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代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。

宝塚宙組・エリザベート 感想2 実咲凜音さんシシィの声・表情・歌の自在な変化への感嘆 見事です

以下は7月23日11時公演、宝塚大劇場宙組「エリザベート」観劇感想、その2です。とりあえず書くわな、おばちゃん。

 ※当ブログのエリザベート感想記事を以下にまとめたました。よろしければどうぞ!(^^)

mothercoenote.hatenablog.com

 

 

3.MVPだと思う実咲凜音さん

ものすごいわ、みりおんさん。

過去に書いたことがありますが、大劇場「王家に捧ぐ歌」のアイーダの演技は、私自身はあまり好きではありませんでした。とてもお歌がお上手、でも、それで?というところが率直な感想でした。

しかし、「シェイクスピア」の可愛らしさ、さらに苦悩をみせたみりおんさんの演技に涙し、博多座での「王家に捧ぐ歌」再演では、急激に豊かに見せてくださった感情表現に驚かされました。王女としての強さ、恋する女性としての弱さと強さを、歌だけでなく多様な表情で見せてくださいました。

 

満を持してなのか、集大成なのかよくわからないのですが、今回の「エリザベート」。開始2回目の本日午前11時公演。すごいことになっていたと私は思います。

おそらく、ちぎみゆコンビと同様にまぁ様との化学反応によってもたらされたものもあるでしょう。かつ、みりおんさんの真摯な取り組みがここに結実した舞台であったかと思います。

 

1)少女から女王へ、そして浮遊感の漂う晩年への変化

少し内気そうだけれど生き生きとして、無邪気で自由を愛する少女が、フランツに見初められ恋に落ち、初めて知る恋の喜びを露にし、楽しそうに結婚式を挙げ舞踏会でお披露目です。

そこに忍び寄る不穏な影であり、おそらくは根源的に彼女に内在する死への憧れ=リアルな生への嫌悪を象徴するかのようなトート。これから始まる厳しい生活への予感もあいまってフランツにすがりつくシシィ。

そして翌朝、ゾフィーによる厳しい抑圧への強い反発が始まります。舞台では短い流れですが、彼女がお妃教育の中でおそらく自由を抑圧されてきたことへの強い反発から歌う「私だけに」の場面で、顔を上げたみりおんさんの目元には涙があるように見えました。

自由を求めるゾフィーとの戦い(主には子どもの教育をめぐって)に美貌を武器に打ち勝つ中、彼女はハンガリーで戴冠式を迎えます。この場面のみりおんさんのエリザベートは権勢の絶頂なのですね。

堂々とした女王たるふるまい、表情、声、歌。嫁ぎ先で自由がなかった少女が、自信に満ちた女王への変化したことがとてもよく伝わってくる演技でした。

銀橋でまぁ様トートと真正面から堂々と向かい合い、トートが差し出した手を一瞥し、艶然と一笑に付し去っていくみりおんシシィ。美しく、誇りと自信に満ちた女王でした。

しかし、衰えはじめた美貌とフランツの裏切りの中、シシィはみるみると精彩を欠いていきます。運動ばかりしてやつれたシシィを演じるみりおんさんの生気のない目。

生き生きとした少女から若き妃、自信に満ちた女王から、こうも一変できるものかと感嘆いたしました。

 

2)魂を地上に半分しか置いていないかのような演技

シシィは旅を続け、病院を慰問しますが、その時点でもう、魂をこの地上に半分しか置いてないかのような演技になっていくのです。

可愛らしいお顔ゆえ、余計に不気味なヴィンディッシュ嬢の星吹彩翔さんとの歌の場面、激しく表情を変化させる星吹さんと対照的に、みりおんシシィの表情はあまり変わりません。自分の人生をもう見放しているかのような無表情の中にわずかにまだ見える生気。この場面での「変わってもいいのよ」という歌、愛白もあさんが演じておられるお付のスターレイとともに泣きまくるmiyakoguです。

このあたりから、みりおんさんは何かに取り付かれたかのような演技をますます深めていきます。ルドルフとの久しぶりの邂逅においても、その表情は変わらず、ルドルフは絶望にまっしぐらに進んでしまいます。

 

私は咲妃みゆさんと異なり、みりおんさんのことを憑依型の演者だと思ったことはこれまでありませんでした。しかし、今作品でお見せになっている何かにとりつかれたかのような目。それはおそらく、シシィの中にある「死」への渇望を表現したものではないかと思います。

そのみりおんシシィが、感情を取り戻したかのような場面がルドルフの葬儀の場面です。しかしここでも、みりおんさんは歌い始めの部分、いかにもな感情をマックスに出すかのような演技ではありませんでした。

静かに澄んだ声で歌い始められ、その静かさが逆に彼女の自分を責める重さを感じさせる演技だったと私は思います。シシィの深い悲しみと絶望。それを体現されていました。驚きの演技です。

 

3)旅が終わった安堵が伝わる演技

このような一連のシシィの変化が、伝わってくるみりおんさんの深い演技でした。それ故にシシィが死を最終的に選び(ルキーニに刺され)白い衣装で再び少女に戻ったかのように登場され、澄んだ声で歌う時、大きな説得力があるのです。

みりおんさんのシシィは、途中から魂の半分はもうこの世になく、そして最後に死へとたどりついた。それは長い旅の終わりに得た安楽だったのではないか。そういう説得力のある演技だったと私は思いました。お見事でした。

(続きます。終わるかな、これ。今、感想5まで来ていますのでよろしければどうぞ!)

(朝夏さんトーとについての、結論めいた感想はこちらです。)

(桜木みなとさんルドルフのCパターン、蒼羽りくさんルドルフのBパターンは、よろしければ、以下をご覧ください)

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