代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

マイフェアレディ 感想 なぜ、朝夏まなとさんの舞台を観ると泣いてしまうんだろう? 

皆さま、こんばんは。お元気でしたか?週末仕事が続きましたので、なかなか更新できませんでした。この時期、少しでも時間の余裕があると宙組を観劇しているからですが・・(^^)。

さて、先々週の金曜日夜、梅田芸術劇場で観劇した朝夏まなとさん主演「マイフェアレディ」について、少しでも書いておけたらと思います。と言いますのも、まぁ様ーー、まぁ様ーーー!とただ思うだけになってしまったので、詳細は追えないのですよ。実は(^^)。

 

1.一生懸命生きているイライザの強さ

幕開け、とても素敵に生き生きとバレエを踊る花売り娘が出てこられたのですが、まぁ様?!いや、まぁ様はもっと背が高いわ、と舞台を見守っていました。

まぁ様イライザが出てこられると、何というか、ただただテンションがあがってしまって、あーー!まぁ様だ!まぁ様だーー!舞台の上におられるまぁ様だーー!という感覚で一杯になってしまったのですね(^^)。

ヒギンズの屋敷を訪ねるまぁ様イライザ。言葉を直せば、正しい英語を話すことができれば、きちんとした花屋さんで働けると信じているまっすぐな強さ。まぁ様のスレンダーな長身に、どたばたとした所作と荒っぽい話し方が加わると粗野な少年のようにも見え、これは元男役さんならではのものがあったと思います。

一生懸命に生きようとしている強さ、ストリートスマートと言われる種類の賢さがイライザには備わっていることが、まっすぐに伝わってきました。

一生懸命、ひなげし・・・の長文を練習するイライザ。強要するヒギンズ。応援するピッカリング。「ひ」がどうしても「し」になってしまうイライザです(^^)。かわいい・・。

この一生懸命さ、嫌になっても練習を止めない強さが、イライザの魅力です。

ヒギンズとピッカリングは英国の小説などで出てくる独身主義者の男性どうしの気楽な生活スタイルのようです。小説や映画に出てきますが、一種の英国文化だろうと思います。

 

2.明るいナンバーで涙、涙、涙

ついに「ひなげし・・」が発音できるようになったイライザ。有名な「踊りたいの」の楽曲を歌われる素敵な楽しい場面です。うきうきするようなナンバーですね。

朝夏まなとさんのイライザからは、「言えるようになったんだ」「やりとげたんだ」「自分はちゃんとできるんだ!」という喜びがまっすぐに伝わりました。

良かったね、イライザ!と観客も喜びを覚えて拍手喝采の場面です。

ところが、ここで、まぁ様ーー、まぁ様ーー、良かったね、よがっだね、よがっだ・・・。涙ぽろぽろになったんですよ、miyakoguは(T-T)。

ハンカチを出してなかったので、ぽろぽろと頬をいくつも涙が落ちて、かっこ悪いし、隣にいる中学生娘に後で「何泣いてんの?」と呆れられるだろうし、誰も泣いてないのにと思いつつ。あやうくしゃくり上げそうな勢いで泣けました。

いや、落ち着いて、miyakoguさん?なぜにあなた・・。

そうなんですよ。自分でも訳がわからない。

イライザとしての「言えた!」という喜びと、「私、女優になれたの!」というまぁ様の喜びを観ているように思えて、だろうと思います。

幕間に、twitterでお知り合いになった方がご挨拶にと席まで立ち寄ってくださったのですが、初対面なのに「まぁ様の舞台をもう一度観られたと思うと、泣いちゃって」と再びいきなりの涙で、とってもかっこ悪かったです!mh-sun&moonさん、その節はごめんなさいね!(^^)

 

3.アスコット競馬場から大使館での大成功、でも・・

上流社会の社交場であるアスコット競馬場で最初こそ貴婦人のふるまいをしているイライザ。この場面の白いドレスのまぁ様のお姿が美しくて、スレンダーな中に曲線を描くラインがお綺麗で、本当に「白い光を纏うとても美しいレディ」に大変身。見とれました。

傑作だったのは競走馬を応援している内に、下町言葉でわぁわぁ騒いでしまうまぁ様イライザです。そのイライザにノックアウトされる貴族のボン、フレディ(お金持ちではないんですね)。

白い服を身にまとい髪を結い上げ、顔のまわりの小さなカールが素敵なレディなのに、すっとこどっこい風な言葉遣いのイライザ。当の本人はレースに夢中。爆笑しました!

いや、これは魅力的でしょう?!

だって、会ったことがない女性なんですもの、今まで。フレディが惹かれたように、多分、ヒギンズだってこの時点でぐぐぐっと来ていると思うのです。それまで会ったことがない異性、自分を慌てさせたり笑わせてくれる女性。しかも美しい・・。

 

2幕は、大使館でプリンスのお相手に選ばれてダンスをしたまぁ様イライザの大勝利。疑り深い語学学者(?)カーパシーに詮索されつつ、見事にレディで押し通します。

みんなの大勝利なんですね。3人の。本来は。

でも、ヒギンズとピッカリングは自分たちの手柄だと喜ぶばかりです。がんばったのはイライザなのに。見事にやってのけたのは彼女なのに。3人のチームでの勝利のはずなのに。イライザはチームの仲間にはなっていない・・。同等の階級の人間ではないからだと思います。

私は以前、少しばかり英国で仕事をし、英国階級社会の一端をあくまで短期滞在の外国人の目としてですが見る機会がありました。私が観察したごくごく狭い範囲ですが、ある種の人たちは違う階級の人間とは決して交流しようとはされなかったと思います。

たとえば、夜、オフィスで掃除をされている方々に対し、日本であれば声をかけることもあると思いますが、一切ない。その場に人が存在しないかのような振る舞いでした。というか、その時間までいるのは日本人くらいか・・。

話を戻します。

 

4.何も知らなかったヒギンズの恋

イライザは言葉を直しレディらしく振舞うことができれば、当然、レディとして扱ってもらう資格があると思います。まっすぐに。

ヒギンズはそういったことに一切気づかない。翌朝、イライザがいないことに自分がものすごく慌てていることすら、自覚できていない。傷つけたのは自分だということもわかっていない。言語学以外は何もわかっていない。そういう引き出しがないからです。

あなた、大慌てですやんか?朝になってイライザがいないと気づいた途端に。

独身主義で気楽に生きてきたヒギンズにとって、女性は不要だったのだろうと思います。同等の階級の女性を相手に、必要があれば慇懃にダンスの相手をして、それっきり。何一つ、彼の人生を変える必要はありません。気楽な居心地のいい安全地帯。自分を変えなくていい。

でも、「今まで会ったことがない類の女性」と出会ってしまって、その人が不在だと、胸のどこかにぽっかりと穴が開いたようにちくりと寂しい、そういうことがあったとしら?

そのちくりとした寂しさから、確実に自分の心の中で寂しい風が吹いているとわかってしまったら?

その欠落を自覚することが恋に落ちるということであり、それまで自分が直面する必要がなかった不可欠な相手に出会ってしまったということだと思います。

ヒギンズは幸いにして(彼的にはおそらく)、そんな面倒なことには巻き込まれたことがなかった。面倒で、愚かなことだったのでしょう、彼にしてみたら恋なんて。自覚するまでのヒギンズの嫌味な傲慢さ。寺脇さんは見事にそこを演じておられたと思います。

でも、出会ってしまったら、もう知らなかった頃には戻れない。そして自分も知らなかった世界に一歩踏み出すしかない。(読み返すと宝塚ファンが沼に落ちる経緯と全く一緒ですね・・💦)

それまでの自分から変わるのは怖いことです。気楽に長く独身生活を楽しんでいれば余計に。けれど、それ以上にその人と一緒にいたいなら踏み出すしかない。みっともなくても、追いかけるしかない、傷つくしかないのです。

私は、恋に落ちる、誰かに出会ってしまうというのはそういうことだと思います。

蓄音機かな?ヒギンズがイライザの声を再生して聞く場面、目を閉じてソファに座っている姿からはどうしたらいいのかという途方にくれた彼の”弱さ”がにじみ出ていました。この場面の寺脇さんの演技も巣晴らしかったと思います。

ヒギンズがそこに気づくまでの間、イライザは自分が実験台に使われたように思って怒ります。でも、実はイライザもこの怒りがどういうことを意味するのかを最初は多分、わかっていなかったのだと思います。正当に扱って欲しかったというのに加えて、一緒にいたかったということを。

二人とも一緒にいたいと思っているのに。

 

5.なぜ、まぁ様の舞台を観ると泣いてしまうんだろう?

