皆さま、こんばんは。本日15時半、梅田芸術劇場 月組さん全国ツアー初日の観劇をしてまいりましたので、その感想を本日はお届けします!
原作のプロスペル・メリメの「カルメン」はオペラ等で有名であり、今作品は再演ではありますが、以下、ネタバレがございますので、どうぞご注意を。
1.堂々たる全力投球の珠城りょうさん
現在の月組トップスターさんは龍真咲ですので、組長さんおよび本人のご挨拶でも次期月組トップスターさんに決定の話には触れられませんでした。
しかし、3度目(確か)の幕が開き、スタンディングオベーション。拍手の嵐はまさに珠城りょうさんへの祝福の拍手でした。拍手がずっと続き、珠城りょうさんも挨拶のきっかけがなかなかおつかめになれない様子でしたが、大きな声で「ありがとうございます!」と挨拶を再開されるという素敵な瞬間でした。おばちゃんもな、座席から一生懸命拍手したで!
まず総論として申し上げると、とても好感の持てる良い公演でした。堂々たる全力投球の珠城りょうさん、初日から全力疾走で観ていて清々しい限りです。
男くさく、まっすぐで、どっしり。素晴らしい堂々の月組2番手であり次期トップスター。予想以上の説得力がありました。
そして、彼女の堂々とした風格さえ感じさせるような佇まいの中に、時折みられる不安定に揺らぐかのような青年の魅力。そこが不思議に観ている側の庇護本能をかきたてるかのようです。応援しなくては!と思わせるのです。それは宝塚のスターとして非常に重要な資質ですね。意外な発見でした。
おばちゃんな、泣く場面でないのに、ショウ始まって間もないシーンで、「たまきちさん、がんばってはる!」と涙したで。親戚の子を応援しているかのような感覚です。
2.「激情」のホセ
さて、「激情」のホセ。これは珠城りょうさん(たまきちさん)の個性によくあったお役だったと思います。
田舎から出てきたと思われる無骨でまっすぐで真面目な兵士のホセ。けれど、過去に友人を傷つけた過去のある、どこか影のある青年です。
おそらく年上?と思われる奔放な情熱の女・カルメンに吸い込まれるように心が奪われ、迷いを断ち切り、情熱のままに結ばれ、そしてまた逃げ続けるために上司を殺め、嫉妬に狂いカルメンの亭主を殺めてしまい、最後にはカルメンをも・・。
彼にはカルメンへ続く一本の道しか見えていない。しかし、カルメンはそうではないのです。カルメンはただただ自由に恋をし、自由に生きたい。彼女には他の魅力的な男達が当然目に入り、羽ばたいていける大きな空が常に見えているのだろうと思います。その悲劇。
狂おしいほどのホセの激情が募るほど、カルメンは離れていこうとするのです。離れようとするカルメンをさらに追うホセ。どうしようもなく恋が始まり、そしてどうしようもなく恋が終わる。その流れを私達はお芝居として観ているのですね。
さすがに名作と言われる作品で、救いのないお話であるのに引き込まれました。カルメンを愛希れいかさんがさすがの貫禄で演じておられます。
3.珠城りょうさんの揺らぎの魅力
たまきちさんは、そのホセを実に見事に演じておられました。驚くほどにです。
よく通る低い声、安定した歌、がっしりとした体格、長い脚、強い眼差し、ためらいとまっすぐに突き進む必死さ。少し年下なのかな?と思わせるどこか不安定なホセ。
彼は故郷に母があり、母とも仲の良い許婚・ミカエラがいるのですね。ミカエラを演じておられた早乙女わかばさんも可憐で素敵でした。
ミカエラと一緒にいるホセは、もとの素朴な青年らしさが戻るかのようなのです。しかし、戸惑いよりも、今まで感じたことがない激しい恋の喜びが大きすぎ、彼は真っ直ぐに恋に突き進んでしまうのです。
たまきちさんの真の魅力はまっすぐな青年の真面目さの中に、時に見え隠れするこの不安定さではないかと、本日発見いたしました。どこかで爆発しそうな情熱、そして同時にどこか頼りなげで不安定な面が、彼女の中から揺らぎながら出てくるかのようなのです。
それは、もちろんお役から来るものなのかもしれません。しかし、「月雲の皇子」でもそういったものを感じました。どこか戸惑いや底にある情熱を揺らめくように感じさせる役。そういったお役がしっくりくるというのは、たまきちさんが演者としてもっておられる本質的な魅力なのではないかと思ったのです。
安定していて、頼れると思っていたたまきちさんから、そのような守ってあげたくなるような不安定な揺らぎを感じ取るとは思いもよりませんでした。
彼女はまだご自身でもひょっとしたらお気づきではないかもしれません。ご本人は真面目だと思っておられるかもしれません。
しかし、真面目さゆえに、不安定さが時に揺らぐように見えるのだとしたら・・。
それは、ものすごく魅力的やろ!!!!!!!
