代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。朝夏まなとさん退団後のロスから、少し息を吹き返し中。

宙組・天は赤い河のほとり 原作を読んで振り返る宝塚版舞台への感想

皆さま、お元気でしたか?こちらは近くの噴水の水面に浮かぶ桜の花びら。現在、宝塚大劇場で上演中の「天は赤い河のほとり」の赤い河ではなく、「薄紅の流れ」です。綺麗でした。

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さて、仕事も山場を終えまして、のんびり週末を過ごしておりますので、ここは一つ!先日、文庫版で全16巻になる原作漫画・篠原千絵先生「天は赤い河のほとり」を読んだ上で、宝塚の舞台について振り返ってみたいと思います。この時を待っててんよ、おばちゃんな!以下はいろいろネタバレしていますので、お嫌な方はお読みにならないでくださいね。

※補足しましたが、原作のみにしか登場しないエピソードも多いため、ご注意くださいね.ジュダ皇子との話やウルヒによる王宮に乗り込んでの宦官証言等の緊迫した場面は舞台にはございません。時間のご都合だと思います。

 

1.ビジュアル再現度は高く、工夫も一杯

まずこれは宝塚ならではの最大の強みですが、とても再現度の高いビジュアルです。長身でほっそりとしたシャープなお顔立ちのトップスター・真風涼帆さんが古代ヒッタイト王国の第3皇子カイルを演じておられます。

真風さんの持ち味は王者としての堂々たる存在感とそこはかとなく漂う色気(駄々もれ?)。

原作でもカイル皇子は色気満載ショットを繰り出し、あつーーいキスを頻繁に、ベッドシーンも・・・、きゃぁ!! ←いい大人なんだから、落ち着いて、miyakoguさん。

真風さんは2日目に観劇した時よりも、さらに顔がシャープになられていて、カイル皇子により近づいておられます。

原作ではナキア皇太后の差し金で、カイル皇子の後宮に美しい姫が集められるのですが、その中には過去にカイル皇子が通った前提のセルト姫も。

最初の方で出てこられる「姫様方」の中に、このセルト姫そっくりにビジュアルを作りこまれている方がおられます。どなただろう?お分かりになる方、また教えてくださいね。

カイル皇子の側近の一人、和希そらさんが演じておられるカッシュもそうです。原作の中で、ウルスラという女性がある過程を経てユーリに心酔し侍女として仕えます。

宝塚舞台版ではカイル皇子のティトが、カイルの身代わりとなり処刑されますが、原作ではウルスラが。ウルスラとカッシュの間には恋があり、処刑される前に忍び込んだカッシュにウルスラは長い黒髪を切って渡します。その髪を編んだ髪飾りをカッシュは途中からつけておられるかと思います。舞台には登場していないのに。

ナキア皇太后の髪型再現度も半端ありません。美しくカールさせ結い上げた髪、お見事でした。

もちろん、原作ファンならではのこだわりが感じられる愛月ひかるさんの黒太子マッティワザは完璧!一番再現度が高い人物でしょう。とってもかっこいいのです!

miyakoguのツボにはまったお一人は、ミッタンナムワの留依蒔世さんの再現度。絵的にもですが、そういう人でしょうねという熱さが伝わってきました。

双子のリュイ(水音志保さん)とシャラ(花宮沙羅さん)のお二人のコミカルな動きもとても楽しいものがありました。

 

2.ルサファの物語

原作には非常に魅力的なキャラクターが登場し、上記に取り上げたウルスラとカッシュのような濃いサイドストーリーが一杯あります。

舞台には取り上げられなかった最大の要素がルサファ。宝塚の舞台ではダンスの綺麗な蒼羽りくさんが、原作と同じく黒髪で演じておられます。

ルサファはカイル皇子の側近ですがユーリに憧れに満ちた恋をし、ナキア皇太后と側近の神官・ウルヒに心を操られた時ですらユーリに危害を加えることはありませんでした。彼の深い慕情は原作後半の魅力的な要素です。

ルサファは戦場からヒッタイトに帰るユーリを守りますが、海に一緒に流されエジプトにたどり着きラムセスに助けてもらいます。

ユーリの無事をヒッタイトに伝えるためにエジプトから抜け出す時、ラムセスに秘かに送り出されるのですが、いずれもユーリを愛する二人。一方はカイルに忠誠を誓い、一方はカイルに不思議なライバル心を持つ二人の原作の場面はなかなか粋でした。

最後の最後、ルサファはナキア皇太后の刃からユーリを守りきり命を落とします。

このルサファがとっても切ないのです!彼はユーリ一筋。そのお話は残念ながらばっさりと舞台には登場していません。時間がないでしょうねぇ。

 

3.ナキア皇太后 VS カイル皇子とユーリ

原作において、大きな対立は2つあります。表向きはエジプトとヒッタイト。しかし、一番の大きな対立はヒッタイト国内、自分の子・ジュダ皇子を皇位につけたいナキアとカイル皇子の争いなのですね。