ヒギンズが自分の怒りをわかってくれないことに怒り、哀しみを覚える朝夏まなとさんのイライザの表情が印象的でした。

唇をまっすぐに結び、震わせ、目を落とし、必死で自分を保とうとするイライザ。

その表情を見たとき、宝塚での退団公演「神々の土地」のドミトリーを思い出しました。ドミトリーも言葉にできないことをぐっとこらえて飲み込んだ役どころでした。

同じ表情ですが、確かにドミトリーは憂いを含んだ高貴な青年でした。イライザは下町の女の子でした。自分で生きようと変わろうとする強さと賢さを持った長身の女の子。

不思議でした。そして、ああ、まぁ様は立派に舞台女優になられたんだとも思いました。

ダンスのときの相変わらず長い手は同じながら、手の先の柔らかな動きが女性的だったのも印象的です。手の先、指先まであの方は男役だったんだと改めて思うとともに、素早くそんな細部まで変えてこられたまぁ様の努力を思うと、また泣きそうになりました。

というわけでね、イライザの白い光を纏うようだった美しさ、一生懸命に生きようとする強さと賢さ、ヒギンズの恋への自覚と躊躇が伝わってきた舞台だったと思います。

古くさい面はありながら、まぁ様イライザがどうしても「ひ」をちゃんと発音できない場面や、アスコット競馬場で大真面目な顔のまま言葉が崩れていく場面をはじめ、爆笑しました。

まぁ様が出てこられるとまぁ様ーー!まぁ様ーーー!!となり、爆笑し、そして泣いた。そういうとっても心が忙しい観劇体験でした。

それにしても、まぁ様の舞台を観ると、なぜ、いつも泣いてしまうのだろう?と思うのです。素敵な楽しい名曲の場面だったのに。

やはり、それも出会いなんだろうなと思います。

まぁ様はかわいらしくて素敵で、高音も伸びやかに出て、ダンスはとびっきり綺麗でした。もちろん、世界的に活躍されているミュージカル・スターと比べると、歌唱はまだそのレベルではおありにはならないと思います。

ただ、朝夏まなとさんという存在自体がとてもとても魅力的なんですね。白い衣装をまとうと自分が白い光を放つように見える人。

くるくると変わる愛らしい表情、大きな目、美しいスタイル。全身を舞台に投げ出すような演技、起きている時間の95%は舞台のことを考えていると言われるような自分の時間を舞台に賭け切る勇気。

自分のすべてを賭けるのは、怖いことです。全力でなければ、後で「あの時はまだ余力を残していたから」と言訳ができます。

けれど、朝夏まなとさんはそういう人ではないのですね。私達はその点においてまぁ様を信頼していると思うのです。

朝夏まなとさんの舞台に賭け切る勇気と本気。そこにもう一度出会えたという喜び。

千秋楽の大分でのご成功を心からお祈り申し上げます!(^^)

宙組・異人たちのルネサンス 感想 寂しかった少年と少女のピュアなラブストーリー、美しい短編への昇華

皆さま、こんばんは。お元気でしたか?昨日、miyakoguは宝塚大劇場にてダブル観劇和ものショーが華やかでにぎやかでテンポ良くて、メインテーマの音楽が切なくて良くて、真風さんがとにかく素敵で、まどかちゃんが可愛くて、二人が切なくて。完璧!本当にあっという間にラストの狐の嫁入りシーンから賑やかなお稲荷さんのお祭りが始まってしまうのです。びっくりです。

今日はお芝居の感想を少しあらすじを踏まえつつお送りします。以下は、ネタバレがお嫌な方は飛ばしてね!今からがっつり、あらすじが出てきてしまうので。

 

1.寂しかった少年と少女のピュアなラブストーリー

おばちゃんな、実はとても大切なことに気づいたのよ。お芝居の「異人たちのルネサンス」について。

これ、副題に「-ダ・ヴィンチが描いた記憶ー」ってついてますやん?舞台設定は芸術や文化の秋らしく、レオナルド・ダ・ヴィンチ、メディチ家となっています。おそらく、この時期に多い団体のお客様へのアピールもあるだろうと推察します。でもダ・ヴィンチやメディチ家は「借景」だと思うのですね。

この物語は、ただただ、一人の寂しかった少年と寂しかった少女の出会いを描いたピュアなラブストーリーだと思ったのです。

寂しかった少年が寂しかった少女と出会い、離れ、青年となり再会し、一瞬でも愛し合い、そして離れてしまった・・。青年の記憶に焼きついた少女の美しい微笑み、それを絵に描いた。青年はたまたま「天才 レオナルド・ダ・ヴィンチ」だった。だから、その謎の微笑が後世に伝わった。

初見時、「繊細で悪くない、でも余白が多い詩のよう」と感じたこの物語をそのように感じさせたのは、宙組トップコンビの「愛を奏でる力」と宙組のお芝居の力だと私は思います。

お二人の奏でる愛がきらきらとした目に見えない細かな光の粒になって、優しい風にのって舞台から伝わってくるように思った10月13日の公演でした。

真風さんの優しい包容力と、まどかちゃんの少女の可憐さが創り上げる王道の世界。ぜひご観劇ください。傑作や大作ではなく、妙に心に残って秋に読み返したくなる美しい短編小説のよう。田渕先生の繊細な歌詞はその世界を創っていると思います。

 

2.寂しかった少年と寂しかった少女をつなぐ「絵」

孤独で寂しかった少年は、同じく孤独で寂しかった少女と絵を介して出会います。

二人の間にあったのは「絵」。寂しそうな少女はその「絵」を観るときだけ、瞳を輝かせる。そして少年はその瞳を見るのが嬉しくて、絵を一心に描いた。

少年少女時代は、愛海ひかるさんと夢白あやさんがとても丁寧にいい演技をされています。愛海さんはピュアな存在感がありとても優れた資質をお持ちの方と拝見しています。

少年少女はある日突然、離れてしまいます。美しく成長した少女は残念ながら司教グイドに政治的な材料として利用されてしまう。その美ゆえに。置きざりにされた少年。さよならも言えなった少女。

その二人が再び巡りあうのがフィレンツェのロレンツォ・ド・メディチの館です。

少女はロレンツォの美しい愛人として。

少年は無理やり連れてこられたお抱えの天才画家として

二人を再び結びつけたのは、美しいものを集めることに執着するロレンツォであり、二人を隔てるのもまたロレンツォなのです。

少女は彼女を利用するフィレンツェ司教のグイドによって、罪、裁き、許し、そういったものにがんじがらめになっています。他に頼れる者がいなかった彼女は、おそらくそういうふうにしか生きられなかったのですね。

美しいカテリーナを「天使」として利用しようとするグイド(おそらくは欲情も内に持っていたはず)、愛人として享受するロレンツォ、横恋慕するメディチ家の次男ジュリアーノ。

グイドの愛月ひかるさんは「神」だの「悔い改めよ」だの、ジュリアーノから恋をされることすら「堕落」だの言うのですが、はっきり言って現世的な野望を追求する野心家。(愛ちゃんのフィナーレの髪型が超絶かっこいいです!)

※おそらく、当時の宗教的概念として、誰かに恋をされる=欲情される、それは恋をされた方の女性がはしたないこと、それこそが罪だという考えがあったのだろうとは理解しています。現代人からしたら「けっ」です。

 ロレンツォの芹香斗亜さんは傲慢な中に時々、弟への愛やカテリーナへの執着が本当は恋なのだろうと見え隠れする人間くさい当主。

まぁ、この二人が腹立つこと、憎たらしいこと、魅力的だこと!それだけ、お二人がお上手だったということです(褒めてます)。

  

3.一緒に生きようとする夢

カテリーナががんじがらめになっている場所から、レオナルドは彼女を解放しようとします。一緒に逃げ出す夢をみて。

ひととき、二人は翼を伸ばせると一緒に生きられると信じ、長年の想いが溢れ出るように近づきます。メディチ家内のアトリエで近づき、彼の秘密のアトリエで翼を伸ばすように夢をみる。

メディチ家のアトリエでのレオナルドはかつての少年ではなく、ロレンツォに嫉妬する青年であり、自分のものにしたいというピュアな欲望が溢れ出るかのようでした。

秘密のアトリエで夢見るように翼を伸ばすカテリーナとレオナルドからは互いをいとしく思う気持ちが溢れて、その思いがきらきらとこぼれて見えるようでした。

けれど、その願いは結局、かなわなかった・・。寂しかったかつての少年レオナルドが寂しかったカテリーナに伸ばした手は届いたのに、確かに届いたのに・・。

そう、ロミオとジュリエットのように、ウエストサイドストーリーのように。では、これはどこかの物語の焼き直しなのでしょうか?

