代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

花組・メサイア感想2 繊細さと静かな迫力、鮮やかな演技を見せる花組 柚香光さん、水美舞斗さん  

花組・メサイアの感想2をお届けしますね。

 

※感想1はこちらです。

mothercoenote.hatenablog.com

私は宝塚にはまったのもこのブログを始めたのも、すべて真風さんが始まりです。宙組に異動されてきた「メランコリック・ジゴロ」での朝夏まなとさんと真風涼帆さんの見事なコンビネーション。全国にうちの脚長トップ、2番手をみせびらかしにいった素晴らしい公演。

それを全国ツアーで花組95期のお若い二人が演じる?とな?はぁん?

発表があった日には、やれるかしらね?見せてもらいまひょか?あーーん?と上から目線でした。(本来は花組さんの演目ですよね、すみません・・)

が、今回の花組公演を観劇し、うーん、この二人、柚香光さんと水美舞斗さんなら違う形で絶妙のメラコリを創り上げるかもしれない、梅芸はチケット取れるの?!とショーでロケットボーイをものすごいジャンプでつとめるマイティを見ながら思ったのは事実です。

あのね!水美舞斗さんの伊豆守(松平信綱、老中)が良かったんやって!!!終演後、同様の声があちらこちらでも。やっぱりぃ?というわけで、れいまいを中心に感想2をおばちゃん、書くわね!

 

1.仙名彩世さんの流雨

恐縮ですが、私は彼女のセリフのお声は、あまり好きなタイプではありません。しかし、彼女の澄んだ声量のある歌声が好きです。また、みりおさんにそっと寄り添うように少し控え目なトップ娘役を全うされている姿に見事なプロ根性を感じ敬意を払っています。ショーでご自身がセンターの場面は一転、かっこよく踊られますよね。

湯島で神にささげるように歌われた場面、暗めの背景の中で響くその声は、聖歌の趣があり素晴らしい声量でした。この作品に宗教的な趣を添えるとても重要な歌になっていたと思います。さすが!

 

2.柚香光さんの絵師・リノ

柚香光さんは「はいからさんが通る」の時に思ったのですが、演じることの楽しさを探求心を持って今、感じておられるのではないかと思います。確か、小劇場を含めて演劇を観に行っておられるとインタビューで拝見した記憶があります。

光さんは、お肉が大好きでやんちゃで元気な素顔と裏腹に、容姿を含めて「切なさ」をまとえる役者さんだと私は思います。

容姿だけではないのですが、容姿を含めての存在と演技にただよう切なさ。特にうつむき加減の目、伏せたまつげが落とす影の崇高なほどの美しさ。彼女自身が宗教画のようです。

歌唱はおお、上達された!という場面とそうでない場面がありました。

ただ、私は光さんの歌唱にはセリフのように思いを伝えてくる力はあると思います。

容姿、演技、歌唱。それらすべてがぴたりと合う方がいて、その上で物語に心を揺さぶられる。そういうのはやはりとても難しく稀なことだと、昨日、梅芸で「モーツァルト」を観劇しても思いました。過去にオペラを見ても思いました。

ヒロインに思いを寄せ、絵に対する崇高な情熱を持ち、一人だけ島原の乱の語り部として江戸で生きたリノ。

原城を救うためには、天草四郎を討つ必要があったのに、それが言い出せなかったリノ。

恋の相手であり、絵師としてマリアの絵に思いを込めていた流雨の心を持っていかれてしまったリノ。

うつむき気味なリノの姿は切なくて、苦しそうで、涙が出ました。一人だけ生き残り、乱の意味を後世に伝える役割を担う切ない語り部。

一人残されたリノの人生に流れた時間を想うと、泣けました。お芝居にはないその時間を観ている側に思わせたということは、それだけの演技をされたということです。

抑えた中に切なさを伝えてきた彼女の演技は素晴らしかったと思います。

冒頭とラスト、リノが物語を伝える徳川家綱は聖乃あすかさん。美形on美形の場面ですね。オペグラ、割れるわ! ←落ち着いて、miyakoguさん。

 

3.水美舞斗さんの伊豆守

劇中、「伊豆守(いずのかみ)」と呼ばれる松平信綱のマイティが良かった!