子を持つ前にカイル皇子(皇帝になっています)が亡くなれば、ナキア皇太后の思いどおりになります。そこであの手、この手の陰謀を神官ウルヒとともに繰り出すナキア皇太后。これがまぁ、わっるいし、執念深いし、腹黒いし、まぁ、あかんのですよ、本当に腹立ちます。

しかし・・。文庫版の16巻、本当に最後の方で、彼女の執念は明かされます。売られたように没落したバビロニアからヒッタイト王に嫁ぎ、執念でのし上がってきた彼女にとって、聡明な母を持ちはじめから世継ぎと認められ、宮廷でぬくぬくと育ってきた(ように見える)カイル皇子ほど憎い存在はないのです。

耐え忍んだ年月、彼女にとって唯一の心の支えであった北の国から売られてきた金髪の神官・ウルヒと同じ髪を持つジュダ皇子。その皇子を何としてでも皇位にというのは、彼女とウルヒの間の「愛」なのです。

ナキア皇太后を私が嫌いになり切れなかったのは、ジュダ皇子の存在です。まぁ、ええ子なんよ、原作でも!聡明で少し弱そうですが、とても優しい。ナキア皇太后にも良き面があったはずだと思わせる存在です。

しかし、原作では争いを好まず、自分の器を見極める聡明さを持ったジュダ皇子は自害しようとした後、自分は皇位継承権を放棄すると宣言します。きっぱりと。※ただし、このジュダ皇子の物語も宝塚版舞台ではほぼ出てきません。

その時、ナキアが受ける衝撃。

死ぬような思いをして、ここまで来たのに。原作ではその時、ウルヒは自害し、もういません。その瞬間、感情を失ったように描かれているナキアの瞳。その脳裏に浮かんだのはただ一人、ウルヒでした。その絵の切なさ・・。

ジュダ皇子は母であるナキアをいっそ!と刺そうとしますが、憎くてたまらないにも関わらず、ユーリはとっさに止めます。カイル皇子は処罰は元老院・皇帝・皇妃のみが定めると宣言し、その場を納めます。たとえ皇帝であっても、恣意的な処罰は同じことの繰り返し、それでは平和な国は築けないからですね。

元老院は極刑を望みますが、皇帝と最後に皇妃となるユーリの判断でナキアの処遇が決まる場面。ユーリは脳裏をよぎるルサファの死を思いつつ、カイル皇子の提案した流刑に賛成し、ここであの「ありがとうございました」があるのです。

ナキアとの闘いを終えて、ナキアに深々と頭を下げて礼を言う、万感の思いを込めた静かな礼の言葉・・。ここは、漫画原作が目、顔の素晴らしい表情から「すべて終わった」という万感の思いを伝えてきます。

 

4.ユーリを後少しだけ

小柳先生。この壮大な原作を1時間半にぎゅっと詰め込み、素晴らしい舞台をつくりあげてくださって本当にありがとうございます。ただ、原作のナキアの最後があまりに素晴らしく、演じる純矢ちとせさんが素晴らしく、子ども時代を演じる華妃まいあさんと真名瀬みらさんが素晴らしく、上記の「ありがとうございました」の場面を含め、星風まどかさんの演技がやや弱く見えました。

ビジュアルは完璧に可愛らしく歌もダンスもお上手。大変な逸材の娘役さんです。若くしてトップ娘役さんになられて本当にお大変でしょうし、熱演されています。

小柳先生、後、本当に後もう少しだけ、何とかなりませんでしょうか?

生意気言って本当にすみません。「だよ!」というのは原作どおりの語尾ですものね。ただ、突然巻き込まれた古代、唯一頼れそうな人物に「ごまかすなっ!」って、きんきん言いますでしょうか・・。

元気でお転婆でという路線を行こうとされたのは、とてもよくわかります。等身大の少女が巻き込まれて真風カイル皇子に愛される。何て素敵でしょうか?!

星風さんがおそらく本来お持ちであろう落ち着いた芯の強い面が、早口のセリフと荒い口調のセリフのために、損なわれているようで残念に思いました。本当は日本に帰りたい、家族に会いたいという気持ちを乗り越えて、「帰らない」と決めた場面のまどかちゃんの演技は泣けました。

葛藤を見せる時間がないんですよね。

ユーリの葛藤と成長物語を見せるにはものすごーーい時間が必要ですものね・・。中でも、ユーリにとって大きなできごとであった初めての妊娠とその悲しい結末は、女性観客が圧倒的に多い宝塚の舞台では扱えなかっただろうと理解しておりますし、扱ってほしくはありません・・。

現在の姿が、多分、試行錯誤の末、ぎりぎりでたどりついたものなんだろうなぁ・・。

 

5.ラムセスはすごい!

