皆さま、こんばんは。お元気でしたか?東日本大震災7年目の本日、千秋楽を明日に控えた宝塚大劇場です。今日は暖かな一日となりました。
さて、本日は私は中学生娘と一緒に日曜午前公演を観劇してまいりました。そのmy楽感想をお届けします。
1.月組ショーの圧倒的熱量
楽しかった!かっこ良かった!勢いがあった! 特にショー!
私は初日開けてすぐ2回目の公演を拝見しています。その時点では演じる側の戸惑いや、このショーは受け入れられるだろうか?という手探り感を感じました。一言でいえば、演者側からの確信が伝わってきたわけではなかったということです。
しかし、おそらくは後半になるにつれ、平日を含めて埋まっていったと推察される客席の反応から、月組の皆さまは「確信」を得られたのだと想像します。今、自分達は新しいショーを成功させつつあるのだという自信を本日、舞台から感じました。
お芝居でもショーでも一番変わられたのは、もしかすると主演の珠城りょうさんだったかもしれません。お芝居の誠実な暖かみのある声と演技、ショーでのふっきったバッディのなりきりぶり。その対比が見事でした。
2.珠城りょうさんのセクシー
本日、珠城りょうさんの魅力について改めて感じたことがあります。特にショー。
お芝居では珠城さんはサラリーマンに徹しておられます。その中で見せる感情の揺れ動きは、はっきりと言葉に出す高野悠の人物像に比べてややわかりにくい面があります。
しかし、アクシデントにより舞台が止まりそうな窮地をブレイクスルーしたいと、銀橋で歌い、舞台で踊るちゃぴさんの美波へと手を伸ばす青柳さん。背景の濃い青、その前で踊る美しい白鳥、そこに手を伸ばすスーツ姿の珠城りょうさんのシーンは、とても美しいものでした。
そして、ショー。S7の「ビッグシアターバンク式典舞踏会」。オールバックで胸に赤い薔薇をさし、たばこをふかしながら堂々と渡ってくる珠城さん。この場面で私が注目したのは珠城さんの目です。
「月雲の皇子」「激情」、珠城りょうさんの魅力が炸裂した演目と共通したところがある目。
珠城りょうさんは、それが無理でもいけないことでも、どうしようもなく「手に入れたいもの」がある時、目に「欲望」が宿る。男性の欲望を感じさせる目。切なさ、欲望、手に入れてやるという気概が入り混じった目。
そういうものが特別なセクシーとなって目に現れる方だと私は思います。
女性である珠城さんが、なぜそのような「男」としての欲望を品を保ったセクシーさとともに出すことができるのか、それはまだわかりません。ただ、このショーがストーリー仕立てになっているからこそ、ぴたりとはまったのではないかと思います。役者・珠城りょうさんが持つ強みが最大限に発揮された場面だったと拝見いたしました。
3.お芝居本音感想を少しだけ
このお芝居は傑作や良作とまではいかなくても、しみじみ・ほっこりとした味わいのある佳品だと私は思います。
驚いたのは早乙女わかばさんの見事な演技です。原作にもありますが、早乙女わかばさんが語り始める「私は!・・、白鳥なのよ」の印象的なセリフ。彼女が着ておられる白いお衣装もあいまって、内からにじみ出る強いプライドが感じられ、本当に素晴らしかった!
