代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

梅芸・オンユアフィート 感想 朝夏まなとさんの輝きと繊細さ、一路真輝さんには心底驚き!

皆さま、お元気でしたか?miyakogu、博多からただ今、佐賀方面に向かう特急車内です。ようやく訪れた週末の完璧オフ!

今日こそ、その日、遅ればせながらオンユアフィートの感想を書く!パンフとノートPC持参しているのだ。わははーー。

※実は博多座公演時間を間違えていることに新幹線内で気づきました。中学生娘&旦那はんよ、晩御飯には大阪に戻るつもりでしたが夜遅くなるので、そこんとこよろしく・・。お母さんは午後公演まで温泉に行ってくるよ・・。佐賀までな・・。わははーー!(注 浮かれている)

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1.グロリア・エステファン役女優を探す困難さ

 今更ながらパンフレットを熟読。2015年にシカゴで初演、その後、ブロードウエイに進出した今作品、米国においても稀代の歌姫グロリア・エステファン役の女優を探すのは困難を極めたと・・。そりゃぁそうだ!

翻訳・訳詞・演出を担当された上田一豪氏のご挨拶文にも、「この楽曲を歌いこなし、きれのあるラテンのノリを再現できる女優さんが日本にいるのだろうか?」という心配した旨が示されています。

ほんまやね!ちゃらいまぁ様の真骨頂やーーん?!

踊って歌えて、しかもラテンの切れとノリ。これは花組時代にまぁ様が蓄積されたであろうもの。ただ、もう一つ大切なことがあるのです。

グロリア・エステファンさんご本人の生涯を綴るこのミュージカルは伝記的要素もあるのですが、脚本によると、グロリアは少女時代、とても内向的でシャイで、まちの人々にせがまれたら歌うけれど、人前で歌うのが苦手な女の子。その繊細さ。

加えて、三代にわたる家族愛と母親との葛藤もある物語。そこを表現しうる演技力。
そういうものがすべて求められるお役なのですね、グロリア役は。

ブロードウエイでの評は「楽しく明るい」と好評だったそう。ただ、私は決してその面ばかりではないと今作品を受け止めました。その繊細な面をもたらしたのはまぁ様、一路さん、久野さんの三代にわたる家族のあり方だったと思います。

 

2.太陽のようなまぁ様の輝きと繊細さ

「CONGA」等の楽曲をノリノリで歌って踊るまぁ様は、まぶしい太陽のような輝きを放っておられました。センターでお立ち台的なセットの上に立って、踊り歌う。

周りに達者なダンサーがいても、男性を含めて従えてすくっと立てる強さ。

けれど、明らかに「女性」。男役さんからの脱皮途上ではなく、強さを持った舞台女優さんでした。

私が好きだったのは、ノリノリのまぁ様以上に、少女時代のグロリアのはにかむような演技です。賢く内向的で繊細な少女だからこそ創れる音楽。まぁ様は背が高い方ですが、その背を少しかがめて話すとき、背の高い方がお持ちになりがちと聞く恥ずかしさのようなものが伝わってくるようでした。(私はちんまるこいのですが、私の姉は背がとても高く身近で聞いていまして・・)

そして、まぁ様ご自身も語っておられたと思いますが、「これは男役としてどうか?」と考えずに、感情をストレートに出し切ることでできるのですね。宝塚時代の「シェイクスピア」の若き父としての哀しみを爆発させた表現も驚きましたが、それ以上に、舞台からストレートに伝わる怪我をしてリハビリが思うようにいかないグロリアの悲しみ。父親の介護がずっと続くことを恐れていたと、その葛藤を打ち明ける辛さ。

舞台から客席に、ストレートに伝わるものがありました。

歌って踊れて、きれとノリが表現できて、繊細な演技もできる。確かにこの全てを兼ね備え、表現できる女優さんはそうそういないはず。

ぜひ、まぁ様主演での再演を希望いたします!

