代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

宙組バウ・パーシャルタイムトラベル 感想 桜木みなとさん率いる宙組若手お芝居の喜び、赤面キスシーンもね(^^)

皆さま、こんにちは。本日、宙組さんバウホール「パーシャルタイムトラベル 時空の果てに」の6月17日(土)11時公演を観劇してまいりました。その感想をお届けします!

いやぁ、今週はねぇ、まぁ様「A  Motion」の影響で「おばちゃんもがんばるわ!」と張り切りすぎたのと、娘が宿泊研修で不在だったため、実をいうとおばちゃんな、働きすぎたんよ・・。観劇後、爆睡しましたわ。

では、ずんちゃんのバウ公演の感想、行ってみます! ←よく寝たらしい・・。

 

1.明るい正塚先生のお芝居を演じる喜び

正塚先生のお芝居の明るい方でした。宝塚ファン歴が浅い私でも、過去映像を含めて拝見する中で気づく、「うん」「あぁ」、舞台を行き交う通行人、後ろで踊るコロスの人々、どなっているかのように聞こえる主人公のセリフ、仲間達、根はいい子のチンピラ、若き男性のナイーブな内面。

うん。安定してるわぁーーー。ここまでくると、なんというか一種の芸ですね。それで、笑える場面があちこちにしかけしてありまして、絶妙の間でそれを表現する宙組若手の皆さま。桜木みなとさんを筆頭に、皆さま、とっても楽しそう!!

演者がお芝居の喜びを感じておられるのが、客席にダイレクトに伝わってくるように感じました。演じておられる側も、おそらく日々の自分達の成長が手に取るようにわかるのではないでしょうか?とても雰囲気のいいカンパニーです。

あちこち、あら?というフラグの回収が最後までよくわからない面も、あ?いつ恋が芽生えましたか?という疑問も、実はちょこちょこあります。

小さな疑問があるにはあるのですが、たとえばジャンが住むアパートの住人の一人、瀬音リサさんが演じる占い師のタロット占い等に誘導されるように、テーマが絞り込まれていきます。そして、桜木みなとさん演じるジャンが、運命の相手であるテスが待つ過去に帰れるかどうかの運命を見守るようになっていきます。

そのあたりの物語の収束が、ただ今、大劇場で上演されている花組公演「邪馬台国の風」との大きな違いかもしれないと思います。ただ、私は「邪馬台国の風」は案外いいなと思っている点が一つあります。主人公のタケヒコはヒロインであるマナの能力を常に尊重するのですね。そこは宝塚の過去作品で男性役の振る舞いに、時にいらいらさせられることがあった私にとって、不快にならない大きな利点となっています。(例 オスカル様に敬語を使わないジェローデルとか、すぐに殴る男性像とかです。はい。)

 

話をバウ公演に戻しまして(^^)。

話がだれそうになるかな?と思うと、桜木みなとさんが動くことで、物語がまた一つ進んでいきます。自分の意思ではコントロールできないのですが、過去と現在を行き来している主人公が、若者らしい少し軽いノリといつしか芽生えた真摯な恋のために、自分で何とか運命を打破しようとする。そこが、この物語の明るい清々しさにつながっています。

明るくて笑えて、かっこ悪くても一生懸命に自分の運命と向き合おうとする若者らしい物語です。

タイムトラベルの場面で、時間が巻き戻る様子の演出がお見事でした。ジャンが中世に飛ばされるとき、ばちばちと切り替わる照明の中、宙組の皆さんが後ろ向きに歩いていかれます。上手いなぁと感心した演出でした。

 

2.桜木みなとさん

ダンスがかっこよかった!歌声が良かった!怒鳴るかのようなセリフの数々と歌をどんどん歌いこなして、これだけ喉をキープできるというのは、舞台人として大きな強みではないかと拝見しました。

本日のご挨拶で「後6回になってしまいました!」と少し泣きまねを入れてご挨拶されていましたが、演じることがとても楽しいんだろうと思います。しかも、その実力がある桜木さんです。

