皆さま、こんにちは。梅雨の合間の晴れた朝。今朝はセミの鳴き声が聞こえました。梅雨から少しずつ夏に季節は移ろうとしています。
さて、本格的に夏となるであろう7月18日(月)が、大劇場での龍真咲さんの退団公演千秋楽。本日はそのほぼ2週間前です。
さすが、ラストスパートへの序章とでも言いたくなるような、本日7/2(土)午前11時公演であり、真咲さんと月組さんの迫力に心打たれました。3週間ぶりにようやく観劇できた感想を書きます!
いや、ほんと、miyakoguの心象風景的にはね「は~るばる、来たでっ、たっからづか~!!」という感じの久しぶりの宝塚大劇場でした。
↑ 北島三郎さんの「函館の女」のメロディでお願いします。それと、わずか電車で1時間、”はるばる”ではないと思いますよ、miyakoguさん?(^^)
1.龍真咲さんの声と歌の迫力
真咲さんといえば、真咲節、まさお節。独特の抑揚のあるセリフや歌唱が、非常に強い個性になっておられます。好きな人も、癖になる人も、お嫌いな方もおられるかもしれません。
今作品は真咲節はセリフでより強く出ておられるような印象です。が、お芝居の歌唱はあまりそう感じず、私は本日、彼女のよく通る声の響き、滑らかさ、伸びに、「この人の声はすごいんだ!」と改めて胸を打たれました。
終盤で真咲さんが歌われる主題歌「龍の宿命」には以下の歌詞があります。
「私の中には 巣くう龍がいる」
作詞:大野拓史、出典:月組・NOBUNAGA(信長)/Forever LOVE!!」公演パンフレット
この「いる~」の箇所で伸びる「る~」はとても綺麗な高音です。冒頭の幸若舞「敦盛」の朗々たる声といい、本作品のテーマソングは真咲さんの声と歌の魅力をよく伝えているものだと私は思いました。真咲さんの声は確かに素晴らしい魅力ですね。
そして、本日、拝見した真咲さんは自分がゆったりと舞台で構え、月組の皆さんの演技を貫禄を持って受け止めておられるような印象を強く持ちました。
さすが退団公演。大劇場千秋楽まで残すところ2週間強のこの時期ならではの充実が舞台から伝わってきました。
私は今作品は、「激情」でホセ落ちした珠城りょうさんをがん見するために、ただいま通っておりますが、本日はお芝居でもショウでも、真咲さんに幾度となく目を奪われました。セリフは真咲節をおおいに放っておられますが、それももう、彼女にしか出せない個性なんだと言い切れそうな強さときらめきを見せておられます。
本日、発見した(つもりの)ことがあります。
真咲さんの「きらきら」は、真咲さんの「気合」の表れではないかと思ったのです。たとえば柚希礼音さん、壮一帆さんというトップスターさんは、舞台にかける気合が目力や、全身から立ち上るような迫力に表れていたと思います。
真咲さんはとても不思議なことに、気合がなぜか「きらきら」となり、舞台から放たれているのではないかと思うのです。これこそ、真咲さんが舞台にかけた命の表れかと、私は観客席で心打たれました。そう思わせるだけの迫力を増しておられます。ぜひ劇場でご観劇ください。
2.音楽、群舞・コーラスの月組の迫力
冒頭の桶狭間の戦いを象徴するかのような、武士が群舞で踊るロック音楽。これは太田健先生の作曲ですが、非常に迫力のある音楽になっています。
一方、清洲城で帰蝶が信長を想って歌う曲や、岐阜城で妻木(ロルテスに操られている状態ですが)に詰め寄られた信長が歌ううち捨ててきた者への挽歌のような曲は、切ないメロディに乗った印象に残るナンバーでした。私は今作品の音楽、好きですね。全編が、ロックというわけではありません。
そして、最後の方で「本能寺の変」を察知した都の人々が「何が起こっているのか」と歌う場面のコーラスはとても迫力がありました。
「か、革命?!」と思わせるようなコーラスの迫力。さすがに「1789」を成功させてこられた月組さんだと思います。そして、その迫力は私が観劇した幕開け2日目の公演よりも一層、力強いものになっていると思います。
大劇場のラストスパートに向かおうとする月組さんの熱量の高まりを舞台からの波として感じました。
3.戦国時代とは?
