皆さま、こんにちは。ようやく穏やかな秋の日ですね。さて、昨日は梅田芸術劇場の東宝「エリザベート」を観劇してきました。その感想をお送りします。
長年の宝塚ファンのMさん、チケット、ありがとうね!彼女はOGさんの公演情報に素早い方。花總まりさんがシシィを演じられる回を抑えておられて、私も便乗させてもらいました。トートは城田優さん、ルキーニは山崎育三郎さん、ゾフィーは涼風真世さんです。
いやぁーーー。びびりましたわ、花總まりさんの透明感!
映像では拝見してきましたが、生で劇場で拝見するのは初めてです。美しく、透明感があり、命を確かに感じさせるシシィ。原作はエリザベートが主役と聞くミュージカルですが、まさかハプスブルク家の本物のシシィも、100年以上後に、ファー・イーストの日本でこのような形で自分の作品が上演されるとは全く持って予想外でしたでしょうね。
そして、その主人公をこのような美しく透明感のある女優さんが演じておられるとは・・。少女期の清らかな笑顔、はつらつとした生命が躍動するかのような駆け出す演技。これまで拝見してきたどなたよりも、まさにトート閣下が一目で恋に落ちるだろうなと説得力のある生命の輝きでした。
宝塚版にないシーン、セリフがたくさんありますね。冒頭のルキーニの裁判官殿への挑発、家庭教師とパパの関係性を示す場面、ハンガリーで亡くなった娘のシーン、性病のくだり。史実としてはあっても、少しどぎつく、おどろおどろしくなる可能性のあるシーンはばっさりとカットし、トートとシシィの愛の物語へと昇華させた小池先生はほんっとにすごい。多分、宝塚ファンに通じるスピンアウト的な物語への妄想力、構想力が抜群に天才的な方なんだろうと思います。
宝塚版になかったシーンで、私が一番心打たれたのは、ハイネのように生きたいと願ったというシシィが、パパのことを思い出し、ギリシアのコルフ島の別荘で歌うシーンです。
「パパみたいに なりたかった」
「パパみたいに なれなかった」
うう・・。シシィと同様に父親っ子だった私ですが、父みたいに生きたかったわけではありません。
しかし、シシィのパパへの憧憬、もう一度会いたいという強い願いが表れた歌唱を聴いて、ああ、パパの生き方に憧れたんだなと痛感しました。少女期に「パパみたいになりたい」と無邪気に歌うのとは違うのです。その重みが。晩年、自由に生きられなかったことをついにシシィが悟った切ないシーンでした。
それにしても、うまかったわ、みんな!歌が!!誰一人としてひっかかることがなく、はらはらすることもなく歌われるミュージカル。いえ、それが当たり前なんですが、素晴らしい声でした。私がとても好きなタイプの声だなと思ったのはルキーニの山崎育三郎さん。素晴らしい声でした。
ゾフィーの涼風さんはとても美しいゾフィーであり、威厳があり、かつ彼女の思いもあることが伝わってくる演技で、素晴らしかったです。ゾフィーにも宝塚版にはない歌のシーンがありますよね。誰よりも帝国の存続を自分に託された使命なのだと、自分を強く律し、自分を抑えて生きてきたゾフィー。それなのに帝国の崩壊が見えてしまったことへの無念さが伝わる演技、歌唱でした。
城田優さんのトートは、宝塚版との違いが一番はっきりわかるもの。死の帝王としての傲慢なほどの不遜さ、にやっとした不気味さを「声」に潜ませているかのような演技。トートはにやっとしながら、人間界を見ていることが声に出ていたと私は感じました。ずっとシシィの人生劇場を観ていて、時に近づき、すっと去り、そして再び現れる。その変幻自在さ。美しい容姿の印象以上に不気味な感じがより色濃く出ているトートだったと思います。
宝塚歌劇団で現在、上演されている宙組さんの「エリザベート」。朝夏まなとさんのトートは、美しく妖艶で両性具有的であり、シシィへの思いに身もだえするかのような繊細さ。宝塚のトートは徹底的に美しいものなのだと改めて思いました。
それから、子役のルドルフ、激上手でした。子ルドルフに城田優さんトートがかがみこんで話を聞く場面、体格差がリアルでした。城田さんは背がお高いので、とにかく帝王感がありますね。
実は、何よりも驚かされたが、黒天使のダンサー達でした。宝塚の宙組さんの黒天使達も抜群でしたが、東宝のエリザベートは男性ダンサーならではの切れ、アクロバティックな動き、回転の早さ、ジャンプの高さ。素晴らしいです。本当に驚きました。バレエでも群舞を拝見するのが好きな私としては、感動いたしました。本当に素晴らしかった。
プログラムのお写真を娘とみていて、「うわ、この人、かっこいい」と二人同時に思ったのが小南竜平さん。そして、同時に思ったのが「(宝塚の)真風さんに似ている!」ということ。要は好きなんですね、こういうお顔が・・。わかったわ。しかも、この方、「REON JACK」に出ておられたとあります。「ロミオとジュリエット」にもご出演予定とのこと。観に行こうかしら?と思ったmiyakoguでした。
とにかく、レベルの高さにうならされた素晴らしいミュージカルでした。
(続きます)