので、だぶりますが、まとめますね。

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1.キュートさ、生きる強さのフラムシェン

早乙女わかばさんと海乃美月さんのフラムシェンは、それぞれに持ち味も出し方も異なり、いずれも良かったと思います。

私が好きなのは早乙女わかばさんのオットーに優しいフラムシェン。お金があって、一緒に子どもを心待ちにしてくれるオットーこそというのもありますが、早乙女わかばさんのフラムシェンは、オットーを人間的な愛情によって看取ってくれそうな柔らかさがあるように思いました。ハリウッドに一方的な憧れを持っている夢見がちな女の子。いわば、等身大の女子の感じがするのですね。

海乃美月さんのフラムシェンは、自立していて生きる強さがある女子。カメラテストも実は受けたことが既にあって、ハリウッドがどこかはわかっていないけれど、女優のチャンスを真剣に探している女の子。オットーをちゃんと看取ってくれて、自分が出かけている間は看護人をつけて、仕事に行きそうです。

身振りのキュートさは早乙女さん、歌やダンスの技術面は海乃さんだったかな?いずれも持ち味を活かした素敵なフラムシェンでした。

 

2.朝美さんのラファエラに感じた哀愁

昨日、Dパターンで拝見して一番、「うわっ」と思ったのが朝美絢さんのラファエラです。歌がぐんぐん伸びておられるのに加えて、朝美ラファエラは”哀愁”が出るところまでいっていたと思います。エリックも素敵でしたが、ラファエラの”哀愁”、儚い夢を感じさせた朝美さんの演技は秀逸でした。

丘の上のヴィラで二人で住むという歌う前に、エリザベッタに誰も頼れる人がいなくなった時というセリフがあります。その時の朝美さんは少し悪いお顔。エリザベッタが一人になれば、自分のものにできるという独占欲が見えるかのよう。

でも、歌い始めるとうっとりと夢見るような儚さと哀愁。たとえ一緒に住むことができたとして、もしかすると、朝美さんのラファエラはエリザベッタが息を引き取る瞬間、あるいは亡くなった後にしか、その愛を口にすることはないだろうと思えました。

つーかさぁ、美人すぎやろ!付き人の割には!そのうち、映画女優のスカウトが来るんじゃないの??

 

3.暁千星さんのエリックが歌う生の喜び

暁千星さんは「私がエリザベッタを守る」という力が入ったラファエラも素敵でしたが、私が好きなのはエリックでした。

特にBパターンで拝見した時に感じた、男爵の死の直後、劇場を「生」の喜びで塗り替えるかのような力強い歌唱。息子の誕生を喜び、これからの人生を祝福するような暁さんの歌の強さを感じました。甥っ子でもいらっしゃるのだろか?と思ったものです。

人生に少し疲れた”哀愁”を出していただきたいラファエラよりも、まだお若い暁さんには伸びやかで初々しいエリックの方がお似合いだったかなぁ。でも、ラファエラもがんばっておられましたよ。エリザベッタを一生懸命守ろうと頑張って力が入ってるラファエラが、この役を何とかものにしたいと頑張っている暁さんと重なるようでした。

 

4.結局は・・

これは私が観た日のできにもよると思うのですが、意外なことに、私が好きなパターンはこちら。

・幕が開けてすぐAパターンで観た早乙女フラムシェン

・役替わり後、最初のBパターンで観た若きパパの暁エリック

・新人公演後に拝見したCパターンでの海乃フラムシェン

・終盤、Dパターンで観た朝美ラファエラ

 

組み合わせの妙でいけば、Dパターンのはずなのですが、どういうわけか、昨日のフラムシェン、エリックは、それぞれ序盤で観た方がよかったのです。

組み合わせの妙というより、パターンごとにそれぞれ異なる方に注目した役替わりでした。

そして、すべての役替わりの中で一番良かったと私が思ったのは、Dパターンの朝美絢さんのラファエラの夢見るような哀愁。

ブロードウェイ版のCDから感じたものとは違う儚い夢のような哀愁。お若いジェンヌさんが、短期間でここまで持ってこられたのは素晴らしかったと思います。

 

昨日、初見の旦那はんが絶賛したのは、まず何よりも人生を感じさせる作品の力でした。そしてこの作品を1ヶ月ほどのお稽古でここまで持ってこられるジェンヌさんのお力にも。名前を聞いてきた(=感心した)のは、オットーとグルーシンスカヤです。珠ちゃんはこれからの可能性を感じる”真ん中の人”とのこと。

その中で、一番ぐっと来て「俺でも泣きそうになったわ」というのが、実は朝美さんの演技です。

「あの方はきっと駅で待ってらっしゃいますよ」とエリザベッタに言い、エリザベッタが「そうだったわ」と立ち上がるシーン。

子どものように純粋に喜ぶエリザベッタを見守る朝美ラファエラの表情に泣きそうになったと。中年男性にもぐっと来た朝美さんの演技でした。

 

不遜さ、キザ、優しさ、育ちのよさ、純粋さ、愛。それらをひっくるめて見せてくださった珠城りょうさんの男爵の多様な表情。

少女のような純粋な恋を中年に差しかかった女性の切なさの中で見事に歌い踊ってみせた愛希れいかさんの迫力あるグルーシンスカヤ。

儚さと茶目っ気、人生の辛苦と希望、グランドホテルへの憧れや夢。「人生」を感じさせる歌唱を聞かせてくださった美弥るりかさんのオットー。

役替わりの方々のそれぞれに異なる魅力、専科のお二人の演技、月組さんの揃ったダンスにコーラスの団体力。

大劇場は明日、千秋楽です。皆さま、東京でのご観劇をどうぞお楽しみください。

男爵珠ちゃんはね、とにかくお色気たっぷり。どうしたん、珠ちゃん?!という感じでのけぞりますから。お楽しみに!