代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

月組・夢現無双 新人公演感想 風間柚乃さんが魅せる若き剣豪活劇の鮮やかな見事さ

皆さま、こんばんは。4月第1週の金曜夜、お元気ですか?社会人、学校、幼稚園、そして保育園にワーキングマザーと、新たな一歩を踏み出した皆さま、お疲れ様の一週間でしたね。桜も、こちらではほぼ満開になりました。

本日は今週火曜日に観劇した月組・夢現無双の新人公演について感想を書いておきたいと思います。今週末の本公演戦いに備えるものなり。(最後に出てきます!)

春の空のように、清澄な光を感じさせる見事な新人公演でした。

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 1.総論 鮮やかで見事な剣豪活劇

風間柚乃さんは、剣だけは強い悪童が切れ者の剣士へと成長していく様を鮮やかに描き出されていました。観ていて、とても気持ちのいい剣豪活劇の趣がありました。

私自身は原作も漫画となった作品も、読んでいるわけではありません。けれど、無敵であったという宮本武蔵の青年期までの物語として、逸話は何となく知っている。その中で無意識に期待する剣豪の物語が、鮮やかな光のように見えたと思います。風間柚乃さんがご挨拶で語られたとおり、剣の道は芸の道にも通じるとして、自分の物語として演じられたのだということが、確かに伝わってくるようでした。

鮮やかで見事。その一言に尽きるかと存じます。

風間さんを筆頭に月組の若手の皆さまも、それぞれに自分なりの「色」を出されたなと。見事で工夫のある公演でした。舞台に観客を引き込んでいる感覚を、確信を持って演じておられたのではないかと思います。

忠実なコピーというより、自分たちで舞台上に創り上げた一つの小宇宙。

なるほど。風間柚乃さんには主演として、そして月組の若手の皆さまには、そういった小宇宙を構築するお力があるのだと感嘆いたしました。少し前から背の高いスラリとした男役さんが多くなったなと感じておりましたが、お芝居の工夫や演じる楽しさが伝わってくる若手の皆さま。これからの月組さんに期待大です。あ、宙組も今、お芝居乗ってるので、皆さん、よろしくね!

印象に残った方々について書き留めておきたいと思います。

 

2.風間柚乃さんの武蔵

本役の珠城りょうさんとは異なるアプローチを自分なりに貫き、そして成功させた見事な新人公演主演だったと思います。

風間柚乃さんの武蔵は、普段は普通の青年なのだろうと感じさせるものがありました。けれど何かあると、殺気が瞬時に立ち上がり、素早い身のこなしで一気に斬る。そういう鮮やかな剣。

光悦のセリフにありますとおり、一気に燃え上がる炎のような激しさ、光がきらめくような鮮やかな剣。若き剣豪が頂点まで駆け抜けていったような鮮やかさ。

風間柚乃さんの武蔵からは、からからと清流が流れる時の小気味のいい水の音がするような、根底にそういった清澄な明るさがあるように感じました。

ふっと楽しかったのは廓の場面。風間柚乃さんは、どうしても廓で寝ているのがしっくりくるんですね。存在自体に色気がおありになるからかな?と思います。

 

3.天紫珠李さんのお通

澄んだ綺麗な声、よく通る歌声。この声は、ヒロインとして大きな強みだと思います。男役さんから娘役さんになられただけあって、背の高い方であり、同時に健気さや可憐さもその声からもたらすことができる。

中盤から、自分の声と演技が劇場を引き込んでいることに自信を持って演じておられたように拝見しました。きりっとした芯の強さも感じさせる娘役さん、今後が楽しみですね。

 

4.蘭尚樹さんの小次郎

私は蘭さんの初舞台口上の日に観劇した記憶があります。研一で春海ゆうさんとともに獅子に抜擢されていた日本舞踊のお上手な方。ありちゃん主演のバウ「アルカディア」ではクラブの明るい飄々とした青年を演じておられて、好印象でした。

小次郎は、本役さんが男役の集大成を見事な存在感と色気で見せておられる美弥るりかさんですから、とても演じられるのが難しいお役。そういった中で、蘭尚樹さんの落ち着いた明晰なセリフは冒頭から「お!」と思わせる力がありました。緊張を感じさせない落ち着いたオープニング、これから素晴らしい新人公演が始まるという予感を感じさせるものであったと思います。

若干残念だったのが、銀橋を渡られるときの歩き方。長い刀を背負っておられて難しいのだろうなぁと予想しますが、少年ぽい飄々とした雰囲気が強かったかなぁ。本役さんの、登場するだけであたりを払うような存在感は難しいかもしれませんが、東京での新公に期待していますね!

 

5.空城ゆうさんの武蔵父

その迫力にびっくりしました。迫力、存在感、よく通る声。オープニングに、小次郎と対峙する役であり、緊張を一気に高めないといけないお役ですが、空城ゆうさんは声もビジュアルも強い迫力があり、一気に舞台に引き込まれました。何というか強い印象を残す方。今後に大いに期待です!

