皆さま!ばんっ!! ←立ち上がるmiyakogu。
宙組公演、観てきましたわ。宝塚大劇場3月17日11時公演、宙組・真風涼帆さん・星風まどかさんのトップお披露目初日開けて2回目の公演。感想をお届けします!
以下、ネタバレはできるだけ避けますが、どうしてもところどころネタバレしますので、お嫌な方は読まないでくださいね。
逆に、物語の構造に触れているので、観たけれどストーリーがわかりにくかったと思われた方の何かのご参考になれば幸いです。
原作を読んで舞台を振り返りました。よろしければどうぞ!
1.王道の少女漫画ロマンと二人の后のサイドストーリーに涙
あのね、原作未読の皆さま、これ、少女漫画王道の胸キュンを小柳先生が「萌え公演」に仕上げてきたと予想してはりますでしょ?私もそうでした。
その要素は十二分にあるのですが、ちがーーーうのよ、これが!
強く賢く若くてイケメンのカイル皇子と、現代から古代ヒッタイト王国に引き込まれてしまった少女・ユーリの物語をメインの軸に据えながらも、
古代の王国の興亡の中で、小国から大国に嫁いだ二人の美しい后たちの物語がサイドストーリーとしてあるのです。
驚きました、その構図に。そして、泣きました、その物語に。
素晴らしかった。小柳先生、甘く予想していて失礼申し上げました!
ジェットコースターに乗るような気持ちで、展開していく古代王国の闘いと興亡の物語、どうぞご観劇をお楽しみください。
2.パンフレットの篠原千絵先生のお言葉に涙
篠原先生、ありがとうございますだーーー!(涙)なんという素晴らしい原作者でいらっしゃるのでしょうか?開演前に読んで涙目のmiyakoguでした。
一節を引用させていただきます。
「真風涼帆さま、星風まどかさま、そして宙組さまの今後とものご発展を確信し心よりお祈りいたします。」
(出典:宝塚歌劇団「天は赤い河のほとり/シトラスの風」公演パンフレット、篠原千絵様著)
「さまっ」て、「さまっ」て、「さまっ」て・・。宝塚ファンでもいらっしゃるとはいえ、原作者が演者に対してこのような表現をしてくださるなんて・・。ありがとうございますだーーー!(涙)
3.真風涼帆さんのカイル皇子
カイル皇子ーー!!!ついていくわ!
水色のお衣装がとっても素敵で、腰をとめる布ひもの位置がおかしくて脚が長い!知ってるけど!賢くて強くて優しくて国と民を思う立派な思慮深く強い皇子。お披露目にぴったりでした。本当にありがとうございます。
プロローグとラストで真ん中に立つ真風さんの輝き、堂々たるトップスターでした。
このプロローグとラストがいいんですよ、皆さん!ばんばんばん!!
プロローグで歌われる「赤い河の流れのよ・う・に」は「はいからさんがと・お・る」みがありましたが、テンポよく、音楽もとても素敵です。ゲーム音楽の作曲家でいらっしゃる下村陽子先生、ありがとうございました。切ない場面での音楽、ぴったりでした。ラストは宙組さんのものすごいコーラスで迫力満点です。
胸キュンポイントは一杯あるよ!カイル皇子はのっけっから呪いのいけにえ?のために現代から連れてこられたユーリを助けるため、いろいろ言います!
