代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

宙組カジノロワイヤル 作品感想 大劇場で完成、東宝組・配信待ちの皆様はお楽しみに!

皆様、こんばんは!4月15日(土)の公演も無事に終了。宝塚大劇場も残すところ3公演です。

開幕間もない頃、真風さんがお芝居ラストで「アデュー 思い出は募る」と歌われると、自分自身の真風さんの思い出がぱーんと溢れ出て号泣していました。周りからもぐすんぐすん。千秋楽ではまた泣くと思いますが、今はなぜか不思議と晴れやかに爽やかに観劇しています。

今日のMy前楽観劇中に、なぜだろう?と考えたのですが、それはこの作品の持つ楽しさを、”遠慮なく”宙組の皆さんが表現し始めたからではないかと思います。

「007シリーズ」。次のボンドは誰なのかがニュースになる程、有名な映画シリーズの原作小説の一つを題材に、小池修一郎先生が自由にくすっと創作された今作。最初、宙組の皆さんも、あの「007」だと構えたんじゃないかと思うのですね。観客もしかり。

でも、いつしか宙組の皆さんが小池先生の脚本に自由に楽しく応え始め、退団作品としてや大作だという緊張感から自由に飛び立った。その楽しさが観る側にも伝わってきたように思います。

大劇場で完成された宙組「カジノ・ロワイヤル」。東宝組の皆様、配信をお待ちの皆様はどうぞお楽しみに。

 

1.エンタメとしての力 お芝居を変えていった桜木みなとさんの力

初日すぐの頃、聞こえてきたのは小池先生オリジナルにありがちな、あるいは退団作品特有のとんちき作品だ、駄作だという声でした(すみません、私が言ったんじゃないです)。ただ、パンフレットの小池先生のご挨拶を拝見し、実際に観劇してみると小池先生が確信犯的に自由に楽しく創作された気がしました。

私も含めて、宝塚ファン特有のやや斜に構えた思い込みがあるかもしれない?

先入観が一切無い義母が同行して観劇した時、映画好きの義母が「とっても楽しかったわ」と純粋に楽しむ様子を見て、そう思い始めました。

高齢の方は退屈したり暗めの場面が続くと、うたた寝をされることが多いのですが、どうも様子が違う。純粋に心から楽しんでおられる。

その点を、本日、三井住友カードさんと友の会の共同貸切の公演を観劇して確信しました。お付き合いなのか「007」だからと来られたのか、男性陣が多い一角があったのですが、桜木みなとさん演じるミシェルと天彩峰里さん演じるアナベルの場面に爆笑されていたんですね。

敵味方入り乱れてどたばたの最中なのに、真風さんボンドから「お前の連れの女を警察から助けた」と言われると、「ありがとう」ときちんとお礼を言う桜木みなとさんのミシェル。

ディルフィーヌが背の高い男が助けてくれた、「(キスが)とっても上手かったけど」と言うのに対して、ミシェルが発する「ひゃょえーーー」という声へのくすくす。(ル・サンクでは「ええっ?!」とあるだけです

天彩峰里さんアナベルが鞭をぺちんとして、寿つかささんが「君は何の先生?」と問いかけると、こらえきれないという感じの爆笑が聞こえてきました。

その後はもう、ミシェルとアナベルが出てくるだけで、くすくす。何をしてくれるんだろうという期待感、笑うぞと待ち構えている空気が伝わってきました。本日のずんちゃんの鎧への貸切アドリブは「三つの約束、命の危機でも、隅に追いやられても、友だち(とのこと)」 拍手喝采です。

真風さんが鎧をかぶったずんちゃんを振り返り、「だるまさんがころんだ」のようになる場面も、公演が進む中で徐々に出てきたんですね。

お芝居終盤、みねりちゃんアナベルの後ろに、明らかに隠れていますというフォルムでコートに隠れて出てくるずんちゃんミシェル。期待感が高まる客席。

刑事につかまりそうになるところ、銃を奪ってみねりちゃんアナベルが言う「逃げて」。私はあの一言がとても好きなんです。姐さんぽい、でも人情も愛情も感じる声。

ミシェルらしいまっすぐさで応える二人のやりとり、間にはさまれた秋音光さんの刑事の間(ま)。両脇で見ている警察官が日によって、お熱いねとなったり、拍手したり。貸切の今日、二人が抱き合う場面では客席から祝福の拍手まで出ていました。傑作でした。

私はこの作品が公演途中で大きくぐっと変わっていった大きな要因の一つに、桜木みなとさんの存在があったと思います。役割的にそうだったというのもありますが、彼女が自由に動き始めることで、ターニングポイントを創ってくれたというか。

最初に観劇した時、うん?今の時期、政治的にどうかな?という場面があったり、ヒトラーを出してくるのはむむむ?と思ったりしたのですが、そこを越えた楽しさが増していきました。「007」シリーズだからと言って気負わずに、いつもの宝塚のように自由に楽しく演じていいんだと、ぐっと変えていったのは実はずんちゃんの演技ではないかと思います。そこから、皆さんの自由な小芝居が各場面で始まっていったというか。

桜木みなとさんの持つ圧倒的な明るいエネルギーの力、感服いたしました。

 

2.ひたすら男役芸を見せる真風さんのスタイリッシュ・ボンド

ジェームズ・ボンドという超有名なクールでスタイリッシュで色気のあるキャラを、男役として演じて見せる。退団公演にふさわしい男役としての仕上げのようなお役だと思います。

同時に、非常にチャレンジングでもあります。

とにかく格好良くないと、キザに決まらないとだめ。白いタキシードに赤い花をつけて、ポケットに手を入れてただ立っているだけでも「ほぅっ」と似合わないとだめ。銃を構えるしぐさが決まる、脚が長く、撫でつけた髪も似合わないとだめ。そういう役です。白いタキシードも、黒いタキシードも、スーツも、ダブルのスーツも帽子も革の手袋も黒タートルも全部ぴたりとはまってこないとだめ。

大変高いハードルだったと思います。そこを真風さんは軽々と越えて観客を魅了していきます。真風さんの究極の男役芸と衣装の似合いっぷりをただひたすらに愛でる。この作品の第一義的な妙味はここにあります。

それと、案外、見落とされがちなんですが、実は真風さんが何気に演じた後、再演で真風さん以外の方がされると、どうも違う感じがする役ってあるんですね。私の贔屓目がもちろんあるのですが、後で振り返るとさりげない良さに気づく。そういうタイプの演者だと、私は思います。

私が一番好きなのは、ル・シッフルとの闘いで追い詰められた中で、真風ボンドが言う「案外本気だ」です。私は長年仕事をしてきて、一見そうは見えない男性の「案外本気」を何度も見てきました。仕事ができる方程、何でもない顔をしていて、いざとなると案外本気です。あのセリフに真実味を持たせて伝えるのは、実は大変難しいはず。お若い男役さんが同じセリフを言った時、どう映るかを想像してみると「案外本気」の難しさがお分かりいただけるように思います。

退団への心の叫びは、千秋楽後に書き留めます。

 

3.きっぱりと意思を持って旅立つヒロイン・潤花さんのディルフィーヌ

潤花ちゃんのディルフィーヌは、偶々得たロマノフ家の相続人という立場を受け止め、より良い方向で活用したいと考えるインテリ大学生です。彼女には自分が偶々得た力で少しでも世界に貢献できることがあるなら、やってみようと考え、実行に移そうとする意志の強さがあります。

誰かの庇護のもとでなく、自分の意思で、自分の足で歩いていこうとする強さ。

最後のキスを頼むのも、涙をこぼす訳でもなく声を震わせる訳でもなく。キスをした後は、きっぱりと後ろを振り返らずにボンドの元を去ります。

過ごす時間は短くとも、二人はパラシュートの場面で歌ったとおり、空を見上げて「どうしているだろう」と思う相手になったのです。

そういう人がいる、いない。これは人生の暖かみを大きく分ける出来事だと私は思います。そういう人がいるなら、遠く離れ離れでも生き抜くことができる。恋とは限らず、どなたにも実は心のどこかに持ち続けている存在があるのではないかと思います。

イケコさんに「やられたな」と思ったのはその点です。

宝塚作品というのは、歴史だったり有名な映画だったり、いろいろ枠組みは借りていても、実は普遍的な男女の出会いや男性同士の友情を描いていることが多い。というか、それしかないんですね。

どの作品も結局は、ある人とある人が出会った。その影響である人は変わった。たとえハッピーエンドでなかったとしても、その人の思い出をずっと心に持ってそれぞれが生きていく。これまでとは少し違う生き方で。

実にシンプルです。そして、シンプルが故に力がある。

私達が物語を必要とするのは、結局、誰かと出会って自分が変わった、自分の心の中に誰かがずっといる、その経験を追体験するためではないかと私は思います。

1968年、フランスで5月革命という若者の熱い革命があった年。ディルフィーヌは自分の理想に向かって自分の足で歩き始める。彼女は後ろを振り返らずに歩んでいきます。でも、彼女は、ボンドは、頬を撫でる風を感じ、太陽の匂いを感じた時、お互いをそれぞれに遠い街角で思い出す。そう思わせる去り方を、潤花さんは的確に演じておられると思います。

潤花ちゃん、本当にありがとう(涙)。

 

4.印象的な見どころ

私がお芝居の中で楽しみにしているシーンを下記に上げさせてもらいます。

 

・プロローグ!

言わずと知れたプロローグ。超やばいです。とにかくご覧ください。真風さんの超かっこいい登場から始まる、長身スタイリッシュな宙組の男役さんの群舞を!

 

・M長官の歌

「皇帝一家は~処刑されてしまった~」。松風輝さん、ルキーニですか?の場面です。「エリザベート」が各所で出てくる始まりですね。

 

・ヌーベル・アージュ(新時代)の場面

なぜにタンバリン?と思いますがヒッピー文化のもとのデモって、こんな感じだったんでしょうね?ここはもう、ひげに長髪の優希しおんさん、真名瀬みらちゃん、日替わりでいろいろ変えてくる輝ゆうさんをチェケラ!あなた達さ、バンドでデビューした方が活動資金ばりばりに稼げそうよ。何でも着こなす潤花ちゃん、大好きです。

 

・メゾン・ダムール

アナベル姐さんの歌姫が最高なんですよ。率いるダンサー娘役ちゃん達もコケティッシュで最高。でれてる男役さん達も楽しい。潜んでいるスメルシュのイリヤ(鷹翔千空さん)もちゃんと拍手。

 

・真風さんが歌うヒーロー・イン・ザ・ダーク

カチッと音をさせて煙草を吸う真風ボンド。かっけーーー!この音楽覚えておいて。後で試験に出ます(フィナーレの男役群舞)。

 

・カジノの歌(ざっくり命名)からル・シッフルの歌

回る~、回る~♪も、どこに~賭ける~迷う~迷わない~♪も妙に好きです。

登場する芹香斗亜さんル・シッフルの「人の運など~♪浮きもあれば、沈みもある♪」も好き。真名瀬みらさんと嵐之真さんの二人の用心棒のコミカルな動きも大好きですわ!後の場面で「資金を稼ぐためにクラブを経営」とル・シッフルが歌う場面のお二人、ぜひ注目を!楽しいんですよ。

それにしても、ル・シッフル。ラスプーチンに扮してパーティに登場というアイデアをなぜ思いつく?そして、なぜ実行する?(笑)

 

・ゲオルギー一家

ゲオルギーおじ様の寿つかさん、何と言うか懲りない強さがあって楽しい。花菱りずさんのノリノリマダムの顔芸をぜひご覧ください。あの方、本当に最高だから。

グレゴリーとアナトリーのナニキョロ兄弟も随所で面白いのですが、私が好きなのは戴冠式でディルフィーヌちゃんの若者らしい青いスピーチにうんうんうなずき、「素晴らしい!」と拍手する風色日向ちゃんのグレゴリー。あの人、案外いい人だと思うのよ(笑)。

 

・ホテルテラスからのイルカソング

ミシェルとディルフィーヌがいいコンビなのよ。柵を越えようとする場面ね(笑)。

高らかにボンドが歌うイルカソングも。最初は、はぁ?なぜにイルカ?と思っていたのですが、今では「ええ歌や(涙)」と刷り込まれてしまいました。必聴です。

 

・バカラ対決

超かっこいいの。とりあえず見て!一回負けてどうする?となったところで颯爽と登場する柴藤りょうちゃんのCIAフェリックス・ライター。もう美味しいわぁ。

ぼやきがちなフランス情報局の瑠風輝さんのルネと、春乃さくらさんのヴェスパーのカップルも素敵です。はるさくちゃんの堂々した演技に、美しいプロポーションも素敵。

一幕は少し長く感じるかもですが、二幕はどんどん進みますので、どうぞお楽しみに!

 

・古城内の廊下

ミシェルをル・シッフル配下の2人が連れて行く場面。

あのさ、歌っているミシェルをスポットライトで照らすのはいいのよ。泉堂成ちゃんと鳳城のあんちゃんをスポットライトで照らしたあげく、顔を寄せて煙草の火を分け合う必要あります?(シガレットキスって言うんだっけ)。あ、美形を売り出したい?わかりました!💕

 

・拷問室

縄を解いた真風ボンドちゃんが、律儀に椅子と縄をちゃんと片付けていくのが妙にツボです。

 

・古城内の迷子三人組

ね、大丈夫?CIAとフランス情報局。頼むから方位磁針でも持っていて!(笑)

 

・スメルシュの部下思いボス

鷹翔千空さん演じるイリヤ。部下のボリスがやられそうになると、こっちを放って加勢に回り、そのすきにパラシュートで脱出しちゃうボンドとディルフィーヌちゃん。

イリヤ、ええ子や。こってぃイリヤのスピンアウトもの、見てみたくなります。

 

・パラシュート場面

この広い世界に生まれて♪ 号泣場面。まかかのファンは思いっきり泣きましょう・・。

 

・朝、旅立つ人々(場面名は「第10場 カジノ・ホテルの廊下」、「第11場 ルーレットの間」です)

ここのBG「それぞれの旅立ち」というのか・・(涙)。(ル・サンクにありました)

退団者がそれぞれに旅立っていくのね・・・。毎回、ええ声を聴かせてくれた澄風なぎさん支配人も・・。すっしーさんにもえこちゃんが掛ける「お疲れ様でした」の声が優しく切ない。

ルーレットの場面で、ようやく「いつか黒海に行く」という約束をとりつけたボンドちゃん。良かったね・・。でも、この約束はほぼ実現されないだろうというニュアンスが感じられます。おそらく、ボンドとディルフィーヌの人生は二度と交錯することはない。でも約束はしたい。そんな淡い期待が伝わる優しい場面です。

一人残されるボンド。イケコ先生の超憎いところは、次の旅に出るボンドの後ろで、カジノの日常が始まるところです。

カジノはそこにある、日々は続く。ボンドの日々も続いていく。でもそれは、これまでと同じ日々ではない。

彼はこの地球のどこかで生きている人のことを胸の中に持ちながら、生きていく。「君に会えて良かった」、そう歌うボンドは、見ている私達と同じ一人の人間です。

ボンドは心の中にディルフィーヌを納めた場所を持って生きていく。真風さんは潤花ちゃんとの出会いを持って生きていく。そして、私達は真風さんを心に納めた場所を持って生きていく。たとえ会えなくなったとしても。

わぁーーー、泣きましょう・・・(涙)。

コミカルな感想を書こうと始めたのに、まんまと結局、泣かされてしまいます。小池先生、恐るべし。退団公演の「案外本気」なお仕事に拍手を送ります。

それにしても、千秋楽、どうなるんでしょうか・・。怖い、僕は~怖い♪

ヅカファン、何でも歌いがちですね・・。

宙組カジノ・ロワイヤル感想 小池先生の優しい直球の贈り物 真風さんボンドの清らかなセクシー

真風さんファンの皆様、こんにちは。私がひたすら観劇できる日を待っていた4月、ブログを書く余裕が出てきた4月。いつも当ブログでは、できるだけ多くの方々に敬意を払うべく、多くの演者の方々のお名前を出してきました。しかし、この4月、以下の感想(ではないかもしれない)記事は真風さんファンに捧げます。

 

1.小池修一郎氏の優しい贈り物「カジノ・ロワイヤル」

初日開けてすぐ、とりあえずファンの間に走った衝撃はイルカとキャベツでした。

大劇場公演が中盤に差し掛かる今、小池先生はマジだわ、本当に「イルカが人を愛するように」とお考えなんだわ。その深遠な人類愛に打たれ、小道具としてキャベツ畑のキャベツになろうと緑色の服を探す日々。

大丈夫か、真風ファン?