 

3.一路真輝さんはものすごいし、久野さんはチャーミング!

宝塚ファン歴がまだ6年に過ぎないmiyakogu母娘。今作品で一番驚いたのは、グロリア母を演じる一路真輝さんの演技と迫力とかっこ良さ、ついでに美脚。

あの方、ワンピースからのぞく脚、めちゃくちゃ綺麗ですよね?! ←落ち着いて、miyakoguさん。

さすが初代トートです。突き放すようにまぁ様グロリアにセリフを放った場面のセリフと目には、トートの「死ねばいい!」の迫力があってぞくぞくしました。お歌も演技も素晴らしいのですが、あの目なんだろうなぁ、一路さんのすごさは。本当に参りました。

久野綾希子さんのチャーミングなおばあ様も絶品でした。小首をかしげてにこにこして、まぁ様グロリアをいつも励ましてくれる祖母・コンスエロ。

一路ママは、ベトナム戦争で傷ついた(何よりも心が)夫を抱え、決して見放さず、女手一つで家族を守ってきた女性です。彼女は才能があり、今、グロリアが叶えつつある夢に十分手が届く場所にいた。けれど、キューバの歴史の中で、そうはできなかった・・。

私は今作品がただ「明るくて楽しい」ミュージカルに終わらなかったのは、一路さんの存在が相当大きいと考えています。

かつて自分が後もう少しで手が届いた夢を、娘に本来大切にしてほしかった学歴を捨て家族を蔑ろにし(と見える)、時間に追われる生活をしながらも、でも夢を実現していく娘・・。

私はそこには、ただ母親として心配し応援するだけの感情があったとは思いません。

おそらくは、同性として自分がそんなふうに思っていることを認めたくない嫉妬があったと思うのです。そこが祖母・コンスエロとの大きな違いであり複雑さです。

一路さんは意図されていなかったかもしれませんが、少なくとも、アラフィフで娘を持つ母親である私がそう感じる演技をされたと思います。

時代が違っていたら、政変が起こらなければ、ベトナム戦争に夫が行かなければ。今、その輝かしい場所にいたのは私だったのかもしれないのに。その思いはどこかにあったのではないかと。

その葛藤を乗り越えて、でもやっぱり娘を心配し応援する。祖母はひたすら見守ってくれる。

一路ママの中には、久野おばあ様のチャーミングな優しさがきらめくように見え隠れし、これは女三代の物語なのでは?少なくともこの日本の舞台では?と思わせる見事さがありました。

 

4.ありがとう、渡辺大輔さん

宝塚トップ男役だったまぁ様が、舞台上でキスをされるお相手役さんとして、絶妙な素敵さと清潔感を持った渡辺さん。中学生娘は「ひょぇーー」と思ったようですが、それでも終始、エミリオがグロリアを大切にする役で納得感があったそう。ふぅぅ、良かった。

登場はちゃらくて少しうさんくさいのですが、後半になればなるほど、複雑な感情を甘い声で表現される渡辺さんはとても素敵でした。高い背、すっきりと締まった筋肉質の立ち姿、甘いマスク、いい声。いや、宝塚ファンの理想の男性像にかなり近いです。こういう方がおられるのか?!と驚きました。

本当にありがとうございます!今後、渡辺さんの舞台もぜひ拝見させていただきたいです。

 

5.お手紙場面で号泣

(大事な部分のネタバレがあります)

事故で大怪我を負い、再起が危ぶまれたグロリア。エミリオからも心を閉ざしたグロリアの心を再び照らすのは、世界中のファンから届いた手紙でした。

ここでヅカファン、号泣でしょう?!

