代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

月組・エリザベート 代役公演感想 若き月組のみずみずしい熱演の鮮烈、一点だけ惜しむ点・・

皆さま、こんばんは。本日9月24日15時の宝塚大劇場の月組「エリザベート」、代役による公演を家族3人で観劇してきましたので、感想をお届けします。

残念ながら美弥るりかさんはご休演、楽しみにしていた風間柚乃さんのルドルフを見ることはできませんでした。そのかわりに、月城かなとさんの黒髪の美貌フランツと風間柚乃さんの軽妙洒脱なルキーニを拝見することができました。

月城かなとさんファンの中学生娘はかなとさん登場場面から涙、銀橋で涙、フィナーレ群舞のセンターで涙。終始、涙、涙、涙だったそうです。←落ち着け!(^^)

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1.若きキャストのみずみずしい熱演と疾走感

素晴らしい熱演でした。主要キャストの多くを94期以下で占めた若きキャストのみずみずしくも鮮烈な印象を残した熱演だったと思います。

絶対にこの代役公演を成功させる、何があっても舞台の質を落とさないという月組さんの意地と気概とプライドを感じました。

その気合はトートを演じる珠城りょうさんとシシィを演じる愛希れいかさんに顕著だったと思います。最年少トートを演じているトップスターならではの珠城りょうさんの疾走感のある舞台でした。

珠城りょうさんの白い横顔と長いウエーブの髪の横顔が、「何かに似ている!」とずっと気になっているのですが、ルネサンス期の天使の絵に似ているような気がしています(^^)。多分、伏せ目の白い横顔が憂いを含み美しいということかな?

トートが天使に見えるとは、これいかに?ですが(あくまで横顔です(^^))、シシィに「死」を与えることが一番、彼女のためにいいのだと信じている。珠城トートはそう見えるのですね。トートはシシィを自分のものにしようとしている以上に、救おうとしているように見えるのです。不思議です。

愛希れいかさんについては、長年のオペラファンにして辛口のうちの旦那さんが「彼女は別格!」と唸ってました。特に1幕。ものすごい迫力だったと思います。ブラーボー!

 

2.月城かなとさんのみずみずしいフランツ

フランツは美貌の黒髪で、とにかく美貌、何が何でも美貌、端正な美しい立ち姿でほれぼれしました。そして歌が上手い!!

月城かなとさんのフランツは、シシィにまっすぐに恋をしたことがまっすぐに伝わるフランツでした。プレゼントのネックレスを広げるのに少し手間取られて一瞬、心配したのですが、その手間取る様ですらフランツの恋の表れのように思える。みずみずしい恋するフランツです。

慣れない早替えが大変だっただろうと思わせる場面も少しありましたが、とにかく美貌。ここまで歌えた方なんだと、改めて驚かされました。

単にちゃんと上手く歌ったというだけでなく、感情がきちんと乗せられた歌。代役さんでの通し稽古が一回はあるようですが、それでこのレベルとは!驚きました。

感情表現を乗せた歌、眼差しに宿るその時々の繊細な感情。雪組新人公演で壮さん、早霧さんのお役をされてきた系譜を感じる演技でした。

最終答弁も素晴らしい迫力。みずみずしいハンサムな青年皇帝に釘付け!娘は終始、涙!(^^)

 

3.風間柚乃、おそろしい子・・

風間柚乃さんのルキーニは軽妙で小粋な色気がありました。この方、絶対に楽しんでおられると思う!

そりゃ、もちろん緊張もされていると思うのですよ。でも、絶対楽しんでおられますよね?!

「おもしろーーーい!」等のルキーニの見せ場の歌、「在庫がないんだ!」等のセリフの迫力。間のため方に彼女独自の”色”を感じました。おもしろい方です。この人がこれからいろいろな役をどう演じるか観てみたい、そう思わせるひねりを感じると言ったらいいでしょうか?

私が風間さんに気づいたのは博多座公演のショーでした。なんだかものすごい気合の入った顔で踊りまくっている人がいるなぁと眺めていたら、ロケットでばちーーんと濃厚なウィンクを飛ばしておられまして、目が離せなくなりました。

フィナーレはもともとの月城さんのポジで一人降りされるのですが、歌い終わり礼をする前に一瞬、劇場を見渡してためましたよね、あなた?!皆の目をひきつけて拍手喝采をもらう。ものすごい舞台度胸です。風間柚乃、おそろしい子・・。

いっちゃてる感は、もちろん本役のれいこちゃんが上。そこはこれからですが、そんなこと以上に、研5でいきなり本役を任されて堂々と演じてみせる。そこにしびれました!