我々はもちろん、大真面目です。もうね、無いねんよ、次の公演が・・(T-T)。

最後に思いっきり悔いの無いように、こうなったら、何でもやるんですよ!(注 公演も中盤になり情緒乱れがちなmiyakoguでお送りしています

小池先生が雑誌『歌劇』の座談会で語られ、また、本公演パンフレットの『真風涼帆 AS JAMES BOND』で熱く語られているとおり、この公演は小池修一郎先生という日本ミュージカルを代表する一人の演出家が、一人の宝塚トップスターに贈った「優しい贈り物」だと、私は受け止めました。

いわく。

・・・真風の初舞台公演でもあった『NEVER SAY GOOD BYE』16年ぶりの再演に取り組んでいた。コロナで公演の半分以上が中止となったにも関わらず、屈することなく一心不乱・鬼気迫るごとく舞台に集中してくれた。・・(中略)・・極度の緊張を強いられたであろう真風と宙組生たちを、いつか解放して羽ばたかせたいう思いが私の中で高まって行った。

作 小池修一郎氏、2023年 下線はmiyakogu

出典:「カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~」パンフレット、宝塚歌劇団より

どういう運命か、2022年2月5日 ~3月14日にかけて宝塚大劇場で上演された『NEVER SAY GOOD BYE』は、真風涼帆さんの初舞台公演という記念すべき作品であり、上演当時の2022年2月24日にロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始した時期でした。

我々の日常からは、本来なら遠くの話に思えたであろう内戦当時のスペイン。とどまって命を落とす外国人カメラマンとオリンピック選手の物語、内戦の真実を伝える役割を全うするために帰国した女性脚本家。

しかし、揺れ動く世界情勢の中で、私たちも息を詰めるように観劇し、舞台の運命を現実と重ね合わせて衝撃とともに受け止めざるを得ませんでした。平和への希求を訴える名曲は素晴らしく、感動的であり、同時にずっしりと重い。

観ている側がそうであったなら、それ以上に、コロナ禍でいつ公演が中断するかという緊迫感も加わって、演じる側は一層、ずっしりと重い運命に圧倒される思いがあったのではないかと想像します。

でも、中断をはさみつつも、創作した側が「頭が下がる思い」を感じるほどに、真風さんと宙組メンバーは真摯に公演を全うされた。

その真風さんと宙組への、この「カジノ・ロワイヤル」は小池先生からの優しい軽やかな贈り物だと私は思います。

今日、80代前半の義母は初見でとても楽しんでいました。心から。笑い、手をたたき、感心し、うっとりする。彼女は宝塚初観劇ではありませんが、あたかも宝塚を初めてみる観客のように。

私たちのような濃い真風ファンと異なり、「オーシャンズ11」「エリザベート」「神々の土地」等の過去作品へのオマージュに密かな喜びを覚える訳ではない。ただ、軽やかに楽しかったのです。初めて「カジノ・ロワイヤル」を観劇して。一本ものだと少し退屈されるかな?とやや心配していたのですが、華やかで格好いい舞台だと楽しんでもらえました。

予想外だったのは、冷戦が高齢の義母にはすっと入っていったこと。確かに大人として同時代を生きた年齢層です。

真風涼帆さんという宝塚の男役らしいトップスターが見せるスーツ姿、タキシード姿、銃を構える所作、潤花ちゃんディルフィーヌへの熱いキス、娘役達に振りまくさらっとしたチャラさ、男役どおしの熱いダンスによる戦い。

過去作品を知らなくても、くすっとなる芹香斗亜さんが歌う「皇帝ゲオルギーは立ち上がる♪」や唐突で大げさなラスプーチンの面白み。キキちゃんならではでした。

桜木みなとさんがチャーミングに演じるミシェルの間合い。「ね?」の一言で客席を沸かせる見事さです。

ひたすらにかっこいいスーツ姿や訓練服姿の宙組男役さん達。いろいろな衣装で登場するチャーミングで明るくセクシーな娘役さん達。舞台の端っこでもお芝居の工夫を凝らす追求心や美しく見せる努力の数々。ちなみに、輝ゆうさん(愛称 おかゆちゃん)は、フィナーレの男役群舞を含めて多分、15回以上ウインクされていますので、ぜひご確認ください。あの人のやる気、すごいです。

真風涼帆さんと潤花さん。小池修一郎氏の言葉を再び借りるなら「近年稀な解放的大型コンビ」のお二人を軸にした充実の宙組さんの宝塚らしいゴージャスな舞台。

ぜひ、初めて宝塚を観劇した時のようにくすっとして、綺麗ねぇ、格好いいわねぇ、羽が豪華ねぇ、パラシュートにはびっくりねぇと、どうぞ心から楽しんでご観劇ください。

 

そして、不意打ちに来る「この広い世界に生まれて」で泣きましょう・・(T-T)。

歌詞にある「いつの日か 遠い街角で 君を/あなたを 思い出す時」

それはボンドとディルフィーヌの「時」であると同時に、真風さんと潤花さんにしかわからない二人の「時」であり、私たちファンと真風さんの間にある「時」です。

私たちは、いつかきっと街角で空を見上げて思うのです。真風さんを。

そして、思いがけないタイミングで泣くはずです。

いや、もう、わかってるねんって・・・。

 

2.真風さんの清らかなセクシー

映画の007シリーズは、次のジェームズ・ボンドは誰になるのかがニュースになり、議論の的になる世界的作品です。

私は一部作品を見ているに過ぎませんが、胸毛のある(ごめんなさい、思い込みです)セクシーでハンサムな男性俳優さんが派手にカーチェイスしたり、かっこよく銃で戦って、スタイル抜群のセクシー美女とベッドイン、そういう思い込みがあります。(本当にすみません、思い込みです!)

ただ、ダニエル・クレイグ氏の最新ボンドは、あくまで彼の風貌(特に眼)からですがクールなタフネスとエレガンス、硬質な哀愁を感じます。セクシーなスーパーマンでなく、複雑な人間性を宿したクールな眼をしたボンドなのかなと感じます。

そういった違いがあるにせよ、男性が演じるジェームズ・ボンドと、真風涼帆さんという宝塚らしいトップスターが演じるジェームズ・ボンドの決定的な違いは、セクシーでありながらもジェンヌらしい清らかさがそこにあるという点ではないかと、私は思います。

胸毛のあるセクシーさではないのです。(大真面目なmiyakoguでお送りしています)

きっちりとネクタイを締める。タートルネックで首を覆う。そこにある清らかなセクシーさ。息が止まるようなキスと言いながらも、リアルな男性の生々しいセクシーではない、白い光を放つ硬質なダイヤモンドのような清らかなセクシーさ。

 

2幕のラスト、デュエダンのために大階段に登場したいお衣装の真風涼帆さんは、自ら清らかな白い光を放つようでした。繊細なステップで踊る潤花さんは白い光とともにある妖精のようでした。潤花さんはダイナミックに笑う、爆発的に楽しい娘役さんです。でもデュエダンを終えた彼女は、羽の生えた白い妖精のように軽やかに下手にはけて行かれます。

 

一人舞台に残る真風さん。

後ろの大階段が青く光り、星が流れます。舞台の上は薄い紫の照明に照らされ、様々な星が映し出されます。星組出身の真風さんの宙組での退団公演を象徴する美しい照明でした。

その光の中で、一人静かに踊る白い発光体の真風さん。私が好きになった「ロミオとジュリエット」の「死」の役を思わせる手足を柔らかく使った伸びやかなダンス。

愛おしむように、大劇場に別れを告げるように、床に静かに片手を付く真風さん。

もうだめだ。千秋楽の日、干からび切った自分が見える・・(T-T)。

 

3.ど直球の「君に会えて良かった」

小池修一郎先生が退団ど直球ストレートの歌詞を投げてこられます。これから観劇の方はどうぞお覚悟を。

フィナレーが始まる直前のお芝居ラスト。一人舞台に残った真風さんは「Adieu 君に会えて良かった」を歌われます。

小池先生!なんで、そんな臆面もなくど直球のタイトルと歌詞で来はりますのん?(T-T)

いえ、それでこそ小池先生。清らかな宝塚愛がそこにあります。

今夜見上げる星を 君も数えているのだろうか

明日見上げる空を 君も見ているのだろうか

この地球のどこかで 君は生きている

作 小池修一郎氏、2023年「Adieu 君に会えて良かった」より

 

パラシュートに乗る二人が歌う「この広い世界に生まれて」で、「私たちは、いつかきっと街角で空を見上げて思うんだ、真風さんを」と思った後、お芝居ラストでとどめを刺されます。

きっと不意に思い出すのは間違いない。その時に何をどう思うのか。漠然とまだわからないまま、私たちは取り残される。その一つの答えが、ここにあります。

星を見上げて、空(宙)を見上げて。

大丈夫、あの方も今、地球のどこかで生きておられる。きっと、健やかに幸せに。

そう願うしかないのです。

そして、再び出会うまでに、私達ももっと強く賢く優しくなっていないといけない。

真風さんが「もっと大きく もっと賢く もっと強く もっと優しく なっていられるように 俺も生きていく」と歌われるから。

私にとって、それは一つの約束に思えました。再びきっと会える。でもそのために、私たちも「会うにふさわしい自分」になっていたい。そう願います。

「君に会えて良かった アデュー」を最後の言葉に、舞台から去っていくトップスター・真風涼帆さん。

何という直球どストレート。何のてらいも、詩情で美しく飾ることもない率直な言葉。でも、それこそ、私達にとって真風さんに言ってほしかった言葉なんだと思います。

ありがとう、小池先生。私たちへの優しい贈り物。

4月に入り、たとえばラスト10日頃から、私達は大丈夫なんでしょうか・・。もうだめかもしれない。でも強く賢く優しく生きる。だって、それが約束だから。

 

以上、読み返してみたら作品の感想じゃなかったです。真風さんファンの心の叫びとしてお送りします・・。

真風涼帆リサイタル・MAKAZE IZM観劇感想 男役の魅力と爆笑と安心と

真風さんファンの皆様、お元気でしたか?

例の件について、記事見出しや憶測をうっかり目にして、コンサートで真風さんがお話になられた時の様子を伝え聞いて(あるいは現場でご覧になって)、心配と怒りと疑心暗鬼で食欲減退や睡眠不足になられたファンもおられたと思います。私は仕事多忙もあったのですが、深夜にあれこれ情報収集に走っていたため、やや睡眠不足気味で向かった国際フォーラムでした。

この私が!真風さんの開襟チェックをしなかったほど、心配していたんですよ。ええ。今、開襟の深さのチェックをぬかったことを、めちゃくちゃ後悔しています・・。

マチネが終わり、合流したマカ友ちゃんと軽く乾杯。お互いに出たのが「安心した」。コンサートでご自身から話をされ、休演日を挟んでの見事な切り替えでした。(多分、企業の立場からは、話をするのは止められたかな?と考えます。はい、これは私の勝手な想像ね)

今日観たのは、晴れやかですっきりとした、真風さんのこれまでを振り返る退団前コンサートでした。普通に明るく楽しく、少し寂しく。多くの方にとって予想外であったのは、真風さん最大の応援団=潤花ちゃんの超明るい存在だったのではないでしょうか?

今日なんてね、潤花ちゃん作詞作曲の「今日も元気にお腹を抱えてわっしょいしょい♪」という謎の名曲を、観客も一緒に踊ったんですよ(笑)。

あの元気印で有名な桜木みなとさんが困ってるんですから・・。ずんちゃんのお兄様キャラも素敵です。

 

本当に、様々な憶測や出所が判明しない情報が入り乱れた数日間でした。

ただ、ご本人たちが否定されたことに加えて(会には否定メールがそれぞれ流れたと聞きます。はい、ここも伝聞)、私には星組時代からずっと舞台を観てきた時間がありました。その時間は少なくとも確かに共に生きている。加えて、スカステも出版物もくまなくチェック、真風さん発言データを集めまくっているわけです。

深さで言えば宙組時代からご一緒されている宙組生さんや宙組OGさんよりも深いくらいかも(笑)。星組の泣き虫時代のぴよぴよ真風さんだって知ってるんだから!潤花ちゃんにだって、負けないわ!濃厚さでは負けるけど・・(笑)。

 

リサイタルで印象に残ったシーンを以下、お伝えしてみます。楽曲の順番や内容はtwitter情報を元にしています。記憶違いもあると思うので、ごめんやで!

あ、ペンライトは自由に光らせて、振ってました。首にはタオル、薄手のタートルネックの上にTシャツを重ね着。オペグラを持ち、ペンライトを振りながら、拍手もする。大変やったわぁ!ソワレでは、お隣のお二人組とリズムを合わせてふりふり。無言の連帯感がありました。

 

1.オープニング

”俺は俺らしく 君は君らしく 胸を張って生きてゆこう”が印象的なテーマソング。

今日のマチネで、ここの「君らしく」で手を差し伸べられたのは多分、いえ、きっと私!うきゃ!(思い込んだもん勝ち。その一帯の皆様とご一緒にね)

ずんちゃん中心に「カルトワイン」の楽曲もオープニングすぐに。良かったなぁ。

 

2.ダンディー

赤紫ぽい衣装で肩にもふもふつけた真風さんがご登場。

ここで始まるMr.ボージャングル。すっしーさんの名演です。ふっと世界に入っていくのが本当にすごい。

オーシャンズ11のジャックポットから、ロミジュリの真風ティボルト。迫力ありました!踊る娘役ちゃん達の衣装も表情もかっこよかったなぁ。潤花ちゃんの美脚とかっこいい表情もチェックしてね!

ここでは、337拍子で我々も参加するコーナーがあります。優しくきびきびとした桜木みなとさんの先導でNICE GUYのテーマソングをご一緒に。妙に楽しかったです。

 

3.風と共に去りぬ

スカーレットの潤花ちゃんが似合うのよ。さすが道産子プリンセスちゃん(今回、命名されてましたね)、潤花ちゃんの白いドレスの後ろにタラの土地が見えました。美しく力強いスカーレット、何だか農場も再建しそうなんですよね。

堂々登場されるレット・バトラーの真風さん。石田先生が先生方に聞いてくださったそうですが、真風さんに演じてほしかったお役№1だったとのこと(まだ演じていない中で選ぶなら、だったと思います)。ずばりはまり役。ただ、もう少し大きめのスカーレットさん相手に一度、タカスペでされているので、ほぼ自分のお役ですよね!ご自分でもおっしゃってました。

セントルイス・ブルース

かっけー!赤いお衣装の桜木みなとさんをセンターに、男役さんたちがハットをかぶったり脱いだり。ハットを取った時の目がセクシーですよね。お一人、一番後ろでめちゃくちゃ表情豊かな方がおられるな?と注目。今回、給水で注目を集める鳳城のあんさんでした。

ナイト&ディ

ここの緑のお衣装のトップコンビがオルゴールのてっぺんについているお人形さんみたいで、大好き。クラシカルなバービー人形の男役版という感じです。

真風さんの歌唱はFWMでぐっと変わりましたよね。その成果が感じられる英語での歌唱です。今日のソワレで階段上からの「You!」は多分、いえ、きっと私!(思い込んだもん勝ち・・以下同。なお、2階後方のため遠い)。

 

4.ジャポネスク

まず、白鷺の城の歌を瑠風輝さんが朗々と。娘役ちゃん達を率いる天彩峰里ちゃん。すっきりされたかな?キュートな美少女だわ。

ここで、真風さんの故郷、熊本県の民謡「田原坂」。”越すに越されぬ 田原坂”というのは確かに聞いたことがあります。モダンなお衣装の真風さんをセンターに男役さんが勢ぞろい。真風さんの背中には宇宙、星、雪のマークが。

田原坂の次は、吉田拓郎さんの「人生を語らず」。”越えて行け そこを 越えていけ それを”という歌詞は聞き覚えがあります。ザ・男という感じの歌。男役さんが舞台の上に座ったり、立って歌ったり、お一人ずつの場面がありますね。誰が歌っても上手い宙組さんです。この2曲は男役さんの魅力が炸裂しています。

FWMの時も素晴らしかったのですが、真名瀬みらさんと若翔りつさんのお二人の歌、本当に素敵ですね。好きですわ。(確かここだと思います。記憶違いだったらごめんね)

そして、「娘ソーラン」ですよ!ぶち上がりました。道産子プリンセスの潤花ちゃんと宙組ガールズ、きりっと歌ってくれはります。最初、大漁旗を持って登場する愛未サラちゃんと夢風咲也花ちゃん(だったと思う)。かっこいいよね!

