代取マザー、時々おとめ

宝塚の観劇感想メインのブログ。たまたま代取(代表取締役)になったワーキングマザーの日々と哲学。twitterは@miyakogu5。

宝塚宙組バウホール・夢千鳥 感想1 和希そらさんの堂々たる主演、美しい凄みと安らぎと切なさの愛の物語

緊急事態宣言の発出とは裏腹に、穏やかでさわやかな日曜午後、皆様、お元気ですか?不詳miyakogu、今日は、思いっきりネタバレで宙組バウホール公演「夢千鳥」の感想レポをお届けする所存ですわ!!

宝塚バウホールでは、わずか4日間となった幻の宙組公演「夢千鳥」千秋楽が始まった頃ですね・・(涙)。俺のスヴィッツラハウスもーー(泣)

しかし、今、私に託された使命はこの貴重なバウ公演を奇跡の日程でぎりぎり観られた者として、全国の宙組ファン、そらちゃんファン、みねりちゃんファン、ご出演者ファンの皆様に、できるだけ詳細にレポること。

さぁ、涙を拭いて~、立ち上がるのだ~♪ (注 英真さんの神父様が歌っておられるイメージです)

以下はがっつりネタバレしています。

スカステで放映されるまで知りたくない方はお読みにならないでくださいね。

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パンフの5/3までの文字が切ない・・。

 

1.感想総括

まず総括を申し上げます。

・物語にぐいぐい引き込まれる素晴らしい作品、作・演出の栗田優香先生、おめでとうございます!今後に大いに期待

和希そらさんの低音のイケボ、憂いを帯びた横顔、縮れた前髪、美しいダンスが最高でした、本当に楽しみなスターです

天彩峰里さんの演技がすごい!今すぐ外部で舞台役者できます、美しい声

凄みのある愛憎、安らぎのある柔らかな愛、すがる切なさ。三様の愛の物語です

・宙組の誇るおじさま演者陣が素晴らしい!

機会を改めての上演、そして東上を希望します

なんというか、すごかったんです。端的に言えば。感想はこれでは終わってしまいますね。うん、がんばって書こう。

 

2.物語のあらすじ

この物語は現代の大御所映画監督・白澤(和希そらさん)が、次回作として竹久夢二を主人公とする映画を撮るという二重の構成になっています。

竹久夢二(和希そらさん)と恋多き映画監督の白澤優二郎

夢二の元妻であり籍を抜いても同居関係にある他万喜(天彩峰里さん)は映画女優であり白澤と事実婚にある女優・赤羽礼奈

他万喜に思いを寄せる東郷青児(亜音有星さん)は若手映画俳優・西条湊

がそれぞれに投影され物語は場面に応じて現代と夢二が生きた時代を行き来します。なお、映画の中で夢二役を演じるのは秋音光さんです。

栗田先生がうまいな!と思ったのは、その中で観客を混乱させることなく物語を演じ切り、愛憎の激しい場面を入れつつも、最後は宝塚らしい愛でまとめてみせた手腕です。ラジオ劇でもおそらく十分に楽しめただろうし、小説のようでもありました。

また、演劇のご経験が豊富におありなのでしょうか?少ないセットながら、上手側、下手側を効果的に入れ替え、舞台転換が見事に進んでいきます。

栗田先生はご挨拶で「夢二が残した手に入りうるすべての文章に目を通したのですが」と書いておられます。「春の雪」を舞台化した時に三島の文章を模写した生田先生のような執念をそこに感じました。

妻であった他万喜、病弱で京都で共に住む紙問屋の一人娘・彦乃(山吹ひばりさん)、彦乃と引き離された後、モデルとなるお葉(水音志保さん)。

ミューズである他万喜との痛々しいほどの愛憎

まっすぐに夢二を愛する彦乃とのひとときの柔らかな安らぎ

愛というより、夢二がお葉にすがりつく切なさ。

三者三様の愛の形がそこには描かれています。

彦乃ちゃんとの愛は、夢二にとって安らぎなのですが、彦乃ちゃんには夢二を籠に閉じ込めるような感じがあったのも、少しぞくっとする点ではありました。

 

竹久夢二が生涯愛したのは誰だったのか、誰も愛さなかったのではないか。

いや、愛とは育てるものなのだ、青い鳥を探すのでなく青い鳥の卵を育てるように。

夢二を描く中で、映画監督の白澤もその意味を知るのです。

あ、物語の核心をいきなり突いてしまいました!でもいいの、今日はがっつりネタバレだから(涙)

俺は絶対に東上を希望する!!!もったいなさ過ぎる!!!