 

4.注目の方々

・憧花ゆりのさんのゾフィー

迫力がぐーーんと増しておられました!開幕すぐに拝見した時に実は一番、うん?と思ったのがゾフィーで、すこしばかりたおやかかな?と。品良く演じておられたのですが、宮廷で唯一の”男”ではなかったなと思います。が、本日はまぁ怖い怖い。歯を「真っ白になるまで」とシシィに詰め寄るところ、怖かったです!

でもハプスブルク家を守らなくてはいけないというゾフィーの気迫こそが、シシィを追い詰める発端になる歪みだと私は思いますので、キーなんですね。そこが今回は素晴らしい迫力でした。

 

・蓮つかささんのエルマー

革命家には代役で彩音星凪さん(注目の美形!)が入られていますが、革命家のリーダー・エルマーを演じる蓮つかささんからは、その分、自分がこの革命家チームを率いてみせる!という気概を感じました。その気概はそのまま、ハンガリーを自分達が率いるのだという迫力につながっており、濃紺のフロックコートが映える美しい青年貴族としての存在感を増しておられたと思います。

 

・病院訪問場面の海乃美月さん

中学生娘が比較的前方で観劇していたのですが、ヴィンディッシュ嬢を演じる海乃さんとシシィのちゃぴさんが二人とも涙を浮かべた演技だったそうで、その涙が対をなすようで美しかったとのこと。一つ前の記事で書きましたが、ちゃぴさんと海乃さんが二人でつくる場面に私は母性と少女を感じて感動しています。

 

・暁千星さんのルドルフ

長年のオペラファンにして辛口のうちの旦那さんが、終演後、「あれ、誰?」と聞いてきたのがありちゃんの青年ルドルフでした。今日、素晴らしい歌唱だったと思います。

暁さんは初日すぐ拝見した時は、声量は十分ですがルドルフとして間違いがないように歌うことが先行していた印象がありました。

今日の演技からは、ルドルフの哀しみが歌の強弱、ふとした表情の変化から伝わってきました。特にママのシシィと語り合おうとする場面、思い切って打ち明けたり、希望を持ったり、絶望したり。セリフや歌のために口を開く少し前から微妙に表情が変わっていくのですね。演技のための演技でなく、ルドルフとしてそこにおられたように思います。素晴らしかったと思います。

エーヤンの歌手の周旺真広さんの歌声、少年ルドルフの蘭世惠翔さんの歌唱も印象的でした。

 

5.黒天使の皆さま

今回の月組公演の質を押し上げている要因の一つに黒天使の皆さま方のご活躍があると思います。

ウエービーな長い銀白色の髪、静かな熱が伝わるしなやかなダンス。宙組さんの黒天使は切れがするどい男性的なニュアンスが強いダイナミックなダンスでした。今回の月組さんは綺麗に揃った美しくしなやかで中性的なダンスのように思えます。

この人、メイクを含めてめっちゃ気合の入った表情だなと目を奪われたのは一星慧さん。楽しみな方だと思います。成長には気合が必要なんですよね。

 

6.一点だけ惜しむ点・・

代役ということもあり、応援する気満々の客席。その客席に見事に応えた月組の若きキャストの皆さまのみずみずしい演技。脱帽でした。

一点だけ惜しまれたことがあります。ただ、これはいたしかたないことですね。

美弥るりかさんは今公演主要キャストの中の貴重な上級生さん。「夜のボート」等の晩年の場面になると、やはり美弥さんの存在が重要だなあと改めて思いました。しみじみと切々と人生の哀しみを歌う場面、美弥さんがおられないと愛希れいかさんがどうしても強く歌い上げ過ぎになるように見えました。

もちろん、今日は舞台を支えないといけないという気迫の演技でしたから、当然のことです。同期の月城かなとさんを支えたいという思いも強くお持ちでしょう。

愛希れいかさんは日本人女性が出しにくい激しさ、強さを出せる貴重な娘役さんだと今回の公演を拝見して改めて感じます。今後、海外ミュージカルでご活躍されるには極めて重要な資質でしょう。

ただね、アラフィフの観点からすると、ふふふ、ごめんよ!おばちゃんが言うて。もう少しだけね、人生の哀しみや深い諦念のようなものをフランツと静かに向かい合う中でもう少しだけ抑え目に出してこられると、さらに素晴らしいものになるのではないかと期待いたします。ごめんなさいね、贅沢なお願いで・・(^^)。

 

全体的にとても素晴らしいみずみずしい公演でした。

トップスターとしてどーーーんと構えて舞台を率いた珠城りょうさん、素晴らしい歌唱を見せてくれた愛希れいかさん、代役を見事に務めた月城かなとさんと風間柚乃さん、月組の皆さまに心から拍手をお送りするとともに、美弥るりかさんの復帰をお祈り申し上げます。

おばちゃんな、感動したわ!お若い方に負けないようにがんばるわね(^^)。