 

5.海人イレブン

この冒頭がIZM様衣装の「ハネウマライダー」、続いて娘役ちゃんにきゃぁきゃぁ言われる「モンロー・ウォーク」です。このリサイタルのセクシーパート!

一緒にきゃぁきゃあ言いたい!おばちゃんも混ぜてほしいわぁ。(物陰から覗くmiyakogu)

権利関係でタイトルを使えないため、「海人(うみんちゅ)イレブン」となっています。ぷぷぷ。(登場する9人と真風さん、ボーイの変装してやってきた瑠風さんと合わせて11人かな?)

海辺でくつろぐIZM様(パンフにある役名はミスターS)に、指令の電話がかかってくるんですよ~。ここはどうぞ配信でお楽しみください。

散々大変な目にあったので、戻りたくないミスターSの真風さん。何とか帰って来てほしいカンパニー。過去に演じた役について、いかにひどい目にあったかの回想が始まる訳です。ぷぷぷ。

天は赤い河のほとりからは、カイル役の桜木みなとさん。ええ歌やなぁ、ここのオープニングのメロディ、好きだったんですよ。

ランスロットからは、ランスロット役の真名瀬みらさん。このバウ公演はリアルでは間に合っていません。残念!映像で見た天寿さんとのお芝居が好きでした。

日の当たる方へからは、ジキル博士役の雪輝れんやさん。真風さんがパジャマで眠るシーンがあったよね?凝視した記憶あるわぁ。DC千秋楽で真風さんが号泣された演目。これも天寿さんにお世話に。

ヴアンパイア・サセクションからは、アルカード役の若翔りつさん。レモン・ツリーが象徴的な存在でしたので、レモンの植木鉢を持ってご登場。

黒い瞳からは、ニコライ役の秋音光さん。愛ちゃんと真風さんの黒い瞳、好きやったなぁ。私、ニコライ坊ちゃんの真風さん、妙に好きなんです。

異人達のルネサンスからは、ダ・ヴィンチ役の湖風珀さん。宗教上の権力闘争?に巻き込まれて・・と遠い目。

アナスタシアからは、ディミトリ役の優希しおんさん長いコートを翻して踊るキヨちゃん、素敵でした。あのコートを着て綺麗に脚を上げ、回転されるんです。見どころです。

ネバセイからは、ジョルジュ役のロイヤル柴藤りゅうさん。いやぁ、アナスタシア、ネバセイと大作続きでしたね。

シャーロック・ホームズからは、ホームズ役の潤花ちゃん。彼女、本当は男役でもいけたんじゃないのかしら?という力強い目線です。

ネバセイのワン・ハート(そういう使い方です?という感じですのでお楽しみに)から、アナスタシアのJurney to the pastへ。いい曲多いなぁ。アナスタシアの楽曲、本当に良かったですよね。

 

6.ガール・IZMからフィナーレへ

SHISHAMOさんの「明日も」を歌う娘役ちゃん達。本当に、可愛い!

黒髪がトレードマークの水音志保ちゃんが今回、珍しく明るいブラウン系?です。もう、みんな可愛いわぁ。ついこの間まで、苺美瑠狂の明日香役でふっきった演技が印象的だった花宮沙羅ちゃんもキュート!

一曲終わると、潤花ちゃんが炸裂するMCタイムが始まります。もうここは、一杯SNSで伝わっているので省略!一杯話したいこと、したいこと、クイズにしたいこと、伝えたいことがありすぎて、炸裂している潤花ちゃんです。面白いなぁ。

出てくる真風さんが膝に手をついて崩れ落ちながら笑ってしまうのが、見ていてほっこりタイムです。

真風さんが「Lemon」(米津玄師さん)、潤花ちゃんが「君に送る歌」(シェネルさん)、再び真風さんが「まんげつの夜」(ナオト・インティライミさん)を歌われた後、ホテル・スヴィッツラハウスから「Lives in the theater」で大団円です。

ホテル・スヴィッツラハウスの無観客配信を覚えています。劇場で生きる時間、劇場以外での暮らし。演者たちの歌であり、観客の歌でもあるかのようにも思えます。私は植田景子先生の著書を読んだことがありますが、おそらく何か大きな喪失を観劇で埋めていかれたのかな?という記述があり、その思いが込められた素晴らしい楽曲だと思います。

また、「まんげつの夜」の後だったかな?と思うのですが、真風さんがにこっと、下級生時代を思わせるような可愛らしい笑顔を見せられる場面があるんです(場面の記憶違いだったらごめんね)。本当に清らかな柔らかな笑顔で、私はその笑顔が好きなんです。何となく、まぁ様に甘えておられた時のような笑顔。あんなにクールな男役さんなのにね。

 

7.アンコール 希望という名の光

今回、私が一番強く印象に残ったのは山下達郎さんのこの楽曲です。

真風さんが2017年の巴里祭でもアンコールで歌われた曲。当時、熊本の震災後であり、真風さんが心を込めて歌っておられるのが伝わってきました。

その時に印象に残ったフレーズは「眠れない夜のために 子守歌があるように」。

今回は「何度でも起き上がって 立ち向かえる力を送ろう」でした。

特に「何度でも起き上がって」の力強さ。

ああ、この方は大丈夫だ。何があっても立ち上がる力がある。

初めての新人公演の5分前に泣いてでもやり遂げたという、あの時からずっとずっと、人間の芯に大きな強さがある人。大丈夫。そう確信できました。

主演として舞台の真ん中に立ち、何作もやり遂げてこられた。そこからしか見えないもの、真ん中に立つ者しかわからないこと、逃げない強さ。これまでの経験の中で、この方が一つずつ、一歩ずつ蓄積されてきたものの厚みと強さ。その揺ぎ無さを感じ、安心したのです。大丈夫だと。

今日、観劇できて本当に良かった。リアルに真風さんの姿を観て感じなければ、変な方向で心配ばかりしていたかもしれません。

もちろん、失敗したり、後から考えたら良くなかったり、こだわりが少し面倒だったり、言葉が少し厳しかったり、まだまだお若い方なりにいろいろなことがあるだろうと思います。

でも、そこから軌道修正したり、起き上がる力こそが大切ですもの。30代(フェアリーですが推定)は、私たち50代社会人から見たらひよっ子さん(笑)。(真風さん、ごめんなさいね)

 

どうぞ、千秋楽まで無事に駆け抜けられますように。

007が素敵な作品になりますように。

潤花ちゃんが明日も弾けていますように。

真風さんが幸せでありますように。

配信を、どうぞお楽しみください。だって、潤花ちゃん、気になるでしょう?ね?!

宙組トップスター・真風涼帆さんの退団発表に捧ぐ 「カプリチョーザ!!」のアリベデルチ・ローマ

本日、宝塚歌劇団宙組トップスター 真風涼帆さんの退団が発表されました。

いつか来る日とわかってはいました。十分、いろいろな真風さんを見せていただきました。

けれど、文字になってしまったものを見る衝撃の大きさ。初めて、今日わかりました。ご贔屓を2人見送ってきた娘に教えを乞うか・・。今はそんな気分です(泣)。

以下は、予兆を感じる中、ハイロー千秋楽の夜に書いた、いわば「予定原稿」です。発表があったため、アップいたします・・・。

潤花さんがご一緒されること、胸暖かく受け止めております。(かっこいい真風さんを見たら)火を吐く、(ショーの魅力を伝えるための)もうすごいことになっております!等の明るい名言、今回の公演で見せてくれた静かな明るさをたたえた繊細な演技に歌。艶やかな大輪の花のような潤花さん、本当に宙組に来てくださってありがとう・・・。

 

1.「カプリチョーザ」のローマ

今公演のショー『Capricciosa(カプリチョーザ)!!』-心のままに-を初日観た真風さんファンは、予兆を受け止めていたと思います。

第6章官能の町 ローマ。

キキちゃんとその場を去る潤花さんの背中を押し、一人になった真風さんカプリチョーザ。(結局、潤花ちゃんは旅を終えようとするカプリチョーザの元に戻ってくれたのですね・・涙)

そこに同期の副組長・松風輝さんがハットとコートを持って現れ、真風さんに微笑みかけます。客席からは真風さんの表情は見えません。けれど・・。

初日、松風さんが、同期のトップスターを慈しむ、少し照れたような、始まるねというような笑顔を真風さんに向けられた瞬間、あ、これはもう・・と察しました。

「アリベデルチ・ローマ」。1955年に作曲され、後に映画で使われたことで大ヒットしたカンツォーネと知りました。二度と会えないというより、「また会う日まで」というニュアンスのようです。

副組長の同期が真風さんにコートを着せ、組長がこう歌われます。

アリベデルチ・ローマ 旅の終わり

あなたを振り向かせ 時計の針を止めて 永遠に旅を続けたい

さらに、まっぷーさんと小春乃さよちゃんが歌い継ぎます。

あなたとの思い出は 楽しく美しく

心に刻まれ続けている

出典:宝塚歌劇団『Capricciosa(カプリチョーザ)!!』 

メモを元にしているので細部が間違っていたらすみません。

もちろん、後ほど出て来られる今公演での退団者の皆様を送る場面でもありますが、明らかに真風さんに向かって歌われた歌です。

真風さんも、「いろんなことがあったよね、わがままばかりでごめんね」と歌われ、あたかも宝塚人生を振り返るかのような歌詞になります。

その場面のラスト。真風さんは一人だけ大階段を上り、ハットを取って振り向き、ぱっと腕を客席に伸ばします。再び、帽子をかぶり背中を見せて一人で階段を上がり去って行く真風さん。千秋楽の配信のこの場面、真風さんは清々しい輝きに満ち、いつも以上に時間を取っておられました。

階段を上がる背中を隠すように幕が下がり、対照的に舞台上に残る”これからの若手メンバー”。そう、過去に何度も真風さんが担ってきたシーンですね。うんうん・・。

 

がしっ!(オペグラを握るmiyakogu。机がないので叩けない)

なーに、サヨナラショーの盛大なリハやってんですかぁーーーっ?!(泣)

(心の声 エコー)(エコー)(エコー)(エコー)

オペグラを握りしめる手もぷるぷると・・(泣)。注:初日

 

私のTLにおられる真風さんファンの暗黙の統率が見事だったのは、誰もtwitter等で、この場面に触れなかったことです。同じローマでも、ご退団者については触れるけれど、ローマの場面の歌や振りの意味については、一切触れない暗黙の連帯。

次が007のジェームズ・ボンドという、これまたかっこいい男代表のようなお役の小池先生の一本ものですから、ショーは”今この時”しかできません。

東京であれば発表も済み、あたりをはばかることなく盛大に泣ける。

私が今回、東京遠征、しかも普段は観劇しない平日遠征を決めた最大の理由がこれです。大劇場ではまだ泣くわけにはいかない。そう決めていました。

 

2.退団の予兆のような何か

6月の末、宝塚お友達からチケットを譲っていただき、私は朝夏まなとさんと加藤和樹さんのコンサート「THE Roots 2022」を見に住友生命いずみホールを訪れました。クラシック音楽用に作られた小規模ながら高質なホールです。

その時、すらりとした背の高い長め前髪のジェンヌさんが3列目くらい斜め前に座られました。きゃしゃな肩の、たおやかな女性的な雰囲気。

まぁ様のコンサートに来られているなら、おそらく花組か宙組の下級生さんです。真風さんによく似ておられるなぁ、こんな方おられったけ?花組さんかなぁ?帰ったら「宝塚おとめ」を見てチェックしようと思っていました。

しかし、その方は他の目撃談から、どうも真風さんご本人。後に、最新ビジュアルを見たときに、長い前髪で確信しました。

なぜ、気づかなかったのだろう??

私は真風さんデータベースのようなものが脳のどこかにあり、真風さんの画像や取材インタビューの内容がタカタカタカと取り出せるのです(オタク特有の特殊技能)。

真風さんを見逃すはずがない。おかしい、なぜ、このような失態を・・?miyakogu一生の不覚、真風さん後頭部をがん見できたチャンスだったのに?(違)

おそらく、今までと違う雰囲気をまとった真風さんだったからだと思います。

コブラちゃんを演じるための長め前髪はもちろんですが、お稽古場から直接駆け付けたようなラフなシャツに加えて、お見掛けした真風さんはたおやかでした。

そう、何か重い荷物をいったん降ろしたかのような。

もしかすると、荷物を降ろすことにされたのかもしれない・・・(絶句)。6月末のことでした。

 

3.宙組20周年の堂々たるトップスター

真風さんの退団があるとしたら、おそらく9作目かなと一定予測はしていました。

真風さんが入団後、研9まで過ごした星組の大トップ・柚希礼音さんは大劇場11作。宝塚歌劇団100周年をリードされた特別なトップです。

真風さんは、100周年後半を次の110周年につなぎ、創立20周年を迎える宙組の”らしさ”をより明確にするためにトップとなられた、燦然と輝く特別なトップスターのお一人だと思います。

175センチの長身、江戸の浮世絵の歌舞伎役者のような面長、涼やかな目元。長くまっすぐな美しい脚、縦長の美しい骨格。踊っても元に戻る美しい髪の流れ。センスのいい鬘、優しい声、美しく品のある男役としての所作。

私は大劇場の星組「ロミオとジュリエット」でシルバーグレイの長髪で「死」の役を踊る真風さんを初めて見たとき、こんなに美しい生き物を見たことがないと呆然としました。

前トップの朝夏まなとさん=まぁ様が花組からの伝統で、娘役さんに可愛いねを連発し(ちゃらく)宙娘ちゃんの素敵さを増していかれた後、柚希礼音さんの元で男役像を学んだ真風さんが宙組に伝えたであろう熱さ。真風さんが秘めた情熱は静かに見えて、瞬間、爆発する、そんな情熱。

今、宙組さんは、もともとあったコーラスと長身スタイルの強みの上に、一つの“らしさ”が完成されたように思います。すこーんと青空のように明るくて楽しそうでスタイリッシュ。そこに、”華”と”熱”が加わった今の宙組はとても魅力的です。

宙組の太陽・まぁ様に続き、経験値の高い男役1,2が一定期間、かちっと安定しておられることで若手が育つ今回、「HiGH&LOW」を観て、20周年を越えていく宙組には、どこかでその安定的なプロセスが必要だったのだろうと私は思います。

 

4.終わりを見据えた静かな覚悟

柚希礼音さんの元で新人公演、3番手時代を過ごされたために、経験値が非常に高いことは、真風さんのゆったりとした大きさを作った要因の一つだったと思います。バウ、DCはもとより、ショーの新人公演主演の経験(大羽根を背負って)、武道館でのコンサート、男役123によるディナーショー。その経験があってこその東京ガーデンシアター「FLY WITH ME」。

随分前に退団発表後の柚希礼音さんを取り上げた雑誌「anan」に星組3番手として登場された時、近くで柚希さんの退団プロセスをご覧になっていたためか、インタビューでいつか男役を終える日が来ることを見据えて、という趣旨の発言をされていたことを覚えています。

この人はもう、男役をいつか終える日を見据えている・・。衝撃でした。

だからこそ、この限られた「今を生きる」を大事にされてきたのでしょうか。その静かな覚悟が大きな包容力となり、熊本から来た少女を今の真風さんへと変えていったのかもしれません。

 

5.真風さんと共にある10年

宙組『カジノ・ロワイヤル ~我が名はボンド~』の東京千秋楽は来年6月を予定されています。

私が星組ロミジュリを観劇したのは奇しくも、その10年前の6月。すぐにお手紙を書いて7回観劇し、7月のお誕生日イベントに入待ちで参加したことがあります。

新入りさんです」と紹介され、間近で真風さんと向かい合いました。どんな席よりも近かったと思います。(残念ながら私のライフスタイルはFC活動には馴染まなかったので、継続はできませんでした)

当時、私は小さな会社とは言え、親族外で後継者となることを打診されていました。

星組3番手の真風さんにいつかトップスターの大羽根を背負ってほしいと夢をかける。一方で、自分はそんな重そうな役目は嫌だと辞退する。それは卑怯ではないだろうか?その思いに動かされて役割を引き受け、来年6月には私自身も10年目を迎えます。

その10年の間にはまさかの療養もありました。お正月の病室で見たNHK生中継の「アクアヴィーテ」。今となってはもう懐かしい思い出ですらあります。でも、あの劇場に行くんだという強い願いは、何よりの薬であり、光でした。

美しく完成された男役、宝塚歌劇団宙組トップスター 真風涼帆さん。

私の光になってくださって、ありがとう。

故郷・熊本の震災後、巴里祭で歌われた「希望という名の光」、FWMで歌われた「Love,Dream & Happiness」。ずっと覚えていたい優しい声の響き。

来年6月、退団される真風さんをまっすぐに見送ることができますように。

 

まずは東京宝塚劇場でのハイロー、無事の上演をお祈りします。

ぶち上がるぜぃ!!!最後までHigher、もっと高みへ、へーい!!!