「続きは寝室で」って、あなた・・。(カイル皇子のとっさの演技なのですが)
それから、ハートマークの粘土板?板?ってあなた・・。(皆さま、ハートマーク見えました?ぷぷぷですよ、ラブレターかな・・)
あのね、真風さんについては萌えの洪水過ぎて、追いついておりませんです。これは何回か観た後「心の声シリーズ」で書く!(「車で待つ!」の語調でお願いします)
4.星風まどかさんのユーリ
ちょっと声がきゃんきゃんしちゃったかなぁ。でも、現代っ子が古代に迷い込んだらそうなるわねと理解。真風さんカイル皇子にまどかちゃんユーリが言う「変態、エッチ!」で吹き出しました。それに対して落ち着き払って真風さんが言う「そう喜ぶな」にも。ぷぷぷ。
一番良かったのは、彼女が「闘う少女」であったことです。終盤、エジプトとの攻防において真ん中で指揮を執ってほしいと請われ、ユーリがセンターを取る場面、オスカル様のようでした。
一番印象深くかつ涙しましたシーンのは、ユーリが現代にはもう「帰らないよ」と銀橋でカイル皇子に告げる場面です。私はここで大号泣。
カイル皇子はずっとユーリを現代に帰してあげようとしています。本当は手元に置いておきたいのに、それは愛ゆえに。
でも、ユーリはもう現代に「帰らないよ」と言う。それはものすごい決断です。
「王家に捧ぐ歌」の時に思った「地下牢から逃げて、生きて!」という思いは今作品において見事に成就しました。地下牢に閉じ込められてしまうカイル皇子。そこで出会うある人物。彼は生き延び、ユーリとともに生きるのです。
ユーリにはその強さがあるのです。闘う少女の強さが物語の根底にあるのですね。
5.ヒッタイト皇妃ナキアとネフェルティティ王太后のサイドストーリー
あのね、まさかこんな涙ものが仕込んであるとは!知りませんでした。
原作ファンの方はご存知だったのかしら?それとも、オリジナル・ストーリーなのでしょうか?(予想ではウルヒの話は原作にあるのかな?と思ったり)←両方とも原作にあるのですね、モモさん教えていただきありがとう!
純矢ちとせさん演じるナキアは弱小国(ですよね?)から年齢の離れたヒッタイト王に嫁がされた身。ある意味、人質のようなものだったのかもしれません。
ナキアに幼い頃からそば近く仕えてきたのが神官ウルヒ。星条海斗さんが一歩引いたもの静かな見事な演技を見せておられます。
この二人の間にあったつながり・・。これが泣かせました。
二人の少年少女時代を演じた華妃まいあさん、真名瀬みらさんの演技がとても良かったのです。真名瀬さんが発する「泣いていたの?」という一言の声だけで、2人の間に流れるものがあるとすっとわかりました。華妃さんの歌を含めてとても素晴らしかったと思います。
ナキアは自分の生んだ皇子こそを後継者にするために、人気のある秀でたカイル皇子を亡き者にしようとしているのです。ただ、その背景には彼女が必死でここまで生きてきた思いがあるのですね。カイル皇子は最終的にはある寛大な措置を取ります。カイル皇子、ついていくわ!!!
ネフェルティティ王太后のサイドストーリーもあります。
澄輝さやとさんが堂々とゴージャスに演じておられるエジプトの権力者。それほど強くなさそうなミタンニ王国からこちらもエジプトに嫁いできた身です。弟であるミタンニ王国の黒太子マッティワザを演じておられるのが愛月ひかるさん。黒髪の長髪に顔の傷、マントを翻しめちゃくちゃかっこいいのです!
で、その少年少女時代を演じるのが鷹翔千空さんと夢白あやさん(ミタンニ王国での名前はタトゥーキア)。この二人も切ないんですってば!おばちゃん、泣きそうになったわ。
ネフェルティティは国を守るために決意をもってエジプトの王に嫁ぐのです。別れの言葉をいう少年少女期の二人からは、もしかすると異母姉弟かな?恋に近い感覚があるのかな?という思慕を感じました。二人をつなぐ黒い石のイヤリング・・。
原作にあったエピソードならすみません。今に残るネフェルティティの有名な胸像の目に一つしか黒目の石が入っていないことから発想された小柳先生の創作だとしたら、そのあっぱれな創作に脱帽です。(原作にあったようですね!素晴らしい篠原先生の創作です)
というわけで、このサイドストーリー、后を巡る2組の幼少期のやりとりが「回想」だとわからないと、最初、話がちょっとわかりにくいかもしれません。
ただ、このサイドストーリーがあることが、この作品に何かひっかかる「もう一度見たい」と思わせるものをもたらしているのです。
2人の后は彼女たちの運命を必死で生きた。権力をほしいままにしたけれど、敗れ、幽閉される。
しかし、彼女たちの近くには、必死に生き闘ってきたことの意味をわかってくれる人がいるのです。ナキアにはウルヒが、ネフェルティティには彫像作家のトトメスが。トトメスは松風輝さんが暖かみのある演技で支えておられます。
この二人の后を巡る物語も必見。
この作品には、皇子と闘う少女、必死で生き闘った二人の女性達の物語の流れがあります。
(感想2に続きます)
Marisol2018年2月号の真風さんインタビューに寄せる記事を書きました。よろしければどうぞ!