代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

宙組・宝塚巴里祭2017 感想2 涙編・真風さんの熊本への思い、歌唱に泣く(涙)

では、「宝塚巴里祭2017」におけるアンコールの真風さんへの感想・涙編をお送りします。

以下、盛大にネタバレしていますので、これからの方はお読みにならないでくださいね。一番の感動ところなので・・。

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1.アンコールの楽曲

アンコールで登場された真風さん。

ひょうひょうとユーモラスに、皆さんから「もしも」アンコールをもらった時のためにと話し始められたのですが・・。

ふと、真顔になられたのです。そして、話されました。熊本の震災のお話を・・。ご自身の自宅も被災されたこと、その時に、ファンからのお手紙や激励の言葉がいろいろな力を自分に与えてくれたということを。

 

彼女がアンコールに選ばれたのは、山下達郎さんの「希望という名の光」でした。

東日本大震災の後、この歌が震災復興の支えになっていったという話された真風さん。自身が「励まされた」とははっきりはおっしゃらなかったのですが、おそらく熊本震災後に彼女の、そして熊本の人々とも、共にあった歌だろうと思います。

 

実は私が唯一、ずっとCDを買い続けてきた方が山下達郎さんです。青春時代からずっと繰り返し聞いてきた楽曲の数々。その山下達郎さんの歌をジェンヌさんが歌う?

さりげなく、しかし深く、その言葉の意味を歌われることが求められる達郎さんの歌を?音楽で思索しているかのような達郎さんの歌は、そんな簡単に歌えるものではないと、私は思うのです。

それを、私が宝塚歌劇団にはまるきっかけとなった真風さんが今から歌われる?

正直、戸惑いました。よほど歌が上手く、かつ言葉の意味をこちらに伝えてくる技量のある方でないと、達郎さんの歌は歌ってほしくないからです。

 

しかし・・。

驚きました。真風さんはきちんと歌われた上に、「真風さん自身の歌」としてものにされたのです。歌詞の一つ一つの意味を、心から歌に込めて。

それは聴く側の魂を揺さぶる歌でした。正直、予想外のことで本当に驚きました。そして支えるコーラスも素晴らしかった!

真風さんが歌われた中で、なぜか一番すっと入ってきたのが次のフレーズです。

「眠れない夜のために

 子守唄があるように」

(出典:山下達郎作詞「希望という名の光」より)

真風さんにも眠れない夜があったのだ・・、そう、私には伝わりました。ストレートに。まっすぐに、魂の一番奥に直接働きかけるように。

 

2.真風さんの”生の心”

星組公演「ロミオとジュリエット」の「死」のダンスにより、私に宝塚歌劇団という新しい扉を開いてくれた真風涼帆さん。

このようなことを申し上げて大変恐縮ですが、彼女の圧倒的なビジュアル力に射抜かれつつ、タカラジェンヌとして抜群でも、舞台人としてはさてどうだろうか?という小さな疑問を持っていたのは事実です。

それが今回の宝塚巴里祭2017で、「ああ、この人は一つ、越えられたのだ」と確信いたしました。おばちゃんかてな、白軍服にきゃーーー!ってなってるだけちゃうで!

「歌劇」誌上の星組「ロミオとジュリエット」の座談会の記事を読んだときのことを覚えています。役替わりのティボルトの真風さんについて、紅さんは確か、「(真風さんのティボルトは)ヴェールをかぶっているようで」と話しておられたと思います。紅さんは、さすが鋭いなと思ったのをよく覚えています。

ビジュアルの作りこみは抜群に上手く、髪型はいつも素敵で、役もよくとらえられていてお芝居心も感じる真風さん。特にコメディの間はさりげなく上手い。

ただ、彼女は”生の心”を、”生の感情”を舞台でさらけ出すことは、そこまでされていなかったように思います。そこが、演劇の中で計算して感情をコントロールしながらも、瞬間最大風速的にふっきって見せることができる早霧せいなさんや朝夏まなとさんとの大きな違いではないかと拝見していました。

ものすごいビジュアル力によって、宝塚のトップとして順当な道は行かれるだろう、しかし、こちらの魂をゆさぶるような演技をされるだろうか?と思っていたのです。(ただし、演技ではなくショースターとして十分に見せ場をつくるタイプのトップさんも当然おられると思います)

しかしながら、真風さんは熊本の震災という偶然の運命により、自身の中で揺れ動く感情に向きあい(向き合わざるを得なかったともいえます)、この楽曲にあるような眠れない夜を越え、再び、光を見つけ出すことによって、一つ何かを越えられたのではないかと、僭越ながら思います。その変化は先の全国ツアーで感じ始められるものでした。

舞台設定が日本であるなしに関わらず、これからの真風さんは自分の物語として「真風さんにしか出せない哀愁」の演技を、おそらくできるはずだと本日の歌唱を聞いて私は期待します。

 

3.言葉の力

スタジオジブリの映画に多くの楽曲を作詞家として提供されている詩人・覚和歌子さんのことをご存知の方は多いと思います。私は「いのちの名前」という歌の歌詞が特に好きです。

インタビュー記事「魂をふるわす言葉を紡ぐ」において、覚さんは以下のように語っておられます。

「例えば、「かなしみ」という語を発するとき、どれだけそれを人の深い部分に届かせる経験を持っているのか。その言葉に対する感受性をどれだけ持っているのか。その言葉の含みをどれくらい想像できるか。それらは言葉を発したとき、聴き手に全部わかってしまうものです。」

(出典:覚和歌子「#098 魂をふるわす言葉を紡ぐ」MAMMO TV 5934号より引用)

 

これは詩の朗読について語られた文脈ですが、舞台も全く同じだと私は思います。

私はこの記事を引用して珠城りょうさんの声の魅力について書くつもりでした。珠ちゃんは、感受性豊かな子ども時代を生きられたのか、なぜか声を”直感的に使える”方だと拝見しています。(珠ちゃんファンの皆さま、また書くからごめんやで)

ただ、本日の真風さんの「希望という名の光」を聴いて、私はこのインタビュー内容をこの記事の中で引用したくなりました。予想外の喜びと驚きを持って・・。

これからの真風さんの「哀愁」に、どうぞ皆さま、ご期待ください。

 

ふぅ。書けたわ!これで寝られるわ。白軍服の真風さんの夢をみてくるわね!というか、絶対に見るで!!

というかさぁ・・。これだけ熱く語っておいて、なんやねんけどな・・。28,500円と2時間半を費やしてmiyakoguが発見した最大の事実を、ここでばらします。

「真風さんの髪の流れに恋している」

大阪のおばちゃん@アラフィフからの宝塚巴里祭レポ、現場からは以上です。

 

感想1 心の声編はこちらです。よろしければどうぞ!

mothercoenote.hatenablog.com