 

3.オープニングが美しい

開演を告げる和希そらちゃんの低音ウィスパー・ボイス!高まる緊張感で舞台を見つめていると、幼少期の夢二のシーンが始まります。

頑固そうな父に、着物の美しい端切れを集めていることを叱られ、囲炉裏で燃やされてしまう夢二。姉の松香は味方であり、夢二が強い愛情をもって慕っていることが示されます。姉をよく通る声で演じるのは有愛きいさん、頑固な父は安定の星月梨旺さん。幼少期は真白遙希さん

この場面のお芝居がよくて、「ゆ、雪組の和もの?!」となりました。宙組さんに次々登場するお芝居上手さんです。

そして、美しい鳥と主要登場人物が登場します。

この鳥が美しくて、ええ?誰?!となりましたが、前髪を縮らせた秋音光さんでした。1羽が2羽になり踊るのですが、まぁ、秋音さんの手と柔らかなジャンプが美しいこと、美しいこと。

宵待鳥の歌(美風舞良さんでしょうか?)、手島先生の音楽が美しいこと。

だいたいオープニングで物語の予感、良作の予感がしますよね?びりびりーーときました。

 

4.物語に引き込む空港、映画会社からバーへ

竹久夢二の物語から、一転、空港へ。あれ?え、時代いつ?と思っていると、和希そらさんは世界的映画監督の白澤優二郎として登場します。主演女優にほれ込み、スキャンダルになる稀代の監督。そして事実婚の大女優・赤羽礼奈。赤いドレスと毛皮のストールをゴージャスに着こなす天彩峰里さんがクラシカルなたたずまいで素敵です。

物語にくすっとしたポイントを添えるのは穂希せりさん演じる映画会社社長とプロデューサーの水香依千さん。お二人ともええ味出しておられます。

水香さんは、フィナーレの黒燕尾の時に一転、黒髪の色気が駄々洩れておられましたよ!素敵でした!

そして、凛城きらさんがマスターのバーで飲んだくれる和希そらちゃん監督。バーテンダーは留依蒔世さん。

もうこの二人がカウンターの向こうにいるバーって、何それ、どゆこと?!とオペグラを握りしめながらわなわなするmiyakoguです。(静かにわなわな)

また、二人ともかっこいいんだわ、これが!!宙組の男役さん、最近、髪型かっこいいよね?!真風さんの影響なのーーー?!!(miyakogu心の声)

 

5.港屋から待合へ

竹久夢二の作品である千代紙や美人画を「港屋」というお店で他万喜さんが売ってるんですね。美貌の他万喜さんは女学生や男子学生の憧れの存在です。

きゃっきゃして買いにくる女学生三人組は愛海ひかるさん、朝木陽彩さん、彦乃役の山吹ひばりさんです。愛海ひかるちゃん、おきゃんな女学生でかわいいわぁ。

この場面のカゲソロは真名瀬みらさんだったんですね。素敵な声でした。

で、竹久夢二が描かないと売り物がないんです・・。赤ちゃんが泣いているのに座って絵のモデルになれという横暴な夢二。

あ・か・ん・やろーーー!!!稼げよ、描けよ!再びわなわなするmiyakoguと他万喜さん。

でも、いらついた夢二は飲みに行っちゃうんですよ。むーん・・・。

芸者さんたちと飲み、花宮沙羅さん演じる菊子さんといちゃつく夢二。菊子がつまびく三味線を片肘ついて聞く夢二そらちゃんが色っぽいんですよ!ばんばんばん!!

あの人、顔を寄せながら「それで?」とか言ってなかった?吐息まじりの低音で!

スカステの番組で真風さんとお風呂の温度話して、「ばかだね」とか言われてた可愛らしい子だったのに。きぃーーーっ!オペグラを握りしめながら再びわなわなするmiyakogu(注 歓喜)。

一方、他万喜さんは救いを求めて婦人矯風会(キリスト教の教えのもと、禁酒をはじめ女性・子どもの人権を保護しようとする団体)の活動へと入っていきます。

 

6.嫉妬と愛憎がぶつかり合うタンゴ、名シーンです

要所要所で登場してシックな歌でこの物語を彩る花音舞さん。素晴らしい存在感です。

他万喜に思いを寄せる東郷・亜音さん。彼は夢二をまねて千代紙を描き、それを売っていたんです、他万喜さんは・・。

芸者さんから渡された千代紙でそこに気づき、他万喜に詰め寄る夢二。殴り、つかみ合う二人の愛憎シーン、殴られても他万喜も一歩も引きません。

ここがすごかったの!!!

