皆さま、こんにちは。本日は中学生娘と一緒に宝塚歌劇団・月組「グランド・ホテル」役替わりBパターンを観劇してきました。その感想をお届けします!本日の宝塚は雪でした。
本日B日程は以下の方々です。
1.朝美絢さんのラファエラ
朝美絢さんが演じられたラファエラは、愛希れいかさんが抜群の女優魂を発揮して演じておられるバレリーナ・グルーシンスカヤの忠実な付き人です。グルーシンスカヤへの憧憬がいつしか一つの愛に変わったと思われるような、同性への切ない恋を隠し持っています。
推定40歳過ぎのグルーシンスカヤに22年ついているということは、彼女もおそらくは40歳前後くらいでしょうか。今作品において、20代であろうジェンヌさんたちが演じるには、一番難しい役の一つだと私は思います。
初日からのAパターンで、暁千星さんが演じられたラファエラは「私は強くも賢くもない」と自嘲気味に歌いながらも、グルーシンスカヤを私が守るのだと強く願うかのようでした。強くありたいというかたくなな緊張が伝わってきたのです。また、それは初日にありちゃん自身が緊張されていたことの印象も強いかもしれません。
対して、朝美絢さんから感じたのは、グルーシンスカヤへの静かで純粋な憧れにも似た恋心でした。
朝美さんのラファエラからは、自分は「強くも賢くもない」と十分に自覚していて、グルーシンスカヤの男爵への恋も含めて丸ごと彼女を支えたいという純粋さを感じました。そして、それは一種の諦念を背景にしたものだと思います。
決して届かない、ヴィラで二人が住むことはないのだと、最初から知っている。そういう人生への諦めをにじませるかのようなラファエラだったと思います。
歌は驚くほど良かった!朝美さんは「舞音」の時から注目していますが、いかにもキザそうな外見以上にお芝居心を感じる方。感情を乗せた歌唱表現はぐんと成長されていて、私はラファエラは朝美さんの方が好きかもしれません。中学生娘はありちゃんの方です。
ただ、これはねぇ・・。ブロードウェイ版CDが秀逸なんですよ。多分、年齢が割と上の女優・Karen Akersさんが歌う年齢を感じさせる声。憧れ、独占欲、諦念。それらが全て入り混じったかのような歌唱です。また機会があればご確認ください。
2.暁千星さんのエリック
とてもとても良かったです!
最後の重要な場面で歌われる、ヤング・エリックを迎えた若きパパの喜び。
グランド・ホテルを舞台に様々な人生が訪れ去っていく。その時の流れの中で、輝くような新しい「生」を迎えるエリック。彼自身もまだ若く、彼の家族は今、「生」の希望に満ちているのです。
男爵が亡くなった直後に歌われる輝くような「生」は、人生は回転扉のように廻っているのだと観客に強く訴えかけるものであってほしいと私は思います。暁千星さんのエリックはその役目を果たしておられたと思います。
エリックは生まれたばかりのわが子に「お前はすべてを手に入れるだろう」と歌います。それは男爵が薔薇を抱えて歌う「欲しいものは全て手にして」と呼応しているかのようです。
エリックはわが子こそ、望むものを全て手に入れると信じ切っています。しかし、おそらく、そうではない。それが人生だと示唆するかのような歌詞の呼応。
子どもが生まれた瞬間の父親は、心底、そう思うでしょう。本日のありちゃんの歌唱からは、心底、そう思っていることが伝わってくる力強さがありました。今日、私が泣いた場面です。
セリフの滑舌はまだ甘いように拝見しましたが、ありちゃんの場合、それが甘さを含んだ声にも聞こえ、若きパパはぴったりだったと思います。
振り返ってみると、ラファエラを演じられた初日、おそらくありちゃんご自身の緊張もあってか、おずおずとした印象が自分に自信を持ちきれないラファエラにマッチしていたように思います。その後、1週間後に観劇した際には、上手く歌わなくてはというこわばりのような固さを感じました。少し力が入りすぎておられたかなぁと拝見。
とても難しいと思うのです。40代前後の中年に差しかかった女性の持つ人生の諦念のような思いは、若くて溌剌としたジェンヌさんには一番遠いものでしょう。
おばちゃんには、ようわかるけどな! しかもな、50代にさしかかってみ? 笑い飛ばせるくらいやで!
あ、miyakoguの人生について語っている暇はないですね・・。その2では海乃美月ちゃんのフラムシェンと、今日、お見事だった夏美ようさんの人生を感じさせた歌唱へと続けます。
Bパターン感想2はこちらです。よろしければどうぞ!