今作品は下克上が当たり前の乱世の戦国時代を舞台にしたもの。我々の現代的な感覚とはおそらく全く異なる時代背景の中での作品。
異なる相手と手を結び、その一方での裏切り、裏切られも恐らくよくあることだったのではないかと想像します。将が勝ち、また負ける中、今作品で信長への直接的な造反という目に見える形で示されたほどでではなくとも、常に様々な思惑が渦巻いていたであろうと思わせるものがあります。
その時代の肌が粟立つような感覚は、私達には想像するしかありません。
私は以前に一時期、働き住んでいた英国で「under the war」という見出しを新聞で何度か見ました。第何次目かの湾岸戦争の時ですが、大変混乱したのを覚えています。
「ちょっと待って、今、私って ”戦時下” にいる? ひょっとして? 」と。私が経験したのはごくごく一部のことですが、確かに戦争の当事国でした。
それ以上に、戦国時代は、いつ死ぬか、どう生き延びるのか、誰が勝つのか?その予測がつかない。
人の死があまりに身近な、そういう戦国時代の群像劇です。群像劇の団体での迫力。これは月組さんがお得意とされるところであり、真咲さんの退団公演という要素が加わって一層、力強く発揮されているように思えた今日の公演でした。
その迫力を、どうぞ劇場にてご実感ください。
4.お芝居のツボ
本日のお芝居のツボは主に以下のものです。
・ロルテス珠ちゃん
うん、がん見した。10列目からオペグラで。
ロルテスは冒頭、超絶かわいいオルガンティノと一緒に登場する場面は表情が動きます。ちょっと困ったような、でも楽しそうなロルテスもじゃ珠ちゃん。うんうん、いいよ、かわいいよ!オルガンティノに手をつながれて引っ張られてましたよね。あの方。ええわぁ、からんさん。
その後は、高笑いはありますが表情をできるだけ隠し、その分不気味な存在であるロルテス。でもその途中の無表情でありながら、目でかすかに表情の動きを示す珠城りょうさんの演技が、最後の方の場面で活きてくるのですね。
終盤、日本を、足利義昭を使ってポルトガルの支配下に置く、そして家名の復活を教皇に願い出るという野望がついえた彼は、信長に撃ってくれ、切り捨ててくれと頼むのです。が、逆に信長からある言葉をかけられ、渡した銃を返される。
その時のロルテスさんの予想もしない言葉を受け取った一人の人間としての表情。最初の「お芝居編」感想でも書きましたが、彼は信長によって救われたのだ、いうことが本日、珠城りょうさんの全身からより一層強く伝わりました。
そして、数年後、本能寺の変では「上様」と現れ、「青二才め」と楽しそうに声をかけられると、「はいっ!」と楽しそうに答えるのです。ゴアから来た弥助とともに、ロルテスは信長に心酔し、守る側の立場に鮮やかに変わったのだと伝える「はいっ」でした。
うん、かわいい!!、脚は長いけど。 ←結局、そこ? うん。間違いない。
いや、真面目な話ね。今日の公演の迫力が増していたのは、珠城りょうさんのロルテスの立ち位置が、より鮮明になってきたからではないかと、思ったのです。珠城りょうさんなりに、ご自身の解釈が定まったのではないかと勝手ながら推察いたしました。
私が3度目で、かつ「ル・サンク」の脚本を熟読しているため、話を分かっているからかもしれませんが、信長・帰蝶・ロルテスを軸とし、そこにからむ足利義昭、明智光秀、豊臣秀吉の物語が、より鮮明に見えてきた実感がありました。東宝組の皆さま、どうぞお楽しみに!お芝居は熟してきています。
・妻木を演じる朝美絢さんのいじらしさ
皆さま、既に注目してはりました?!
帰蝶に「良之には会ったのですか?」(暁千星さん)と聞かれた時の妻木さん!!!
うつむいて少し慌てた顔をして、そしてね、片方に寄せて一筋にくくっている長い髪を両手で撫で降ろすのですよ!!! 何、あのかわいい恋する女性のしぐさ?!そして美しい横顔。まいるわ。
男役さんがされる娘役は、なんというか、どきっとさせるものがありますね。
・浅井長政を演じる宇月颯さんの美しい武将
前も書いたけれどね・・・。宇月さんの長政なら、誰でも嫁に行くで!! 観客席の皆さまも「お市の方、ええなぁ」とうっとりされたと思うのですよ。政略結婚といいながら嫁ぐ場面。
何なんですかね、あの優しそうな微笑み、そっと添える手。エスコートです、エスコート!!嫁にいくやろ?政略結婚でも。
それから、長政を攻めお市の方にも危機が及ぶと分かったときの織田家中のみんなの慌てぶりな! 急に前に出てきはるねん、みんな。特に柴田勝家な(有瀬そうさん)。織田家中の憧れの美人さんやったんやねぇ・・・。
長くなりそうですので、続きは「感想:ショウ編2」として書きますね。こちらはまぁ、そのなんというか、「珠ちゃんへの心の声」になってそうな予感しかしないです・・(^^)。