私はそう思いません。それよりも、シンプルに物語の原型だと思います。

 

4.一人の人間が大切な人に出会う物語

一人の人間が、一人の大切な人に出会ってしまう。

近づきたいと願う、笑顔を見たいと思う、触れたいと願う、自分のものにしたいと思う。思いが通じてひととき歓喜を覚える、もっとと欲張りになる。一緒に生きたいと夢見る。でも、離れてしまう、終わりが来る。覚えている、ずっと覚えている。追憶となる。思い出す、何度も思い出す。静かな胸の痛みとともに・・。

恋なのです。普段よりやや上演時間が短いこの物語で描かれているのは。芸術でもメディチ家とパッツィ家の権力闘争でもない。

真風さんと星風さんの演技と歌唱。田渕先生が書かれた繊細な歌詞、青木先生の滑らかな音楽。その歌詞に感情を見事に乗せてこられた真風さんとまどかちゃんの寂しげな歌・・。

真風レオナルドが歌う「君を描く色」、まどかちゃんが歌う「あなたへと続く迷宮」。歌いだしの静かな声に込められた繊細な想いを、ぜひ劇場でお聞きください。私は正直、このトップコンビがここまでの二人になられるとは本当に予想していませんでした。

トップコンビの響きあうお芝居は、組全体に確実に影響を及ぼしていると思います。

 

5.舞台設定としてのメディチ家

15世紀、フィレンツェのまちを牛耳っているメディチ家。新興の銀行家であり芸術品の蒐集家であるロレンツィオはその当主です。傲慢で賢く色気もある当主。芹香斗亜さんが絶妙に醒めた感じと色気で演じておられます。

これをおもしろく思っていないのが歴史ある銀行家のパッツィ家末裔のフランチェスコ・パッツィ。凜城きらさんがお髭のイケメンで重厚に演じておられます。

ローマ教皇は領土を巡ってメディチ家と対立中(フィレンツェ近くのイモラ、交通の要所かな?)。パッツィはフィレンツェ司教グイドと組んで教皇に取り入りメディチ家を滅ぼし、グイドは次期教皇の座を狙おうとしています。

二人はジュリアーノを利用して、ロレンツォの暗殺を画策。ジュリアーノは兄への反発に加えて兄の愛人カテリーナに恋をしていて、青年らしいいらつきを桜木みなとさんがロングヘア美形で演じておられます。

メディチ家の中でも美男子の誉れ高く人気があったというジュリアーノ。彼の野心は枢機卿となることですが、狙っている領土が持参金がわりで手に入ると算段したロレンツォによってミラノ公の娘との結婚を決められてしまいます。ジュリアーノは美しく野心はありますが、頭角を現す才能はない。

パッツィ家とグイド側からすると、ジュリアーノはグイドがメディチに送り込んでいるカテリーナを使って利用できるコマ。ジュリアーノとロレンツォを一気に亡き者にできればパッツィ家の再興には好都合であり、教会での暗殺場面が展開されます。

この教会の場面の星風まどかさんが美しかった!ほの暗い舞台に浮かぶ色彩鮮やかなステンドグラスの舞台美術の中で、まさに聖母のようなまどかちゃん。

星風まどかさんは、本当にぐぐぐーーっと変化されましたね。もともとはすべて彼女の中にあった資質だと思います。可憐さ、清らかさ、少女性、同時に感じられる妙に大人びた影、母性。いや、あなたダ・ヴィンチの肖像画より綺麗ですやん?!劇中、美しいと褒め称えられるトップ娘役として堂々の説得力です。

教会での場面はラストの緊迫の場面です。メディチ家とパッツィ家&グイドの野望を巡る戦いは果たしてどうなったのか、レオナルドとカテリーナの恋と運命は?

劇場で物語の行方を見届けてくださいね。

 

6.乗ってる宙組、これだけは言っておきたい大型犬・真風さん

今、宙組のお芝居は乗ってると思います。

組長さん、副組長さん、純矢ちとせさん、花音舞さん、澄輝さやとさん、真風さん・凜城さん・松風さんの92期の三人、芹香さん・愛月さん・93期の三人、94期の方々。上級生さんが多いことがぐっとお芝居を締めているのですね。

松風さん演じる工房の長、ヴェロッキオとその妻の花音舞さんのルイーザ。工房仲間の澄輝さん(ベルジーノ)、蒼羽さん(何とボッティチェリ、明るくてかわいい!)、和希そらさん(クレディ)、前髪がかわいい留依蒔世さん(フィナーレはかっこいい髪型)、長身の瑠風輝さん。りくちゃんとそらちゃんは、ちょっとしたアドリブでくすっとさせてくれます。同じく行き場のなかった少年の複雑さを表現した天彩峰里さん。エトワールも絶品でした。

その中でこれだけは言っておきたい!!!(miyakogu心の叫び)

いろいろあってメディチ家のお抱えになっているレオナルドは、親方と話がしたくて工房にやってきます。夕暮れ時にうなだれてしょんぼりと工房の前につっ立って・・

花音さんが晩御飯をと誘ってくれるのですが、そりゃ、声かけるでしょ?!こんな美形が雨にうたれた大型犬のようにしょんぼりとしてたら。

何なん、あの美形しょんぼり大型犬?!

最後はmiyakogu心の声でお届けしましたが、寂しかった少年と寂しかった少女のピュアなラブストーリー。この秋、ぜひご観劇ください。

※多幸感があると噂のデュエダンについては、下記の記事を書きました。よろしければどうぞ!

mothercoenote.hatenablog.com

働き女子の皆さまへ かつての先輩の素敵な著書 心を包む布、田中真紀子さんの仕覆(しふく)の世界

皆さま、こんばんは。林遣都さんが”ポチ”と呼ばれてあたふたがんばっておられる「リーガルV」を先ほどまで視ながら書いてました。がんばれ、ポチ!「下町ロケット」に続き、今日のエピソードでは特許が一つの争点になっているとは・・、知的財産に関する仕事も担当することが多い身としては知財が身近になってきているのが感慨深いです。

 

さて。

先日、社会人としてスタートを切らせてもらった企業の同期会30周年の案内がメールで来ました。バブル経済が盛り上がりつつあった当時、同期は結構な人数でした。最初の研修は集合研修で、配属までのあの濃厚な1ヶ月は懐かしい思い出です。

男女雇用機会均等法施行後、2年目の期が私達。同期全体の5%が女性という時代です。一つ上の先輩方はまさに1期生で、頼れる長女という感じの頼もしい方々でした。対して私達は不思議と次女体質。1期の先輩方は長く勤務され、支店長や執行役員になっていかれていますが、私達の期はなぜかそれぞれの道へとスピンアウト、何らかの道で専門家になっている方が多い印象です。

1期生の頼れるお姉さまのお一人だったのが田中真紀子さん。(漢字が違いますが、同じお名前の政治家さんとは違います)

すらりととてもお綺麗な方で、いつも綺麗に髪を整え、品が良く、馥郁とした優しい笑顔が素敵な方だったとよく覚えています。

同期会の案内と一緒に、同期女子が案内してくれたのがその田中さんの初の著書『仕覆づくりは茶道のたしなみ、暮らしの彩り 世界にひとつの心を包む器』です。仕覆とは、茶道の道具を入れる布の器だったのですね。

prtimes.jp

 

amazonのサイトでは本のページのお写真があり、田中さんのお綺麗な横顔もちらり。人つてでうかがった限りですが、今は最初の会社とは違う場所でご活躍とのこと。

著者紹介の欄を拝見すると、人生の一つの転機の中で布が器に寄り添う仕覆に出会われたのかと思いました。寄り添う布、心を包む布という点に共感を覚えられたのだろうかと、心のどこかがふっと緩むようでした。嬉しい便りです。

 

30年。私たちは、いつしか遠くまで歩いてきたんだなぁと思います。

当時、4年制大学卒の女子は確かにまだそれほど割合が高くなかったと思います。

先日、ニュースになっていましたが、今もなお女性には大学進学など不要という考えがある地域もまだまだあると知って驚きました。※もちろん大学以外の選択肢もいろいろあります(^^)

あのね。30年前に学校を巣立った大阪のおばちゃんから言うておくわ。

世間や他人の言うことなんて、ろくすっぽ聞かないでね。

殊勝ににこやかに聞いているふりだけしておいてね(^-^)。

そうねぇ、親の言うことや信頼できる大人には真摯に耳を傾ける”姿勢”はとりあえず見せておいて、その上で、自分が腑に落ちたところだけ取り入れておけばいいかなと思います。あなたのために、ってだいたいは自分が言いたいだけやし(^^)。

人の言うことばかり聞いていると、いつか肝心なときに自分の”心の声”が聞こえなくなるように、私は思います。

向いているとか向いていないとか、20代ではわからなくて当たり前。そんなきっぱりとした20代も、あんまり好きじゃないかなぁ(^^)。迷ったりぐだぐだしたり、かっこ悪くても素敵。ついでに言うとくと、50代になってもぐだぐだしてて、かっこ悪いですよ。そんなもんやねん、という開き直りは得意になってるけど(^^)。

それよりも、自分はどうもこれが好きだな、こちらよりはこの方が好き、こういうのは好きじゃないという感覚をどうぞ大切に。理由なんていらないです。

それはいつかどこかで、思わない形であなたを助けてくれる力になるものだと私は思います。

うん。まぁ、だからこそ、おばちゃんな、今週末は宙組ダブルで観劇してくるわ!おほほ(^-^)。←miyakoguさん、最後、そこ?!はい、そこ!