ということで、全国の宝塚ファンの皆さま、珠城りょうさんは真面目で頼れるだんなさん風にみせておいて、情熱を爆発させるような演技の中にどこか頼りなげで必死な瞳を持つ恋人であったことを、ここにご報告いたします。これからご観劇される方、その不思議な魅力をどうぞお楽しみに(^^)。
(関連する記事はこちらです。あほな記事です・・)
4.ショウ「アパショナード」
客席降りも2度(1階席の前方の方だけと、中ほどまでだったと思います)、珠城りょうさんもある場所から一度ご登場です。
ショウでも、たまきちさんは堂々とスターを全うされていて感心しました。が、お芝居が非常に魅力的だったため、そこに比べると多彩な魅力というには少し弱かったかな? ただ、まだ2番手になられたところ、男役10年未満の方です。全国ツアーのショウでトップ的な役割を全うされていたら、それこそびっくりします。お若い方ほど、成長は早いはず。おそらく千秋楽にはもっと様々な魅力を見せてくださると思います。
しかしね、月組さんにはね、皆さんご存知の通り、愛希れいかさんというトップ娘役さんのショウスターがおられるのです。何の心配もありませんわな。ちゃぴこさんに任せとけ!!ってなもんですよ、あなた!! ←だんだん思い出し興奮してきたmiyakogu。
一点、正直にご報告します。
ショウの私の記憶の大半を第4夜第11場「熱帯夜」で次々と出てきた女装男役さんの皆さまが持っていってしまいました・・。その中でも、一際背が高い輝月ゆうまさんが・・。
会場で一番、「ええっ」というざわついた笑いが出た場面だったでしょう。輝月ゆうまさんもよくわかっておられるようで、ばちこん、うっふんと会場にフェロモンを撒き散らしていて恐ろしい限り素敵でした(^^)。
また、ここで最後に出てこられる凪七瑠海さんが、白いお衣装でとてもお美しくて、驚きです。そしてその姿でまさかの客席降りの「なぎこさん」(miyakogu勝手に命名)&女装の皆さま。いい香りでした。はい。次の場面では、珠城りょうさんと「なぎこさん」二人がデュエットダンスをかまし、最後はまさかの男役キスシーンへ・・。
しかし、あまり違和感のないお美しい「なぎこさん」。本当にお綺麗でした。素敵です。凪七瑠海さんは私の勝手な推測ながら、複雑なお気持ちもおありになったのではないかと思うのです。でも、とても素敵に全ツ2番手格を務めておられました。凪七さんがおられて、お芝居もショウもしまっていると思います。
お芝居では闘牛士役の暁千星さんもなかなか素敵でした。スタイルとダンスは圧巻。ただ、少しまだセリフは若い甘さが出てしまうかな。でも彼女の華やかさはとても目を引きます。また、宇月颯さんも各所でご活躍、最後のエトワールポジションも宇月さんです。楽しみな方ですね。
月組さんのお若い方々については、まだどなたがどなたか、一部の方を除いてわかっておりません。しかし、本日拝見したのは正統派の伝統を感じさせる素敵な舞台であり、お若い方々のご活躍と成長が今後、非常に楽しみになりました。
たまきちさんの最後のご挨拶。とてもしっかりされているのですが、やはり素に戻ると若く育ちのいい御嬢さんなんだなと思わせるものがあり、そこも好感が持てました。
たまきちさんの真面目で一生懸命で全力投球で誠実な舞台。そこに揺らめく情熱、垣間見える不安定さ、庇護本能をかきたてる不思議な魅力。
たまちゃん、これからも応援するで!!おばちゃん、決めたわ。あ、でも宙組さんも雪組さんもやし、忙しいわ、困ったわ!(^^)。
おまけに最初に記事を公開したとき、タイトルを「劇場」って打ち間違えてたわ、恥ずかしいわ!!(^^) ごめんなさい!
その後、気がつけば珠様沼にどっぷりと・・・。書き連ねた感想はこちらにまとめてありますので、よろしければどうぞ!
月組・全ツ「激情」感想まとめ 「月雲の皇子」感想を交えて振り返る珠城りょうさんと私(^^) - 代取マザー、時々おとめ
そして原作を読んでようやく、「何がどうしてこうなったのか?」がわかりました。こちらです。