代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

星組・桜華に舞え/ロマンス!! 感想2 お芝居感想続き 北翔さん演じる桐野の「君に遺したい言葉」

皆さま、こんばんは。宝塚大劇場にて星組さん「桜華に舞え Samurai The Final /ロマンス!!」の2度目の観劇をしてまいりました。今日こそ、ロマンチック・レビュー「ロマンス!!」の感想をお届けしたいと思います。と言いつつ、またもやお芝居の話が長くなりました。おばちゃんな、もう行くわ!お芝居感想の続きから。

本日も号泣してきました。ただ、今作品は決して暗い話ではないのです。維新の真の終結を描く今作品には、明治維新前後を生きた若者達の心意気を感じさせる、どこか透明な明るさがあります。それは新しい日本に必要な道程だったのだと感じさせるかのようです。

こちらは2階特設カウンターで販売されている特別メニューの一つ、カクテルの「桐野桜」です。甘くて飲みやすいカクテルですので、女性の皆さまにもお薦め。もう一つは芋焼酎「薩摩 桐野」でロック・水割り・ソーダ割りが選べます。お好みでどうぞ!

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以下、一部ネタバレを含みますので、お嫌な方はお読みにならないでくださいね。

レビュー「ロマンス」の感想はこちらです。よろしければどうぞ(^^)。

http://mothercoenote.hatenablog.com/entry/2016/09/04/005207

 

1.お芝居「桜華に舞え」を彩る人々

しだれ桜が美しく、最後の城山での戦いの場面が錦絵に描かれた幕の下がる開演前です。

物語の始まりを告げる麻央侑希さん演じる犬養毅のせり下がり。今作品では効果的に琵琶の音色が重要場面で使われていますが、琵琶の「べべべん」という音色とともに、物語は幕を開けます。

主題歌がいいですね。(作詞 齋藤吉正、作曲 青木朝子)

「侍よ 舞え 舞え」「侍よ 歌えよ 歌え」と繰り返されるアップテンポの楽曲に乗せて、オープニング間もなくずらっと銀橋に並ぶ薩摩兵児の皆様。

ああ、あそこにも美形、うわ、あっちにも美形!とお忙しです。七海ひろきさん、天寿光希さん、漣レイラさんに目を奪われました。七海さんの綺麗な横顔にうっとり。あの方は、若き総髪姿も、明治の官僚になってからも、美形なんですよ。

天寿さんと漣さんはねぇ、道場でも「誰?この美形?!」となるとたいていこの方達。こんな農民(下級武士で普段は農業に従事)おらんやろ?という瀬央ゆりあさんもそう。加えて、何だかこの人、戦いでも楽しそうだなという紫藤りゅうさんも。

麻央侑希さんは、瓦版売りも演じておられ(若き日の犬養さんなんですね)、歌もお上手になられて、ショウも含めてなかなか目立つポジションです。華のある方で、もちろんスポットライトを浴びておられるのですが、発光力のある方だと私は思いました。

「感想1」に書きました主要人物以外では、専科の夏美ようさんの大久保利通、美稀千種さんの岩倉具視に注目。夏見ようさんが演じられた大久保は最後の最後、友を失くしたことに心乱れます。彼は何よりも「日本」のことを最優先してきたのに・・。やはり薩摩の人だったのだなぁと、最後の最後に思わせた取り乱しぶりで、ここも涙の場面です。

対して、美稀千種さんの岩倉具視は、まぁ、憎たらしいほどの策略家ぶり。京都の公家らしい口調ですが、いざという時は迫力のある人物として、舞台を締めておられます。

 

2.西郷先生に学ぶ

本日も西郷先生のお話を傾聴するmiyakogu。いや、ほんまにええこと言うで、西郷どんは!!また、美城れんさんの再現ぶりが本当に感動なんですってば。

「敬天愛人」というのは、西郷隆盛さんが好んで揮毫した言葉であり、確かにそういう書を見たことがあります。ええと、「なんでも鑑定団」でかな・・。

セリフとしては「人を愛し、天を敬い」「君を愛し、君を敬い」とおっしゃいます。ははぁーーとひれ伏すmiyakogu。自分のことも大切にせよ、というのがいいですね。

西郷先生は、初めて桐野が訪ねてきた時、持参したさつま芋を笑う末弟を叱りこう言います。「この芋には、半次郎さんの愛情と苦労がつまっているのだと」(確かそういう趣旨です)。