正塚先生がパンフレットに「ジャンを演じる桜木は、いかにも今の時代にいそうな”若い男”の雰囲気があります。」と書いておられます。

(出典:宝塚歌劇団「パーシャルタイムトラベル」パンフレットの正塚晴彦氏挨拶より)

ずんちゃんは、どういうわけか現代的な若い男性がしっくりきます。ちょっと不良めいたシンガーソングライター。立ち姿が綺麗でダンスがかっこよく、小顔で品があり、明るい色気があって、生き生きとされています。素敵でした。

公演後、「綺麗な声やわあ」「華がある」「楽しかった」という声が、あちこちから。花の道を歩いていると、後ろから「なんかいい!」というお声も聞こえました。

いろいろ注釈しなくても、「なんかいい!」と思わせるお芝居だったということです。清々しい楽しさがありました。桜木みなとさん演じるジャンは、自らの運命を切り開こうといらだちながらも、必死で「動いていく」のですね。彼は手がかりを探して、ロンドンに渡り、そこで運命の人の現世版であるテスと再会し、ようやく運命を打開できるキーアイテムを取り戻し、中世に戻ります。

「無理無理」と皆さんが手をひらひらさせながら歌う吹き出しそうな楽曲があるのですが、皆に「無理」と言われながらも、主人公は必死に「動く」のです。私はそこが、このお芝居の真髄ではないかと思います。

ジャンは中世に飛ばされ、状況がわからない中でも、スマホで写真を撮って「魂を閉じ込めた」とか言いくるめ、皆から「神の使者」と思い込まれ、侯爵令嬢(後に王女になります)のシャーロットを助け、シャーロットを運命の人と思い、再び中世に戻りますが、実は真の運命の人は・・。というお話です。皆さんが、現世も中世も二役をされています。

現世でうまくいかない人生にいらだっていたジャンは、居場所と運命の相手を実は中世で見つけるのですね。最後はハッピーエンド!

 

3.ずんちゃん、やるやん!の赤面キスシーン

いやはや・・。まったくですよ、皆さま(≧▽≦)。あんなにかわいい少年が・・、ですよ!!

ばん!(注 立ち上がるmiyakogu)

ラスト、まどかちゃん演じる中世のテスとの軽いキスのあと、ふざけて逃げるようにするテスをつかまえて、ぐいっとキスするわけですが・・。

まどかちゃんテスの手をつかんで、ぐっと上にあげ、自由を奪うかのようにキスをするずんちゃん(≧▽≦)。きゃーー!!

誰?!誰にそんな技を教わったの?!おばちゃんに教えて?!朝夏さん?真風さん?という取り乱し場面です。←落ち着いて、miyakoguさん。正塚先生の演出だと思うんで・・。

最初はシャーロットと、次はテスとキスしそうな場面で、勝手に現世に連れ戻されてしまう場面も楽しかったなあ(^^)。「キスしたかったあーー」と現世に戻っていくのです。

ただ!!シャーロットにキスしようとする前もね、ばんばんばんばん。「しぃっー」という感じで指に手をあてて、顔を近づけるずんちゃん(≧▽≦)。あの人、どうなってんの?!

 

4.宙組若手の皆さま

・遥羽ららさん

楽しかった!!全ツの若き人妻演技がしっくりくるしっとりとした声が綺麗な方という印象でしたが。弾けてますねえーー!田舎で伸び伸びと育った正直な女の子なんですね。貴族令嬢というより、等身大の若き女性です。かわいいなぁ。弾けるキュートさです。

 

・星風まどかさん

ヒロインのテス役を中世でも、現世でも。現世のテスは、中世のテスのために目に見えない糸にひかれるように、ジャンがタイムマシーンを手にするための重要な働きをします。現代っ子ぽい現世のテスと、真面目そうな侍女の中世のテス。

恋をしてからの変化が、もう少し出ると良かったかな?このあたりは雪組の咲妃みゆさんが上手いかなぁ。ただ、まどかちゃんも十分、かわいいです!髪型がとってもよくお似合いでした。

 