宙組・異人たちのルネサンス 感想 永遠の少女への恋、フィナーレ真風さんがイケメン過ぎて感想は吹っ飛び・・

皆さま、こんばんは。miyakogu、懺悔します。

本来、初日空けてすぐはA席や2階S席なんかで全体像を観て冷静かつ客観的(ほんまか?!)な感想をお届けするのを使命としている本ブログですが・・・。

先日、宝塚大劇場にて宙組「白鷺の城/異人たちのルネサンス」を観劇した際、私は眼鏡を忘れたのです。そこまで見えなくはない、けれど細部までくっきりとは見えない視力。座席は前過ぎず後ろ過ぎない中ほどのセンター付近、背の高い真風さんの目線がちょうど来るあたりの位置。

そのため、ずーーーっとオペグラで真風さんロックオンで公演を観続け、ほぼほぼ真風さんのことしか思い出せません・・!ごめーーん。

なので、お芝居の感想は今週土曜日、観劇した後に書く!(注 ダブル観劇)

書きました。あらすじ紹介を含めて、かなりネタバレしてます。美しいラブストーリーに昇華している舞台でした。mothercoenote.hatenablog.com

  

1.フィナーレの黒まかと白まか

ただ、フィナーレ真風さんには言及しておきたい!つーか、あれですべて感想が飛んだんですよ!

うっうっ、おばちゃんやってな、ちゃんと観てたんやで。珍しくちょっとメモもしたりして。

そやけど、あの黒い、少し十字架を思わせる衣装に身を包んだ金髪の前髪斜めの真風さんが、純矢ちとせさんと綾瀬あきなさんの肩に手を置いて、挑発的な目線で階段を降りてきて、えびちゃん(綾瀬さん)がふっと妖艶に笑った瞬間に。

ずんずんと前に進み(客席に近づいてきて)、真風さんがにやっと笑って左目でぱちんとウィンクされた瞬間に。

ぶほぉーーーーん!(注 miyakoguの理性が吹っ飛んだ音)

その時、miyakoguのオペグラが割れ、劇場に雷が落ちたということじゃった。=すべてが吹っ飛びました!

 

真風さんの金髪斜めの前髪ってね、ご存知でした?ふぁさーーってなるでしょう?でもちゃんと綺麗に斜めに戻るんです。どうなってんの?!あの人の前髪は?! ←錯乱中のmiyakoguでお届けしています。

そいでね、宙組の品よくもセクシーなお姉さまたちが髪を下ろしてスリットの入った黒のドレスで周りを踊る中、真風さんがイケメンに踊っておられたはず(?)。

うん、ほぼ覚えてない!(笑顔)

 

でね、ぜいぜい息を整えていたら、水色で縁取りがある真っ白なフロックコートかな?(覚えてない)を着た長身の真風さんが下手で片膝を抱えて登場し、銀橋を渡り、代役をつとめておられる夢白あやさんとデュエダンをして終わってたわけ、公演が。代役の夢白あやさん、お疲れ様です。

※真風さんとのリフトにはまだうまく乗っかっていけておられないかなぁ・・。お綺麗なのは申し分ないのです。研2で本当に大変よね・・。

 

黒い衣装のセクシー・マエストロの黒まか。

白い衣装の正統派・王子様の白まか。

あなたが池に落としたまかさんはさぁ、どっち?

あーー、落としたんちゃうわ、落ちたんやわ、こっちが。 

 ↑ miyakoguさん、落ち着いて・・。

しっかし。真風さんはさぁ、かかとの高い靴を履いておられると身長180cm超えておられますよね?とにかく、和ものショーを含めて大きく大きく見えた真風さんでした。あんな綺麗な男性、いないです(断言)。

ばんばんばんばん!(注 机を叩いている)

※多幸感があると噂のデュエダンについて記事を書きました。よろしければどうぞ!

mothercoenote.hatenablog.com

2.印象に残った方々

ほぼほぼ真風さんロックオンでしたが、まずは断片的に記憶に残ったのは以下の皆さまです。これから全体像を把握していきたいですね。

星風まどかちゃんは長い黒髪と緋色のお衣装が似合っていてとっても素敵、この物語に欠かせない”少女性”をひしひしと感じました。

酒場の歌手の風馬翔さんがめっちゃくちゃかっこいい!縮らせて垂らした前髪がエロ素敵。フィナーレの真ん中降りも嬉しかったです。

酒場のベリーダンサーの綾瀬あきなさんの腹筋がお見事!

その綾瀬あきなさんと風馬さんが組んで躍られるのですが、決めポーズがものすごい!ぜひご確認ください。アイスダンスの大人のペアのようでした。

・フィナーレ、真風さんロックオンのオペグラでしたが、その中に「にやっ」と入り込んできたのが和希そらさん。あの人、オペグラ越しに目が合うとは聞いてましたが、その通りでした!フィナーレのそらちゃん、かっこよかったですよ。

・もう一人、妙に目線が強く顔に気合の入った人がいるなと思うと、蘭寿さん似の若翔りつさんでした。セリフもあり目立ってきておられます。

・幕開けすぐに出てこられる凜城きらさんがお髭のイケメンでした。深緑の衣装だったと思います。

・私が好きな蒼羽りくさんは安定のいいやつ、レオナルドの友人です。

他の皆さまは次に感想をお届けする!ごめん!

 

3.永遠の少女への恋、少年の心の詩

ふぅぅ。真面目にお芝居について断片的に思い出すとね、この物語は青年レオナルドの心の中にずっと住み続けている寂しげな少女、その少女を一途に思う青年の心の中に潜む少年の心の物語なんだと思います。

田渕先生はなぜかチケット縁があって、ずっと作品を拝見してきました。

小池修一郎先生の中には少女がいて、私自身の中の少女と響きあうものを感じさせてくださるように思うことがあります。

対して、田渕先生はあくまで男性の心の中に住む少年の繊細な心の物語が伝わってくるのですね。繊細な詩のように。

ただ、それが大劇場のサイズに合うものとして放たれるには、大変失礼ながらやや技法が成熟していないように拝見しました。特に照明、つまり舞台での”光”の使い方、そしてセリフと音楽の融合に関して。

物語自体は悪くないと思うんです、決して。

やや既視感がある設定がつなぎ合わさったように見えつつ、断片的に少年の心の傷、恋への震えそういったものが青年レオナルドを通じて伝わってくるところは確かにあります。創作者の心の純粋な部分に触れるように思う面がところどころあるのです。

レオナルドが大事なところにそっとしまってきた少女への永遠の思いが溢れるさまは、真風さんの演技から伝わってきました。お芝居自体、宙組さんは熱演されています。お一人お一人のお芝居はとてもいい。特に真風さん含む92期3人組のお芝居ですね。

ただ、バウ「サンクチュアリ」でも言われがちだったとおり、舞台がほの暗いのですね。ヨーロッパの夜は日本のような明るい照明はつけないですし、中世イタリアの都市はおそらくこれくらいだっただろうと想像します。ほの暗い中での物語にふさわしいメディチ家の野心、メディチ家から権力を奪おうとするパッツィとグイド司教の野望。

ほの暗い舞台で、幕の前で登場人物2、3人のお芝居がセリフ中心で長く続き、舞台がなんとなくぼんやりとしてくる箇所があります。不思議なことに、では観客が寝てしまいそうになるかというとそうでなく、では、きりきりと舞台を息を殺して観ているかというとそうでもなく。

ちょっとしたミステリーを追いかけるような「どうなるんだろう?」という感じがありました。秋の夜長にふと読みたくなるような中世イタリアの野望とそこに秘められた恋と芸術のまとまりのいい物語として。そこに、きらきらしたどこか気になる繊細な輝きも見え隠れして。

もう一歩で、極上のミステリーを含んだ恋物語になりそうなんだけどなぁ、惜しい!

断片的にはいいのになぁ。「詩」なんですね、おそらく。余白が多くて田渕先生の中ではつながっているかもしれないけれど、観る側にはそこまでつながっていかない感じがあります。

というのが正直な感想です。あくまで10月8日15時公演の感想ですね。これからの舞台の進化に期待しています。

照明がより効果的に使われるか、セリフの部分が本当は歌で複数の人間により進められるか、全編を通じてWSSのようなずっと流れる音楽が加味されると、とても素敵な「ミュージカル」になるだろうなぁと思ったり。今は「ミュージカル・プレイ」と銘打っていますが、「ミュージカル要素を含んだストリート・プレイ」だったかなと思います。その中で酒場とカーニバルは華やかでした。後ね、何といってもお衣装が綺麗!

