代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

TVドラマ・おっさんずラブ第5話 林遣都さんは多分、切なさの化身なんだと思う

えー、以下は普段とは異なる筆致で別の沼らしき林遣都さんが体現している切なさについて書いています。宝塚ファンの方は生暖かく見守ってやってください・・。 

第6話感想はこちらです💧牧君の幸せってどうやったら実現できるの・・?

mothercoenote.hatenablog.com

1.牧君が嬉しそうだと私たちも嬉しい

先週末土曜日のおっさんずラブ第5話。いつもうるんだような目をしている例の美形チワワ=林遣都さんが演じる牧君は、相変わらず切ない目をしていた。

けれど第5話では、彼は少しはしゃいで、嬉しそうに笑っていて、少しばかり切ない場面があったとしても、その目は哀しみではなく次第に微笑みに切り替わっていく。

牧君が嬉しそうだと、私たちもふわふわと嬉しい。

牧君が傷つくと、私たちの心もちくりと痛い。

牧君が切ない目をすると、私たちも泣きそうになる。

これはものすごい才能だと私は思う。

 

私と中学生娘は宝塚歌劇団のファンで、普段は宝塚大劇場で生の舞台を観ていてTVドラマにはほぼ興味がない。華やかでゴージャスな宝塚の舞台にも、大きな目一杯に切なさや夢をたたえて、その人の心の震えや揺らぎが波のように押し寄せてくる方が時におられる。私の好きな方を挙げるとOGになられたが朝夏まなとさん、早霧せいなさん、月組トップスターの珠城りょうさん。

また、抜群のスタイルを含めてなんて美しい生き物なんだろうとただ見ているだけで満足できる方がいる。私の好きな方では宙組トップスターの真風涼帆さん。

舞台から息遣いが直接聞こえてくるような、飛ぶ汗が見えるような距離感で、その人の心の震えが声やふとしたしぐさになって波のように舞台から響き伝わるとき、私たちは心を動かされて泣いたり、笑ったり、心臓が止まりそうになったりする。

それはよくわかる。だって、舞台だもの。今、一緒にこのひと時を確かに生きているのだもの。

 

けれど、林遣都さんという俳優さんは、その心の震えを液晶画面の向こうから波のように伝えてくる。

だから、牧君を生きている彼の心が躍るとこちらまで嬉しくなって、彼の心がきりりと痛むとこちらまでちくりとなって、彼が泣きそうになるとこちらまで泣きそうになってしまう。

それはものすごい力だ。

 

2.林遣都さんは切なさの化身なんだと思う

第5話では大学生の牧君が登場する。

髪の分け目を逆にして、自信がなく将来への夢も見つけられなくてぼんやりとなげやりな牧君は、長身眼鏡美形(イケボ)の武川さんに恋をする。

少し猫背で無表情で就活でOB訪問に来た学生として登場した牧君は、見事な情けなさで武川さんをいらつかせて追い返される。けれど、偶然再会した武川さんを見上げる憧れに満ちた目。多分、偶然じゃないと思う。牧君は会えそうな場所を張ってじっと待っていたんだと思う。

不動産会社の営業所でビラを配っている武川さんを勝手に手伝って、二人で休憩するとき、ベンチの端っこに嬉しそうに座って、恥ずかしそうに少しだけにじり寄って、武川さんのことを見つめる。

彼の目からは「この人が好きだ」という気持ちがきらきらとこぼれ落ちるようで、弾んだ心の切なさが見ている側にまっすぐに伝わってくる。

ああ・・。牧君はいつだって、半分欠けている彼の心にかちりと音をたててぴったりと合う人を捜し求めているんだ・・。

ごく短い場面からでも、牧君がいつだって誰かを探していたこと、その人に一心に恋をすることが伝わってくる。その背景に彼が抱えている寂しさと孤独があることすらも。

それはやっぱりものすごい力だ。

彼は切なさを体現している。「切なさの化身」なんだと思う。

 

でも、20代最初と40代。牧君が社会人になり武川さんのもとでどんどん成長していく中、すれ違っていった二人は別れている。

恋にはナイーブでも、仕事では25歳らしい強気を培う牧君。いつしか二人の立場は逆転していて、牧君は武川さんのもとを飛び立ち、今は武川さんが牧君がいないとだめになっている。

生活のすれ違いが原因と武川さんは言っているけれど、本当はそうじゃないと彼自身もわかっていると思う。多分。違っていたのは20代と40代の変化のスピード。

 

3.嬉しくて切ない牧君

第4話で上半身裸の春田さんにバックハグで引き留められた牧君は、目撃した幼馴染のちずちゃんが慌てて出て行った後、降ろしたバッグの端を美しい手でつかんでから思い切ったように、なぜ引き留めたのかと田中圭さん演じる春田さんに尋ねる。

家事が便利だから?とやや自嘲気味に、でも少しだけ期待を込めて詰め寄る牧君。ほんのわずか、かすかな期待が彼の心の中で震えているような表情で。

戸惑いつつそうじゃないと言う春田さんに、一歩ずんと進んで牧君は「じゃあ、僕とつきあってください」と踏み込む。期待の方へバランスがわずかに変わったような表情で。

自分でもわからないまま「はい・・」と答える春田さんに、一瞬驚いて口をわずかに開ける牧君。今聞いた嬉しい言葉が信じられない、でも本当のことなんだと自分に言い聞かせるような表情で。