叫びたいねぇ(泣)。

宝塚宙組ハイロー 異なる世界をつないだヅカローロマンス 感想、行くぜぃ!

宝塚大劇場で上演を続けてきた宙組HiGH&LOWとショーCapricciosa!!、いよいよ千秋楽を無事に迎えられそうです。台風一過の今日は見事な秋晴れ。明日の千秋楽が滞りなく進みますように。

さて、千秋楽を控えてハイローの観劇感想と少しばかりの考察をつづっておきたいと思います。以下、大事な場面についてネタバレがありますので、気になる方は観劇後にどうぞね!

 

1.HiGH&LOWと宝塚をつなぐキー・キャラクターとロミジュリ風味

通称”ヅカロー”の今作品。ハイローファンの方々にもご観劇いただき、宝塚ってすごい!と受け止めていただける作品となったようで、嬉しく拝見しています。

初期の頃、ハイローファンの方からは自分たちは満足だけれど、宝塚ファンの方は大丈夫だろうか?とご心配いただき、一方、宝塚ファンはハイローファンの方々に女性が演じるヅカローを受け入れていただけただろうか?と心配。お互いにどうやら大丈夫と胸をなでおろしたところかと思います。

宝塚とハイロー。

私自身、LDHさんへのイメージは筋肉バキバキで日焼けして、キレッキレのダンスにダブルボーカル。TV番組でお見かけすると、ダンスパフォーマンスを真摯に追求されている方々だなと感じていました。

宝塚とハイローの世界はかけ離れた存在だけれど、おそらくパフォーマンスへの真摯さは宝塚とLDHさんの両者は共通していると思います。宝塚の皆様も、すらっとお綺麗だけれどある種、舞台上のアスリートのよう。案外、共通点はあったのかもしれません。

その中で、両者をつなぐ存在としての岩田剛典さんの存在は大きかったと思います。

私自身、以前に映画予告を何回か見かけて、気になってネットで見たのが岩ちゃん主演の映画「パーフェクト・ワールド」。筋肉質だけれど細身ですらっとされていて、LDHさんの他の方と比べると色白で、綺麗に口角が上がったスマイルに、育ちの良さがうかがえる品。

岩田さんがコブラを演じていて、それを我らが宙組トップスター・真風さんが演じる。納得感があります。

私は予習として映画「HiGH&LOW THE MOVIE」を見た限りですが、基本は男たちの熱い闘争だけれど無駄に喧嘩をしている訳ではなく、守るべき存在があり、湿度の高い性的要素が無く、かっこいいアクションシーンの連続で、ちょっとお茶目なところもある。

岩田さんの存在に加えて、窪田正孝さんが演じるスモーキーのキャラも宝塚とハイローをつないでくれたと思います。ルードボーイズのリーダーで意思も喧嘩もめちゃくちゃ強いけれど、体は弱くて儚げ、うつむき加減で言葉では多くを語らない・・。

うん、宝塚ファンが好きそうなキャラやわと思っていたら、娘曰く、そんなん、全オタクが好きなキャラやん?とのことでした。やっぱりか・・。

 

さらに、野口先生が宝塚とハイローをつなぎ、”ロマンス”のフレイバーをたっぷりと振りかけたのが、ヅカファンならどなたもキャッチされたであろうロミジュリ風味した。

古洋館で開かれる仮面舞踏会のインビテーションは、ハイローの世界への宝塚ファンへのインビテーション。

大丈夫、これから始まるのはロミジュリぽい世界だから、喧嘩ばっかりじゃないよと誘う招待状です。パンフの野口先生のご挨拶におけるタイタニックに関するコメントを読んでもおそらく、実際にそうだっただろうと思います

古洋館での仮面舞踏会とすることで、コスプレのような白い時代がかった衣装が登場。娘役さん達もふわっとしたスカートの白いミニドレスで、クラブで踊ってますという感じの露出の多い衣装ではない安心感があります。ここ、めっちゃ可愛い娘役さん達一杯で嬉しくなっちゃいます。宙娘、充実してますよーー!

舞踏会に一緒に行こうとコブラにせがむ3人組も、カナと出会ってから変わってしまったコブラを責めるまちの仲間たちも。かんっぺきにロミジュリでしたね。コブラの仲間の3人組を演じる柴藤りゅうさん、若翔りつさん、亜音有星さんも三者三様で可愛いんですよね。

私たちはあら、知っている世界だわと安心して、ハイローの世界へと入っていけたと思います。

 

2.トップコンビならではの宝塚ロマンス

真風さん演じるコブラと潤花ちゃん演じるカナの恋。

「Fly With Me」で先行して歌われたメインテーマソングから、カナちゃんは病弱な美少女なのかな?でも衣装はアクティブそうかな?と思っていましたが、活発な明るい重病のカナちゃんでした。

パンフレットには「大病」とあり、この手のストーリーで良くある「癌」や「白血病」としなかったのは、おそらく観客への配慮だろうと思います。私自身を含め、全人口の半数は癌になる時代。加えて、医療の素晴らしい進歩により完治・寛解が見込める病になってきているのも事実です。治療法を探して国中を回ったというセリフから、ここは何らかの難しい病気だと受け止めておこうと思います。

とは言え、初日、「私、もうすぐ死ぬの」のあっけらかんとしたセリフの唐突さに、むむむ?となったのは事実です。あ、そのカード使っちゃうかぁと。

しかし、開幕2週間めくらいからか、潤花さんの間を置いた切り出し方に変わってきて、あ、コブラが相手だから思い切って打ち明けたのかな?淡い初恋の相手だったのかな?という余白が出てきたように思います。

コブラちゃん、そこは救急車呼ぼうよ、いや、フォトスタジオというのがあってね、素敵な空間で写真撮れるよと心の中であれこれ突っ込みつつ、2つの異なる世界をつなごうと必死であったであろう野口先生のご苦労を思うと・・

こまけぇこたぁ、いいんだよ!

これが宝塚のハイロー祭りでぃ!

となりました。

 

この全員主役のハイロー祭りの中で、楽しい瞬間、胸きゅんなシーン、静かな空間、繊細な感情をつないでいくのはコブラとカナの二人の物語です。

二人だけのシーンは穏やかで楽しくもあり、悲しくて切ない。そして、なぜか透明な明るさがある。

その透明な明るさを、最後に「出ちゃった」と表現してくれた潤花さん。彼女の明るい持ち味が生きた重要な場面でした。

対して、「お前、出ちゃったじゃないぞ」と、真剣なシーンなのに特有のコミカルさを表現してみせた真風涼帆さん。

”生きている間”は抱擁だけだったのに、キスをした後、すぅっと暗闇に消えていくカナの切なさ、真風さんコブラに残る深い想い。

宝塚トップコンビならではのロマンスが確かにそこにはありました。

 

真風さんは山王連合会の頭で強い男です。でも、恋をし、カナーーー!と叫び、涙を見せる。喧嘩ばかりの強い男が出会ってしまった繊細な人生の物語。

バイクに乗せてくれて、遊園地お化け屋敷に付き合ってくれて、いなせな浴衣姿で夏祭りに一緒に行ってくれて、仲間との大事な風景を見せてくれて、病室で夢をかなえてやると言ってくれて、抱き締めてくれる・・・。

そんなん、観客も恋するやん?!

あ、前からか。

 

3.宙組顔見世興行

全員主役がコンセプトの原作・ハイロー。宝塚ではSWORD+苦邪組の6組の頭と各チームにキー・メンバーがいることで、見事に宙組メンバーの顔見世興行にもなったと思います。ロッキーを再現度高く演じておられる芹香斗亜さん、超かっこいいイケオジの寿つかさん、曲者感が見事な松風輝さん、目じりキリっの小春乃さよさん、山王連合会の3人組はもちろんお見事なのですが、以下、印象の強い若手メンバーの皆様を順不同で。

 

桜木みなとさんのスモーキー

トップコンビ以外で、ハイローの中に確かな物語を感じさせてくれた筆頭が、ルードボーイズを率いるスモーキーを演じる桜木みなとさんでした。

スモーキーは原作映画でも圧倒的存在感の窪田正孝さんが目と表情の演技を見せておられ、彼がなぜこのまちの守護神になったのか、どういう人物なのか、何があったのかを知りたくなります。背後にある物語が確かに感じられるのです。

桜木みなとさんのスモーキーは、おそらく窪田さんの演技に触発された脚本と、ずんちゃん自身が作り上げた儚げな美少年スモーキー像により、彼をめぐる物語が確かに舞台上にありました。

ルードボーイズは初日からダンスが抜群

ショーでとんでもないロケットを見せてくれる優希しおんさん筆頭に、身寄りが無い者が家族として集まり、誰よりも高く飛ぶことを目ざすチームを見事に表現されています。

 

風色日向さんのKOO

セクシーでインパクトの強いロッキー役を見事に演じておられる芹香斗亜さんの右腕、KOOの風色日向さんも印象的でした。ぴくりとも笑わないクールさに、明晰なセリフ、常にロッキーを支える強さ。強い印象を残しました。ショーでも色気のある目線で、いや、あなた、変わったわね!(歓喜)

ホワイトラスカルズは原作でもゴールデンボンバーの皆様が出演されていて、ちょっとコミカルなんですよね。みんな可愛いなぁ。

 

真白悠希さんのロン

苦邪組の最年少・ロンを演じる真白悠希さん。ひょうひょうとしたロンですが、未成年の彼がなぜ苦邪組にいるのか、どういう出自なのか、仲が悪そげなメイナンツーとはどんな関係性なのか、こちらも知りたくなる存在でした。わずかな出番できっちりと印象に残してくる、今後が楽しみな演者です。宙組本によると宴会女王らしいですし・・(笑)

 

泉堂成さんのメイナンツー、苦邪組を率いる留依蒔世さんのリン

原作にないオリジナルキャラが話題騒然の美少年、苦邪組のボーイ・メイナンツー。泉堂成さんが色気駄々洩れの目元でクールに演じる美少年っぷりで、ハイローファンの方々の心を次々と奪っていく様は、さすが宝塚歌劇団ですわ。うんうん(歓喜)。あの子、ほんまに危険。どうするつもりなん?!大々的に売り出してください。

リンを演じる留依蒔世さんは低音ボイスで指示を出すのがかっこいいんですよ。多分、気前のいい、結構いいボスだと思うんだけどなぁ。今回、ショーで退団前に務めておられるエトワールの歌唱が大劇場でびりびりと響き渡ります。

 

瑠風輝さん率いる達磨一家

原作で一番難しい楽曲だなと思っていたのが、達磨一家の「VOICE OF RED」。どうするのかな?と思っていましたが、さすが瑠風輝さん、初日から歌いこなしておられました。実は中間地点くらいで拝見した時、一番柄が悪くなっていたのが達磨一家の皆様。迫力を増すもえこちゃんの歌と決めセリフには震えたね。

加藤役の希峰かなたさん、右京と左京役のお二人。特に赤い帽子をかぶった左京役の凰海るのさんは太いネックレスで目つきが悪くて、だぼだぼのズボンで、わざと首を突き出した猫背で歩いて、ジェンヌさんのお芝居魂に感動です。宙組本でも真風さんにお芝居のこと、褒められていた方ですね。(間違ってたら教えてね)

苦邪組との総決戦では達磨一家が登場するシーンで、一瞬だけ原曲に出てくる「通りゃんせ」のメロディーが流れます。ぶち上がりました!

 

鷹翔千空さん演じる村山

スモーキーずんちゃんと並び、原作ファンが歓喜されていたのは鷹翔千空さん演じる村山。「べー」ってするし、厚めの前髪で額を覆って目のぎらつきが一層強調されるビジュアル。バウのWSだったかな、舞台袖で一人で空を見つめている不思議さを暴露されていたこってぃが、こんなに熱く仲間と・・(涙)。胸熱です。

映画で総決戦に歩いて行こうとする村山を、大きなトラックに乗って大勢の仲間が追って来るシーンが妙に好きなんです。ぶち上がりますね!

 

苺美瑠狂と元ナタデココの苦邪組七姉妹

いやぁ、娘役ちゃん大活躍です。映画ではほぼ戦わないのですが、宝塚の舞台では参戦、見せ場もたっぷり。達磨一家の場面にも花魁姿で登場と大活躍。

苺美瑠狂総長の天彩峰里ちゃんはショーでも大活躍です。明日香を演じる花宮沙羅ちゃん、愛未サラちゃんに夢風咲也花さんをはじめとする皆様が、足をがっと開いて座っているのを見ると、皆様よくぞ・・と感慨深いです。

春乃さくらちゃん率いる苦邪組七姉妹は美脚の嵐。目の粗い網タイツ姿にチャイナドレスがとってもお似合い。なのに柄悪く戦うんですよね、これが。「上等だよ、ごるらぁ」とかジェンヌさんがセリフで言う日がくるとは・・・、めっちゃ美声の歌姫なのに・・(笑)。頑張っておられます!

 

4.宝塚らしさの狭間で

私の周りには祖母の代からの宝塚ファン、何十年と大劇場に通ってこられたオールドファンが複数おられまして、皆様、厳しい目をお持ちの見巧者です。

初日開けてお問合せがあり、物語としては不十分に思われるかもしれないですが、原作も全員主役のショー的作品なので、そう思って御覧いただけると、とお返ししました。すると、このご時世、ぱーっとしたお話の方がいいですわとの鷹揚なご意見。さすが、いかなる作品も見届けてこられた往年ファンです。

確かに、コロナで長らく旅行にもろくに行けず、鬱々とした中、威勢のいい”祭り”も悪くないと思います。テーマソングである「HIGHER GROUND」でSWORDの5組が総踊りするフィナーレ、本当に最高なんですよ、すきっとする祭り!

宙組は前回はスペイン内戦が舞台の大作でしたし、宙組の前の月組さんはギャッツビーの文芸大作。宝塚大劇場では、次も雪組さんの一本もの大作「蒼穹の昴」です。

その合間のぱーーっとしたチャレンジ新作。ライブビューイングや東京でお待ちの皆様、どうぞ観劇をお楽しみください。

あ、ショー「カプリチョーザ」はね、幕開け、赤い衣装でチョンパにサングラスできゃぁ!そこにおもむろに登場する真打の伊達男・真風さん、緑の衣装にビジューを一杯つけたきっらきらの潤花ちゃん。美しいですよ~。

銀橋でずらりと並ぶ赤い服の男役さんがあちこちで色気たっぷりの表情をしてくるから、超危険。1回・2回くらいの観劇だと、ハイローの記憶もテーマソングも吹っ飛ばして、

「カップリチョーザー、イエイ!」

しか言えなくなっちゃいますから。危険で濃厚で見事なショーです。藤井大介先生に脱帽!どうぞこちらもお楽しみに。

真風涼帆スペシャルリサイタル 宙組・FLY WITH ME 感想、行くぜぃ!!

