代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

月組・All for One 感想4 守られる喜び、それは恋の始まり

皆さま、こんにちは。本日は日曜に宝塚大劇場にて観劇してまいりました月組「All for One」の感想をお届けします。

チケットを隠し持っていた「●列目いわゆる一つのどセンター席」で観劇したため、珠ちゃんのレイピアの剣先が襲ってくるわ、フィナーレではずんずん皆さんがこちらに向かって近づいてくるわ、銀橋で歌われる美貌の月城かなとさんの迫力にびびるやらで、まぁ、大変な観劇となりました。

珠ちゃんはずんずん近づいてこられるし、銀橋でマントの背中を間近で見てしまうし、みやるりさんには見つめられるし、れいこちゃんにはフィナーレ決めポーズで目合うし、ありちゃんにはばしっと目線をいただくしで、よくぞ無事に帰ったものですよ、いやほんまに・・。よろよろ・・。

本日は少しだけネタバレを進めつつも、肝心なことはできるだけ避けて書いてみます。一番書きたいのは「守られることの喜び」です。

 

1.珠城りょうさんダルタニアンが解き放つルイーズの中の乙女

王道の胸きゅんラブストーリーとして、仕上がっています!

コメディ要素満載なのですが、よりくっきりと珠タニアンとルイーズの恋が浮かび上がってきています。これは「彼に会いたい」と劇場一杯に歌声を響かせる愛希れいかさんの絶唱のお力も大きいと私は思います。

笑って楽しく観劇しているのに、ところどころ、なぜか泣きそうになるのです(涙)。

「もしも私が女の子ならば」と歌うちゃぴちゃん、ルイーズとして下町の酒場で珠タニアンに出会うちゃぴちゃん。

対立する銃士隊(珠ちゃんと三銃士側、青のデニム生地)と護衛隊(月城かなとさん隊長、服装が黒っぽくやや高級そう、多分、顔面接あり)が酒場で繰り広げる大騒動のさなか。珠ちゃんの背中にぶつかったルイーズは、珠タニアンと踊り、守られ、手をひかれて逃げるのです。

ルイーズが全く知らなかった下町の世界。粗野でありながらも、楽しそうな酒場。そこでダンスの手を取ってくれ、大騒動のさなかに自分を守ってくれた広い背中の強い人。

そんなもん・・・。

惚れてまうやろーーーー!!

 

ルイーズは再び彼を訪ねて、銃士隊の隠れ家になっている下町の酒場にやってきます。「会いたい」一心で。本当は来てはいけない身分なのに・・。あなた、遠征に来るファンですかっての?! ←落ち着いて、miyakoguさん。

「会いたい」一心で無茶な行動に出るルイーズ。彼女の中の乙女は、ある事情により長年封印されています。その乙女を解き放ったのが珠タニアンの広い背中だったのですね。また、珠ちゃんの背中がそれにふさわしい広さなのよ!!

 

皆さまは、男子にすっと前に立たれて自分を守ってもらったことがありませんか?男の子みたいだった私にも、わずかながらあります(苦笑)。

高校の文化祭の準備のとき、少し不良というか、おませなグループの子達と仲良くなり、こっそり喫茶店に行ったときのこと。先生に見つかって、「あれ?なぜ君まで?」という表情の先生に対して、リーダー格の男子がすっと私の前に立ち、「僕達が無理に誘ったんです」と守ってくれたことがあります。

その時、「ああ、男子に守ってもらうというのは、こんなにも胸きゅん・・?!」と驚きました。←miyakoguさん、それまでそういう経験がないって、どういう人生?そこも問題っすよ、気づいてます?

(あ、こほん、「心の疑問」はがん無視してと・・)

ルイーズのきゅんきゅんが、だからこそ、私にはよくわかるのです。

そんなもん・・。

惚れるに決まってるやろーーーー!!

やろー、やろー・・・(with エコー)

 

何より、飛びつきたくなる背中と包み込むような優しさの持ち主である珠城りょうさんだからこそ、このラブストーリーは見事に成立しているのですね。

いや、面白かったよーー、珠タニアンがブルボン王家をゆるがす秘密に気づいてしまうシーンのお二人の表情!間近でみるとよりあわわわと、くっきりと。

ロボット歩きの珠ちゃんの顔、気絶する珠ちゃんの大胆な男らしい倒れ方、お見事でした(ぷぷぷ)。

 

2.女性を守るナイト

実はこの作品には、複数の守り守られの関係があるのです。

こまちゃん演じるモンパンシェ公爵夫人を牢城から助け出すアラミスの美弥るりかさん。「女性の虐待を見過ごすわけにはいきません」とさらりと。ナイト!

