代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

宝塚宙組バウホール・夢千鳥 感想2 愛を知る映画監督と夢二、美しいゴージャスフィナーレへ

では、引き続き宙組バウホール公演「夢千鳥」の感想2として、第二幕からフィナーレについてレポしますね。

 

1.新たなモデルのお葉

第二幕は撮影所で幕を開けます。

夢二役の演技に納得がいかないそらちゃん白澤監督。第三の女性であるお葉役はまだ決まっていません。映画会社の社長の穂稀さんとプロデューサーの水香さんがいいアクセントになっていて、くすっとなります。このお二人、上演が続けば日々、いろんなことをしてくれそうな名コンビでした。惜しい!しかし、再演と東上を諦めないぜ!

 

お葉の役者が見つからないと、バーで再び飲んだくれるそらちゃん監督。誰を紹介してもらってもうんと言わないのです。

そんな完璧な女性なんていない、わがままだと言いながらも、知り合いの絵画モデルを推薦するバーテンダーの紺野(留依蒔世さん)。呼びかけが、監督→先生へと変わる中で、観客は再び、夢二の物語へと誘われます。この演出もにくいところです。

 

お葉は美貌の水音志保さん。アナスタシアでも皇女の一人タチアナ役で輝いておられました。

教育を受けていないお葉さん。字を教えてあげるという夢二。絵画の教育を受けていないことが根深いコンプレックスとしてある夢二が庇護しようとするお葉もまた、彼にとっての青い鳥なのだと思えます。

モテモテだった夢二が、お葉に出ていかないでくれ、置いていかないでくれとすがりつく。その切なさ。

籠を出ようとする健やかで若い青い鳥のようなお葉。魅力的なお葉さんには、多くの男性が引き付けられ、言い寄ります。

 

2.彦乃の死、二つの別れ

常宿なのでしょうか?ホテルの一室の決まって一つの窓を眺める夢二。桜の花がきれいに見える方の窓ではなく、空を見つめるかのような夢二。

その方向には、彦乃さんが入院する順天堂病院があるのです・・。

夢二はついに傑作を描いたのです。モデルはお葉ですが、そこに描かれているのは彦乃のようでもあり、彦乃でもない。

誰のことも愛せないのだと看破するお葉。

医師に求婚されたのだと、お葉は夢二のもとを去ろうとします。

そして、彦乃は病院で亡くなります。父にごめんなさいと一言を遺して・・・。

 

※圧巻のソロダンスはここだったようです。最初、1幕ダンスの歌のところとやや混濁してましたが、お教えいただき書き直しました。

彦乃の死を電話で知らされた夢二はすべての時間が止まったような表情を見せ、そしてここから、圧巻のソロダンスとなります。

哀しみを表現し、崩れ落ちるように膝をつき、最後までゆっくりと仰向けに崩れるように倒れるそらちゃん。圧巻でした。ものすごい腹筋力で仰向けに横たわります。

次々と見どころが来るため、記憶がややあいまいで申し訳ないのですが、そらちゃんに目を引き付けられていると、白いスモークの中、天国のような夢のような列車の中、彦乃の膝で目を覚ますそらちゃん夢二。

※このあたり、次の内容も含めて前後関係が少しあいまいです。間違っていたらごめんなさい。

 

3.青い鳥の卵

亡くなった彦乃の夢を見ているのか、電車の中で彦乃と再会する夢二。

しかし、過去の女性や関係者が次々に現れ、夢二を糾弾する言葉を投げつけます。

その中で、彦乃の父である笠井(若翔りつさん)が、愛の意味を教えるのです。(おそらくは映画を作った監督自身の気づきにもなっていきます)

青い鳥を探すのではないと。

青い鳥の卵を温めるのだと。

 

ここからは私の個人的感想ですが、そうやってしか、愛する幸せはないのだと示唆するようでした。

娘を失った笠井父。彦乃はこの世にはいません。しかし、愛は残ります。

娘がこの世から去るなら、最初から娘がいなかった方が、娘への愛を体験しなかった方がよかったでしょうか?

いいえ。慈しみ育てた記憶は、愛そのものとして長く彦乃父の心に残ったはずです。この点は、病気によって死と生の意味を一度真剣に見つめたことのある私が語ってもよいかと思います。

 

ついに、夢二はお葉を手放します。あたかも鳥を籠から放つように。

その場面は、脚本を書き換えたことにより映画ラストが完成したような場面でした。

 

4.フィナーレ

ゴージャスでした!!!

留依蒔世さんがすくっと背中を見せて立ち、始まるフィナーレ。留依さんがバウ2番手として堂々と歌い踊り、ゴージャスショーを見ているかのように始まります。

黒燕尾で白い羽を持った男役さんたちに囲まれる天彩峰里ちゃん。皆さんの白い羽でみねりちゃんの大羽根をつくる場面、狂気めいた演技をたっぷりと演じきった彼女への敬意の現れのようでした。

堂々とラスボスで登場する和希そらちゃん。

背中をゆらめかせて登場されるのですが、その身のこなしが柚希礼音さんのようで、独特のセクシーさでした。それでいて、軽やかに手を挙げて高くジャンプするところはむしろ優雅で、朝夏まなとさんを見ているでした。

お二人のハイブリッドのような和希そらちゃん。ぜひ今後のご活躍をご注目ください。

花組に異動される美風舞良さんをそらちゃんとみねりちゃんが手を差し出して見送るかのような場面もあり、本当に良かった!

 

和希そらさんは、WSSのアニータ(東京版)の時も感じましたが、セクシーなんですね、存在自体が。生の存在そのものが持つエネルギーやゆらめきがセクシー。

もちろん男役さんとして見せておられるセクシーさもあるでしょう。しかし、それ以上に存在自体が持つエネルギーから生まれるセクシーさが、和希そらさんの最大の魅力だと思います。

汗がほとばしるような熱を帯びた陰影のあるセクシーさ。タンゴダンサー的な色気というのが一番当てはまるかもしれません。

声がよく抜群に歌えて、ダンスがとびきり美しく、演技ができ、憂いを帯びた横顔が美しく、存在自体がセクシー。WSSのアニータ、二度のバウ主演を経て、私は今後が楽しみな大型スターさんへと育っておられると思います。

どこかでの再びの上演、東上を心より希望します!素晴らしい公演を、宙組バウチームの皆様、ありがとう!

そらちゃんのWSSアニータの記事はこちらです。よろしければどうぞ(^^)

https://mothercoenote.hatenablog.com/entry/2018/01/12/235301

(一度だけの観劇で私はメモを取らずに観ます。そのため、感想1,2とも誤解や記憶違いがあるかとは思います。そこはご容赦くださいね!)