代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

雪組・るろうに剣心 感想2 過去を巡るこれも一つのトリデンテ 宝塚歌劇の「うっとり」と「楽しさ」満載の舞台!

皆様、お元気でしたか?私は引き続き、ばたばたした日々。今週末もお仕事メインになりそうですので、その前に「るろうに剣心」2度目の観劇感想をお届けしたいと思います!(^^)

 ※初見時の感想はこちらです。よろしければどうぞ!

mothercoenote.hatenablog.com

 

1.過去を巡る三者三様のトリデンテ

雪組さんの超話題作「るろうに剣心」。当日券なら宝塚大劇場の場合、何とかご観劇いただける余地がありそうです。多くの方にご観劇いただけますように。

最初の観劇時に「あれ、これってどういうお話なんだろう?」とちょっと戸惑いがあったのは事実。というのは、咲妃みゆさんが演じる薫さんを巡る恋の三角関係になるのかな?と思っていたからです。しかし、2度目だったからか、より鮮明なお芝居になってきたからか、お芝居の軸が定まったように私なりに感じました。(あくまで原作を全く知らない宝塚ファンとして、ですが(^^))

 

・過去の想いに囚われているジェラール山下

望海風斗さんが演じるジェラール山下(加納惣三郎)は、島原の朱音太夫への想いを抱えたまま、江戸末期から明治へと生き抜いており、彼は過去の焼け付くような片思いに囚われています。「地獄に落ちてもいい」とまでの思いを歌っておられます。美声で。

朱音太夫への思いを込めた打掛を、薫に着せようとするジェラール山下は、過去の想いへの代償を薫に求めているに過ぎないように見えます。ジェラール山下は現世ではたくましく生き抜き、金銭的には成功も収めつつある。しかし心は過去に置いたまま過去の恋に囚われているのです。

 

・過去の自分に打ち克つ剣心

一方、剣心は巴とのとても切ない思い出を心の奥に抱えながら、今を生きています。剣心自身のセリフとして語られますが、彼は薫の明るさ、まっすぐさに救われていくのですね。原作を知らずに舞台を拝見している限りでは、やや謎めいた存在の巴、そして剣心の心に消えない刻印を残した切ない恋です。許婚を斬った相手を愛してしまった巴、そして知らずに愛した剣心。彼の頬の傷はその記憶なのですね。

しかし、薫や弥彦との出会いによって、新しい時代を生きようとする剣心は、過去の自分自身=「人斬り抜刀斎」として多くの人を斬った自分の影(永久輝せあさん)と戦うことで、決別します。この場面は一つの重要なクライマックスだったかと思います。彼は明治の時代を生きていくのです。

 

・過去を問わない薫

薫は何度かセリフで言うとおり、「私は人の過去なんか気にしない」のです。最初は何となく聞いていたセリフでしたが、ジェラール山下と剣心の対比の中で、薫のこのセリフは物語の鍵を握る重要なものだと思うようになりました。

時代のため正義のためとはいえ、「人斬り抜刀斎」の過去を抱える剣心にとって自分自身の過去はとても重いもののはず。「おろっ」という剣心の明るい素直そうな様子を見れば見るほど、その過去の重さが彼の中でどれほどやり切れないものか、伝わってきます。

きっぱりとした薫の「過去なんか気にしない」というセリフは、剣心にとってどれほどさっぱりと朗らかに安らぐものであったか・・。剣心は薫の流儀を「甘っちょろい戯言でござるよ」と言います。しかし、彼はそういった戯言が通用するような平和な社会を築きたい、本気で戯言を信じてみたいと願っているのだと思いました。

 

過去を巡る三者それぞれのあり方。これもまた、今作品での雪組さんのトリデンテなのではないでしょうか?(^^)

私はそう受け止めました。江戸末期から明治への激動の時代を生き抜いた人々の物語の中での過去への対処は確かにそれぞれだったでしょう。瓦版と新聞の違いのように。

 

2.蒼紫様のビジュアルにひれ伏す

さて・・。

キャトルレーヴ梅田にて先日、娘のお土産にと月城かなとさんが演じる蒼紫様のスチール写真を1枚買ってあげました。しかしポスターは当然売り切れです。恵さんのも売り切れていました。

娘はその後、大劇場のキャトルレーヴにてスチール写真(同じもの)を2枚購入。保存用においてあるそうです。クリアファイルをちょうどのサイズに切って1枚を挟み込み、ランドセルに常備して、学校でさっと取り出し「ほれ!」と差し出すと・・。

いつもは反応が薄い小学高学年男子達が「え、かっこいい!」と反応してくれるそう。女子は無論ですよ。当たり前ですがな。ふっふーーん(^^)。←なぜにmiyakoguが自慢??