田中圭さんの演技もおかしくて、秀逸だった。俺は「彼氏なの?彼女なの?」と髪をつんつんひっぱって尋ねる春田さんを見て、とっても嬉しそうに牧君は笑う。

 

第5話では、二人は春田さんの休日服を買うという目的でうきうきとデートする。

自分がコーディネートした”彼氏”を嬉しそうに写真に収める牧君

「牧と行きたい店があるんだ」と言われて、一瞬ぼぅっとした後、「ちょっと待って」と弾むように追いかける牧君

ラーメン屋さんで並ぶとき、押されて瞬間的に手が重なってしまった後、手を払われてしまう牧君

春田さんにとって僕は恥ずかしい存在なんですか?と直球で傷ついた目を向ける牧君・・

あーーー、また・・・。牧君が悲しそうで切ない・・。私たちの心は同期する。

休日だけれど仕事で呼び出された牧君はその場を去っていってしまう。

でも一波乱の後、「好きになってもらえるよう、俺、がんばるんで」とほほ笑む牧君

健気過ぎて可愛すぎて、震えたお!

 

第5話の田中圭さん演じる春田さんはイケメンだった。牧君にまっすぐに向かうと「牧のことはぜっぜん恥ずかしい存在じゃない」と強く言い放ち、少し下を向いて笑って、牧君に自分の帽子をぽんとかぶせて先に歩き出す。(ぜっぜんの小さい「っ」が大事)

その春田さんを見つめる牧君は、一瞬、虚をつかれたように切ない目をしてゆっくりとほほ笑む。その時の彼はやっぱり本当は泣きそうな顔をしている。

すぐに春田さんの背中を追いかけて走り出した牧君の弾んだ心が、遠くなる後ろ姿からこちらにぽんぽんとボールのように届く。

それはやっぱりものすごい力だと思う。

 

4.かわいいというのは

林遣都さんはご自分のことを「かわいい」と言われるのが、あまりお好きではないらしい。かっこいいとか渋いの方がいいと。

ふっ。ばん!!(立ち上がるブログ主、宝塚感想では恒例)。

あのね、遣都さん。違うのよ!

あなた、中学生娘にも「かわいい・・」と絶句されてるから。そして、その「かわいい」の意味を、今から人生50年の大阪のおばちゃんが分解するから!

林遣都さんに対する「かわいい」は、「美しくて切なくて見ている側の胸がきゅうぅぅんとして、何をどうしたらいいのかわからないけれど、ずっと笑う顔を見ていたい愛しさに満ちている」という意味だから!!

とにかく、存在が罪だから!自覚して!

 

5.美は間に合ってます、本来。なのに・・

私と中学生娘は宝塚ファンで、美しさもかわいさも切なさも、抜群のスタイルも足の長さもスーツの着こなしも、儚さも涙も笑いも、渋さもイケボもちゃらさもキザも色気も、ほぼ間に合ってる。ショーでは、運が良ければあるいは勘違いでも、ウィンクも指差しも目線もあってずきゅーん!も間に合っている。

ゴージャスもきらきらも夢も切なさも萌えも、全部、宝塚大劇場にある。

ベルサイユのばらに始まり、近年では銀河英雄伝説、ルパン3世、るろうに剣心、はいからさんが通る、ポーの一族、天は赤い河のほとりと、名作漫画作品を見事なビジュアルで再現してきた宝塚歌劇団。

だから間に合ってますって、うちは。本来。

なのに、突然、何なんだろう?この人は。

修学旅行で行った東京で、思わずスカウトの方が声をかけてしまうほど、林遣都さんはきらきらきらと多分、当時から強くきらめていたのだろうと思う。太陽というより、ひときわ強く輝く星。多分、青く儚げだけれど強い光。

 

第6話の予告では、牧君は泣いていた。

彼は春田さんが最大級に幸せになれる相手は自分じゃないと思っているようだった。それは予測しうる事態だ。春田さんが牧君を人間として好きで、心底大切に思っていて、愛おしい存在だと思っているのは無意識に出る様々な言葉から間違いないと思う。

けれど、牧君が春田さんに思わずキスしてしまうのと同じ、一つになりたい、触れ合いたいと願う愛と同じなのかは、まだわからない・・。彼らの鍵は、かちりと本当に合うのだろうか?

全員がハッピーにというプロデューサーの方のご発言を信じて、次の土曜日までを生き抜きたい。

先週末は無事に録画できていたので、スライド作成はいったん置いておく。あの美形チワワにこれ以上、生活ペースを乱されるのは本当に困る。林遣都さん主演映画「にがくてあまい」と、NHKで主演されたドラマ「銀二貫」(※)のDVDを握りしめながら、今夜はこれで終わりたい。

※「銀二貫」:宝塚歌劇団では当時雪組だった月城かなとさん(美形男役さん)が主演。月城さんは「るろうに剣心」でも蒼紫を超絶ビジュアルで演じた方。現、月組。