結局、フィナーレが抜群!!!ということはまずお伝えします(≧▽≦)

白鷺の城の水もしたたる涼様、フィナーレの黒まかさんと白まかさん。

宝塚の男役らしい長身のすっきりとした素敵な真風さんの色気と金色の前髪をご覧ください。

真風さん、ええよ!(≧∇≦)

宙組・白鷺の城 心の声感想 真風さんのことは涼様とお呼びしたい!(≧∇≦) 転生の愛の物語

優雅で美しくて強くて切ない真風涼帆さんは、”涼様”でした・・・。

それが宝塚大劇場 宙組「白鷺の城」の本日観劇の感想です。

うん、以上終わり!(≧∇≦)

※お芝居感想も書きました。あらすじ紹介を含めて、かなりネタバレしてます。美しいラブストーリーに昇華している舞台でした。

 

mothercoenote.hatenablog.com

なわけなーーいっしょ?! ばんばんばん! 書くわ!

久しぶりに心の声全開で行く(≧∇≦)。

フィナーレの娘役さんを侍らせた黒衣装まかさんの金色の前髪がふぁさーーとなびくたびに、何かを失ったmiyakoguです。 ←多分、理性をかけらでぼんぼん落とした(≧∇≦)

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1.涼様とお呼びしたい

ちょっとちょっと、ご存知でした?奥様&お姉さま&おにいさま。

前から思ってはましたよ、真風さん、絶対に烏帽子と平安貴族の装束似合うだろうなぁってね。

 

第二景(第二場面)の「玉藻ノ前」の涼様

黒に桜の花びらを縫いつけた平安貴族の装束、黒い烏帽子で、膝を立て、さかずきを持って船に乗り(多分、池でのお花見用に仕立てられた船)、真風涼帆様の陰陽師・安部泰成ご登場ですよ!涼様ですよ!

しだれ桜の元、桜の花びらが舞う中(映像で散らしてあったと思います)、すっくりと立って歌う涼様。源氏、光の君かっての?!涼の君ですわ。あんな綺麗な男子、見たことないわ!特に伏せ目の流し目な!!

面長で、切れ長の目で、すっくりと立つ背の高い君。きゃーーーー!ですよ。優雅で美しいのに陰陽師としてとても強い力を持つ涼様。きゃーーー!です。うん。

 

第四景の「妲己」の涼様

古代中国・殷の時代に名君を狂わせたと伝わる妲己。舞台上では数千年が既に過ぎ、遣唐使としてやってきた吉備真備が学んだ陰陽道を使って廃墟の亡霊を滅ぼします。

※ここ、滅ぼすのではなく、封印されていた妲己を憐れに思った吉備が、封印を解き解放するのですね。間違ってました、訂正しますね。

その前にまずは妲己と踊る吉備の涼帆様。

二人の中国の衣装がドレスのように綺麗に円を描き、まさに麗人の涼様。背の高い貴婦人がダンスをしているように一瞬見えます。けれど美しい男性の真風さんの横顔、特に右側の額にかかる黒髪がツボ!

 

第七景の「狐火」の涼様

いやぁ、はっはっはっはっ。もう笑うわ!いなせ過ぎて。あんなに青天が似合う人、珠ちゃんの「長崎しぐれ坂」以来初めてみたわ! ←割と最近なので、落ち着いて、miyakoguさん?

首にかけた手ぬぐいに涼様が右手をちょいと添えるたびに、理性がひとかけら、またひとかけらと落ちていくmiyakoguでした。

あの人、何なん?!陰陽師の転生じゃないっしょ?!江戸の歌舞伎役者が転生してタカラジェンヌになったんだと思われます。

いやぁ、ええもん、観ましたわ。

冒頭の一芝居あってからのチョンパも、この場面でのお祭りの導入部も、色彩が華やか華やか。

 

2.華やかな和もの、まどかちゃんはお人形さん!

音楽がアップテンポで、えてして緩慢になりがちかな?という和ものショーがテンポ良く進みました。お衣装の色彩がとっても華やか

涼様とともに、星風まどかさんの日本人形のような可愛らしさ&綺麗さも絶品。まどかちゃんは小顔だなと前から思っていましたが、まぁ、本当にお人形さんのような愛らしさです。でも妖艶なの、権力者を惑わす。

あんな大きなかんざしつけてなお、バランスが崩れないって・・。本当にかわいかった。部分休演というので心配してましたが、デュエダン以外は普通に。ただ、多分、こちらからはわからない痛みがおありになるだろうと思います。どうぞお大事に。デュエダンへの復帰、楽しみにお待ちしていますね。

 

3.転生の物語

九尾の狐「玉藻前」の物語は、江戸時代から絵本、文楽、歌舞伎の題材となっていたようですね。基本的に九尾の狐が美しく妖艶な悪女で、時代を超えて時の権力者をたぶらかすと。そういうお話に、狐の化身である女性が母になるものの身を引くという民話が混じっているのかな?

今回の舞台は時系列には進んでいません。時代と空間を越えて行きつ戻りつするので、「あれれ」と思われる方もおられると思います。あくまで今日、私自身が把握した範囲ですが簡単にご紹介してみます(歌舞伎などでご存知の方は飛ばしてください)。ネタバレがお嫌な方はお読みにならないでくださいね!(^^)

時代を前後しながら進む安部泰成と玉藻前との愛の転生のお話。転生しつつも、いつもめぐり合い、ひかれあい、けれど別れてきた二人ですが最後に共に死ぬことで一緒になります。

あえて時系列であらすじめいたものを見て行くと。まず第四景の「妲己」で二人は出会います。遣唐使・吉備真備は中国に長く学びいろいろな学問を日本に持ち帰った人。陰陽道も現地で学び、学んだ力を試すために宮殿の廃墟で出会った妲己(九尾の狐の化身、本来は古代中国 殷の時代に生きた美女)を封印します。

その陰陽道を日本で完成させたのが安部清明というわけですね。吉備真備は中国からの帰路、九尾の狐が同船していたとされています。

そして狐の化身が、第二景で鳥羽上皇をたぶらかした玉藻前として日本で再登場

また第三景「信太妻」において、松本悠里先生がしっとりと演じておられる葛の葉は狐の化身ですが人間と契り安部清明の母となります。けれど、狐の身、葛の葉は身を引き清明を残して人里を去ります。その際に清明に宝珠(首にかけていますね、数珠の長いバージョンのようなもの)を渡しています。←最後にもう一回出てきます。

半分狐の血を引くが故か、清明は優れた陰陽師として魔物を封印する力を持ち、それは後世の安部泰成(清明から6代目のようですね)にも受け継がれています。

安部泰成と玉藻が出会う第二景の桜の場面がまぁ、美しいこと!桜の花びらが風に舞う中、黒烏帽子で美しい装束に身を包んだ真風さんがすくっと品良く佇む・・。明日海りおさんの源氏の神々しさとはまた少し異なる魅惑の貴公子。

漫画?!「あさきゆめみし」の実写なの?!おかしいでしょ、あの人。

第五景「女化ヶ原」はなじみがあまりないお話でした。「女化神社」(おなばけじんじゃ)という神社があり、『女化物語』という民話が伝わるようです。この物語でも、やっぱり妻が狐(元の民話では八重)。戦国時代の武将・栗林義長はその狐のお母さんの孫にあたり、狐の血を引くが故にカンがいいと噂されているわけです。狐の化身(多分)の八重と惹かれあっている義長。

第六景では江戸時代の陰陽師である友景がついに玉藻前と時代を超えて転生しながら再会。二人は死をもって一緒になります。その時、白鷺城の山=姫山の主である富姫も姿を現します。この富姫こそ安部清明の母、友景が身に着けていた宝珠で二人の時代を超えたつながりがわかります。

富姫は狐としてずっと生きているというか幻影のような魔物。松本先生の声が録音というのは、いろいろ事情もあるとは思いますがこの世の者として実際に聞こえてくる声ではなく、頭の中に響くような声だと理解してはどうかな?と思いました。舞い手は声を発しないとかの約束ごとかな?とも思ったりです(^^)

そしてラスト。江戸のお稲荷さんの華やかなお祭りで惹かれあう男女。これはパンフによると富姫の祈りによって人間として生まれ変わった陰陽師と玉藻なのですね。ハッピーエンドで結ばれる二人です。良かった、良かった。

狐の血を引くが故に特殊な力を持つ男と、狐の化身の女。その二人の転生と愛の物語が大きな流れとしてある華やかな和ものショー。どうぞお楽しみください。

綺麗で華やかで、テンポ良くて、少し切ないけれど最後は幸せ。そういう物語が少し見え隠れするショーでした。

(超絶いけいけ真風さんがまぶしいフィナーレとお芝居の感想はまた明日!お芝居は悪くなく宙組さんは熱演されていて各人の切なさも伝わります。ただ、やや余白が多くセリフに頼りすぎなのかな?という印象です。もう少しミュージカルみがあると良かったかな?)

月組・エリザベート 両性具有性と純情一途、珠城りょうトートへの心の声感想

皆さま、こんにちは。台風が通り過ぎるのを家にこもって待つ日曜の昼下がり、お元気ですか?