そりゃぁ、後でモンパンシェ公爵夫人に追われるって!

それにしても、沙央くらまさんのモンパンシェ公爵夫人はお見事でした。見せ場である「私が女を教えてあげる」のシーンの見事なスターっぷり。脚を出されて歌う、踊る。かっこよく色っぽい!彼女の再登場シーンは、劇場から思わず拍手が起こったほどです。

王宮の大騒動のさなか、宇月颯さん演じるアトスは、憧花ゆりのさんが威厳を持って演じておられる摂政・アンヌ様を守ります。王族への忠誠心の現れですが、しかし、ほのかに恋の始まりのような空気感がお礼を言うアンヌ様にはありました。

一方、それまでアンヌ様とルイ14世、ひいてはブルボン王朝をずっと守ってきたのはマザラン枢機卿でした。その一族は権勢を誇り、いつしか権勢そのものが目的になっていたようにみえました。王宮の大騒動の中、マザランはイタリアに帰国し生き延びることを第一に考えます。彼はいざというとき、アンヌ様を「守ってくれなかった」のです。
その事実が、大騒動の終わったときに、アンヌ様が述べたマザランへの感謝と決別へとつながっていきます。

3度目の観劇で初めて気づいたのですが、王宮の大騒動のさなか、今回、重要な役を演じておられる風間柚乃さんのジョルジュは、へっぴり腰ながらも、海乃美月さん演じるスペイン王女マリア・テレサを守ります。ジョルジュは剣戟一座で、ありちゃん演じるポルトス先生から、剣術を学んでいったのかな?彼は何とかマリア・テレサを守り、その二人の間にも恋あるいは信頼が始まっていくかのようでした。

 

最初の方で、ルイ14世が銃士隊の解散をとどめようとする場面、ルイはこういいます。「銃士隊がいなければ、王宮を守るのは頼りない衛兵と護衛隊だけになります」と。
その場面の前後、舞台の左端と右端にいる4人の下級生さんの衛兵は実際に、居眠りしたり、びくっと起きたり、まあ頼りないこと!細かなお芝居にぷぷぷぷとなりました。ぜひご覧ください(マリア・テレサの肖像画が届く場面です)。

ルイ14世のブルボン王朝の危うさを象徴的に示すかのよう。ブルボン王朝にも、守ってくれる存在が必要なのです。

幼くして王となったルイ14世を守るのは母のアンヌ様であり、夏月都さんが愛情たっぷりに演じておられる乳母です。剣の稽古でも汗を拭いてあげる優しい乳母さんでした(^^)。

 

3.守り守られる喜び

珠ちゃん演じるダルタニアンと、月城かなとさん演じるベルナルトの間では、「自分こそがルイを守る、自分こそが守るだけの強さがあるのだ」という争いがあります。

(ネタバレ言及は避けますが、ルイーズちゃんのこともです)

守る側には我こそがという自負と、大切に思う人を守る喜びがある。

守られる側には広い背中に飛びつきたくなるような陶酔がある。


それは、とてもシンプルなラブストーリーの根源です。

わかりやすく明快で、笑えるコメディ要素満載の中で、物語の根底を貫くラブストーリーの真髄がこの作品にはあります。

王道の少女漫画のような、きゅんと来る切なさ。さすが、心の中に乙女が住む小池修一郎先生。皆さまもどうぞご観劇をお楽しみください。

ダルタニアンと三銃士、誰の背中にとびつきたいか、それは観る側の自由な妄想に委ねられていますよ!(^^) 

あ、じゅる(〃∇〃) ←miyakoguさん、落ち着いて・・。

 

さて現在、関西国際空港にて娘の帰国待ち中。娘を守る喜びは確かにあります。そして、ええと、これで我々のお気楽な日々が終了・・、という一抹の寂しさもちょっぴりあることは、娘には内緒にしておきましょう(^^)。飛行機は無事に到着したようです!