代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

雪組・幕末太陽傳 感想 からりと明るく、さっぱりと爽快に 早霧せいなさんと雪組さんの笑いと粋

皆さま、こんにちは。宝塚大劇場にて、宝塚歌劇団・雪組 かんぽ生命ドリームシアター「幕末太陽傳/Dramatic "S"!」を観劇してまいりましたので、感想をお届けします!

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初日開けてすぐ、2回目の公演となる本日11時公演でした。できるだけネタバレしないように(一部ネタバレあり)、お芝居の感想からまいりますね。

千秋楽間近、5月27日の3度目の観劇記事はこちら。よろしければどうぞ!

mothercoenote.hatenablog.com

 

1.パンフレットの早霧せいなさんに意表を突かれる

おもしろいなぁ、早霧せいなさんは!!(^^)

パンフレットの表紙をめくると、見開きに明るい表情のコミカルなちぎさんのお写真がちりばめられています。このデザインは、おそらく宙組さん「王妃の館」ライブビューイングのチラシと同じ方によるものと拝見しました。

現在、宝塚歌劇団を代表するトップスターの退団公演でありながら、このコミカルさ!

ちぎさんの、そのコミカルなポーズで見開きを埋める歌劇団の大胆さ!

そして、それがばっちりとはまるちぎさん!(^^)

最高やん?!皆さま、ぜひご覧くださいね。

 

2.からりと明るくさっぱりと爽快な退団公演のお芝居

最高でした、ちぎさんと雪組の皆さま!(^^)

物語自体は印象的な場面場面を、落語の元ネタから拾いつつ、まとめたものかな?と感じました。(原作が、そういう映画なんですよね?)

通しで何か大きくうねるようなドラマがある訳ではないのですが、場面場面が本当におもしろいのです。落語を演劇にするとこうなるのか!という、粋でテンポの良いお芝居です。その上で、最後には明るい希望をもたらす物語になっています。

心から笑いながら楽しむと同時に、最後にはちぎさんとみゆちゃんが手を取り合って新しい世界に旅立つという希望。

からりと明るく、さっぱり爽快なお芝居の結末です。少しばかり物足りなく思えるようでいて、いや、早霧さんと咲妃みゆちゃんの退団公演のお芝居を、このようにさっぱりと明るく終わるのは、素敵な余韻があるように感じます。

この二人はいつかきっと、退団後に再演される時があるのではないだろうか?そう思わせる余韻がありました。

私は原作映画を拝見しておりませんが、パンフレットで小柳先生が明かされているとおり、映画の原作の素晴らしさから来ている面が大きいのだろうとは思います。

ただ、それをここまで持ってこられた小柳先生、ちぎさん、雪組の皆さま、宝塚歌劇団の皆さまに感服いたしました。

音楽がいいのですねぇ。和ものではないような、新しい時代を感じさせるような、タンゴやジャズの音楽が和ものの中で効果的に使われています。おもしろいなぁ。これ、宝塚歌劇団ならではないかと思います。(原作映画がそうなのかな??ご存知の方はまた教えてやってください)

 

3.最高でした!ちぎさんと雪組さんの笑い

私は落語は生で聞いたことがそれほどあるわけではなく、大阪にできた天満天神繁盛亭で何回か聞いたことがあるに過ぎません。その少ない経験からで恐縮ですが、落語の笑いというのは、語り手のテンポ、間合い、リズムによってもたらされている部分が大きいように感じています。

一度、繁盛亭で、落語ファン以外にはそれほど有名な方ではないようでしたが、それこそ「小屋が揺れる」というのはこういうことか!という落語を聞いたことがあります。

本日の早霧せいなさんの「居残り佐平次」としての演技には、その落語に共通したものを感じました。

ひょうひょうとテンポ良く、リズミカルに間合いよく。頭の回転が速くて機転が利いて、いつの間にかするっと相模屋や長州藩士の人々に溶け込んでいく不思議さ。

もうね、ちぎさんが出てくるだけでおもしろいから!口調だけでなく、身体の動かし方を含めて、全身で笑いを表現されるのですね。

軽く口ずさみながら、望海風斗さん演じる高杉晋作の元に集まる長州藩士のいる部屋に入ってきて掃除をしているだけで、もう笑えるのです。(長州藩の皆さんは、星乃あんりちゃんが演じるこはるの本部屋に長逗留している設定です)

本日、私の後ろには小さなお子さんが座っておられたのですが、その小さなお嬢さんも大笑い。その小さいお嬢さんが大受けされていたのが、鳳翔大さんの貸本屋の金ちゃん。(最初に出てこられる場面ではなく後の方です。どうぞお楽しみに!)