真ん中の二人は和服、周りのペアを組んだタンゴダンサーは黒の洋装。美しく激しいタンゴ。他万喜は多くのタンゴダンサーを妖艶にひきつけ、夢二はいさかいばかりなのに嫉妬する・・。その不条理。

真ん中で和服のまま、軽やかにジャンプするそらちゃん夢二を見て、振り付けた人、気狂ったか?!と思いましたよ。素晴らしかった!振付がいもありましょうとも!

 

7.女学校から彦乃ちゃんがぐいぐいと

一転、バーをはさんで、花嫁修業に励む無邪気なかわいい場面になります。ザ・宝塚らしいかわいい場面ですね。

山吹ひばりさんの彦乃はわざとかもしれませんが、やや幼い声。純粋にひたむきに先生である夢二を慕います。夢二は絵の正式な教育を受けておらず、大衆画家として画壇では全く評価されていない。そこに彼の大きなコンプレックスがありますが、彦乃はそこをすっと乗り越えていきます。

世間知らずの一途さとそれゆえの強さで、彦乃とそらちゃん夢二は近づき、彦乃といる夢二は本当に安らかに幸せそうなのです。ようやく得た安らぎのひと時。二人は山、川と相互に暗号で呼び合い、手紙を交わしきゃっきゃしています。よかったね、あんた、ようやく安らげる愛が・・・(涙)。ただ、彦乃ちゃんは籠に閉じ込められるように両親に育てられたためか、夢二を籠に閉じ込める=愛だと考えているような怖さも少しありました。

一方、他万喜はただ自分のみが夢二のミューズなのだというプライドから、狂気のような提案を彦乃の両親にします。彦乃と夢二が夫婦になり、自分は姉として一緒に暮らすのだと。この場面の狂気的演技も凄かった!

あ・か・んてーーーー!!!他万喜ちゃん、自分をもっと大切にしなあかんて!オペグラを握りしめて再びわなわなするmiyakoguと彦乃父。(注 物語に入り込んでます)

この彦乃父を演じる若翔りつさんが、まぁ、すんばらしいんだわさ。頑固だけではなく、愛情が深く、礼節もあり、夢二をも愛をもって諭すかのような父。

花に水をあげるように、青い鳥の卵を抱くように(これは最後に出てきます)と、愛の意味を繰り返し教えてくれるのは、実はこの彦乃父なのです。素晴らしい演技でした。

 

8.彦乃の病と絶唱の「うつら、うつら」

そらちゃん夢二とひばりさんの彦乃は、二人で京都へ。彦乃さんは絵の修業と家には言ってあるようです。

二人で暮らす穏やかな日々、絵のモデルは彦乃さんに変わり(他万喜さん・・・涙)、画壇から反感を買いながらも個展は大成功します。子どもの不二彦(美星帆那さん)も引き取り、絵本「青い鳥」を読み聞かせてあげるひばりちゃんの彦乃さん。彦乃さん自身が籠を飛び出た青い鳥なのでしょう・・。

夢二と彦乃さん、不二彦の落ち着いた安らかなひと時の暮らし。

ただ、彦乃さんの病は進んでいくのですね・・・。絵の仕事か、長崎に行く夢二、ついていくと言い張る彦乃。

あ・か・んてーーー!!病気の時は療養第一やで!(miyakoguが言うと説得力)

しかし、知らせがあって迎えに来た彦乃父により、二人は引き離されます。

やせ細った彦乃さんとの再会に驚愕する彦乃父、ひばりさん彦乃の演技。迫真でした。

一人残されたそらちゃん夢二が震える声で歌う「うつら、うつら」という主題歌。絶唱です。

雪(花びら?)が舞い散る中、苦悩を歌うそらさん。

登場する2羽の鳥の秋音光さんと花宮沙羅さん。

美しくも絶望的な歌。

※見どころが多すぎて、二幕とここかやや記憶があいまいでした。

圧巻のソロダンスは二幕、彦乃さんが亡くなって、夢の中の列車で再会するシーンの前ですね。twitterで教えていただき、書き換えました。

 

(2幕からフィナーレは、感想2に続きます)

https://mothercoenote.hatenablog.com/entry/2021/04/25/155802