車椅子に座ったグロリアが手紙を、はっとして読み始める場面。彼女は世界中から自分に向かって届く「想い」の矢印に気づくのですね。手紙は媒介しています、その「想い」を。

私も真風涼帆さんと珠城りょうさんにお手紙を出したことがあります。ヅカファだもの。

今回出た写真集では、赤裸々に宝塚の若手時代の迷いや弱気を語っておられるまぁ様。

朝夏まなとさんが抜擢に関わらず、いや抜擢ゆえの苦しさもあったでしょう、宝塚を去ろうと思われた時期もあった中、その雰囲気を察知して劇団の中にまぁ様を引き止めた方がおられたようです。

私達ファンは、外からはそこまではわかりませんし、もしかすると一方的な期待や憧れは苦しんでいる時期には重荷な面もあるかもしれないとも思います。

ただ、手紙は全部読んでいますよと言われるまぁ様。内部の方に加えてファンからの「想い」の矢印が彼女をとどめ、再び立ち上がる力になった面はあったはずだと想像します。

まぁ様も「On your feet」で立ち上がってこられた方だったのです。

だからこそ、この場面の演技、さらに青いドレスで表舞台に復帰した場面の演技が、私達の心を動かしたのだと思います。

ダンス、歌、切れ、ノリ、繊細さ。それだけでないのです。

自分の足で再び立ち上がった強さ。

この作品の主演に、まぁ様ほどふさわしい方はやはりおられなかっただろうと思います。ブラーボー!

 

6.印象に残った方

・栗原英雄さん

ベトナム戦争で傷ついたパパ役。若い頃のパパで登場される姿は生き生きとかっこよく、でも車椅子に座った姿では弱弱しく。めちゃくちゃ難しいお役を見事に表現されていました。まぁ様グロリアの憧れのパパだったんだろうなぁ。それ故に、パパがこのままずっとこの状態だったら・・いっそ早く・・と思ってしまう自分を許せなかったんだろうなぁ、グロリアは。そう思わせる説得力のある素敵なパパ。さすが舞台にTVにとご活躍の方。とても綺麗な声でした。

 

・岡本悠紀さん

咲妃みゆさん主演「ゴースト」に出演されていて、その時からひのあらたさんと共に注目。今作品ではちょっと頼りなげな仲間やグロリアの医師を演じておられます。その変貌振りに驚きました。医師役のときの明確なセリフ、きっぱりとした表情。今後の舞台でも拝見する楽しみができました。

 

・ひのあらたさん

うまいなぁ。「ゴースト」でも思いましたが、とにかくええ声にスマートないけオジ。なのに、気のいい祖父役も腰をかがめてできてしまう芸達者ぶり。演出家の方の信頼の厚い方なんだろうと思います。

 

・須藤大迪さんと高橋莉瑚さんのダンスペア

学生ダンスのチャンピオンや賞をお獲りになっている方なんですね。すんごかった!!切れが!!

ダンスを観るのが好きな私としては、このお二人を筆頭にすらっとした容姿でダンスがお上手な方が多い今作品は、宝塚ファンとして違和感がなく、本当に楽しめました。皆さま、素敵です。

 

・木村咲哉さん

なるほど。この方が世界最年少ビリー役の方か・・!「ビリー・エリオット」を残念ながら見のがし、DVDで繰り返し観たのですが、感性豊かで爆発力がないとできないビリー役を最年少でされた方と注目していましたが、なるほど!と思わせる方でした。
心にふわっと触れて、心がぐっと動かされるところがあるのです、彼の演技は。今後、どの舞台で再会できるか、楽しみにしておきたいと思う方でした。

 

ちょうど私がとても忙しくなってしまった時期で、オフィスからタクシーで行って、ご一緒できた方とだだだとしゃべって、またタクシーで戻ってというあわただしい観劇でした。でも、その合間を縫って梅芸の大千秋楽を観られて本当に良かった!

パワーとエネルギーをもらい、泣きまくった舞台。再演を望みます!本当にありがとうございました。

で、まぁ様出身である佐賀方面の温泉→博多座ぶらっと一人旅。急遽変更し、特急車内でさらに行き先を変更という思いつきのみの旅ですが、行ってきまーーす。ひゃっほぅ!(注 浮かれている)