東京ガーデンシアターで開催された宙組トップスター真風涼帆さんのスペシャルリサイタル「FLY WITH ME」、わずか3日間5公演でしたが、無事に千秋楽を迎えました。

では、初日と2回目の公演を見た感想をお届けするぜぃ!

 

感動したのは・・

宙組生20名出演のハイロー世界観の疾走感、すずほさん劇場、LDHさんと宝塚の美しいコラボ、フィナーレと盛りだくさんでした。嵐のような2時間。

私が、あ!野口先生やるな!と一番感動したのはラスト、LDHさんの「Love, Dream &Happiness」(EXCILEさん)と宝塚の「すみれの花咲く頃」と重ね合わせて歌われた場面でした。

娘役さんが歌う宝塚のテーマソングと、LDHさんのテーマソングがパートナーソングのように歌われたことに感動したんです。

「Love, Dream &Happiness」を存じ上げなかったので(ググった)、出だしの歌詞「別れの時が近づいて」にどきっとし、でも、続く「君のことが好きだから 自分を一番大事にしてほしい」で号泣。少し前に大きめの病気をした私に真風さんヴォイスで声をかけてもらったように感じ、肩を震わせて泣く泣く!タオルマフラー、超役に立ちましたよ、真風さん。

それにしても、本当に真風さんがかっこよくて、かつ美しかったです。いかなる場面であっても品を持ち美しい。それでこそ、宝塚のトップスター・真風涼帆。

究極の男役として紹介してくださった宝塚歌劇団と野口先生にも心からの感謝を。ザ・男役な真風さんのいろいろな姿を見せてくださり、かつこれから始まるワクワクするけどちょっと心配なHiGH&LOWの予告も入れてくださって、おばちゃん、予習できて嬉しいですわ。

エンジェルのてめぇら!行くぜぃっ!!

あ、違う!ヅカファンの皆様、よろしくて?行きますわよぉーーー!

いつもは「ですます」で書いてるけど、このコンサートの疾走感に合わせて行くぜぃっ!!MCはtwitterでいろいろ流れていると思うから、公演感想中心でね!

あ、お水補給の時、ビーズのキラキラ一杯着いた手袋を片方取って、膝をがっと広げて片膝付いてお水のんでたよね!😍あのお姿も貴重でした!💕

 

1st Flight

めっちゃ可愛かったわ、潤花ちゃん&宙娘役ちゃん達のCA。有村先生のお衣装も素敵。でさ、あの裾を手で広げてぴょんぴょん踊るの、超かわいくなかった?!開幕してキキちゃんがリードしておられると、うんうん、宝塚やし、大丈夫感もあった安心するしね!

じゅんぱなちゃんはさ、他の方より5mmずつくらい動きを大きく取れるんだと思う。膝を上げるのも、後の野球シーンの張り切りぷりぷりってした動きも。張り切ってて本当に楽しかったよーー!

そこから、ばんっ!!!!

今回のテーマソングFLY WITH ME」ですよ!ばんばんばんばん!(注 机をたたくmiyakogu)

デーーンと長い脚をたかだかと組んでせりあがるサングラス・イケちらかし真風機長様。あの方、機長というより、プライベートジェットに乗り込んできたキングセレブ!

白浜亜嵐さんが楽曲提供くださったギュイーンと疾走感のある楽曲、初日は若干戸惑ったんですが(野口先生の歌詞への戸惑い含み)、2日目にはもうノリノリ!

宝塚の歌唱ではLDH様の曲はリズムが速いとなかなか歌いこなせない点も少々あるとは思うけど、かっこいいからいいの!うちはかっこいいのと美と脚が長いので行くから!

歌上手集団の宙組、ハイローの頃にはぐいぐい行ってると思うし!(多分、宝塚でさらっと歌いこなせるの、こっちゃんとそらちゃんくらいじゃないかな?)

※千秋楽映像ではさらに歌いこなしてはりました!さすがです。

清く正しく美しい君と。

なーーんて歌詞、誰が思いつくの?LDH様の世界観で。いやぁ、野口先生、あっぱれでした!演出のPATO様、白浜様がパンフレットに寄せてくださったご挨拶も宝塚へのリスペクトを感じて、本当にありがとうございました!感謝!

テーマソングの「SOARIN」で、真風さんが白く輝く光の中でぐぐーーっとせり上がり、初日、ここで既に号泣するmiyakogu。こんな大きな会場で、あんた、良かったなぁ・・。と涙する大阪のおばちゃんです。(他にもおられたようで安心した!)

一生懸命フラッグも振る!ステージからも見えたかな?

 

2nd Flight

「Welcome to TOKYO」も三代目 J SOUL BROTHERSさんの楽曲(帰りの新幹線でググった)。「Choo Choo Train」と「銀河鉄道999」は人生の先輩系(初日の真風さんと芹香ちゃん語録)宝塚ファンへの野口先生の配慮を感じたわ。

92を胸につけてぐるぐる回る真風さんと宙組子の皆さんが愛おしい・・。星組時代のオーシャンズ11の謎の若者ラップ場面を回収できて良かったわ・・。

「銀河鉄道999」でバットをマイク替わりに持って歌う峰里ちゃん、張り切ってぶんぶん構えるじゅんぱなちゃん。最高でしたね。

 

3rd Flight

ここでハイロー大予告ですよ!

画像で見て我々ファンが動揺しまくっていた「コブラちゃん真風さん」のご登場に沸く会場です。何着てても脚が長い!!

TVドラマ「おっさんずラブ」で大注目した林遣都さんのおかげで、達磨一家だけは知っていた訳ですが、ハイローを構成する他チームは全く分からず。とりあえず、ハイローの映画を何か一つ見る!とおばちゃんも固く誓ったわ。SWORD地区の関係性だけはちょっとずつ把握中。みんな、がんばろ!

それにしても、宝塚版ハイローをオリジナルの映像をふんだんに使い、気合を入れて紹介してくださって本当にありがとう。

山王連合会のリーダーになるコブラちゃんのラブストーリーにしては真風さんのキング感が強すぎるかもとのことだけど(学習した)、大丈夫、真風さんは超ぼっちゃんを演じた宝塚作品「黒い瞳」や若さを前面に出した「ウエスト・サイド・ストーリー」のトニーも演じておられるので、信頼大でハイローを待つ。

ホワイトラスカルズのリーダー・ロッキーを演じる芹香斗亜さん(キキちゃん)も準備万端よね。衣装もピンクの丸眼鏡も銀髪も、しっくりきてて最高でした。

この場面では、「苺美瑠狂(いちごみるく)」の娘役ちゃん達も最高でしたね!ひらひらのピンクの長いシャツをくるっと回して、きりっとした目で。歌詞は案外可愛い。私的には、娘役最下級生の可愛い山吹ひばりちゃんが、つーんとした表情を見せているのが最高でした。(注 最高しか言ってない)

後、鬼邪高校のリーダー・村山良樹を演じる鷹翔千空ちゃんのチームががんばってはった!ここで注目したのは真名瀬みらさん、りせなる(泉堂成さん、大路りせさん)のキレッキレのダンス。やんちゃで挑発的で、直線的で男性的だったよね!ここまで男性的に踊れるのもすごい。

潤花ちゃんのkanaちゃんとのデュエット聞いていると、kanaちゃん、病弱なのかな?悲恋の予感。潤花ちゃんの澄んだ声、綺麗でした。(これは宝塚舞台用のオリジナル曲かな?)

ラストの「HIGHER GROUND」はEXILE TRIBEさん(グループ全体ってことかな?)の曲とのこと(ググった)。ヘーイとか合いの手入れたかったよね。

 

4th Flight

うん、このあたりは宝塚で聞いてるから、超安心感。しどりゅーちゃん中心にかわいく今公演仕様のお衣装で「L-O-V-E」を始めてくれて。

そして、真風帝王のご登場ですよ!!あの人さぁ、腰のあたりをこう、なんてゆーの?揺らめかせて歌うの、危険よね・・。「Too Darn Hot」で会場をHotに染めていったわさ。

ここからだったかな?初日はモニターに出ていなかったペンラの指示が2回目からは出るようになって、一生懸命チカチカと光らせるヅカファン。真風さんとキキちゃん、2日目から指示が画面に出てたんですよ~。

 

5th Flight

ここはもう宝塚ファン安心ステージ。キキちゃんが「Come fly with me」を華やかに歌ってくれて、野口先生から聞いてた「ラスベガスの高級ホテルの劇場で公演しているような」大人の上質エンタメ・シーンに。キキちゃん、サンキュー。東京ガーデンシアターがディナーショー会場になった瞬間でしたわ。

 

6th Flight

で、来ましたよ。もはや、真風さんの持ち歌?と真風さんファンが感動しつつ、突っ込みたくなる「勝手にしやがれ」。

沢田研二さんは本当に色気駄々洩れで歌っておられたけれど、今の真風さんも同じく。以前よりもさらに歌いこなしておられましたよね!いやぁ、ええもん見せてもらったわ。おばちゃん、長生きできそう。

「浪漫飛行」で初めて!タオルマフラーの出番があったんすよ。いや、ほんまにいつ使うんかと思ったやん?短く持ってぐるぐる胸元で回しておきました。

 

7th Flight

デリシューの映像で真風さんの魅力がまず紹介されます(会場に来られているLDHファンの方に向けての意味もあったのかな?)。

ナレーション(若翔りつさんで合ってる?)の「Sexy」とかの言い方がおかしくって、くすくす笑いが漏れる会場。あとね、「Elegant」で宮廷服を着こなすというご紹介場面のメインは、むしろキキちゃんアントワネット様。そのあたりが受けてましたね!

すずほちゃん劇場は、野口先生、ありがとうね!

高校生時代の真風さんがパン屋さんバイトでドーナッツの値段間違えてたファンの間では有名なエピソード。誇張されて800円になってたけれど(ぷぷぷ)。

2回目の公演では若翔りつさん店長が、レシートをトップスター様に当てちゃってたけど・・(ぷぷぷ)。

もらったチケットで熊本市民会館で初めて宝塚を観るおさげのゆりかちゃんが可愛い、ひたすら可愛い!!きざる男役さんにいちいち、どひゃーと感動するのが楽しくて。真風さんの舞台を観ている我々のようでしたね!うん!(超笑顔でハイタッチ)

ここで、トップスター役を演じたみねりちゃんとどっていも素敵だったわぁ。

大介先生の「エキサイター」を模した構成、北翔さんの「ジ・エンターテイナー」(野口先生演出)にもあったよね、男役レッスンで素敵に変身する場面。それにしても真風さんに「Cool」を教えるのはプレッシャーやったろうなぁ、皆さん。イケメン先生のキキちゃんはもちろん余裕!

しどりゅーちゃんにマントさばきを習って、最後に「オレィ」とぽつんと付け足すゆりかちゃん。可愛いかったよね!(心のハイタッチ)小池先生(古池先生で登場)もご登場。星組・天寿さんの持ちネタが秋音光さん(あきもちゃん)に・・。

 

7th Flightから8th Flightへ

明日へのエナジー。ここのお衣装早変わりが、配信でうまくいかなったのかな?

急にイケメンボイスになった真風さんが美しい薄紫のお衣装で歌い始めて、オーシャンズ11から「JUMP!」に。ほんまにええ歌ですわ!!久しぶりに聞いて感動。

「丘の上のジョニー」で真風さんが夕焼けをバックにきざりまくる。石原裕次郎か!という場面です。

 

9th Flightから10th Flight

ここやねん!!ここ!怒涛の美しい流れ。LDHさんの曲で黒燕尾!ググった!

宝塚の各組「花・月・雪・星・宙」に合わせてLDHさんの楽曲から選ばれた曲のコーナーがあるねん。そして、LDH様の楽曲で燕尾服とドレスのジェンヌさんが踊る。いやぁ、さすがいかなる新たなジャンルのコンテンツが来ても編曲してみせる青木先生や太田先生(他の方々も)、振り付ける羽山先生。

とっても綺麗な曲だなぁと感動したのが、和風の前奏で始まる「花鳥風月」、EXILE THE SECONDさんの曲だと判明(帰りの新幹線でググった)。これをキキちゃんがしっとりと歌って真風さんとデュエット的になります。とても美しい歌でした。

雪をテーマにした場面では「Powder Snow ~永遠に終わらない冬~」(三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEさん、ググった)。これを雪組出身の潤花ちゃんがドレスで白い羽を持って歌ったのよね、美しかった。

で、星の「あの空の星のように」(EXILEさん)を若翔りつさんと真名瀬みらさんが歌う中、真風さんと潤花ちゃんが美しくデュエダン・・。舞台が滑走路のように伸びている先まで出てきてリフト。潤花ちゃんのドレスの裾がふわっと回るのが美しい。いやぁ、ええもん見ましたわ。お二人の歌も最高で、耳福。

その後は「O.R.I.O.N.」と「R.Y.U.S.E.I.」(いずれも三代目 J Soul Brothersさん、ググった)。おばちゃんも聴いたことある曲。

で、フィナーレは、唐突にYMCAが来るんですよ。野口先生、幅広い世代に配慮してくれたんよね?ありがとうね。

次が私が膝を打った「すみれの花咲く頃」と「Love, Dream &Happiness」をパートナーソングのように歌われたところ!何というか、美しかった。宝塚は時代時代でいろいろなパートナーと組んで刷新してきたんだな、でも根底は変わらないんだ、すみれの花なんだとじぃぃんと来た場面です。

「Rising Sun」(これはさすがに知ってた、EXILEさん)で盛り上がった後、いったんハケて、カーテンコールで戻ってきた真風さんが歌う「SEIZE THE DAY ーいまを生きるー」。野口先生作詞、青木先生作曲のオリジナルソングです。

「終わりを告げる鐘が鳴り」とまたどきっとする出だし。

「最後に伝えたい言葉はただひとつ ありがとう」。どきっ。

もう、これいつか、サヨナラショーで歌うんじゃないの?(泣)

しかし、最後の方の歌詞「さらなる高みを目指そう」で、ほっ。

そして、ラストの「あなたを愛している」できゃあ。

今、言いはりましたよね!エンジェルに!!!とエンジェルの皆様、声にならない叫びを叫ばなかった?私は叫んだね。うん。もう一回のアンコール、ラストには「道」を歌われたのでした。下級生の頃から好きだった曲とのご紹介、後ろには宝塚の花の道···😭ここで3度目の涙の私。

何と言うか、東京で急にヅカファンの故郷の映像が流れた感覚。真風さんの第二の故郷のまち、宝塚って美しい、花とここに生きる人々込みで美しい街だと泣けました😭

風さんの道は、熊本から宝塚まで届き、今日のこの場所に続き、途中から私たちも一緒に歩かせてもらった、Flyでさらに高みへと連れていってくださった。そう思えます。ありがとう、ゆりかちゃん。

 

最後に。いろいろハイローでググっているうちに、今回登場されていないですが、

・SWORD地区の「R」の「ルードボーイズ」

・そのリーダーが窪田正孝さんの「スモーキー」で、宝塚では桜木みなとさんが演じる

・テーマソングは「RUN THIS TOWN」

・これを歌っているのがGENERATIONS from EXILE TRIBEさん(白浜亜嵐さんがリーダー)だとわかり

・YouTube見て、この人誰かしら?!で片寄涼太さんにたどり着きました(背が高くて声が甘い)

うん、まんまとLDH×宝塚の戦略にはまってるやん?ご関係者の皆様、戦略は成功してまーす。※その後、まんまとGENERATIONSさんのメドレーを日々聴いております!

 

と・に・か・く!!!