おっもしろいんだ、大ちゃんが!傑作でした。こちらはぜひ観劇でご確認ください。書きたいのはやまやまだけど、2日目ですから我慢我慢。

 

役どころによるところがもちろんあるのですが、香綾しずるさんが演じられた鬼島(長州藩の偉いさんですね)、舞咲りんさんが演じられたおくま真地佑果さんが演じられた喜助(番頭さんかな)にも、落語に通じるリズムを感じました。

おそめの咲妃みゆさんと、こはるを演じられた星乃あんりちゃんの掛け合いもなかなか見もの。みゆちゃんは気風が良く、星乃あんりさんは気位高く。

 

4.長州藩士にイケメンさんがぞろぞろと

長州藩士でわちゃわちゃしている人たちも、何気におもしろいのですよ。望海風斗さんの高杉晋作も、どこかひょうひょうとして、力が入らず、幕末という状況を面白がっているようです。望海さんはこういう面もお持ちになってきたのですね。

部屋に出入りするクールな美形武士はもちろん彩凪翔さん。ある場面で船で高砂や~と歌われるシーンがあります。かっこいいわ!

長州藩の面々で「端っこに、誰かあーさに似た美形がいる!」と思って確認すると、眞ノ宮るいさんでした。

長州藩士の皆さんで「レボリューション」と歌う場面があるのですが、美形ながら少し抜けた感を出しておられる煌羽レオさん、存在感のある橘幸さん、おひげが素敵な叶ゆうりさん、すっとした美形なのににやっとしている諏訪さきさん、存在がかわいらしい陽向春輝さん、そして眞ノ宮るいさん

皆さんが歌い継がれていく場面、ええと、これまでの雪組さんにはなかった歌い継ぎの成功例に入るのではないかと・・。雪組さんの今後の歌唱力に期待大です!(褒めているので、ごめんなさいね!)。

 

5.素晴らしかった代役さんと専科さん、大受けの「三枚起請」

大変残念ながら休演されている彩風咲奈さんの代役で、永久輝せあさんが物語の舞台・相模屋のぼんぼん徳三郎役です。

おそらく日数が限られていたでしょうに、ひょうひょうと品良く、何でもないようにさっぱりと演じておられて素晴らしかった!ひとこちゃんは、賢くて器用なんでしょうね。何でもできるなぁ。徳三郎と駆け落ちする女中おひさ役が真彩希帆さん。綺麗な声に明晰なセリフ。なるほど!みゆちゃんとはまたタイプの違う楽しみなトップ娘役さんになられそうですね。

彩風咲奈さんだと、もう少し愛嬌のあるだめだめそうなぼんになるかな?ご復帰後の演技を楽しみにお待ちしたいと思います。

 

この場面も落語から来ているとのことですが、第六場「三枚起請」という場面があります。ここで、あんりちゃん演じるこはるのお客さん・倉造を演じておられる悠真りんさんと、倉造の息子である清七役を本来の永久輝せあさんに代わって、縣千さんが演じておられます。

二人は親子なのに(親子だから好みが一緒なのかな)、二人とも、こはるちゃんと契り合っている設定。こはるちゃんがまぁ、だましたというか、あっちもこっちも「起請文」という文書を渡して夫婦になると約束したんですね。

おおもめの場面に、割って入るちぎさんの居残り佐平次です。

ここがまぁ、おもしろいのなんのって!どっかーんと沸く客席です(^^)。ちぎさんが天才的な間合いと身体の流れるような動きを見せます。

そのちぎさんと掛け合う悠真りんさんと縣千さん。悠真さんは余裕、縣さんは体当たりの演技で、まぁ、おかしいんだ、この場面が。ぜひ観てね!

最後にラスボス(じゃないか・・)として登場されるのはもちろん、汝鳥伶さん。おそめに「病気だから」と振られ続けてきたお客さんの様子。ちぎさんと汝鳥さんのお芝居もぜひお楽しみに!

 

まずは、お芝居の感想は以上です。

歴史に翻弄されるような、大きな流れがうねるようなドラマではないのです。好き嫌いは分かれそうな作品かもしれないとも思います。

ただ、落語をベースにした笑いの場面をつないだこの物語を、ここまでおもしろく、どっかーーんと沸かせ、最後に明るく終わらせることができるのは、やはり早霧せいなさん率いる今の雪組さんならでは、と感服いたしました。

ぜひご観劇をお楽しみください(^^)。

※ショーの感想も書きました。よろしければどうぞ!

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