代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

宝塚花組・ミーアンドマイガール Bパターン感想 ビルをはさむマリアおば様とサリーの見事な物語

皆さま、こんにちは。週末いかがお過ごしですか?さて、今日は宝塚大劇場にて花組さん「ミーマイ」Bパターンを観劇してきましたので、その感想をお送りいたします。

本日のBパターン、驚きました。仙名彩世さんのマリアおば様、花乃まりあさんのサリーのお二人が、ビルをはさんで舞台を見事に構成しています。

 

1.仙名彩世さんのマリアおば様

私は観劇しておりませんでしたが、「リンカーン」の仙名さんが素晴らしかったと聞いてはおりました。今回のミーマイBパターンのマリアおば様、お見事でした。私はAパターンの桜咲さんのマリアおば様がチャーミングで十分満足していたのですが。

仙名彩世さんのマリアおば様は演じられているのではなく、「生きている」感じがしました。家を守ろうとするまっすぐな頑固さと、アドリブのチャーミングさ、ジョン卿とのやりとりの中からは静かに恋をする生身の女性であることが伝わってくるかわいらしく繊細な演技。歌もお上手な上に、中年女性というよりは貫禄と気品を漂わせた美しい女性という感じです。

そして、仙名さんの演技により、この物語がビルを中心にサリーとマリアおば様の物語であるかのように見えてくる不思議さ。大げさかもしれませんが、主人公は3人のように見えました。

本当に新人公演の主演をされていないんですよね?でも、バウやDCでのヒロインはされているのですよね?本日の公演で一番驚かされた見事な演技でした。

ビルを教育するシーンでは、アマリラ(ねずみですよね?)をそっと手に乗せてぽーんとビルに投げるかのようなふり、とっても楽しかったです。

 

2.花乃まりあさんのサリーの歌唱

こちらも驚きでした。前回の観劇でも花乃さんはなかなかやるなぁと感心していたのですが、今日の「一度ハートを失くしたら」の歌唱は、技術も表現も本当にすばらしかったと思います。miyakogu、客席でほろほろです。

真っ暗になった舞台の上で、花乃さんの上半身にだけライトがあたり、サリーの「自分達はずっと一緒なんだ」という確信が消えていきそうな泣きそうな感情を、細い声で歌い上げておられました。ここは朗々と歌われても困る場面。サリーの消え入りそうな感情を、細く弱くなる声で大劇場に十分に届けた歌声でした。

そして、「いつだってランベル・スタイル!」と歌い踊る場面では太くて迫力のある声で、花乃さんの気迫を感じました。

新米ファンの私ですが、花乃さんに対してはいろいろな声があるのも拝見しています。

しかし、舞台の上で、ミュージカルの一人の演者としてみたとき、花乃さんは大劇場で純粋に歌唱の力だけで場面をつくれる、非常に貴重なトップ娘役さんだと思いました。驚かされた歌唱による表現力です。

 

3.役替わりの方々

瀬戸かずやさんのジョン卿は大人のはっきりとした男性、ただ、女性には根本的に優しい。そういう素敵なおじ様でキキちゃんのジョン卿よりも年上感があります。ジョン卿の歌はそれほどありませんが、フィナーレで娘役さんを引き連れてお歌いになる場面もあり、低い声が素敵でした。これはバウも楽しみですね。

弁護士のパーチェスター役の柚香光さんは、とってもきざに好演されています。とぼけた弁護士がこれまで、ミーマイの重要なアクセントになってきたと思いますが、身のこなしにきれのある若いきざな弁護士。お髭に幅の狭い眼鏡がとてもお似合いです。ジャッキーのときも思いましたが、柚香さんは目を持っていかれる存在感がおありです。

ジャッキーの鳳月杏さんはジェラルドよりも少し年上感のある落ち着いたお姉さま。セリフの声も歌声も素敵です。鳳月さんは身のこなしをがらっと娘役さんに変えてこられる点がお見事です。ただね、とーーーーーっても残念でしたのは、ええとね、ちなつさんのおみ脚がね、あんまり見えなかったことでしょうか・・。くっ・・。←大変に残念がっています。そもそもそこが目当てです(^^)。

ジェラルドの芹香斗亜さんは、まさにぴったりのお役。こういう力を抜いたひょうひょうとしたおぼっちゃん役、本当にはまりますね。ジョン卿もそのおぼっちゃんが大きくなったような感じで、ジャッキーにもマリアにも押され気味?と思わせる役作り。これはキキちゃんの個性でもあるのでしょうか?宝塚の男役さんとしてはなかなか貴重な個性かもしれません。

 

4.真ん中にいる明日海さんのビル

マリアおば様とサリーの間にいるビル。本日、私が驚かされた舞台は、やはり真ん中にチャーミングなみりおさんのビルがいるからだと思います。

サリーに一途で、家族を失ってしまったビルにとって、サリーは本当に大切な「俺の女の子」なんですね。新たに登場した本来の家族は、階級が全く異なる上に相当強引。しかし、仙名さん演じるマリアおば様との間には多分、「あ、血がつながっているのかな?」という頑固さ、自分の意思を貫くぶれない強さなどの共通点を見出していったのではないかと思いました。

ビルがヘアフォード家に入っていく中で、サリーは取り残されるような寂しさと同時に、ビルのためにはそれが一番いいのだと気づいてしまう。サリーのその切なさと健気さ。

一方でビルが自分を貫いてヘアフォード家を去ろうとする意思を固めたときに、ビルの本当の幸せのためには、去るのを止めてはいけないのだと覚悟を決めるマリアおば様。最後の最後にはビルの意思を尊重するその潔さ。

ビルを真ん中に階級も年齢も立場も違う二人の女性が、最後には分かりあうかのようなお話に見えた本日のミーマイでした。

 

・とても可愛らしい魅力に溢れたAパターン

・大人のほろ苦さも感じさせるかのようなBパターン

どうぞそれぞれにご観劇をお楽しみ下さい。新米ファンからのお薦めで恐縮ですが、新しい魅力を打ち出しているミーマイのように思います。

幕が降りた後、オーケストラが音楽をしばらく奏でておられ、終わると指揮者の先生が手をひらひらと回して皆さんの拍手に応えておられました。幕が降りた後もしばらくどうぞお楽しみに(^^)。