 

ええとね、正直に言いますよ。

1度目の観劇はね、2階席だったんです。で、2度目の観劇は1階席で通路にやや近い下手側だったんです。

で、蒼紫様率いる御庭番衆の皆様が客席降りで1階で戦われるのですよ。白のロングコートを翻して。あの場面を、振り返って割と近くで拝見しましてね・・。そして刀を両手で上げ、下手ドアに走っていかれる蒼紫様・・。

かっこよ過ぎるやろ!!!!!あかんやろ!!!!

いや、ほんとにびっくりしましたわ。蒼紫様と御庭番衆。これ、2階席の方には本当に申し訳ないのですが1階席で間近で蒼紫様と御庭番衆をご覧になった方は、それだけでもう「宝塚のるろ剣、すごい!!」となると思うのです。

 

3.宝塚歌劇の「うっとり」と「楽しさ」をぎゅぎゅっと詰め込んだ舞台

蒼紫様は観客席に「とどめ」を刺しに来るのですが、もちろん

・剣心を演じておられる早霧せいなさんの美しさと、びっくりするようなコミカルな動きのギャップ、美しい殺陣

・望海風斗さんのますます艶を増しておられる美声と色気のあるまなざし

・咲妃みゆさんのまっすぐな男勝りの演技の中に垣間見えるいじらしい可愛さ

・彩風咲奈さんの少し影のある男っぽいかっこよさと抜群のスタイル

・彩凪翔さんのねちっとした中にちょっとお馬鹿な可愛さを含む相当ふっきれた演技(私は2度目は真那春人さんの観柳でした。翔さんとはまた少し違う持ち味を出しておられて素晴らしい代役さんでした。お疲れ様でした。)

・鳳翔大さんの力持ちで優しい頼もしさ、皆をつなぐかのような演技

・大湖せしるさんの勝気な中に、阿片の蔓延を防ごうとする医師としての凜とした姿勢

見所満載なんですよ、この作品は!!主要キャストだけでも。他にもみんながいろいろ小芝居してはって、本当にかわいいのに!!、全部見られない!!客席降りの場面で、端の壁にへばりついている下級生さん達のお屋敷従僕とか、もろもろね。

歌も「悪・即・斬」に、「ガ~トがとがとがと」、赤べこの「べこ、べこ、赤べこ~(ぎゅう、ぎゅうの相の手入り)」の歌とか、もう呆気に取られたり笑えたり(^^)。

 

宝塚歌劇の「うっとり」と「楽しさ」をぎゅぎゅぎゅっと詰め込んであって、これはもう、宝塚歌劇団のビジュアル、アイドル・ユニットっぽさ、ダンス、歌唱、殺陣、衣装、舞台機構を丸ごとひっくるめて、「ほら、すごいでしょう?」と小池先生が世に放った、一大プロモーション舞台なのではないでしょうか。

初めてご観劇される方も多いであろうと予測される中、「ほうら、宝塚歌劇、いいでしょう?どうですか?、あ、スチール買っちゃう?ポスターも?」という小池先生の影の声が舞台から聞こえるようです(^^)。小池先生、その意味でこの作品は大成功していると思います。

 

最後に私のツボを2点。

・蒼紫と剣心が戦って、蒼紫が倒れた時、御庭番衆の皆様が「おかしら!」って集まって来られます。それまであまりセリフがないのに(確か)、「おかしらが好きなんやね、みんな、うんうん。わかるよ。」ってなる場面です。おばちゃんも御庭番衆の格好で、「おかしら!」って寄りたいわぁ。←無理なんで・・。

・剣心のちぎさんが、誰かに手を引っ張られて「おろーー」ってなりながら、下手に行かれるのですが、その時、ちぎさんはほぼ身体を横に(舞台とは水平に)ジャンプされておられませんでしょうか?ワイヤーでも入っているの??と驚かされた身体能力でした。

では、雪組さんの「うっとり」と「楽しさ」満載の舞台、皆さまもどうぞご観劇をお楽しみ下さい(^^)。