月組・エリザベート、いよいよ明日10月1日(月)が千秋楽となりました。ちゃぴさんのサヨナラショー、素敵なものになりそうですね。

さて、今回の最年少トートを務めている珠城りょうさんのトートは、少し不思議な印象を残すものだったと私は考えています。

あくまでmiyakoguの勝手な観点だけれど、今日はそのことについて書くわ!心の声全開で(^^)。ばんばんばん!

(注 机をたたくmiyakogu)

 

1.珠城りょうさんの両性具有性

珠城りょうさんについて考えてみたのですね。

くっきり二重のくりくりお目めは女性的。

高い鼻と頼りがいのある肩幅は男性的。

ボリューミーな太ももは実は女性的、なのに長い脚をぐっと開いた時の腰は男性的なセクシーさ。

珠城りょうさんは、もともとの容姿と漂う雰囲気が非常に両性具有性の高いジェンヌさんだと私は思います。

その上で、あの方が演じる男役像からは精神的な「男性性」が非常に強く伝わってくるように思うのですね。不思議なことに。

純粋に、一途に、ピュアに恋をする。少年のように。

同時に相手を自分のものにしたいという欲望の火が宿る瞳。青年のように。

意識的なのか無自覚なのか、それはわかりません。もともとの恵まれた資質と珠城さん特有の清らかさの上に、役への入り込みによる大人の男の欲望のようなものが垣間見える時があります。それらが融合した匂い立つような魅力。

今回のお化粧と長い髪は、左側の髪はウエーブが細かくお顔に斜めにかかるようで、左からの横顔には、ラファエロ等が描く青年天使のような清らかさがあるように思えました。

一方、右側の上げた髪の目元は歌舞伎役者の隈取りのようで、右側の横顔は意思の強い青年に見えました。

珠城りょうさんの両性具有性と、トートが持つ両性具有性がシンクロしているかのように思えたということです(^^)。

 

2.純情少年トート

今回の珠城トート。初日あけてすぐに拝見した時は、妙にかわいらしく健気に見えました。

エリザベートのことを無意識に追いかけてしまって、拒絶されるとむぅっとして、でもやっぱり目が吸い寄せられて、自分でも何をしているかわからないまま追いかけてしまう少年の純情で健気な面が強く出たトートのように思えました。

まぁ、一言で言うと、ばんっ! なんかかわいかったのよ!

 

3.一途な帝王トート

三度目に観劇したのは代役公演で、この公演を絶対に成功させるという月組さんの強い意志が伝わってきた見事な舞台でした。ただ美弥さんフランツならではの大人の部分が少し弱く、美弥さんが無事に復帰されて本当に良かったです。

宝塚大劇場のラスト1週間のところで観劇したこともあり、珠城りょうさんのトートは強い意思を持った黄泉の帝王トートに成長されていたように思います。

闇の世界を支配する若き帝王としてのトート。

少年トートからは成長していて、初めての経験だけれど、これが恋だということはわかっている。けれど、具体的にはどうしたらいいのかよくわからなくて、エリザベートに働きかけるけれど、今一つ作戦がうまくいっていない。

黒天使にぜーーったいに相談しているでしょ?というトートですよね(^^)。

前の宙組さん公演の朝夏まなとさんのトートはもう、なんというか手馴れたトートで、ちょっと文化の違いでうまくいってない感があったのですが、珠ちゃんトートは帝王のわりにはなんというか、一途で手馴れてなくて作戦がうまく回っていないトートのように見えました。微笑ましい・・。

いやぁ、トートを微笑ましいと思う日が来るとはなぁ・・。しみじみ・・(^^)。

多分、これは珠ちゃんのもつ可愛らしさともリンクしているんでしょうね。なんか微笑ましいんですよ。あの人。

珠城トートはシシィを救えるのは自分しかいないと本気で、心の底から本気で信じていて、シシィに「まだ私を愛してはいなーーい」と告げた後、壁にもたれて歌う「たった一人の人間なのに。。」がとても切なく響きました・・。いじらしい・・。

いやぁ、俺様トートをいじらしいと思う日が来るとはなぁ・・。しみじみ・・(^^)。

なんでわかってくれないんだ!という思春期の少年の心を残した若き帝王。そのため、”青春の輝きのようなみずみずしいきらめき”がどこか伝わってくるトートだったと思います。

本当は黄泉の帝王なのに、恋を知り染めし若者特有の生命のきらめきを感じる不思議な魅力を感じさせたトート。

エリザベートとの出会いが黄泉の帝王にもたらした閃光のような命のきらめき。シシィと触れる瞬間、瞬間にトートの側にも命が揺れ動くかのような。

皆さまもライブビューイング、東京でのご観劇をどうぞお楽しみください。

うん、やっぱり、なんだかかわいくて、微笑ましくて、涙ぐましくて切ない!そんなトートに見えました(^^)。

月組・エリザベート 代役公演感想 若き月組のみずみずしい熱演の鮮烈、一点だけ惜しむ点・・

皆さま、こんばんは。本日9月24日15時の宝塚大劇場の月組「エリザベート」、代役による公演を家族3人で観劇してきましたので、感想をお届けします。

残念ながら美弥るりかさんはご休演、楽しみにしていた風間柚乃さんのルドルフを見ることはできませんでした。そのかわりに、月城かなとさんの黒髪の美貌フランツと風間柚乃さんの軽妙洒脱なルキーニを拝見することができました。

月城かなとさんファンの中学生娘はかなとさん登場場面から涙、銀橋で涙、フィナーレ群舞のセンターで涙。終始、涙、涙、涙だったそうです。←落ち着け!(^^)

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1.若きキャストのみずみずしい熱演と疾走感

素晴らしい熱演でした。主要キャストの多くを94期以下で占めた若きキャストのみずみずしくも鮮烈な印象を残した熱演だったと思います。

絶対にこの代役公演を成功させる、何があっても舞台の質を落とさないという月組さんの意地と気概とプライドを感じました。

その気合はトートを演じる珠城りょうさんとシシィを演じる愛希れいかさんに顕著だったと思います。最年少トートを演じているトップスターならではの珠城りょうさんの疾走感のある舞台でした。

珠城りょうさんの白い横顔と長いウエーブの髪の横顔が、「何かに似ている!」とずっと気になっているのですが、ルネサンス期の天使の絵に似ているような気がしています(^^)。多分、伏せ目の白い横顔が憂いを含み美しいということかな?

トートが天使に見えるとは、これいかに?ですが(あくまで横顔です(^^))、シシィに「死」を与えることが一番、彼女のためにいいのだと信じている。珠城トートはそう見えるのですね。トートはシシィを自分のものにしようとしている以上に、救おうとしているように見えるのです。不思議です。

愛希れいかさんについては、長年のオペラファンにして辛口のうちの旦那さんが「彼女は別格!」と唸ってました。特に1幕。ものすごい迫力だったと思います。ブラーボー!

 

2.月城かなとさんのみずみずしいフランツ

フランツは美貌の黒髪で、とにかく美貌、何が何でも美貌、端正な美しい立ち姿でほれぼれしました。そして歌が上手い!!

月城かなとさんのフランツは、シシィにまっすぐに恋をしたことがまっすぐに伝わるフランツでした。プレゼントのネックレスを広げるのに少し手間取られて一瞬、心配したのですが、その手間取る様ですらフランツの恋の表れのように思える。みずみずしい恋するフランツです。

慣れない早替えが大変だっただろうと思わせる場面も少しありましたが、とにかく美貌。ここまで歌えた方なんだと、改めて驚かされました。

単にちゃんと上手く歌ったというだけでなく、感情がきちんと乗せられた歌。代役さんでの通し稽古が一回はあるようですが、それでこのレベルとは!驚きました。

感情表現を乗せた歌、眼差しに宿るその時々の繊細な感情。雪組新人公演で壮さん、早霧さんのお役をされてきた系譜を感じる演技でした。

最終答弁も素晴らしい迫力。みずみずしいハンサムな青年皇帝に釘付け!娘は終始、涙!(^^)

 

3.風間柚乃、おそろしい子・・

風間柚乃さんのルキーニは軽妙で小粋な色気がありました。この方、絶対に楽しんでおられると思う!

そりゃ、もちろん緊張もされていると思うのですよ。でも、絶対楽しんでおられますよね?!

「おもしろーーーい!」等のルキーニの見せ場の歌、「在庫がないんだ!」等のセリフの迫力。間のため方に彼女独自の”色”を感じました。おもしろい方です。この人がこれからいろいろな役をどう演じるか観てみたい、そう思わせるひねりを感じると言ったらいいでしょうか?

私が風間さんに気づいたのは博多座公演のショーでした。なんだかものすごい気合の入った顔で踊りまくっている人がいるなぁと眺めていたら、ロケットでばちーーんと濃厚なウィンクを飛ばしておられまして、目が離せなくなりました。

フィナーレはもともとの月城さんのポジで一人降りされるのですが、歌い終わり礼をする前に一瞬、劇場を見渡してためましたよね、あなた?!皆の目をひきつけて拍手喝采をもらう。ものすごい舞台度胸です。風間柚乃、おそろしい子・・。

いっちゃてる感は、もちろん本役のれいこちゃんが上。そこはこれからですが、そんなこと以上に、研5でいきなり本役を任されて堂々と演じてみせる。そこにしびれました!

