代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

宙組・バウ「相続人の肖像」まじめに感想3 コミカルで少ししんみりのバウ公演、誰も亡くならないよ(^-^)

こんばんは。おうちでお仕事、娘は勉強のmiyakogu一家です。

昨日、私の貴重なヅカお友達とお話をしていたところ・・。バウ公演がどうも「暗いお話」と思われている印象を受けました(^-^)。

ああ、そうかぁーー。もう、田渕先生ってば! 前回のバウ公演「サンクチュアリ」にて「聖バルテルミーの虐殺」に関連する人たちを取り上げはったからですね・・。暗めのどっしりとしたお芝居。でも、舞台は実はとってもよかったのです。とてもいいお芝居を見せてくださいました。ご挨拶から察するに、出演者の皆様は本当は東上されたかったくらいの充実感ではなかったかと思います。

 

皆様、どうぞご安心を!

今回はどちらかというと、苦悩もあるけど、楽しく、少ししんみりのバウ・プレイです。田渕先生がパンフレットで書いておられるように、描かれたかったのは、英国のカントリーハウスを舞台にした、コミカルで少しノスタルジックな人間模様なのかもしれませんね。

桜木さん演じるチャーリーは、苦悩はしているけど、放蕩青年貴族で落第生、オックスフォード大学は悠真おばあ様の力で退学させられますが、そもそも進学できたのが不思議な成績。実はおばあ様のお力が陰で働いているんですけどね。

チャーリーは確かに苦悩はしてはるんですけどね、根は純粋な人間なんだと思います。だからこそ、愛を求めている感じが伝わってきます。

で、屋敷に帰ってきて蒼羽りくさん演じるハロルドと再会、ここの桜木チャーリーはいつもの素敵な笑顔で、お二人のバディ感も出ています。信頼できて共通の思い出が一杯ある再従兄弟。

何といっても、白い衣装に身を包んだ蒼羽ハロルドがかっこよくって、いいやつで、自信たっぷりで、くすっと笑わせてくれます。彼はヒロインであるイザベル(後妻さんの娘、桜木チャーリーと血のつながりのない義理の妹)が自分のことを愛してくれそうって、疑わないんですねぇ。立派です。パーンと突き抜けるような明るさを持った気持ちのいい人物なのです。出てくるたびに嬉しくなるようなね!(^-^)

そのハロルドに対して、彼より数段、人物観察に優れているのがお姉ちゃんの愛白もあさん演じるベアトリスさん。彼女はめがねをかけて、夢見がちで、ちょっと鈍くさそうなイメージです。あ、失礼なこと言ってごめんなさいね。

でも、賢いんですねぇ。だてに本を読んで夢をみているだけじゃなく、人の心をよく見抜いておられます。チャーリーとの婚約で、束の間の夢を見たかったんだろうなぁと、しんみり、ほろりといたしました。ただ、チャーリーはちょっとひどかったかなぁ・・。美月悠パパも娘の夢をかなえてあげよう、娘を守ってあげようとしたんだけど・・。それに対して、蒼羽ハロルドはおねえちゃんのことを本当に大事にしてたんですねぇ。ほんといい姉弟です(涙)。

 

松風さんの執事と、悠真おばあ様、それに弁護士の穂稀せりさん。この3人の間のやり取りも、「ミー・マイ」を少し彷彿とさせます。お屋敷の中の微妙な力関係で、くすっとなる場面です。悠真さんの最後の豹変ぶり(遺産相続が丸く収まったとわかってからの)もおかしいんですよ。

見所は、美形召使チーム。恋の鞘当もこっそり織り込まれていて、ご注目を。お屋敷での召使チームの小芝居、おばあ様もついつい笑顔の賑やかなダンスシーンも楽しいです!

桜木みなとさんの、本来の爽やかな笑顔がこぼれる場面になると、こちらまで嬉しくなります。星風まどかちゃんも可愛いしねぇ。うんうん(^-^)。ただ、ちょっと可愛い得かなぁ~~・・・。

 

というわけで、ものすごい集中力で舞台に引き込まれるような傑作ではないかもしれないけれど、秋のひととき、楽しく観劇されるにはお勧めの眼福のバウ公演です。

 一番大事なことをお伝えしますね。

今度は誰も死なないよ!! ←これ、大事。チャーリーのお父さんであるジョージは、劇冒頭から既に亡くなってはりまして、劇中では誰一人亡くなりません。ご安心くださいませ(^-^)。ベアトリスの演技で、ちゃんと泣けましたもん。もうね、彼女がヒロインでもいいくらいの演技でした。

実は美しさに酔いしれている内に終わった新源氏物語以外に、これまで2作品、全く泣けなかった作品もありまして・・。大劇場で1回、バウで1回。ちょろい大阪のおばちゃん観客でもね、時々はそういうの、ありますねん。何だったかは・・、内緒です!