真風涼帆さん(ゆりかちゃん)主演のリサイタルが、8000席大バコで成功裡に終わって本当に良かった。コロナ禍が落ち着いているとは言え、無事に千秋楽の幕が下りて、本当に良かったです。

おめでとう、心から。我々ファンをこんな場所にまで連れていってくれて、一緒にFlyさせてくれて、真風機長、本当にありがとう。熊本からよくぞここまで来てくださいました(泣)、感動です。心からの拍手をお送りします。

お次はハイローだ!学習します。

宝塚宙組・Never Say Goodbye感想 今、ここで共に生きる ー真風涼帆さんの全身演技力の卓越

明日、いよいよ宝塚歌劇団宙組「Never Say Goodbye ーある愛の軌跡ー」が千秋楽を迎えます。一時も気を許せない状況ですが、最後まで無事に完走できますように。今日は、そのネバセイの観劇感想をお送りします。

映像の発売はまだもう少し先の5/27。TCAさんのこちらのサイトの画像では、トップスター真風涼帆さんがこちらに向けてシャッターを切っておられます。

www.tca-pictures.net

さて、明日には千秋楽映像配信もあるのですが、明日観るとまた、うきゃーーー!!真風さんかっこいい、胸元の開襟きゃーー、毛の流れが完璧というのと、最後のフィナーレですべて飛んでしまいそうなので、あえての今日、宝塚大劇場で観劇し感じていたことを感想記事としてまとめておきたいと思います。

 

1.Never Say Goodbyeという作品の強さ

1)世界情勢とリンクする観劇体験

再演が決まった時、古くからの宝塚ファンから聞こえてきたのは「暗いスペイン内戦の話やし、パスやわ」。娘も「スペイン内戦の話かぁ、うーーん」と関心が低かったことを思い出します。(その後、娘には絶対に見た方がいいと慌ててチケットを取りました)

パンフレット冒頭の小池先生のご挨拶からは、稀代のトップコンビの退団公演であると同時に、怪我から復帰されたばかりの(復帰できる状況ではなかったと聞きますが)和央さんを迎えた緊迫感に満ちた集合日の様子が伝わります。

映像では、真風さんの初舞台作品とあって繰り返し繰り返しラインダンスを拝見。しかし、その内に花總まりさんの絶唱、和央ようかさんの匂い立つような男役さんの色気に驚き、何度も拝見した作品となりました。ただ、確かにちょっと照明の影響か全体的にやや暗め?かな、退団公演からくる切ない緊迫感の方がより印象に残っています。

その再演。おそらく当初イメージされていたのは、小池先生のご挨拶末尾にあるように、コロナ禍と戦う社会、その中でのOne Heartだっただろうと想像します。

しかし、まさかのウクライナへのロシア侵攻。人々が武器を持ち、海外からウクライナに武器が提供され、一つの国をめぐって国際社会が大きく動く。一国の命運を我々も同時代に生きて見守ることになるとは、思ってもみなかったことでした。

私は、たまたま若い頃に少しだけ英国で勤務したことがあります。当時は第二次中東戦争の渦中で、新聞の見出しの「under the war」という文字に、今、戦時下の国にいる?!と驚きました。ミサイルが命中する映像をTVニュースで見て「やった!」と喜ぶ英国人同僚たちに驚く日本人。戦場は遠くでしたが、明らかに戦争がそこにはありました。

この作品がまさか、このような世界情勢の渦中に上演されるとは、宝塚歌劇団も小池先生も全くの予想外であったと思います。スペイン内戦で戦う人々、それぞれの思惑で手を貸す外国、オリンピアードに集まりそのまま残る外国人部隊。絡み合う複雑な様相、本来はさらにもっと複雑でしょう。

私たちは、日々流れてくるニュース映像と重ね合わせるように衝撃を受け、戦う人々の心を表現する宙組のコーラスに胸打たれ、その中で動いていく人々の心を受け取り、切ない離別に泣く。世界情勢が私たちの観劇体験を大きく変えた側面が相当あったと思います。

ただ、世界情勢とあたかもリンクするこの物語が、では戦乱の物語かというとそうではない。副題にあるとおり、その中で生きた一人の男性と一人の女性の「ある愛の軌跡」こそが、この物語の本質だと私は思います。

私は、宝塚歌劇団が根底に持つ強さがここにあると思うのですね。

 

2)日々の中にある光

恋にうっとりし、悲恋に涙し、シリアスな悲劇を考察するかと思えば、明るくてわかりやすい作品も大好き。複雑な世界史だろうか日本物だろうが、書籍を読み込み予習はばっちり。ロマンにうっとり、人情にほろり。タオルハンカチでは足りずにタオルを持っていくこともあれば、ジェンヌさんのちょっとしたしぐさに可愛いと盛り上がり、アドリブを観察し、オペグラでスターを追いかけ、全体像を全く把握せずに映像で初めてこんなのあった?!とびっくりする。

我々はそういう大変愉快な観客です。(ちょろいオタクとも言う・・)

ただ、どのような舞台であれ、宝塚歌劇団の舞台には一組の男女の出会いが必ず描かれいて、人の多くが持つ自身の物語や憧れにそっと触れてくる面があると思うのです。

恋だけでなく親子の情や友情、そういったものも含めて「心の出会い」と言えばいいでしょうか。誰かと誰かが出会い、その中で始まり動き出す人生の新たな物語。その中での主人公の変化が描かれる。

人生は案外悪くないという、人生の「ささやかな善き希望」を見せてくれる信頼を、私は宝塚歌劇団の舞台に持っています。

少し前のtweetで、私は以下のように書きました。

宙組ネバセイ 圧巻でした!!
これは暗いスペイン内戦の話ではなく、いかなる状況下でも自身が見つけた生きる意 味を貫いた人々の力強い物語だ
今、この物語を見事に上演できる宝塚歌劇団、小池修一郎氏のクリエイティビティ、ワイルドホーン氏の楽曲に心からの拍手と敬意を👏

この物語から私は、どのような状況下であったとしても人は生き誰かに何かを残すことができるという希望を感じたのですね。

世界的に見れば圧倒的に豊かで平和な日本であっても、日々を生き抜く私たちは何かと戦っていたり、どうしようもない不条理を突き付けられたりします。ささやかな喜びを得たり浮かれたり泣いたり、ヒリヒリとした哀しみややるせなさを抱える日もあります。

私たちは愉快な観客ですが、その日々は存外に複雑で不条理に満ちています。私自身、少し前までまさに「闘病最前線」で戦っていた訳ですが、今でも闘病アカウントには訃報が度々届きます。

そんな日々の中で感じる「匂いとぬくもり」こそが「眩いほどの光を放つ」鮮烈な出会いであり、記憶に残り、喪ってもなお心を温める追憶となる。

眩い光は、結果としての輝かしい成功や勝利だけではなく、日々の時間の中に、誰かと出会い変わっていくプロセスの中にこそ、宝石のように煌めいている。

この物語は、そこを描いていると私は受け止めています。

 

2.真ん中に立つ真風涼帆さんの力

1)ジョルジュの変化

きゃあきゃあ、ばんばんんばん!と書きたいことは山ほどあります。

ただ、今日はそこを封印。この作品で私が感じた真風さんの表現者としての強さを書きたいと思うのです。

この作品で真風さんが演じる国際的に著名なカメラマンのジョルジュは、スペイン内戦を記録する人間です。世界に何が起こっているかを伝える素材が無ければ、真実は伝わらない。その役割は重要です。

しかしながら、その立場を容認していたはずのヴィンセントが後半、詰め寄るようにあくまで第三者。「俺はデラシネ」とジョルジュが歌う通り、ここに根を下ろした人間ではありません。

しかし、彼はヴィンセント達に出会い、銃で撃たれた少年の治療を行い、アギラールにキャサリンを連れて行かれ、彼女を取り戻し戦列に加わる中で、歴史の渦に主体的に関わっていきます。最初はおそらく意識せず、でも最後は明確に自分の意思によって。

あれほど常に持っていたカメラを置くシーンはジョルジュの決定的変化を示すものでした。

 

2)多様に変化する感情を全身で伝える真風涼帆さん

私が今作品で真風涼帆さんの演技に驚かされたシーンは1幕ラストと、2幕のキャサリンとの別れのシーン直後です。

小池先生特有の1幕ラストは、大勢の人が舞台にいて音楽が盛り上がり、ばばーーんと終わって、ほぅとため息をつく。そういうものですよね。

No No Pasaranと繰り返すリズムと旋律が舞台の緊張感をぎりぎりと上げ、「俺たちはカマラーダ」と小休止のような明るさを取り戻しここで幕?と思う中、アギラールとコマロフが登場し、2幕の仲間割れを予感させる一発触発の緊張感が一気に高まります。

静かな渦のように襲ってくる緊張感。その真ん中ですくっと立ち、静かに歌い始める真風さんジョルジュのOne Heart。

ぞくぞくっとしました。

この場面で真ん中に立ち、この歌をたった一人で歌い始めることができる説得力。これは年数を一定重ねたトップスターでなければ無理だと思います。

今作品で真風さんの歌が素晴らしいものになっていること以上に、ジョルジュとしての信念が伝わるゆるぎない立ち姿と、場面の緊迫を破って歌い始めることができる力量。真風さんが演じた星組「ロミオとジュリエット」の”死”の役で感じた、言葉を発しないままヴェローナのまちを操るかのようであった力量が、今、見事に結実したのだと思いました。

舞台俳優には、歌や目での表現はもちろんのことですが、映像以上に全身での表現力が求められると思います。真風さんの大きな強みは、容姿と衣装の着こなし、さりげない所作や目線を含めて全身でその表現を見せることができる点にあると私は思います。

それこそ、舞台役者!!だと思うのですね。ジョルジュが今、ここで生きているのを我々は今ここで共に見ている。そう感じさせる真風さんの全身での演技です。

デラシネとして、どこか周りと距離を置きつつ世界を楽しんでいる浮遊感

時折、垣間見える離れた故郷への思い。

写真家としての野心と成功後のどこか物足りなさ。

キャサリンとの出会いと自身の中の変化への戸惑い。

歴史に残る内戦のただ中にいることの高揚。

キャサリンを取り戻せた束の間の安堵を見せる隠れ家。

キャサリンに告げる別れと希望。

カメラとの決別と目に込められた戻らない覚悟。

心に強く残るキャサリンへの思いを届ける戦場でのダンス。

 

真風涼帆さんという舞台役者は、見事に全身で今、この物語をまさに生き、この作品をリアルなものとして観客に届けている。

真風さんの全身で見せる演技力が到達した境地。素晴らしいものがありました。

 

3.ぞくぞくする瞬間を見届ける喜び

コロナの影響により宝塚大劇場での休演を余儀なくされたこともあり、久しぶりに見た宙組メンバーの表現は爆発していました。おそらく、東京でさらにより熱を帯びた舞台になっていると期待しています。今の宙組の充実、パッションが伝わる舞台です。

キャサリンの愛の絶唱を堂々と聞かせ、涙を一杯に湛えてジョルジュから離れる演技を見せた潤花さん。

故郷・バルセロナへの熱い思いを表現した芹香斗亜さん。

アギラールの彼なりの正義と野心を演じ切った桜木みなとさん。

ハリウッドのトップ女優らしいつんとした誇りを見せてくれた天彩峰里さん。

カマラーダとして真風さんと肩を組んで背が揃っていることに毎回驚かされる柴藤りゅうさん、瑠風輝さん、優希しおんさん、鷹翔千空さん、風色日向さん、亜音有星さん。

これらの主要役の皆様はもちろんこと、寿組長・松風副組長さんといった方々の演技を含めて、印象に残る場面続きでした。特に印象に残った方々をご紹介いたしますね。

傑出していた留依蒔世さんのラ・パッショナリアの歌。対するバルセロナ市長の若翔りつさん。見事な歌唱対決でした。(名場面です)

演出、コーラスを含めて特筆すべき名場面だとぞくぞくした「一つの心が 二つに割れる」の分裂の場面の迫力。その場面を真ん中で堂々とリードする澄風なぎさん。(名場面です)

短い歌唱ながらはっとさせるマタドールの真名瀬みらさん。

良識ある知識人なんだろうと感じさせる美しいスーツ姿の春瀬央季さん。

さすがの存在感で物語の鍵を握るコマロフの夏美ようさん。

サグラダ・ファミリアで美しく歌う小春乃さよさん。

ヴィンセント恋人・テレサを演じる美貌の水音志保さん。

「一枚のカードを」と歌う迫力ある瀬戸花まりさんと、そのメロディーをカゲソロで歌う朝木陽彩さんの超美声。(ぜひ!)

まぁ、歌上手さんがこれでもかと出てこられる公演、どうぞ、ぞくぞくっとした瞬間と共にお楽しみください。

作家仲間が集まるバーの作家仲間の秋音光さん、秋奈るいさん、水香依千さん、希峰かなたさんやバーテンの琥南まことさんも好きです。「腕の力 少し弱いけれど」と歌って、「いや、ちゃいますやろ!」と一斉に心の中で突っ込まれる留依蒔世さんと強そうな宙娘さん達もどうぞご覧ください。

本当に素晴らしい心に残る公演になりました。宙組の皆さん、ありがとう!

宝塚宙組バウホール・夢千鳥 感想1 和希そらさんの堂々たる主演、美しい凄みと安らぎと切なさの愛の物語

緊急事態宣言の発出とは裏腹に、穏やかでさわやかな日曜午後、皆様、お元気ですか?不詳miyakogu、今日は、思いっきりネタバレで宙組バウホール公演「夢千鳥」の感想レポをお届けする所存ですわ!!

宝塚バウホールでは、わずか4日間となった幻の宙組公演「夢千鳥」千秋楽が始まった頃ですね・・(涙)。俺のスヴィッツラハウスもーー(泣)

しかし、今、私に託された使命はこの貴重なバウ公演を奇跡の日程でぎりぎり観られた者として、全国の宙組ファン、そらちゃんファン、みねりちゃんファン、ご出演者ファンの皆様に、できるだけ詳細にレポること。

さぁ、涙を拭いて~、立ち上がるのだ~♪ (注 英真さんの神父様が歌っておられるイメージです)

以下はがっつりネタバレしています。

スカステで放映されるまで知りたくない方はお読みにならないでくださいね。

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パンフの5/3までの文字が切ない・・。

 

1.感想総括

まず総括を申し上げます。

・物語にぐいぐい引き込まれる素晴らしい作品、作・演出の栗田優香先生、おめでとうございます!今後に大いに期待

和希そらさんの低音のイケボ、憂いを帯びた横顔、縮れた前髪、美しいダンスが最高でした、本当に楽しみなスターです

天彩峰里さんの演技がすごい!今すぐ外部で舞台役者できます、美しい声

凄みのある愛憎、安らぎのある柔らかな愛、すがる切なさ。三様の愛の物語です

・宙組の誇るおじさま演者陣が素晴らしい!

機会を改めての上演、そして東上を希望します

なんというか、すごかったんです。端的に言えば。感想はこれでは終わってしまいますね。うん、がんばって書こう。

 

2.物語のあらすじ

この物語は現代の大御所映画監督・白澤(和希そらさん)が、次回作として竹久夢二を主人公とする映画を撮るという二重の構成になっています。

竹久夢二(和希そらさん)と恋多き映画監督の白澤優二郎

夢二の元妻であり籍を抜いても同居関係にある他万喜(天彩峰里さん)は映画女優であり白澤と事実婚にある女優・赤羽礼奈

他万喜に思いを寄せる東郷青児(亜音有星さん)は若手映画俳優・西条湊

がそれぞれに投影され物語は場面に応じて現代と夢二が生きた時代を行き来します。なお、映画の中で夢二役を演じるのは秋音光さんです。

栗田先生がうまいな!と思ったのは、その中で観客を混乱させることなく物語を演じ切り、愛憎の激しい場面を入れつつも、最後は宝塚らしい愛でまとめてみせた手腕です。ラジオ劇でもおそらく十分に楽しめただろうし、小説のようでもありました。

また、演劇のご経験が豊富におありなのでしょうか?少ないセットながら、上手側、下手側を効果的に入れ替え、舞台転換が見事に進んでいきます。

栗田先生はご挨拶で「夢二が残した手に入りうるすべての文章に目を通したのですが」と書いておられます。「春の雪」を舞台化した時に三島の文章を模写した生田先生のような執念をそこに感じました。

妻であった他万喜、病弱で京都で共に住む紙問屋の一人娘・彦乃(山吹ひばりさん)、彦乃と引き離された後、モデルとなるお葉(水音志保さん)。

ミューズである他万喜との痛々しいほどの愛憎

まっすぐに夢二を愛する彦乃とのひとときの柔らかな安らぎ

愛というより、夢二がお葉にすがりつく切なさ。

三者三様の愛の形がそこには描かれています。

彦乃ちゃんとの愛は、夢二にとって安らぎなのですが、彦乃ちゃんには夢二を籠に閉じ込めるような感じがあったのも、少しぞくっとする点ではありました。

 

竹久夢二が生涯愛したのは誰だったのか、誰も愛さなかったのではないか。

いや、愛とは育てるものなのだ、青い鳥を探すのでなく青い鳥の卵を育てるように。

夢二を描く中で、映画監督の白澤もその意味を知るのです。

あ、物語の核心をいきなり突いてしまいました!でもいいの、今日はがっつりネタバレだから(涙)

俺は絶対に東上を希望する!!!もったいなさ過ぎる!!!