 

4.注目の方々

・憧花ゆりのさんのゾフィー

迫力がぐーーんと増しておられました!開幕すぐに拝見した時に実は一番、うん?と思ったのがゾフィーで、すこしばかりたおやかかな?と。品良く演じておられたのですが、宮廷で唯一の”男”ではなかったなと思います。が、本日はまぁ怖い怖い。歯を「真っ白になるまで」とシシィに詰め寄るところ、怖かったです!

でもハプスブルク家を守らなくてはいけないというゾフィーの気迫こそが、シシィを追い詰める発端になる歪みだと私は思いますので、キーなんですね。そこが今回は素晴らしい迫力でした。

 

・蓮つかささんのエルマー

革命家には代役で彩音星凪さん(注目の美形!)が入られていますが、革命家のリーダー・エルマーを演じる蓮つかささんからは、その分、自分がこの革命家チームを率いてみせる!という気概を感じました。その気概はそのまま、ハンガリーを自分達が率いるのだという迫力につながっており、濃紺のフロックコートが映える美しい青年貴族としての存在感を増しておられたと思います。

 

・病院訪問場面の海乃美月さん

中学生娘が比較的前方で観劇していたのですが、ヴィンディッシュ嬢を演じる海乃さんとシシィのちゃぴさんが二人とも涙を浮かべた演技だったそうで、その涙が対をなすようで美しかったとのこと。一つ前の記事で書きましたが、ちゃぴさんと海乃さんが二人でつくる場面に私は母性と少女を感じて感動しています。

 

・暁千星さんのルドルフ

長年のオペラファンにして辛口のうちの旦那さんが、終演後、「あれ、誰?」と聞いてきたのがありちゃんの青年ルドルフでした。今日、素晴らしい歌唱だったと思います。

暁さんは初日すぐ拝見した時は、声量は十分ですがルドルフとして間違いがないように歌うことが先行していた印象がありました。

今日の演技からは、ルドルフの哀しみが歌の強弱、ふとした表情の変化から伝わってきました。特にママのシシィと語り合おうとする場面、思い切って打ち明けたり、希望を持ったり、絶望したり。セリフや歌のために口を開く少し前から微妙に表情が変わっていくのですね。演技のための演技でなく、ルドルフとしてそこにおられたように思います。素晴らしかったと思います。

エーヤンの歌手の周旺真広さんの歌声、少年ルドルフの蘭世惠翔さんの歌唱も印象的でした。

 

5.黒天使の皆さま

今回の月組公演の質を押し上げている要因の一つに黒天使の皆さま方のご活躍があると思います。

ウエービーな長い銀白色の髪、静かな熱が伝わるしなやかなダンス。宙組さんの黒天使は切れがするどい男性的なニュアンスが強いダイナミックなダンスでした。今回の月組さんは綺麗に揃った美しくしなやかで中性的なダンスのように思えます。

この人、メイクを含めてめっちゃ気合の入った表情だなと目を奪われたのは一星慧さん。楽しみな方だと思います。成長には気合が必要なんですよね。

 

6.一点だけ惜しむ点・・

代役ということもあり、応援する気満々の客席。その客席に見事に応えた月組の若きキャストの皆さまのみずみずしい演技。脱帽でした。

一点だけ惜しまれたことがあります。ただ、これはいたしかたないことですね。

美弥るりかさんは今公演主要キャストの中の貴重な上級生さん。「夜のボート」等の晩年の場面になると、やはり美弥さんの存在が重要だなあと改めて思いました。しみじみと切々と人生の哀しみを歌う場面、美弥さんがおられないと愛希れいかさんがどうしても強く歌い上げ過ぎになるように見えました。

もちろん、今日は舞台を支えないといけないという気迫の演技でしたから、当然のことです。同期の月城かなとさんを支えたいという思いも強くお持ちでしょう。

愛希れいかさんは日本人女性が出しにくい激しさ、強さを出せる貴重な娘役さんだと今回の公演を拝見して改めて感じます。今後、海外ミュージカルでご活躍されるには極めて重要な資質でしょう。

ただね、アラフィフの観点からすると、ふふふ、ごめんよ!おばちゃんが言うて。もう少しだけね、人生の哀しみや深い諦念のようなものをフランツと静かに向かい合う中でもう少しだけ抑え目に出してこられると、さらに素晴らしいものになるのではないかと期待いたします。ごめんなさいね、贅沢なお願いで・・(^^)。

 

全体的にとても素晴らしいみずみずしい公演でした。

トップスターとしてどーーーんと構えて舞台を率いた珠城りょうさん、素晴らしい歌唱を見せてくれた愛希れいかさん、代役を見事に務めた月城かなとさんと風間柚乃さん、月組の皆さまに心から拍手をお送りするとともに、美弥るりかさんの復帰をお祈り申し上げます。

おばちゃんな、感動したわ!お若い方に負けないようにがんばるわね(^^)。

月組・エリザベート 病院訪問場面への感想と考察 愛希シシィが抱きしめた閉じ込められた少女の翼

皆さま、こんにちは。秋が進行していますね。私は会議続きの1週間をようやく終えてほっと一息ついています(^^)。

今、我が家のリビングでは星組「REON!!」を上映中。ちょうど「オーシャンズ11」からの場面です。皆さんのスーツ姿が素敵。真風さんダニーと長身揃いの宙組での「オーシャンズ11」、楽しみです。人事憶測には興味ないよ!うふふ。

ただ、宙組20周年の顔としてのまかまどコンビへの投資を考えると、そこまで早くはないでしょうね。うふふ、おほほ(^^)。

明日は月組「エリザベート」のラスト観劇。風間柚乃さんのルドルフを楽しみにしていましたが、風間ルキーニに月城さんの黒髪フランツになりそうなのかな?

美弥るりかさんは素敵な上級生さんとして、たおやかにセクシーに優しく月組をリードしてくださっている方。ここはもう、大事に休養していただき復帰をお待ちしたいと思います。長く仕事をしていたら、こういうこと、ありますわね。

 

さて、前回の観劇時、病院訪問の場面で私は舞台からあるものを感じ、泣けました。そのことについて本日は書きたいと思います。

ミュージカル「エリザベート」は遠くヨーロッパの地で沈み行くハプスブルク家を描いた物語です。プリンセスに生まれ、オーストリー・ハンガリー帝国の皇妃になり、子どもを喪い、死に何度となく惹かれながら旅を続ける中で暗殺され生涯を閉じた女性の物語。

私達の人生を一つの円、シシィの人生を一つの円としてみたとき、重なり合う部分がほぼない遠い存在です。

けれど、病院訪問の場面の愛希れいかさんシシィの演技は胸に響くものがあり泣けました。「エリザベート」の物語に普遍的なものを感じた場面であり、そう思わせた愛希れいかさんの演技でした。

さて、それは何だったのでしょう?

 

海乃美月さんのヴィンディッシュ嬢は「私がエリザベート」と強気で出てきたわりには、顔を伏せてうゎーーんと泣きます。この泣きじゃくるヴィンディッシュ嬢は新鮮でした。

シシィが歩み寄り彼女を抱きしめ、「あなたの方が自由よーー」と歌うとき、これまでは「替わってもいいのよ」というシシィに深い絶望を感じてきました。

しかし、今回の月組「エリザベート」のこの場面、愛希れいかさんが抱きしめたヴィンディッシュ嬢はシシィの中に閉じ込められていた溌剌とした少女、すなわちシシィ自身の影に見えたのです。

バイエルンの森の中で馬に乗り、パパと狩を楽しんだであろう少女は、本来は木漏れ日や風がとても似合う溌剌とした少女だっただろうと想像します。でもその少女の翼は閉じ込められたまま、伸ばせない。それはいつか狂気につながるような絶望だっただろうと。

泣きじゃくるヴィンディッシュ嬢の中にシシィが見た閉じ込められた少女の翼。

本当ならその翼を一杯に広げて、鳥のように自由に飛ぶように人生を送りたかっただろうに。

シシィはヴィンディッシュ嬢を落ち着かせるために抱きしめたように見えて、自分の中に閉じ込められた少女としての自身を抱きしめたように見えました。辛かったねと声をかけ、そんなに泣かないでという願いを込めて背中をさすって。

愛希れいかさんの演技からは、そのように思わせる母性のような力と、再び立ち上がりたいという思いと、同時にそのようにしか生きられなかったという諦念と。それらが入り混じった感情が伝わってきました。

だからか、病院から歩いて出て行きながら歌う「鳥のように」は、久しぶりに彼女にその少女が戻ったかのような強い声が一瞬響きます。

しかし、現実をつきつけるようにルキーニのフラッシュ音が響き、一気に現実の世界、翼を決して伸ばせない現実の世界に、無情にもシシィは連れ戻されます。

短い宝塚観劇歴で恐縮ですが、このフラッシュ音がここまでいらつくように感じられたのはこの月組さんが初めてでした。さすが月組のお芝居だったと思います。

 