・上級生の皆さま

寿つかささんや美風舞良さんはお芝居に、なんというか実際感をもたらしてくださるというか、こういう方がおられるとお芝居がうわっすべりにならないのですね。凜城きらさん、瀬音リサさんもそう!少し外からジャンを支えてくれる大人のアパートメントの住人達です。

現世テスのロンドンのおばあ様を演じる花音舞さんはかわいらしいおばあちゃまを演じたら天下一品ですね!バウの「サンクチュアリ」では老練な占い師で、こちらもめちゃくちゃ上手かった。

桜音れいさんはなぜか白いうさぎのぬいぐるみを持った女子。図書館司書なのかな?あら?という感じでジャンにちゃっかり連絡先を渡したりして。あと、里咲しぐれさんかな?(教えていただき、ありがとうございます)テスの連絡先のヒントを教えてくれる役割の方も、ジャンに「デートするなら」とか言ってたし、ジャン、もてもてでした(^^)。

星月梨旺さんは何しててもかっこいいなぁ。ベスト着てても、中世でマント着てても、探偵役でトレンチコート着てても、いやはや、あの人。ちょっと蘭寿とむさんにお顔が似ておられます。

 

・下級生の皆さま

どこからが下級生さんかはちょっとわからないのですが。

瑠風輝さんは右側を編みこみ左側を垂らした髪型がよくお似合い。スタイルがいいですね!現世ではジャンを何かと気にかけるかつての仲間(ジャンはチンピラ仲間から一抜けしています)、中世ではテスが使える王女シャーロットの恋人であり婚約者です。

今回の公演はジャンの桜木さんがぐーーんと目立つお役で、二番手さんとぎりぎりとお芝居という感じではなかったかな?ただ、控え目ながらも、お芝居に深みを添えるお役だったと思います。「バレンシアの熱い花」が良かったので、今後に期待!

朝央れんさんはとても背が高く、目立ちます。中世では敵役の将のはずですが、口論で戦ったり、魂を取り戻すために寝たりと、笑いの鍵を握るお役を明るく演じておられました。フィナーレで立ち位置がまっすぐ前だったので、勘違い指差しを受けて、あわわーーー!となるmiyakoguです。(線上にいた勘違いですが、この際、いい!)

潤奈すばるさんのエメ(ジャンのかつての仲間、まちのチンピラ集団から抜けようとしています)、中世では王女を守るはずなのにすぐ降伏しようとする弱よわの兵士を演じておられたと思いま。←確かそう。間違っていたらごめんなさいね。よわっちい役を、なんだか可愛らしく演じることができるのは、強みですね。

鷹翔千空さんは、降ろした前髪がかっこよく、目立つというほどの役ではありませんが、目を惹きました。

朝比奈蒼さんは、私と娘が鹿児島遠征の帰りに飛行機で宙組の皆さまに遭遇した際、ご挨拶してくださったご縁があり、注目している方。現世テスのおばあ様の執事です。ええ声で明確なセリフでした。

フィナーレが赤のお衣装、娘役さんは赤と黒のお衣装で、めっちゃかっこよかった!フィナーレののりのりで目立っておられたのは、希峰かなたさんだと思います。にこにこと「無理無理ソング」のダンスをされていて、楽しかった。

 

5.音楽と宙組コーラス

デュエダンだったと思うのですが、サクソフォーンの音色がかっこよかったなぁ。「ケイレブ・ハント」もジャズの音楽がかっこよかったですよね。

ジャンがロンドンに向かおうとする場面だったと思うのですが、「今も忘れがたく」と皆さんが歌うコーラス。迫力でした。うわーーーと舞台から、声の固まりが押し寄せるような宙組さんならではのコーラス。人数が少なくても聞き応えがあります。ここは聴きどころです。

 

あのね、いろいろ書いたけれど、結論を言いますとね。

なんかいい!のよ。花の道でマダムお二人が話しておられたとおり。そういう公演だと思います。もしチケットがお手に入るようでしたら、桜木みなとさんの歌声、ダンス、華、宙組若手の生き生きとした演技にコーラス、ぜひご観劇をお楽しみください。