皆さま、こんばんは。宝塚大劇場「神々の土地~ロマノフたちの黄昏~/クラシカル・ビジュー」のお芝居感想その2を引き続きレポしますね!引き続き、一番肝心なことはぼやかしますが、少しずつネタバレしています。
(感想1からの続きです)
5.赤い絨毯を敷いた大階段の見事な演出
めっちゃたぎった!!!朝夏ドミトリーが就任した近衛騎兵隊の階段降りがあまりに美しくて。
感想1に書きましたとおり、うららちゃんイリナと共に住んでいたセルゲイ大公邸を離れ、朝夏ドミトリーは身内である皇帝・ニコライ二世の宮殿に身を寄せています。ドミトリーは近衛騎兵隊の隊長(で合ってますか?)になり、若き将校達を率いています。
そのお披露目らしき任官式かな?の場面。大階段に赤い絨毯が敷かれ、上からイケメンの長身宙組メンバーが降りてくるのですよ、奥様!!
その上、そのまま、銀橋に進み、ずらりと並ぶのですよ、奥様!!ファンファーレのような行進曲が使われていたと思います。
見事見事、美しい!ぜひこの場面をご覧下さいね!!すっとした軍服の朝夏まなとさんの美しい立ち姿。ロイヤル・澄輝さやとさんの短髪軍服姿があまりに美しい!!
宝塚にしかない「美しいものを見ることには価値がある」場面です。
6.朝夏まなとさんと伶美うららさんの静かな熱演
朝夏まなとさんと伶美うららさんは、静かな情熱を込めた熱演をされています。
二人は雪原で踊り、離れ、舞踏会で再会し、再び離れ、再会します。二人の場面で流れるピアノの美しい音色。静かでありながら、激しい情熱が二人の間にはあるのです。
再会の場面、朝夏ドミトリーが静かに登場された時、ぞくぞくっとたぎりました!!
朝夏ドミトリーの静かながらも激しい情熱が、一直線に、ひたむきにうららさんイリナに届くのが見えるかのよう。その情熱が溢れ出て頂点に達した場面でのキスシーン。ぎりぎりの中で二人が再会する美しくも息を呑む場面です。
このお芝居は、静かなのです。背景に流れるピアノの美しい静かな音色。
しかし、二人の間の情熱はひたむきに激しいのです。泣けるほどに。運命の一夜が明けた翌朝、雪原を背景にしたお二人の場面の美しさ。皆さまもどうぞご観劇ください。
※9/16,17の観劇で「お芝居の熱」を感じました。静かなお芝居から、熱が発し始められています。
7.星風まどかさんの皇女オリガ
驚くほど良かった!星風まどかさんのオリガが。
ニコライ二世一家はロシアの民から離れたところに隠遁しているような印象さえあります。そういうものから遠ざけられて育ったのか、まどかちゃんオリガはダンスも踊れません。彼女は皇女として国を守りたい、ロマノフ王朝を守りたい、家族を守りたいという気持ちが誰よりも強いのではないかと思います。
宮殿にやってきた年上で賢いお兄さんの朝夏ドミトリーに恋をするまどかちゃんオリガ。ドミトリーに連れられて、弟と一緒に外の世界に出てみます。
ジプシー酒場(実は革命運動家のたまり場でもあります)での近衛騎兵メンバーとのやりとり、このお芝居でのほっこりとした笑える場面です。オリガと応答する蒼羽りくさん、瑠風輝さんがくすっとさせてくださいますよ。イケメンだけど。あ、澄輝さんはね、オリガに怒られないから(くすくす)。
彼女はドミトリーに会いたい一心でおばあ様である皇太后マリアの華やかな舞踏会に思い切って来ます。普段の軍服スカート的な質素な服ではなく、可愛らしい年齢にふさわしいドレスを着て。なんというか、泣けました。彼女の切ない一生懸命な可愛らしい思いに。
でも、はからずもその宮殿でおばあ様達の謀を聞いてしまうオリガ。そのことは最後、物語の鍵を握ってしまいます。
ラスプーチンを暗殺したドミトリーを「彼を許して」と皇妃に頼む必死のオリガ。でも、彼女は皇女としての道、ニコライ二世一家の娘としての立場を離れることはできないのです。泣けました。
8.愛月ひかるさんの怪演ラスプーチン
愛月ひかるさんのラスプーチン。夢でうなされそう!怖いわ、不気味やわで。加えて、ラスプーチンについているロフチナ夫人の花音舞さん、ゴロヴィナ嬢の瀬戸花まりさんの二人が怖いねんて。あのね、ラスプーチンが出てくると、もれなくヴィンディッシュ嬢が二人ついてくると想像してください。怖いでしょうが?!
愛月さんラスプーチンの演技には、権力や金目当てではなく、セリフにもありますがシベリアの農民達、虐げられた民の恨みが彼を通して爆発しているかのような複雑さ、凄みがありました。
暗殺直前、ラスプーチンは腰をかがめて皇妃アレクサンドラの裾を捧げ持ち、後ろに付き従って銀橋を渡ります。その異様さ、異形の不気味さ。
実際にもラスプーチンはなかなか暗殺できなかったようですが、この舞台でも、朝夏ドミトリーと赤い絨毯を敷いた大階段で死闘を繰り広げます。まぁ様ピンチ!!とはらはらしますので、ぜひご覧ください。いや、ほんと、ピンチでしたわ。ものすごいわ、ラスプーチン。そして、二人の従者。
ただ、考えてみると、彼らが異様で異形であればあるほど、「美しいものを見ることには価値がある」場面が際立つのです。
暗殺があっても、革命があっても、何があっても、ロシアの大地は美しく春を迎え、白樺が芽吹く。そして、美しい人は美しく信念のとおりに生きます。しかし、その思いはロシアに散ります・・。
皆さまもぜひ愛月さんの迫真の怪演をご覧下さい。夢に出そうだけど・・。
さぁて、お次の感想3はね、皇后アレクサンドラを驚くほど見事に熱演されている凛城きらさんと、美しくも儚い恋を夢見た澄輝さやとさんについて書くわね!!(続く)
※クラシカルビジューの黒燕尾についての感想はこちらです。美しかった・・。