アラフィフにもなると多くの選べたかもしれない道の中で、自分はやはりこのようにしか生きてこられなかったのだというある種の諦念、あるいは開き直りがあります。決して後悔ばかりではなく、それで良かったのかもしれない、結局同じことしただろうなという明るい肯定も含めた諦念。

けれど、いつだって心の奥深くにはやっぱ思春期の少女の自分がいるように思うのですね。叶えられたものを誇りに思うと同時に、本当はこういう夢もあんな夢もあったという淡い後悔。

シシィは誇り高く「私が踊る時」と歌い上げたとおり、皇妃として高揚した時間をも確かに過ごしたはずで、絶望ばかりでは決してなかったはずです。

ただ、その時間の中で閉じ込めてきた少女はいる。

その少女をヴィンデッシュ嬢を媒介して一瞬でも抱きしめることができたという救い。そう、何か”救い”を感じさせた場面でした。

同時に、宝塚で戦ってきた時間の中で、彼女自身の内側にいるだろう夢見る少女を抱きしめたちゃぴちゃんともオーバーラップしているようにも見えました。そう思わせた素晴らしい演技、歌唱だったと思います。

明日は月組「エリザベート」のラスト観劇。どのような変化と新たな化学反応があるか、楽しみに拝見したいと思います。辛口旦那はんはさて、どんな感想になるかな?(^^) 楽しみです。

あ、その前に!「プーと大人になった僕」、観てきますわーー!(^^) 心洗ってこよーー。

今年の夏 さすがだなぁというおじ様との出会いを振り返ってみました

皆さま、こんばんは。お元気でしたか?

今週末は仕事があり、今日は少しゆっくりしています。月組・エリザベートは次の連休中に家族3人勢ぞろいで観劇予定です。中学生娘は昨日観劇し、辛口旦那はんは次が月組初見。さぁ、どんな感想になるでしょうね?楽しみです。昨日の娘感想を含めて改めてお届けしたいと思います。

我が家では、ただ今、リビングで宙組・姿月あさとさん&花總まりさんの「エリザベート」を上映中。お母さんのおなかの中から(?)の観劇歴を誇るヅカ先輩の一推し公演です(^^)

黄泉の帝王・トートが一目でその瞳に吸い込まれそうになる少女の透明感。そこがエリザベートの導入に不可欠なんだろうなぁと改めて思います。あ、今、姿月あさとさんの「最後のダンス」。大迫力!! →その後、ただ今、病院訪問の場面。この公演、すごいわ!

 

miaykoguは日々、仕事で忙しくしておりますが、その分、いろいろな方に出会います。関係者だったり、お仕事を一部お願いする方だったり。

このブログでは素敵な先輩女性との出会いを綴ってきましたが、本日は最近の出会いからおじ様方との出会いについて、書いてみますねね。

 

一級建築士のおじ様

かつて大手でご勤務され、豊富な実績をお持ちの一級建築士のおじ様。今はフリーでご活躍。いくつかのプロジェクトでご指導をいただいているのですが、この方の手書きのスケッチがまぁ、すごい。

図面から、さささとCADでパースを描く一歩手前の段階で、手書きでイメージスケッチを書いてくださるのですが、それが本当に図面に正確でお上手で本当に尊敬です。

で、その方がグループで定期的に旅行をされていてその旅行記がすごいんです。これがまた。一つの国で2都市くらいをじっくり訪問、そのまちで音楽を楽しむという企画とのこと。その段階でおしゃれですよね?(^^) さすが建築の方々。

で、こちらが今年の夏、ノルウエイに旅行された時のスケッチ。その日、どこを訪問し、何を見て何を食べたかの記録を手書きとスケッチで冊子にまとめて、仲間に配布されるのですね。その場でスケッチされます。後で写真から再現されているものではありません・・。

あまりのすばらしさに「これ、ブログでご紹介してもいいですか?」かとお願いし、快諾いただきました(^^) 本当に素敵な旅行記です。個展されないかなぁ。

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©上記2点ともT.I氏,2018

 

まちを支えるおじ様

もうお一方はある地域のとりまとめ役のお一人のおじ様です。

物腰が柔らかく、でも言いたいことはきちんとおっしゃる方だなぁと前から尊敬しています。

大阪北部地震の直後、ある会合で、その地域の防災について議論していたときのこと。防災のためのある計画が長期になりそう・・、自分達の生きているうちには完成しないか・・と参加者が遠い目になったときのこと。

その方は、「確かに今から15年の間に何か大きな災害があったら、今の人間は助からないかもしれない。でも15年より先の人は、今の僕たちのこの取組によって助かるかもしれない。だとしたら、今、やるべきでしょう」という趣旨のことを明確におっしゃったのですね。

ぱん!なるほど!と膝を打ちましたね。ええ(^^) 自分達には具体的にはメリットにならない可能性が高い、でも、次の世代のために自分達が今、やるべきことをやるということです。

 

組織の中であるポジションにおられる方、いろいろなジャンルのプロ、まちの中で生きる方、仕事はプロフェッショナルな上にとても上手に遊びを楽しまれる方。

素敵なおじ様方(あくまで素敵な方ね)は、自分の置かれているポジションを楽しみながら、やるべきことをきっちりされるように拝見しています。

自分がこう!というのもありますが、割と与えられた役目に乗っていく方が多い印象があります。最近は大組織の中でご活躍の女性も増えましたが、そのあたりの楽しみ方は男性がお上手かな?と思ったりします。個人差ですけどね、最後は。

最近では私よりも随分年下の方も含めて、生まれた場所、育った場所、学んだまちも全然違うのに、仕事を通じてだと素敵な男性陣にふっとお会いできるのも、仕事を長くしてきた良き点かもしれません。出会いは不思議です。

私がちょっぴり得意なのは、そういった素敵な方のお話を聴いて感心し言葉に出してお伝えすること(^^)。ちょっぴりおおげさにね! ←ここはポイント、何かの参考にしてね!

こちらが知らない世界やプロフェッショナルな技量を持っているおじ様方やお兄様方。素敵です(^^)。

月組・エリザベート感想3 月組エリザに少しだけ欠けているように思った”ゆがみ” 今後に期待!

では引き続き、昨日、宝塚大劇場で開幕して1週間たった月組「エリザベート」の感想3をお届けします。

これはあくまで、8/31 13時公演を観劇した際に思ったことであり、端整な月組さんの舞台だったからこそ、さらにより進んだものが観られるはずと贅沢にお願いしてしまうことだとご理解ください。日々、舞台は変化していきますのでこれからの変化を楽しみにお待ちしています。

 

「エリザベート」の舞台は、ルキーニが幕を開け、独特の音楽のもと囁くように歌われる「悩み 哀しみ ねたみ 苦しみ 夢と欲望が 人を狂わせる」という曲から登場人物が舞台上に現れます。

ルキーニが観た幻覚のような狂気の世界。登場人物は自覚はなくても、不協和音の音楽が伝えてくるとおり、少しずつどこかゆがんでいます。

孫を取り上げるゾフィーも、母に逆らえないフランツも、家庭から逃げ出すパパも、母の愛を得られないルドルフも、宮廷に出入りするメンバーも、旅を続けてしまうシシィ自身も。そして何よりも死の世界に引き込むこと=愛だと考えるトートこそが。

シシィを取り巻くゆがみが大きくなればなるほどこの世界から逃げ出したいという狂気めいた思いが強まれば強まるほど、シシィが生み出したトートは増殖し、存在を増す。

そのように始まった狂気の物語は、シシィの生が死と結びつくことによってゆがみが解消され、安定した漆黒の中で消えていきます。

私は「エリザベート」とはそういう物語ではないかと考えています。

今回の月組「エリザベート」は、そのゆがみと舞台から観客に放出されるような狂気のエネルギーが、少しだけ欠けているように思えました。ゆがみが少ないとたまるエネルギーは少ないからです。断層のように。

一人一人の登場人物がそこまでゆがんでいるわけでなく、ちゃんとしているのですね。

プロフェッショナルな舞台として完成されているからこその、贅沢な逆説的な感想で申し訳ありません。ちゃんとできていたら本来はそれでいいはずなのです。

ただ、どこか綺麗なよくできた「箱庭」を観ているようでした。箱庭療法でルキーニがつくったような箱庭。ルキーニの狂気の夢を観ているのだとしたら、それで合っているかもしれない。そう思う面も一方ではあります。

舞台は不思議ですね。不思議なゆがんだ世界を覗き込んでみたい、観客側も抱えている狂気の種と響きあう何かを観てみたい、ドキッとしてみたい。そんなふうに思うなんて。

後2回観劇いたします。これから、どのような変化を観られるのか。楽しみにお待ちしておきます!