 

6.朝陽つばささんの沢庵和尚

 思い切りの良い声、お上手でした!武蔵父と並び、この舞台を締める非常に重要な役どころ。度胸良く演じておられて、さすが「雨に唄えば」で、代役で主要な役を演じられた方だと感心いたしました。

吉岡一門を斬った武蔵を一喝する場面、劇場がしぃぃんとした緊張した空気になる中、びりびりと伝わるものがありました。素晴らしかったと思います。

 

7.英かおとさんの又八

又八はこの物語の生き生きとした軽やかな面を担う、とても難しい役だと思います。英かおとさんは本役の月城かなとさんの軽やかさにはなかなか及ばないのですが、その分、より男子っぽい可愛らしさがありました。この役は可愛くないとただのおばかさんになると思うので、そのバランスをうまく持って演じておられたと思います。

英かおとさんは、「ラストパーティ」の美しい白軍服姿が印象的な立ち姿の綺麗な方ですね。

 

8.結愛かれんさんの吉野太夫

結愛かれんさんの気風の良さそうな強気で妖艶な吉野太夫は、とても魅力でした。本役の海乃美月さんが美貌と謎めいた雰囲気で見事に演じておられるだけに難しいだろうと思ったのですが、なかなかどうして。

ところどころ早口になられるのが少しだけ気になりましたが、本役さんとは異なるご自分なりの吉野太夫をものにされていたと思います。声もお綺麗でよく通っておられました。

本公演では武蔵の弟子・城太郎を、やんちゃな少年として生き生きと演じておられるため、その差に驚かされました。羽龍きよらさんの城太郎もかわいいやんちゃ坊主!本公演ではお人形さんのように可愛らしく禿を演じておられるため、ジェンヌさんってすごいなぁとなりますね。

 

9.彩音星凪さんと礼華はるさんの吉岡兄弟

長身美貌兄弟!吉岡一門に入門希望の女子が殺到するわ、これ!

落ち着き払って新人公演を拝見していたアラフィフの私と晴れてJKになった娘が浮き足立ったのはこのお二人。いや、miyakogu、いつも割と落ち着いて観劇しているじゃないですか?(注 嘘)

立ち上がりそうになったよね、ばんっ!って。←落ち着いて、miyakoguさん(^^)

本公演でも阿国一座の太郎と次郎の美形お二人。彩音さんはAll for Oneでの子ダルタニアンで一気に注目を集めた方、エリザベートの黒天使でも一際目を惹く美しさがありました。礼華はるさんは、本公演で阿国一座でひらひらと踊る手がお綺麗で品が良く、ショーでは迫力の黒レオタード網タイツ美脚集団の中で、一際、品をとどめつつも挑発的な色気のある表情で魅せてくる方です。

注目のお二人の美形さん。このお二人が涼やかなきりっとした目元で、声も綺麗でセリフも迫力があり、おばちゃんな、吉岡一門に肩入れしたね!ごめん、武蔵、おばちゃん、美形に弱いねん!(^^)

 

10.桃歌雪さんのお杉、瑠皇りあさんの権六

これは難しいぞと思っていたお杉さんとひょうひょうとお杉についてくる権六(武蔵の叔父、お杉さんの弟なのですね)。こちらも月組の下級生さんはなかなか見事に、茶目っ気も出して演じておられました。二人が歩き出してぶつかったりして、アドリブも息の合ったお二人でした。

桃歌雪さんは私が耳にしばらくついて離れなかったBADDYの「海の~、プリンセ~ス、ほたて~。うぅんん、はぁぁん」と歌っておられたのですが、もうそのはまりっぷりがすごくて。この人は面白そうな方だなと思って拝見しておりましたが、お杉さんもお上手。美形の瑠皇りあさんが飄々と権六を演じておられたのも印象的です。コミカルな持ち味もおありになるのかな?(^^)

 

11.本公演の謎を解きたい

確信に満ちた見事な鮮やかな新人公演でした。おそらく、中盤あたりから自分たちのこのアプローチは間違っていない、観客を引き込んでいるという自信をお持ちになったのではないでしょうか?思い切りが感じられる大変清々しい公演でした。素晴らしかったと思います。

さて、新人公演を観劇しつつ、途中からものすごく考え始めたのです、本公演について。隣に座っていた新米高校生娘は「あ、今、ものすごく考え始めたな」と思ったそう。仕事かな?とも思ったようですが・・(^^)

剣豪活劇としてはおそらく、新人公演のアプローチの方が清々しく観ていてすっきりと明るい。

ただ、本公演を数回拝見して新人公演と比較してみると、逸話を盛り込みすぎたように見える脚本の中に、ちらちらと見え隠れする宮本武蔵の無骨な哀しみ。珠城りょうさんからは、宿命の道を歩く者の”何か”が伝わってくるように思えたのです。

宝塚の舞台としては、剣豪活劇の方がよろしいだろうと思います。すっきりと。なのですが、本公演で感じる剣の道の奥深く独りで歩いて行く宿命の武蔵。剣の道により深く迫ろうとする迫力が、そこにあるように私には思えます。

鮮やかに、光と炎の剣の風間武蔵

対して、土の匂いと燃え立つ炎の中、ただ独りで道を歩いていく宿命の珠城武蔵。

その宿命には、剣豪としての鮮やかな美しさよりも、無骨な哀しみが感じられる・・。忘れられない、どうしても気になる魅力があるのです。

それはいったい、何なんだろう・・?

ずっと考えているのですが、昨日、朝の道を歩いている中ではっと気づいたことがあり、恒例のお風呂会議で娘に語ったところ、なるほど!と大きくうなずいてくれました。先日の真風さんハネウマライダー妄想物語への冷たい反応とは違いましたよ・・(^^)

ですので、今週末の観劇、miyakogu、決戦の意気込みで臨む所存なり

劇場で(目に見えぬ)ハチマキを締め、まなじりを決して舞台を見つめ、(目に見えぬ刀で)武蔵と戦っているアラフィフのちんまるこいおばちゃんがいたら、そっとしておいてやってください。それ、戦っているmiyakoguなり。

↑ miyakoguさん、落ち着いて。それ全部エアだし、その属性、宝塚大劇場でもっともありふれていて、絶対誰にもわからないんで。

うっしゃぁ!戦いを挑むものなり!! ←観劇なんで、落ち着いて・・。