 

3.オープニングが美しい

開演を告げる和希そらちゃんの低音ウィスパー・ボイス!高まる緊張感で舞台を見つめていると、幼少期の夢二のシーンが始まります。

頑固そうな父に、着物の美しい端切れを集めていることを叱られ、囲炉裏で燃やされてしまう夢二。姉の松香は味方であり、夢二が強い愛情をもって慕っていることが示されます。姉をよく通る声で演じるのは有愛きいさん、頑固な父は安定の星月梨旺さん。幼少期は真白遙希さん

この場面のお芝居がよくて、「ゆ、雪組の和もの?!」となりました。宙組さんに次々登場するお芝居上手さんです。

そして、美しい鳥と主要登場人物が登場します。

この鳥が美しくて、ええ?誰?!となりましたが、前髪を縮らせた秋音光さんでした。1羽が2羽になり踊るのですが、まぁ、秋音さんの手と柔らかなジャンプが美しいこと、美しいこと。

宵待鳥の歌(美風舞良さんでしょうか?)、手島先生の音楽が美しいこと。

だいたいオープニングで物語の予感、良作の予感がしますよね?びりびりーーときました。

 

4.物語に引き込む空港、映画会社からバーへ

竹久夢二の物語から、一転、空港へ。あれ?え、時代いつ?と思っていると、和希そらさんは世界的映画監督の白澤優二郎として登場します。主演女優にほれ込み、スキャンダルになる稀代の監督。そして事実婚の大女優・赤羽礼奈。赤いドレスと毛皮のストールをゴージャスに着こなす天彩峰里さんがクラシカルなたたずまいで素敵です。

物語にくすっとしたポイントを添えるのは穂希せりさん演じる映画会社社長とプロデューサーの水香依千さん。お二人ともええ味出しておられます。

水香さんは、フィナーレの黒燕尾の時に一転、黒髪の色気が駄々洩れておられましたよ!素敵でした!

そして、凛城きらさんがマスターのバーで飲んだくれる和希そらちゃん監督。バーテンダーは留依蒔世さん。

もうこの二人がカウンターの向こうにいるバーって、何それ、どゆこと?!とオペグラを握りしめながらわなわなするmiyakoguです。(静かにわなわな)

また、二人ともかっこいいんだわ、これが!!宙組の男役さん、最近、髪型かっこいいよね?!真風さんの影響なのーーー?!!(miyakogu心の声)

 

5.港屋から待合へ

竹久夢二の作品である千代紙や美人画を「港屋」というお店で他万喜さんが売ってるんですね。美貌の他万喜さんは女学生や男子学生の憧れの存在です。

きゃっきゃして買いにくる女学生三人組は愛海ひかるさん、朝木陽彩さん、彦乃役の山吹ひばりさんです。愛海ひかるちゃん、おきゃんな女学生でかわいいわぁ。

この場面のカゲソロは真名瀬みらさんだったんですね。素敵な声でした。

で、竹久夢二が描かないと売り物がないんです・・。赤ちゃんが泣いているのに座って絵のモデルになれという横暴な夢二。

あ・か・ん・やろーーー!!!稼げよ、描けよ!再びわなわなするmiyakoguと他万喜さん。

でも、いらついた夢二は飲みに行っちゃうんですよ。むーん・・・。

芸者さんたちと飲み、花宮沙羅さん演じる菊子さんといちゃつく夢二。菊子がつまびく三味線を片肘ついて聞く夢二そらちゃんが色っぽいんですよ!ばんばんばん!!

あの人、顔を寄せながら「それで?」とか言ってなかった?吐息まじりの低音で!

スカステの番組で真風さんとお風呂の温度話して、「ばかだね」とか言われてた可愛らしい子だったのに。きぃーーーっ!オペグラを握りしめながら再びわなわなするmiyakogu(注 歓喜)。

一方、他万喜さんは救いを求めて婦人矯風会(キリスト教の教えのもと、禁酒をはじめ女性・子どもの人権を保護しようとする団体)の活動へと入っていきます。

 

6.嫉妬と愛憎がぶつかり合うタンゴ、名シーンです

要所要所で登場してシックな歌でこの物語を彩る花音舞さん。素晴らしい存在感です。

他万喜に思いを寄せる東郷・亜音さん。彼は夢二をまねて千代紙を描き、それを売っていたんです、他万喜さんは・・。

芸者さんから渡された千代紙でそこに気づき、他万喜に詰め寄る夢二。殴り、つかみ合う二人の愛憎シーン、殴られても他万喜も一歩も引きません。

ここがすごかったの!!!

真ん中の二人は和服、周りのペアを組んだタンゴダンサーは黒の洋装。美しく激しいタンゴ。他万喜は多くのタンゴダンサーを妖艶にひきつけ、夢二はいさかいばかりなのに嫉妬する・・。その不条理。

真ん中で和服のまま、軽やかにジャンプするそらちゃん夢二を見て、振り付けた人、気狂ったか?!と思いましたよ。素晴らしかった!振付がいもありましょうとも!

 

7.女学校から彦乃ちゃんがぐいぐいと

一転、バーをはさんで、花嫁修業に励む無邪気なかわいい場面になります。ザ・宝塚らしいかわいい場面ですね。

山吹ひばりさんの彦乃はわざとかもしれませんが、やや幼い声。純粋にひたむきに先生である夢二を慕います。夢二は絵の正式な教育を受けておらず、大衆画家として画壇では全く評価されていない。そこに彼の大きなコンプレックスがありますが、彦乃はそこをすっと乗り越えていきます。

世間知らずの一途さとそれゆえの強さで、彦乃とそらちゃん夢二は近づき、彦乃といる夢二は本当に安らかに幸せそうなのです。ようやく得た安らぎのひと時。二人は山、川と相互に暗号で呼び合い、手紙を交わしきゃっきゃしています。よかったね、あんた、ようやく安らげる愛が・・・(涙)。ただ、彦乃ちゃんは籠に閉じ込められるように両親に育てられたためか、夢二を籠に閉じ込める=愛だと考えているような怖さも少しありました。

一方、他万喜はただ自分のみが夢二のミューズなのだというプライドから、狂気のような提案を彦乃の両親にします。彦乃と夢二が夫婦になり、自分は姉として一緒に暮らすのだと。この場面の狂気的演技も凄かった!

あ・か・んてーーーー!!!他万喜ちゃん、自分をもっと大切にしなあかんて!オペグラを握りしめて再びわなわなするmiyakoguと彦乃父。(注 物語に入り込んでます)

この彦乃父を演じる若翔りつさんが、まぁ、すんばらしいんだわさ。頑固だけではなく、愛情が深く、礼節もあり、夢二をも愛をもって諭すかのような父。

花に水をあげるように、青い鳥の卵を抱くように(これは最後に出てきます)と、愛の意味を繰り返し教えてくれるのは、実はこの彦乃父なのです。素晴らしい演技でした。

 

8.彦乃の病と絶唱の「うつら、うつら」

そらちゃん夢二とひばりさんの彦乃は、二人で京都へ。彦乃さんは絵の修業と家には言ってあるようです。

二人で暮らす穏やかな日々、絵のモデルは彦乃さんに変わり(他万喜さん・・・涙)、画壇から反感を買いながらも個展は大成功します。子どもの不二彦(美星帆那さん)も引き取り、絵本「青い鳥」を読み聞かせてあげるひばりちゃんの彦乃さん。彦乃さん自身が籠を飛び出た青い鳥なのでしょう・・。

夢二と彦乃さん、不二彦の落ち着いた安らかなひと時の暮らし。

ただ、彦乃さんの病は進んでいくのですね・・・。絵の仕事か、長崎に行く夢二、ついていくと言い張る彦乃。

あ・か・んてーーー!!病気の時は療養第一やで!(miyakoguが言うと説得力)

しかし、知らせがあって迎えに来た彦乃父により、二人は引き離されます。

やせ細った彦乃さんとの再会に驚愕する彦乃父、ひばりさん彦乃の演技。迫真でした。

一人残されたそらちゃん夢二が震える声で歌う「うつら、うつら」という主題歌。絶唱です。

雪(花びら?)が舞い散る中、苦悩を歌うそらさん。

登場する2羽の鳥の秋音光さんと花宮沙羅さん。

美しくも絶望的な歌。

※見どころが多すぎて、二幕とここかやや記憶があいまいでした。

圧巻のソロダンスは二幕、彦乃さんが亡くなって、夢の中の列車で再会するシーンの前ですね。twitterで教えていただき、書き換えました。

 

(2幕からフィナーレは、感想2に続きます)

https://mothercoenote.hatenablog.com/entry/2021/04/25/155802

宙組・アナスタシア 感想 最高でした!美しい楽曲と圧巻の宙組コーラス、見どころ一杯の「回復」の物語

皆さま、お元気でした?今日は宝塚大劇場にて初日開けてすぐの宙組・アナスタシアの11時公演と15時半公演を観劇してきましたので、感想、ネタバレをできるだけしないように行ってみます!

今日は、観劇できなくなった方のチケットを宝塚お友達が遠方から運んでくれて、見やすいお席のセンターとSS席下手で観劇するという、大変にもう本当にすんばらしい観劇でした。本当にありがとうね(泣)。

絶対に真風さんと目合ったし、まっぷーさんにはずばっと手を差し伸べられての笑顔をいただいので、宝塚お友達と92期生さんのおかげで寿命が10年は確実に伸びたから!

宝塚って何なの?!健康寿命伸びさせるエンタメ?!本当にありがとう!(泣)

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1.作品の持つ力

何よりうならされたのは、宝塚でありがちな説明セリフを一切排除、幕開けからごくわずかなセリフのみで、ロマノフ帝政崩壊とロシア革命を一気に見せ、おばあ様であるマリア皇太后とロマノフ家の末娘であるアナスタシアの強いつながりをクローズアップさせて見せてくれた展開です。

音楽とダンス、衣装の対比で何があったかがずばりと進展、ややこしい説明は一切ありません。ま、もちろん、まぁ様のご退団公演「神々の土地」により、我々宙組ファンがよく訓練されたロマノフ通であることは否めませんが、それにしても、展開がスピーディかつ上手かった。驚きました。

そして、数々の美しい楽曲、テンポよい楽曲が素晴らしかったのです。

私が特に好きなのは、Home, Love, Familyと歌われるメインテーマ「過去への旅」、真風さんディミトリーが楽しそうに歌うリズミカルな「俺のペテルブルク」。

宙組のコーラスやダンスが少しユーモラスな「新たな噂」(かな?間違ってたらごめん)。

真風さんディミトリー、ずんちゃんヴラド、まどかちゃんアーニャが3人でコミカルに歌う「やればできるさ」、真風さんがふっと微笑みながら切なげに歌う「すべてを勝ち取るために」。キキちゃんが見事な声量で歌う「ネヴァ河の流れ」。

さらに、宙組の美しいコーラスが響くロシアを去る際の故郷への思いがにじみ出た歌、列車で旅に出る場面のうきうきや冒険が伝わる歌もとても良かった!

また、娘とも語り合っていたのですが、列車の場面をはじめ映像と舞台セットを組み合わせた立体的な舞台の見せ方が見事で、本当に素晴らしかった。お見事でした。

おそらく、時間をかけて練られてつくられたのだろうということが分かる見事な作品だったと思います。もちろん、部分的にはうん?というところや海外ミュージカル特有の主要役以外の役の少なさもあるかもしれないけれど、そこはもう楽曲と宝塚ならでの華やかさをお楽しみください。マチソワを楽しく、本当に心から楽しめる作品でした。

当ブログでは舞台を悪く言うことはほぼありません。ただ、お気づきの方もおられるかもしれませんが、私が「背景の映像が美しかった」「舞台美術が美しかった」と書いている場合、それは反対にそれ以外、あまり良くなかったということです(苦笑。ただし私にとって、です。もちろんね)。

この作品は、掛け値なしに贔屓目を取り除いても、楽曲と立体的な舞台演出により作品自体が素晴らしい力を持っています。そこは間違いないと思います。ぜひ、一度はご観劇をお楽しみください。

なお、この作品の原作者であるテレンス・マクナリー氏は今年3月、新型コロナウィルスの感染によりご逝去されたとのこと・・。ご冥福をお祈り申し上げます。

 

2.素晴らしかった3人の女性陣

星風まどかちゃんは、ミュージカルのヒロインでした。見事に。強くて賢くてたくましいアーニャ。ただのプリンセスじゃないのですね。ロシアの半分を歩いて移動してきて、身を守るための喧嘩も強くて、一生懸命働いてお金を貯めて、1ルーブルでも無駄にできないわ!と出発する前に今日までのお給料を受け取りに行くのです。ええわ!!好き。

和希そらさんのリリーもとても素敵でした。歌って踊れて演技もできる。WSSのアニータも圧巻でしたが、今回はセクシーで強くて亡命ロシア人が集まるパリ社交界の華の存在。彼女は健康的にセクシーで粋なんですね。行く行くは舞台でご活躍される素晴らしいミュージカル女優になられるだろうと本当に期待しています。

寿つかささんのマリア皇太后は2回目、威厳あり頑固者だろうなという存在感あり、堂に入ったもんです。歌も演技も素敵でした。アナスタシアとの二人の場面、涙涙涙です。それにしても、まぁ様ドミトリー・・。いつ舞台に登場してもおかしくないほどの密接な設定でした。

 

3.真風さん、真風さん、真風さん

もう、もう、もう、真風さーーーーん!!!

ばんばんばんっ!!

(注 宝塚ホテルでキーボード連打のmiyakogu。劇場まで届きそう)

WSSの梅田公演の時にぐっと歌がうまくなられたなぁと思ったのですが、アクアヴィーテの時、うん?リズムをとらえておられるな、歯切れがいいなと思って楽しみにしておりました。

これだけの楽曲を生き生きと歌いこなされていて、そこにまず感動。

真風さんの歌は、一曲、大ナンバー歌いあげますよ、さぁどうです?というより、芝居の中にしっくりと来る歌。感情がセリフのように乗ってお芝居の中に溶け込むような歌で、私はそこが今回、とても良かったと思います。

家族を喪っている真風さんディミトリーとまどかちゃんアーニャ。アーニャがおばあ様であるマリア皇太后にアナスタシアだと認められれば、彼女には家族が戻る・・。そうなることを願い喜びつつ、でも自分とは離れてしまうのだという切なさ。

そこを黒燕尾で微笑みながら歌い始め、声量を落として切なく旋律を終える。見事に心情を伝える歌唱でした。まぁ様のお芝居に溶け込んだ歌を聞いているようでした。素晴らしかったと思います。

真風さん萌えポイントも、ちょっとだけ行っとこ!!

・かばん、斜め掛けな!

・パジャマでもスタイリッシュな真風涼帆な!開襟サービスタイムな!

・旧ユスポフ邸内の劇場に隠れ住んでいるディミトリちゃんな!3年越しの壮大な匂わせなん?と娘と語り合いです。まぁまかファンの妄想はかどる、はかどる

・フィナーレのそらちゃん(娘役群舞に登場)への顎くいっな!

・デュエダンのまどかちゃんへの音楽に合わせての鼻ちょんからの~、お手つなぎでの銀橋移動な!

※手つなぎを見た瞬間、「鼻ちょんから、手つないできたで!このトップコンビは!」と頭の中、ぱーんと飛びました。ばんばんばんっ!!

 

4.見どころ一杯!

舞台を斜めに使ったり、列車を回したり、丘の向こうから映像がせりあがってきたり(人ちゃうねん、映像がせりあがってきますねん。見て!)、バレエの観劇をしている場面を心情を4重唱で聞かせつつ、バレエもしっかり見せると、本当に上手いんです。この舞台は。心にくいほど。

革命の中で辛い体験を余儀なくされた人々を描いているのですが、後味悪くなく、ハッピーエンドの予感があるエンディング。

あなたは何者なのだ?と問いかけられながら、喪ってきた場所から逞しく登場人物が「回復」する物語だと、私は思いました。リピートするぜ!