原作でラムセスは砂漠でユーリに出会い、ヒッタイトに届けます。その後、自分がエジプト王の地位を狙うとき、妻にふさわしいと見込んだユーリを何度もカイル皇子から強奪します。つかまえて連れていくのですね。強引に。

子を宿したユーリをナキア皇太后が陰謀で亡き者にしようとしたとき、逃げるユーリ一団の船が、ウルヒの策略により破壊されます。ユーリは海に流され、ルサファが命がけで助け、偶然、エジプト側の船に助けられます。

その時、ルサファがラムセスに何とか伝え、ラムセスが駆け付け手厚く看護してくれるのです。粘り強く嫁にしようとしながらね。

宝塚の舞台で芹香斗亜さんが演じておられるラムセスはすごいわぁ、強引でかつ厚顔、大胆不敵でまったくあきらめない。この時に滞在していたのがエジプトのラムセス邸で、お母さんや大勢のお姉さんが登場します。※宝塚の舞台では、子どもの話はでてきませんので、普通に保護されていて元気です。

ここをコミカルに舞台化されたのはさすが小柳先生でした。「俺の嫁になれよsong」、すごいわ!歌うキキちゃんもお見事です! ←miyakoguさん、そんなタイトルじゃないみたいですよ?

ラムセスとカイル皇子は戦争のライバルであり、ユーリを巡るライバルでもあります。

ラムセスは絶好調のカイル皇子と真っ向から勝負したいのだと言い、カイル皇子は持つ権限の違いで勝っただけだと見抜いています。※これも原作にある主人公達の独白で、舞台では語られていません

だからこそ、彼らは素手で勝負しようとするのですね。

宝塚ではそこを見事に銀橋で演じることで、迫力満点で見せてくれます。また、ここのキキちゃんの負けそうになってゆがんだ表情がええんやって!あの人、かっこいいわぁ。真風さんファンでも思わず見とれました。

男と男として素で向かいあいたいという闘争心。それは友情のようでもありました。カイル皇子の王者としてのノーブルさと冷静さ、ラムセス将軍の鋭い賢さと強さ。

見事に舞台化されていて、感動です。

 

6.神官ウルヒもまた切ない

星斗海斗さんが美しく演じておられる神官・ウルヒは原作漫画でも超絶美形です。カイル&ユーリの立場からみると、超絶腹立つ存在でもあります。まぁ、腹黒いわ、残酷やわ、謀略をつくすわ・・。

ただ、時折挟み込まれるナキアの回想。明らかになるウルヒの凄絶な過去・・。

これは原作のみですが、ジュダ皇子が皇帝の子ではなく、見事な金髪が共通するウルヒとの子ではないのか?とナキア皇太后が追い詰められたとき、宦官であることを証言するために彼は王宮に現れ、原作ではそこで自害します。

宝塚の舞台ではナキア皇太后とともに流刑になり、穏やかな愛のある人生を送れそうな余韻を残します。ここは希望を持たせてくれました。ありがとう、小柳先生。

原作では、自害する直前、兵に囲まれたウルヒはナキアを人質に時間を稼ぐのですが、その時初めてウルヒはナキアに触れるのですね。何という切なさ・・。その前に、ジュダ皇子本人から自分の父ではないのか?と問い詰められたとき、ウルヒは「本当にそうだったら、ナキア様とあなたを連れてとっくに逃げています」と初めて本心を明かします。ここは本当に切ない場面でした。※こちらも原作のみです。

文庫版15巻、16巻まで到達してはじめてわかったナキアとウルヒの切ない恋でした。

 

7.カイルとユーリの二人だけの王国

カイルは自分が良き皇帝となるために、皇帝に望まれるのと同等な人的資質を備えた皇妃を探して、突然現れたユーリにその資質を見出します。

ユーリは現代的な感覚で、負傷兵の衛生状態を改善し、女性を大切にし、おかしいことをおかしいと言い、敵をも味方につけます。原作はそこが描かれているため納得感があります。そうか、その現代っ子らしい大胆さの表れが「だよ」というフランクな語尾なのかもしれませんね。

ユーリは家族を思い出しつつ、彼に愛され彼を理解するほど、そばにいたいと思うようになります。

戦争と陰謀との闘いに明け暮れる中、ただ二人でいる夜のひと時だけが、義務を忘れて、彼らが真に自由に生きることができた時間だったのかと、わかりました。

最初はおばちゃんもな、きゃぁーー、エッろ!もう、エッチー?!(〃∇〃)と思いつつ、がん見で読んでいたわけです。しかし、途中から、夜の性愛のひとときだけがカイルとユーリにとって二人だけでいられる王国なのだと気づきました。

皆さま、単なるサービスショットではなかったのです。ええですか?!(〃∇〃)

 

ふぅぅ。長くなりました。明日15時公演で再度確認してまいります。

主に真風さんの王者の風格とだだ洩れの色気を。熱いキスシーンとか!(〃∇〃)←miyaokoguさん、あなたせっかく美しくまとめたのに、結局、それ?!ええ、それ!