その言葉に、「この人は・・」となる桐野。そしてmiyakogu(既に涙)。

「ついていこう」と決意する桐野、そしてmiyakogu。すっかりお芝居に参加するmiyakogu、北翔さんと心理的にはシンクロしています(^^)。

 

3.北翔さん演じる桐野の「君に遺したい言葉」

政府軍が優勢となり、逃走する中で北翔海莉さん演じる桐野利秋に「先生をこんな負け戦に引きずりこんですまないと思っております」と言われた西郷先生は逆に桐野に問いかけるのです。

「この戦いで、君は 何を遺したいのか?と。

「その 意味があるなら、これは負け戦ではない」という示唆を与えるのです。

これは今作品を通じたテーマであり、パンフレットの冒頭、見開きのページに目を伏せたみっちゃんのお写真とともに「君に遺したい言葉がある」と書かれています。

これは桐野のことでもあり、北翔さんが星組に、宝塚歌劇団に何を遺していこうとされているのかを、今作品を通じて表現しようとされているのではないかと思いました。

桐野がどのような答えを見つけ、どうその答えを告げるかは、どうぞ観劇によりご確認ください。

逃走の場面の客席降りはね、楽しそうですよ。負け戦なのに。にこにこと「政府軍を見ませんでしたか?」と客席に尋ねながら歩いていく薩摩側の方々。立ち上がって参戦しかねないmiyakogu。娘と一緒だったら、間違いなく「落ち着けや!」と一喝されそうです(^^)。

 

4.美しいデュエット

ほんまにええ声やね、北翔さんは!

北翔さんの桐野と風ちゃんの吹優の心が近づいていく場面、「揺れる想い」という楽曲をお二人が歌われるのですが、ガイズ&ドールズの「はじめての恋」を彷彿とさせるかのような場面。ああ、二人の心がためらいながら、ほのぼのとしながら、まぶしさの中で近づいていこうと、今まさに揺れているのだと確かに思わせるものがありました。

ただ、この後、切ない場面へと続いていくのです・・(T-T)。泣いてばかりやん!

お祭りに二人で出かけ、嬉しくて楽しくてしょうがない風ちゃんの吹優さん。見ているだけで可愛らしくて、切なくて・・(T-T)。

そして、風ちゃんが「あの」と話し始めるのを、「ん?」と聴く体勢を取る北翔さんな!この「ん?」が優しかったのですよ!!(〃∇〃)  ばんばんばん(キーボードを叩くmiyakogu)

 

5.涙で震える声、声、声・・

1週間前に観劇した時よりも、お芝居は進んでいます。

北翔さんのやり切れない思いに涙で揺れるかのような声、紅ゆずるさんの義と友情に震える声、礼真琴さんの会津への想いと守りきれなかった姫への想いに揺れる声・・。それぞれの切なさが、声の震えとなることで、空気を伝わって観客席に確かに届くかのようです。礼さんの「魂は捨ててきました」という低音の覚悟が決まった声にはぞくぞくっとさせられました。

ただ、紅さんの演技は、1週間前に拝見した時に、軽やかさも見せてくださった演技の方が私は好きです。全編を通じて、ちょっと力が入りすぎておられたかもしれません。

隼太郎の苦悩、地の底から響くかのような友への深い嘆きは、前半の何も難しいことは考えていないが、まっすぐな若者としての軽みとの対比により、一層強く感じられるように思ったからです。素晴らしい演技を見せておられる分、もう一歩の軽やかさも前半で見せていただけたらと思いました。最後の場面で素晴らしい演技を見せてくださるがゆえの、紅さんのお芝居心に対するポジティブな期待とご理解ください。

 

終わらんやん?!今日こそ、「ロマンス!!」の感想にたどりつきたいねんけどなぁ・・。