徳川家光は紅羽真希さん、マイティの部下の鈴木重成は綺城ひか理さん。

徳川幕府の良心的な役割をまず鈴木が担い、いったんその意見を抑え込んだものの、島原の異変の真の意味に気づき、四郎を討つことを命じつつ民を助けようとするマイティ。幕府重臣としての迷い、深慮、思い。それらが静かな中にぐっと伝わる迫力がありました。老いた後の場面も素晴らしかった。

役を感じるだけではできない演技だと思います。それはバウで主演され、次に全国ツアーを2番手として回るという使命に直面しているマイティご本人の覚悟とリンクしているようにも見えました。その迫力が見事でした。

綺城ひか理さんの何が正義を見ようとする演技も良かった。すらりとした立ち姿に低音ボイス。楽しみな方のお一人だと思います。

 

4.充実したお芝居

私は、花組さんについてはとびっきり華やかなショーにお強い組だと思っていたのですが、この作品は2日目とは思えない素晴らしい仕上がりでした。芝居の月組出身の明日海りおさんにとって会心の今公演ではないでしょうか。

印象に残った方を挙げます。

 

・一樹千尋さん

外部のミュージカルを観たとき、「うん?あれ。これ一樹さんの方がうまく演じられるのでは?」と思うことが時々あります。信仰の中心にいる静かなカリスマ性のある人物を好演されています。

 

・鞠花ゆめさん

ヒロイン・流雨のお付きの方です。少しの演技の差が、物語全体の流れを良くしたり悪くしたりすると思うのですが、「はいからさんが通る」の時の鞠花さんや天真さんの演技は、自然で自分が仕える人への暖かさを感じさせるような演技をされていると思います。「はいからさん」に続き、印象に残りました。天真さんはショーのタンバリン、エトワールが印象的でした。

 

・瀬戸かずやさん、鳳月杏さん

瀬戸さんは前藩主の遺臣、鳳月さんはわっるーーい藩主役、それぞれ的確に演じておられました。お二方ともショーがかっこよかったです!特に瀬戸さんの前髪。

鳳月さんの役は史実とおりの悪役を発揮されすぎると、観ている側もげんなりしてしまうでしょうし、これくらいでと言う感じでしょうか。本来の力量に比べて少し役不足の感もあったかなぁと思いましたね、少し。あかねさす、月雲の皇子のようにお芝居でいろいろなお役を観たいですね。

 

・桜咲彩花さん

四郎を引き取る一樹さんの長女で、瀬戸さんの妻のお役。品がある声が素敵。私はべーちゃんの声が好きなんですね。島原の隠れキリシタンの方々の清らかな信仰を思わせる声でした。

 

・波の精

冒頭で出てこられる花野じゅりささん率いる娘役さんのダンスでの波。青いお衣装が綺麗でした。

 

・和海しょうさん

スカステの番組でスキマスイッチさんの「全力少年」を自転車に乗って歌っておられたのを偶然見て以来、ずっと注目しています。ヒロイン・流雨の兄の浪人役。ショーでもソロがあり嬉しく拝見しました。

 

後ね、島原やら天草の方々がみなさま、美形!うーん、早霧せいなさんを産んだ長崎やもんなぁ、全員美形やわなぁと観劇中、一人で納得です。

最後に。

れいちゃん&マイティ。おばちゃんな、梅芸で全ツのメラコリ、待っておくわね!まぁまかファンがうーーん、参った!となる舞台を期待しています。もともとは花組さんの演目ですものね。

真風さんより先に94期でトップになるとはこれいかに?!どんなもんか見せてもらいしょ?!と梅芸で珠城りょうさんの「激情」初日を迎え撃ち、見事に返り討ちにあった=うっかり沼にはまった前科がありますので、ほんまに期待していま~す。

みんな、他人事やと思ってるでしょうけど、ほんまに沼って突然、いろんなところにあるから気を付けてね!miyakoguがはまりやすいのは事実だけどね!