原作では舞台以上にどきっとさせるセリフを平然と言ってのけるお嬢様ですが、原作の紗良は「王者の才能」が自分にないことを、バレエへの強い愛ゆえに悟っているキャラです。絶対王者の感がある高野の遺伝子が欲しいという背景には、王者の才能への苦しい憧れがあります。
原作で感じたそのバレエへの愛、プライドが早乙女わかばさんのセリフからは伝わってきました。
降板し、車椅子のまま那由多にかける言葉と行動は、この作品の一つのクライマックス、客席がずずずっと泣くシーンです(主にmiyakoguが)。巡りあわせもあったでしょう、あまりお得意ではない面を抱えておられたこともあったかもしれません。しかし、この作品で名演を見せてくださいました。早乙女わかばさんの”花火”、お見事でした。
最後に私と中学生娘の本音を少しだけ。
私は原作をおもしろく、かつじーーんと読みましたが、遺伝子のこと、チケットと主役のこと、「てめえが。。」のセリフ(口には出さず心の中でつぶやきます)など、割とリアルな話が直截的に原作には出てきます。
ですので、「あ・・・」というセリフのすべてが石田先生のオリジナルではないのです。
石田先生のオリジナルなセリフ(私の覚えている範囲で恐縮ですが)のありがちなうんちく話については、やっぱり酒席で酔ったおっさんから聞かされている感はややございます。(ごめんなさい・・)
それを置いておくとしても、私と娘がいやだなと思ったのは以下の点でした。
高野のセリフとして「ネットのことなど気にするな、ファンもアンチも一緒、かまってちゃんだ」という趣旨の内容があります。これにより、初期、ネットの意見はわりと抑え込まれた傾向があったのではないかと私は推察します。「あ、かまってちゃんだ」と思われるのは嫌ですからね(^^) 。
でも、おばちゃんはちょっとだけ書いちゃうよ。だって、大阪のアラフィフおばちゃんだもの。うふふ。そんな自意識は、とうの昔になくしてますねん、あはは(^^) 。
・第10場 ライバルは幽霊
同じ場面が気になる皆さま、残念ながらこのようにパンフレットにくっきりとシーンの名前が書かれている以上、こりゃ、だめですわ(^^) 。東京千秋楽までこれですね。
2年前に奥様をがんで亡くした青柳さん。美波さんがライバルは「幽霊」だと言う場面があります。ただ残念ながら、2年で「幽霊」という存在になるとはとても思えないのです。「幽霊」ではなく、声が聞こえるかのような、あたかも実体のある存在。
美波さんの側から見れば、ライバルは「幽霊」なのかもしれないと理解はしております。が、私は亡くなった父のことを幽霊と思ったことは一度もありません。むしろ、姿が見えないけれど「そこに気配としている」存在、そこに「感じることができるなら、いてほしい気配」です。
ちゃんと舞台に、亡くなった奥様の声を登場させておられるのになぁ・・。いいセリフでいい場面なのになぁ・・。少々、残念なり。
※原作は青柳さんは一方的に離婚を突き付けられます。
・第13場B 対決、高野VS水上
高野さんはバレエ作品へのアイドル起用に怒ります。彼はバーバリアンを尊重しつつ、でも、自分が命を賭けた場に入ってきてほしくないと言います。高野のプライドを感じさせると同時に、相手へのリスペクトも欠かさない素晴らしいセリフでした。
が、「友情や絆が大事だとおっしゃったじゃないですか」(という趣旨)と伝え、何とか舞台を続けてもらおうと懸命な青柳さんに、「絆?縁切寺には縁を切ろうとする人間がひっきりなしに訪れているというのに」という趣旨のことを高野は言います。
ここが、前回、前方席で観劇していた際に、おそらくは5~6列目センター付近からはっきりと「なんで、そんなこと言うの?」と聞こえた場面でした。ひょっとすると、舞台にまで聞こえたかもしれないとどきっとするほど・・。雪組前トップさんへの皮肉にも聞こえかねないセリフ。こちらも少々残念なり・・。ちぎみゆのお芝居が好きだった方で月組を観るようになった方も結構おられるのでは?と思うからです。
・娘が気になったのは美波さんのお衣装
ピンクのとてもかわいらしいお衣装にリボン。ちゃぴさんのかわいい面がすっと出ているのですが、抜群の実力を持ち、コンビニでバイトをしながらいっときは世界を目指したバレリーナにはなかなか・・。もちろん、その精神の幼さを出したものという意図があったかもしれませんし、ちゃぴさんのキュートさが引き立っておられたのですが。
本格的ではないとはいえ、3歳からずっとバレエが好きで続けてきた中学生娘の目からみると、仮にレッスン着だとして、一時は海外に留学していたようなレベルの人が、こんなの選ぶかな?という疑問があったそう・・。
もちろん、我々の好みの問題だけかもしれませんし、そこはごめんなさい。
ただ、可愛らしい反面、精神的に幼い女性に見え、内にシンプルな強さを持った女性として描いてほしかったなぁという思いを娘と共有いたしました。
というわけです(^^) 。ごめんなさい・・💦💦
早乙女わかばさんの演技に泣ける場面もあり、何と言っても珠城りょうさんがスーツを脱いでレッスンしたり、石田先生オリジナルで入れられた浴衣姿のデートありで、もうそんなん、オペラでがん見しますやん?!石田先生、心からありがとうですやん?!という場面もちゃんとあるのです。
ですので、素敵な側面もいっぱいあるほっこり・しみじみとした佳品というのが、トータルでの感想でございます。一度だけ観た旦那はんもとても楽しみましたし。
ネットで書いちゃった。ごめんよ、意見の違う方!(^^)