バレエの場面は、オデットの潤花ちゃん、ジークフリートの亜音有星さんのお二人のダンスと見事なリフトに加えて、ラスボス・優希しおんさんのロットバルトですよ!

マリア皇太后、ディミトリー、アーニャ、見張ってる芹香斗亜さんグレブの歌で忙しいのに、バレエまで踊ってはるんですもの、大忙しです!

後ね、可愛らしい潤花ちゃん、気品のある笑顔の柴藤りゅうさんもようこそ、に加えて、誰?この美人ちゃん?の愛海ひかるさんの娘役さんも素敵でした。愛海ひかるさんはみりおんちゃんにちょっと似ておられるように思います。

劇中、銀橋に皆さんがずらっと並んで歌う噂話の歌も良かったし、ロシアを去るときの故郷を思う歌もコーラスがうわーーと舞台から立ち昇るのが「見える」ようなんですね。宙組さんのコーラスは。音の塊があたかもそこにあるように、見えるように思えるほどの厚みがあるのだと思います。

フィナーレも見どころ一杯なのですが、今日は真風さんと絶対目あったし!!という記憶ですべてがぱーーん!なので、どうぞご覧になってくださいませ。

※語彙力を無くすと、ぱーーんだの、どーんだの、擬態語に頼りがちなヅカファンあるある・・。

皆さまも、劇場でどうぞご観劇をお楽しみください。

宝塚観た!ミュージカル観た!、あら、バレエもちょっと見たわ!と一粒で二度以上に美味しい演目です。

宙組・FLIYING SAPA(フライングサパ) 漂白された記憶を越えて、感想と勝手な考察

※日生劇場も千秋楽を迎えたので、少しだけ加筆修正を加えて再掲いたしますね。

梅田芸術劇場・宙組公演「FLYING SAPA -フライングサパー」。上田久美子先生が「波紋や喧噪が生まれるのを期待して」とご挨拶で書かれたとおり確信犯的に世に放たれたこの演劇。miyakoguは12月の手術前に最後に見た宝塚大劇場宙組公演千秋楽から8か月のブランクを越えて、8/8 11:30公演を観劇してまいりましたので、その感想と若干の考察(妄想?)をお送りします。

宙組に終わり、宙組に始まるですよ!だんだんだんっ!(注 激しく浮かれている)

総論から言えば、よくぞやり切った、宙組の皆様!コロナ禍の中で何とか上演できた奇跡、美しい音楽と映像。ネタバレ含みますね。一度だけの観劇ですので誤解や不十分な点もあると思います。ご容赦ください💦

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1.不思議な美しさをキープした舞台

この舞台の最大の特徴は、凄絶な戦場の記憶に触れざるを得ない物語(特に2幕)にあって尚、舞台が不思議に”美しい”ということです。

演じるのが、背が高くスタイルのいい男役さんが多い宙組であり、真ん中に立つトップスター・真風涼帆さんが、水星(ポルンカ)の世界の中で、記憶を無くした兵士として白いコートもセーターも何を着てもただただ立っているだけで様になる。そのビジュアル面の力が、大きくモノを言う舞台になっていると思います。

今回、感動いたしましたのが、宇宙空間の物語であることを支えるどこか浮遊感のある美しい三宅純氏の音楽と、光の粒を散らしたような抽象画の趣のある上田大樹氏の美しい映像。その世界にスタイリッシュな宙組の皆様が見事にマッチして、美しい舞台を作り上げておられることです。優れたクリエイターの力を結びつけた上田久美子先生の手腕に拍手を送ります。特に、1幕ラストの光の粒が川のように見える映像は圧巻でした。

戦後75周年を迎えた我が国において、幼少期に戦争の記憶がある親族に話を聞くと、「空が燃えるように赤かった」ことを話すことが多いように思います。凄惨な戦争の空のはずなのに、その空は奇妙に赤く輝き人々の記憶に残り続けている。2幕のミレナの凄惨な記憶の場面、恐ろしいのに、奇妙に美しく赤い空の映像が記憶に残りました。

 

2.消してしまいたい凄惨な記憶

2幕、水星ポルンカの中心にある謎のクレーター「サパ」に保存されていた人々の記憶のデータベースと星風まどかさんが演じるミレナの意識が、総統01によって結合されたことにより、真風さん演じるオバクは見てしまうのです。総統01(汝鳥怜さん)とミレナの地球での凄惨な記憶を、真風さんオバク自身の記憶とともに。この愚かさを許せるのか?と詰め寄られながら。

人類が愚かに争いを繰り返していた地球において、敗戦国の人間として戦火に逃げまどい、妻と娘を敵兵に奪われた難民ブコビッチ(後の総統01。若き日を穂稀せりさんが見事に演じておられます)。目の前で大切な家族を守れなかった痛恨の記憶。

同じく敗戦国の人間として戦火の中で祖母・母とはぐれ、敵兵につかまり幼い少女であるにも関わらず過酷な運命に直面するミレナ。少女の身体に刻まれてしまった凄惨な記憶。

優れた科学者であるブコビッチは少女からその凄惨な記憶を消し去り、喪った娘の名前「ミレナ」を付け、二人は難民としてポルンカ行きの船に手をつないで乗ります

真風さんオバクの父は戦勝国側の優秀な科学者(星月梨旺さんが人間味を持って演じておられます)です。オバク(サーシャ)の父が、医療用に完成させていた意識管理システムを統合すれば、誰かが何か”愚かな悪”をたくらんでも事前にキャッチしその考えを除去=“漂白”できます。ブコビッチの考えでは、二度と地球で繰り返された戦争のような愚かで凄惨な世界にはならない。

そのために、ブコビッチが発明した「へその緒」とサーシャ父が発明した意識管理システムの統合が必要でしたが、政治的利用を懸念するサーシャ父はそのシステムを渡しません。ブコビッチは宇宙船の中で、サーシャの父母、同席していたイレエナ(夢白あやさん)の母を殺し、船長を脅迫してでも自分の理想の完遂を目ざすのです。

その理性的な狂気。ブコビッチの狂おしいほどの大きな悲哀。

 

オバク真風さんの見た記憶として彼らの過去が明らかにされる場面。1幕で独裁者として登場する総統01の哀しみが舞台から観客席にひたひたと、大きな波となって押し寄せるようでした。

オバクと総統01(若きブコビッチも共に)が対峙するこの場面。叫びとともに見事に演じ切られた真風さん、総統01の汝鳥さん、若きブコビッチを演じた穂稀せりさんの特筆すべき演技に、心からの拍手を送りたいと思います。

ブコビッチとミレナの記憶が凄惨であればあるほど真風さんの叫びが観客側に迫るのです。

2幕のこの場面はなかなかに恐ろしい場面。せめてフィナーレ、ミラーボールとか回っててほしかったわぁ・・(T_T) ←世界観台無しなんで、落ち着いて、miyakoguさん。(雪組全ツでミラーボール6回も回ってくれて、梅芸で涙しました。ありがとう、雪組さん!!)

 

3.眠れない夜からの救済

水星ポルンカの夜は長く、1つの夜の間に地球上の夜が88回あります。オバク真風さんの冒頭のナレーションにあるとおり、後何回眠れば朝が来るのか。ポルンカに生きる人々は眠れないこと、後味の悪い夢を見ることに悩まされていることが多い。

危険思想の漂白に加えて、人間を許せない、そんな記憶はすべて消し去りたい。それが総統01の考えだったのではないかと思います。

ただ、自分が何者かわからない不安もまた、人々を眠れない夜に突き落とすものです総統01も記憶のデータベースに自分の消し去りたい記憶を移していたでしょう。これは私の勝手な妄想ですが、システム管理の権限を有するであろう彼は、それでも時々、地球の記憶にアクセスしたのではないかと思うのです。

消し去りたい記憶、けれど失いたくない記憶もそこにある。家族とともに合った記憶も。

すべてをシステムで管理できる、管理してみせると思っていた彼を、宇宙船の中で眠らせてくれたのは実のところ、戦火の中で手を取った少女=自分の娘の名前を付けたミレナのリアルな寝息や体温ではなかったと私は想像します。

幼い子どもを守ったことにより、守られ癒されたのは実は彼の側ではなかったかと思うのです。

終盤、彼は撃たれ、ミレナの腕の中で息を引き取ります。その死は、志半ばで無念というより安らかな眠りに見えました

 

4.コードナンバーの素数と総統01が創り出した世界

宇宙船の中で平和に語り合う青年サーシャ(真風さんオバクが記憶を無くす前の名前)、婚約者のイレエナ(クールでなく優しいお姉さま)、イレエナとサーシャやサーシャ父を慕う少女ミレナ(まどかちゃんの声の演じ分けがお見事)。

サーシャとミレナは「大きい素数」について話したことがあるのですね。後にオバクのコードナンバーになる30111。総統01に続くように、ミレナには2が割り当てられています。

物語の狂言回しのような役割を演じるズーピン(優希しおんさんが「真夏の世の夢」のパックのように軽々とジャンプしながら生き生きと)は確か30015。3× 3× 5× 23 × 29で構成され、深読みし過ぎかもしれませんが、一見、普通に見えるのに23や29で割り切れる意外性があり、ズーピンが繰り返し語るようにいかにも「使える」数字です。

私のあくまで勝手な解釈です。ただ、総統01は単純にコードナンバーを割り当てたとは思えないのです。

一見ばらばらと不規則に登場するように見える素数の出現ですが、実は規則性があると予想されており、宇宙の秘密を握っているらしい。素数は「創造主の暗号」と言われているとのこと。私は2009年に放映されたNHKドキュメンタリー『魔性の難問 ~リーマン予想・天才たちの闘い~ 』で初めて知りました。

確かウランが崩壊する際のエネルギーの間隔と素数の出現の間隔が似ていることが(正確にはもっと違う言葉のはずですが)、物理学者と数学者の偶然の会話の中で明らかにされていく過程が番組の中で紹介されていたと覚えています。

天才科学者である総統01(ブコビッチ)は、自分が望んで創った平穏なはずの世界が、いつか壊れる運命にあると予想していた気がします彼が眠りにつく姿を見ていると、むしろいつか、誰かが登場してその世界を打破することを無意識のうちに望んでいたのではないかと思ったのです。(あくまで私の妄想気味の考察です)

消してしまいたい記憶は、他の輝く記憶と一緒にあります。同様に、人の愚かさだけを取り出して排除することはできない。人生は、運命は、丸ごと受け止める他ない。

総統01は、自分が作り上げた世界を壊すことができる、違うやり方を示すことができる人物の登場を待っていたように私には思えました。そして、その可能性のある人物に素数のコードナンバーを意図的に割り当てたのではないか。サーシャ(オバク)は別の方法を切り拓ける「それでも許すと言える人物」だったのだと思います。

徹底的に管理された社会の中に仕組まれた暗号としての素数のコードナンバー。最初の素数のミレナと、大きな素数のオバク(サーシャ)。彼らは偶然でなく、自分以外に分かり合える相手を見つけられない孤独を抱えながら、記憶を失ってもなお、いつか宇宙の法則に従って「出会うべくして出会った」ように、私には思えました。

科学大臣98、アンカーウーマン777、記者8324。役名に数字が示してあるこの人たちのナンバーはいずれも素数ではありません。柴藤りゅうさんが気品を持って演じるスポークスパーソン101は素数であり、彼はどちらにでも行ける可能性を持った人だったのだろうと思います。

 

5.役者・真風さんと印象に残った方々

・真風涼帆さん(サーシャ、記憶を失ってからは兵士オバク)

真風さんは開演アナウンスの時点から、ポルンカに我々を連れていくようで、暗くなった会場は宇宙船の出発を待つかのようでした。ブコビッチとミレナの記憶、オバクの記憶を見せられた場面での懊悩の叫びは、役者・真風」だったと思います。

私が一番好きだったのは、コートを脱いだシンプルなセーター姿。長い脚の膝を立てミレナの頭をのせて眠らせてあげる姿は「お、俺も頼む!!!」と立ち上がりそうになりましたね。

ばんばんばんっ!!(注 キーボード連打)

 

・星風まどかさん(ミレナ)

トップ娘役としては異例のお役。あんな辛い場面をうちのかわいいまどちにさせるなんて!とちょっと過保護になりそうですが、少女時代と今の声やしぐさの演じ分け、見事だったと思います。

 

・芹香斗亜さん(精神科医ノア。SAPAにある違法ホテルに滞在)

この演目の中の優しい冷静な良心のようなお役。SAPAの中心地に向かう野営地で歌う優しい声がとても印象的でした。イエレナを包み、癒すのですね。優しい精神科医です。

 

・松風輝さん(テウダ。歩けない少年の車いすを押す母)

美しく優しい声の演技、優しい子守唄がお見事でした。寿つかささんが味わいを持って演じておられるタルコフとのささやかなロマンスが気になるところ。結末はお見届けください。

 

・瑠風輝さん(科学大臣98、ペレルマン)

ミレナの婚約者。シンプルに好青年なのか、サイボーグのような人なのか、総統に忠誠心が強すぎるのか、やや謎のキャラをまっすぐに迷いなくええ声で演じておられます。

 

・柴藤りゅうさん(スポークスパーソン101)

真っ白な衣装に身を包み、すっと気品を持って立ち、長いセリフを素晴らしい滑舌で淀みなく発しておられました。お見事!ようこそ宙組へ。

 

・穂稀せりさん(若き日の難民ブコビッチ)

この方の演技次第で終演後の印象が大きく変わってしまうであろう大変難しいお役。私が拝見した8月8日(土)11時半公演、まさに見事でした。若き日の彼の哀しみと決意、哀しみ故に閉じてしまったかたくなさが伝わりました。本当に素晴らしかったと思います。

 

・夢白あやさん(優しいお姉さまが革命の戦士になっているクールなイエレナ)

夢白さんのクールなショートカットのイエレナ、かっこ良かった!苛立っていて復讐の思いが強くて、ちょっと怖い現在のイエレナ。でも本当は優しいお姉さま。ミレナもなついていました・・。

 

・愛海ひかるさん(SAPAの酒場?のダンサー、ロロ)

SAPAの違法ホテルの酒場かな?男役さんですが、そこの女性ダンサーとして登場されます。切れがあって粋でかっこいいんだ!アクアヴィーテでも、そらちゃん率いる若手ダンサーのウイスキーボンボンチームで表情豊かに踊っておられたのが印象的です。

 

・真名瀬みらさん(SAPAの違法ホテルに滞在するアーティストかな?キターブ)

私は真名瀬さんの声が好きなんだと思います。セリフがそれほど多くないのに、はっと惹きつけられる声。

 

この他、留依蒔世さんのうざいほどの存在感(褒めております)、春瀬央希さんの光沢のある赤紫のスーツ姿、違法ホテルの女主人である京三沙さんのかっこいいサングラス姿(旅立ちの時ですね)、寿つかささんの映画に心を残したポルンカの実直な公務員のロマンも印象に残りました。

 

6.惜しむらくは

この演目の一点惜しむらくは、メインテーマとなる「歌」がなかったことです(わざとだろうとはわかります)。宙組のコーラスは見事であり、キキちゃんの優しい歌声もまっぷーさんの優しい子守唄もとても素敵でした。ただ、最後に劇場を後にしたとき、口ずさみながら帰れる曲が一つでいいからあればよかったなぁと。贅沢で古風な望みですが、宝塚ファンとしてはそう思います。

ビジュアルに満足、宙組生さんの演技も素晴らしかった、楽曲と映像と舞台もぴたりと合っていた。意欲作だとも良くわかる。けれど、宝塚ファンとして後ほんの少しだけ「甘いフレーバー」が欲しかったかな?

もちろん、確信犯的に送り出された演劇意欲作だとわかった上でのささやかな願望です。何といっても、おばちゃん、さる所から出所してきたような身の上やん?そういうのも、ちょっと見たかったのよぉぉ(涙)。真風さんがかっこいいからええけど!

この厳しい状況下、日々の緊張の中で宙組の皆様が存分に演じ切った舞台。宙組の皆様、本当にお疲れ様でした。ありがとう。